結論:端子の位置ではなく「内部の回路」を作品へ写す
第一種電気工事士の技能試験では、変圧器、VT、電磁開閉器などが端子台で代用されます。端子台の上段・下段、白・黒といった見た目で決めず、問題の内部結線図→電圧・役割→端子記号→指定色の順に読みます。複線図は提出物ではなく、作品の誤結線を減らすための自分用設計図です。
複線図そのものではなく、完成作品が判定される
第一種技能試験で複線図を描くこと自体は採点項目ではありません。配線図・施工条件どおりの作品を作り、欠陥がないことが合格条件です。複線図は、線の本数、端子、接続点、電線色を作業前に整理するために使います。
「第一種でも複線図は必須」「5分で必ず描く」と決めつける必要はありません。端子マップだけで正確に作れる問題もあれば、制御回路を機能別に描き分けたほうが安全な問題もあります。描画時間と誤接続数を技能60分の残り時間ゲートの記録表へ残し、自分に必要な量へ調整します。
| 資料 | 示しているもの | 複線図へ移すもの |
|---|---|---|
| 候補問題 | 回路の骨格、主な器具、施工範囲 | 電源、負荷、制御の大きな区分 |
| 当日配線図 | 材料、寸法、端子台、施工省略範囲 | 端子記号、内部結線、線数、器具位置 |
| 施工条件 | 色、接続方法、接地、既設配線の扱い | 各線の色・材料、圧着か差込か、施工境界 |
2026年度第一種技能試験候補問題にも、材料や施工方法などの詳細は試験問題に明記し、器具を端子台で代用する場合があると示されています。候補図だけで端子位置と電線色まで確定しません。
旧来の「白→黒→スイッチ」だけでは足りない
第二種の単相100V照明回路では、接地側、非接地側、スイッチ返り線の順で描く方法が有効です。しかし第一種には、単相200V、三相3線式、V結線、計器回路、制御回路があります。白線が使われていても、100Vの中性線とは限りません。
たとえば2025年度上期No.1の実問題や2026年度の個別問題では、200V回路や三相回路でも白色電線が指定される場合があります。色だけで電圧と役割を推定せず、先に端子間電圧と回路を決め、最後に施工条件の色を重ねます。
複線図の順番
電線色 → 端子ではなく、回路の役割 → 電圧 → 端子 → 電線色・材料です。色は確認結果であり、回路を決める出発点ではありません。
第一種の複線図を作る6手順
1 施工する範囲と省略する範囲を囲む
配線図の施工省略記号、端子台で代用する器具、既設配線を確認します。端子台で代用された器具でも、外部から端子へ接続するKIP、IV、VVF、CVVなどは施工範囲になり得ます。「高圧側は全部書かない」「低圧側だけ作る」と一律に省略しません。
2026年度の問題には、変圧器一次側のKIP、VT一次・二次、電磁開閉器の主回路と制御接点を施工する例があります。どこからどこまでが作品かを先に囲むと、不要な配線の追加と必要な配線の省略を防げます。
2 端子台の外枠と内部結線図を写す
端子台の個数と端子記号を書き、問題に示された内部結線を別の線種で写します。内部結線図の破線は、機械的な連動や同じ器具に属することを示す場合があり、外部へ追加する電線とは限りません。
「上段は一次、下段は二次」「左からU・V・W」と位置だけで判断しないことが重要です。端子台の向き、極数、代用する器具、内部結線は問題ごとに確認します。
3 回路を電圧と役割で分ける
同じジョイントボックスへ複数回路が集まっても、最初から一本の図にしません。次のように、電圧と役割が違う回路を別枠にします。
- 変圧器の一次側と二次側
- 単相100V回路と単相200V回路
- 三相主回路と制御回路
- 計器回路と表示回路
- EB・EDなどの接地線
電圧計は線間へ並列、電流計は指定相へ直列、表示灯は指定された2相または接点経路へ接続するなど、機器の役割で線の通り方が変わります。三相交流の理論は三相交流回路の計算|Y・Δ・V結線、受電機器の役割は高圧受電設備の単線結線図で補えます。
4 電源から負荷、別の相または帰路まで一筆で追う
単相100Vなら非接地側から負荷を経て接地側へ、単相200Vなら一方の相から2極器具・負荷を経てもう一方の相へ、三相ならR・S・Tをそれぞれ電源側から負荷側へ追います。制御回路は、操作電源→停止接点→運転接点・自己保持接点→コイル→帰路のように機能で追います。
接続点を通るたびに、どの線とどの線を同一グループにするかを囲みます。端子台の内部線と、受験者が施工する外部線は線種や色を変えて描くと混同を減らせます。
5 端子記号、電線色、材料、接続方法を重ねる
回路が成立してから、U・V・W、u・o・v、R・S・T、a1・a2などの端子記号を書きます。その後で、施工条件の赤・白・黒・緑、KIP・IV・VVF・CVV、リングスリーブ・差込形コネクタを重ねます。
同じ白でも、単相回路の接地側、200V回路の一相、三相回路のS相など役割が異なります。接地線の緑と回路導体の白も目的が違うため、同じ接地点から出ていても別経路として描きます。
6 材料表と接続点の数で照合する
最後に、複線図から必要な各ケーブルの心数、端子接続数、リングスリーブと差込形コネクタの接続点を数えます。材料表と合わないときは、すぐ切断せず、施工省略、内部結線、渡り線、接地線のどれを落としたかを戻ります。
6手順の短縮形
範囲 → 内部結線 → 回路分離 → 一筆追跡 → 色・材料 → 数の照合。書き込みの量を減らしても、この判断順は変えません。
変圧器結線は3種類を分けて読む
候補番号から結線を推測するのではなく、問題の変圧器台数、端子記号、内部巻線、端子間電圧を読みます。以下は2026年度上期実問題から選んだ代表例であり、すべての年度・問題へ固定する端子配置ではありません。
単相変圧器:u・o・vの中間端子を読む
2026年度上期No.2では、変圧器代用端子台の一次がU・V、二次がu・o・vです。二次210/105Vの内部図を基に、実問題ではu-oから100V回路、u-vから200V回路を取り、EBをoへ接続します。
100V・200Vの一端
100Vの他端・EB
200Vの他端
「u-v・v-w・u-w」の3組や、vが中性点という古い暗記を当てはめると、存在しないw端子を作ることになります。また、変圧器の表示210/105Vと、回路の呼称200/100Vは目的が違うため、問題の表記をそのまま写します。現年度の具体例は候補問題No.2、単相100/200Vの回路分離は候補問題No.1で確認できます。
V結線:2台の共通点を先に決める
2026年度上期No.3では、単相変圧器T1・T2の2台をV結線にします。一次側はT1がR-S、T2がS-Tに接続されるため、T1のVとT2のUがS相の共通点です。二次側もT1 vとT2 uを結んでS相を作り、外側をR・Tとして三相3線式を取り出します。
T1の外側
T1・T2の共通点
T2の外側
変圧器2台を独立した単相回路として描かず、共通のS相を一つにします。T1に中間端子oがある問題では、三相200Vに加えて単相100Vを取り出す場合もあります。2026年度No.3の端子と色は候補問題No.3|V結線で確認できます。
三相変圧器:3本を主回路の同じ相で追う
三相変圧器では、二次u・v・wから出る3相を、後段のR・S・Tや機器の電源側端子へ対応させます。2026年度上期No.8では、変圧器u/v/w→電磁開閉器R/S/T→U/V/W→電動機という主回路です。
主回路と制御回路を同じ線で描くと、13-14の補助接点、A1-A2のコイル、95-96の熱動継電器接点を相端子と混同します。主回路は太い3本、制御回路は別枠にし、内部結線図の破線を外部電線として追加しません。詳しくは候補問題No.8|電磁開閉器と自己保持と制御回路の複線図で確認してください。
計器用変圧器VTのV結線は電力用変圧器と目的を分ける
2026年度上期No.10では、VT(計器用変圧器)2台を一次・二次ともV結線にし、6,600Vを計器用110Vへ変成します。形はV結線でも、主目的は電動機へ電力を供給することではなく、電圧計・不足電圧継電器・表示回路へ計器用電圧を渡すことです。
一次はT1 U-VをR-S、T2 U-VをS-Tへ接続し、二次はT1 uをR、T1 vとT2 uの共通点をS、T2 vをTとして取り出します。2026年度実問題の色はR赤・S白・T黒ですが、年度を越えて固定せず施工条件を読みます。VT二次から先の電圧計・VCB表示は候補問題No.10|VT・VCB表示回路で分けて練習できます。
複線図の前に端子マップを作る
複雑な問題は、いきなり完成複線図を描くより、端子マップを作ると整理しやすくなります。紙の端に「回路」「出発端子」「経路・負荷」「戻り端子・接地」を4行程度で書きます。
| 回路 | 端子と経路 | 最後に重ねる指定 |
|---|---|---|
| 単相100V | 指定非接地側→器具・負荷→指定接地側 | N・W端子、受金ねじ部、色 |
| 単相200V | 指定2端子→2極器具・負荷→指定2端子 | 両極開閉、E端子、色 |
| 三相主回路 | 3相→主機器電源側→負荷側→負荷 | 相順、端子記号、計器挿入相 |
| 接地 | 指定端子→EB・ED施工箇所 | 太さ、色、施工省略範囲 |
端子マップが作れたら、各行を器具配置へ展開し、ジョイントボックスの接続点をまとめます。途中で線が余るときは、内部結線を外部線として数えていないか、制御電源の帰路を落としていないか、施工省略部分まで描いていないかを確認します。
2026年度実問題で読み方を照合する
候補問題は回路の骨格を練習する資料であり、端子・材料・色・接続方法の最終答えではありません。2026年7月4日の実問題・公式解答から、異なる4例を横並びにすると、暗記すべきなのが「番号」ではなく読み方だと分かります。
| 例 | 先に分ける回路 | 公式資料 |
|---|---|---|
| No.2 | 変圧器一次、100V、200V、EB、自動点滅 | 問題・解答 |
| No.3 | V結線の一次・二次、三相200V、単相100V、接地 | 問題・解答 |
| No.8 | 三相主回路、自己保持、電流計、表示灯、EB | 問題・解答 |
| No.10 | VT一次・二次、計器、VCB補助接点、表示灯 | 問題・解答 |
電気技術者試験センターは、2026年度上期に実施した10問題を第一種試験の問題と解答で公開しています。受験する年度が変わったら、最新候補・最新実問題へ置き換えて練習してください。
よくある誤りを回路から直す
| 誤り | 原因 | 戻る資料 |
|---|---|---|
| 白線をすべて中性線にした | 色から回路を決めた | 端子間電圧と施工条件 |
| 端子台の上下だけで一次・二次を決めた | 内部結線図を写していない | 端子台説明図と記号 |
| 破線部分へ電線を追加した | 機械連動と外部配線を混同 | 器具内部結線図の凡例 |
| V結線を単相2回路に分けた | 共通相を作っていない | T1・T2の共通端子 |
| 材料と接続点の数が合わない | 省略・渡り・接地の見落とし | 材料表と施工境界 |
修正後は、図だけでなく完成作品も第一種技能試験の欠陥基準で確認します。KIP・CVV・端子台の加工は第一種技能試験の基本作業へ分け、この記事では回路を端子へ移す判断に集中してください。
複線図から作品へ移す最終チェック
- 施工範囲と施工省略範囲が問題どおり
- 端子台の個数、代用器具、内部結線、向きが一致
- 一次・二次、100V・200V、主回路・制御回路を分離
- 端子記号と接続先を電源から負荷まで追える
- 白・黒・赤・緑などの色を施工条件と照合
- KIP・IV・VVF・CVVの線種、太さ、心数が材料表と一致
- リングスリーブ・差込形コネクタの接続点が指定どおり
- EB・EDの端子、色、施工省略を区別
- 内部線を外部配線として数えていない
- 完成作品の未接続・余計な工事・誤配線を確認
理解度チェック
問1:u・o・v端子の読み方
問題の内部結線図に、u-oが100V、u-vが200V、EBはoと示されています。200V負荷へ使う端子の組合せはどれですか。
ア.u-o イ.o-v ウ.u-v エ.U-V
問2:白色電線の判断
複線図で白色電線を見つけました。必ず単相100V回路の中性線と判断できますか。
ア.必ずできる イ.200V回路だけできる
ウ.三相回路だけできる エ.施工条件と端子・回路を見ないと判断できない
問3:内部結線図の破線
電磁開閉器の内部結線図で、主接点・補助接点・コイルの間に破線があります。外部電線で端子同士を結ぶべきですか。
ア.必ず結ぶ イ.破線を機械的連動として読み、外部配線は実線と施工条件で決める
ウ.KIPだけで結ぶ エ.緑色電線で結ぶ
公式資料・一次情報
- 電気技術者試験センター:第一種技能試験の候補問題・注意事項
- 電気技術者試験センター:2026年度第一種技能試験候補問題
- 電気技術者試験センター:2026年度上期第一種 技能試験の問題と解答
- 電気技術者試験センター:技能試験のポイント(2026年版)
- 電気技術者試験センター:技能試験の欠陥について
次に練習する記事
候補問題No.1|単相100V・200V:端子間電圧を二つの負荷へ展開する
候補問題No.3|変圧器2台のV結線:共通S相から三相回路を作る
候補問題No.8|電磁開閉器と自己保持:主回路と制御回路を分ける
候補問題No.10|VTとVCB表示:計器用V結線と補助接点を読む
第一種技能試験の制御回路:自己保持とインターロックを深掘りする
第一種電気工事士 学習ロードマップ:学科・技能の学習順へ戻る
広告・検証方針
この記事内に工具、練習材料、通信講座のアフィリエイトリンクや1px追跡画像は掲載していません。2026年8月1日に試験センターの2026年度候補問題、上期No.2・3・8・10の実問題と公式解答、技能試験のポイント、欠陥判断基準を照合しました。旧稿の「高圧側は配線不要」「低圧側だけ描く」「白は中性線」「端子台の上下で一次・二次を決める」、誤った候補問題4分類と固定5分手順を撤去しました。確認問題は当サイトのオリジナルです。
※当サイトの画像にはAI生成のものが含まれており、実際の機器・器具とは外観が異なる場合があります。問題・解答の内容には細心の注意を払っておりますが、誤りが含まれる可能性があります。学習の参考としてご活用いただき、最終的な確認は公式テキスト・法令等で行ってください。当サイトの情報に基づく判断によって生じた損害について、一切の責任を負いかねます。
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