1種 複線図の書き方 第一種電気工事士

第一種電気工事士 複線図の書き方|端子台・変圧器・三相回路

この記事を読み終えると、第一種の問題用紙にある端子台説明図と施工条件から、端子の並び・取り出す電圧・電線の色を自分で確定させ、複線図へ写せるようになります。

第二種で覚えた「白から描いて、次に黒、最後にスイッチ」の順番は、第一種では半分しか使えません。変圧器や電磁開閉器が端子台で代用され、その並び方も、白い線の意味も、課題ごとに変わるからです。この記事は令和8年度上期(2026年7月4日)のNo.2・No.3・No.8・No.10の問題と公式解答を横に並べ、どの課題でも使える読み方だけを取り出します。

採点されるのは作品で、複線図は自分用の設計図

第一種の技能試験で、複線図そのものは提出しません。判定されるのは完成した作品で、配線図と施工条件のとおりに作り、欠陥がないことが合格の条件です。複線図は、線の本数・端子・接続点・色を作業の前にそろえるための道具です。

資料 示しているもの 複線図へ移すもの
候補問題(年度初めに公表) 回路の骨格、主な器具、施工範囲 電源・負荷・制御の大きな区分
当日の配線図と端子台説明図 材料、寸法、端子の並び、内部結線 端子記号、線の本数、器具の位置
当日の施工条件 色、接続方法、接地線を結ぶ端子、既設配線 各線の色と材料、圧着か差込か

令和8年度の候補問題の公表文も、配線図や施工条件などの詳細は試験問題に明記するとし、機器・器具には端子台で代用するものもあると注記しています。候補図だけで端子の位置と色までは決まりません。

6つの判断を、この順番で行う

  1. 施工する範囲を囲む。一点鎖線の施工省略、端子台で代用する器具、既設配線を先に確認します。No.8の変圧器一次側のKIP 3本や、No.10のVT一次側のように、高圧側でも作品に入る線があります。
  2. 端子台の並びと内部結線を写す。ねじの位置と端子記号をそのまま写し、内部結線は別の線種で描きます(図1・図3)。
  3. 回路を電圧と役割で分ける。一次と二次、100Vと200V、主回路と制御回路、計器と表示灯、接地線を別の枠にします。
  4. 電源から負荷を通って戻るまで、一筆で追う。三相ならR・S・Tを1本ずつ、制御回路なら操作電源から停止接点・始動接点・コイルを経て戻るまでを追います。
  5. 回路ができてから、色と材料を重ねる。色は回路を決める出発点ではなく、最後に照合するものです(図2)。
  6. 材料表と接続点の数を照合する。ケーブルの本数と心数、端子ごとの本数、ボックスの接続点が合わなければ、切る前に手順1〜5のどこかへ戻ります。

端子台の上段・下段で、一次と二次を決めない

図1 「上段が一次」は、No.8とNo.10では当てはまらない

令和8年度上期の問題にある端子台説明図の並びを、ねじの位置だけ取り出して描き直しました。

スマートフォンでは図を横にスクロールできます。

①No.2 単相変圧器No.3のT1も同じ並びUVuov上段と下段で分かれる一次は上段の2つ二次は下段の3つ②No.8 三相変圧器上からW・V・UWwW/wVvV/vUuU/u一次は左列の3つuはいちばん下③No.10 VT(2台)上がV・下がUVvV/vUuU/u一次は左列の2つuは下の段青い丸=一次側(6,600V)の端子 橙の丸=二次側の端子
見るべきなのは位置ではなく、大文字か小文字かです。3つとも大文字が一次側、小文字が二次側で、ここだけは課題が変わっても共通でした。

図1の①のNo.2では、上段のU・Vが一次側、下段のu・o・vが二次側です。No.3のT1も同じ並びなので、この2課題だけを練習すると「上段が一次」と覚えてしまいます。

ところが図1の②のNo.8は3段2列で、左の列が一次、右の列が二次です。しかも上の段からW・V・Uの順で、uはいちばん下にあります。図1の③のNo.10のVTも左の列が一次で、上がV・下がUです。No.8で上からu・v・wと読むと、施工条件の「u相に赤、w相に黒」と逆に結ぶことになります。3つに共通していたのは、大文字が一次側、小文字が二次側という表記だけでした。

二次側の端子の組み合わせで、取り出す電圧が決まる

図2 同じ「白」でも、接地線と同じ端子から出るとは限らない

二次側の端子から出る線と、緑の接地線(EB)を結ぶ端子を、3つの課題で並べました。

スマートフォンでは図を横にスクロールできます。

①No.2 単相1台二次 210/105Vuov黒白EBu–o:100V(黒・白)u–v:200V(破線=色は問わない)EBはo → この白は接地側②No.3 単相2台のV結線T1(u・o・v)とT2(u・v)わたり線uovuv赤黒白EB白黒RST三相200V:R赤・S白・T黒EBはT1のoS相の白は接地されていない③No.8 三相1台二次 210Vuvw赤白EB黒三相200V:u赤・v白・w黒EBはvS相(v)の白が接地側
白が「接地側だから白」なのか「三相の色の割り当てで白」なのかは、施工条件と接地線の端子で決まります。図2の②のS相は後者で、接地線とは別の点から出ています。

図2の①のNo.2は、中間の端子oを持つ単相変圧器です。解答の複線図では、uとoの間から100V(IV 5.5mm2の黒をu、白をo)を配線用遮断器へ、uとvの間から200V(VVF 2.0-2C、色は問わない)を他の負荷へ出し、緑の接地線をoに結んでいます。

図2の②のNo.3は、単相変圧器2台のV結線です。施工条件は、単相の負荷回路をT1のu・oに、接地線をT1のoに結び、二次側のわたり線を太さ2.0mmの白とするよう指定しています。T1のvとT2のuをわたり線で結んだ点がS相になり、T1のuが赤のR相、T2のvが黒のT相です。T1のuには赤と100V用の黒の2本が入ります。

図2の③のNo.8は三相変圧器1台で、u相に赤・v相に白・w相に黒、接地線はv端子です。V結線や三相の電圧の関係そのものは三相交流回路の計算|Y・Δ・V結線で確かめられます。

白い線を見ても、接地側とは限らない

図2の①と③では、白は緑の接地線と同じ端子から出ています。施工条件の「接地側電線は、すべて白色を使用する」がそのまま当てはまる形です。

図2の②は違います。No.3のS相の白は、わたり線で結んだ点から出ていて、接地線を結ぶT1のoとは別の点です。このS相は接地されていないのに白で、それは施工条件の「三相負荷回路の配線は、R相に赤色、S相に白色、T相に黒色を使用する」で決まっています。白には「接地側だから白」と「三相の色の割り当てで白」の2つの理由があり、どちらなのかは接地線を結ぶ端子を見ないと決まりません。No.8では、電流計の回路だけが白の指定から外れる例外もあります。

内部結線図の破線は、外に引く電線ではない

図3 内部結線図の破線は、どの課題でも「一緒に動く」の印

3つの器具の内部結線を、端子の名前を問題どおりにして描き直しました。接点は動作していない状態です。

スマートフォンでは図を横にスクロールできます。

①No.2 自動点滅器CdS回路123②No.8 電磁開閉器1314A1A29596RU④③No.10 VCB補助接点VCB本体は施工省略a接点b接点a1a2b1b2白い丸=外から電線を結ぶ端子 破線=連動を表す線(電線ではない)
破線の両端に端子の丸はありません。図3の④の白い丸にだけ電線が結べるので、破線を見て電線を1本足すと、材料表の電線が足りなくなります。

図3の①はNo.2の自動点滅器で、CdS回路と接点の間に破線があります。図3の②はNo.8の電磁開閉器で、コイルから補助接点と主接点へ、熱動継電器のヒーターから95-96の接点へ破線が伸びています。図3の③はNo.10の遮断器の補助接点で、施工省略の遮断器本体からa接点とb接点へ破線が伸びています。

3つとも、破線は「こちらが動くと、あちらの接点も動く」という連動の印です。外から電線を結べるのは図3の④の白い丸(端子)だけで、破線をなぞって電線を足すと、材料表の電線が足りなくなります。No.8の黄色のわたり線が14-A2・A1-95・96-Sの3本になるのも、破線ではなく制御回路図の実線で決まっています。

計器用変圧器VTのV結線は、電力用と目的が違う

No.10では、VT(計器用変圧器)2台を一次・二次ともV結線にし、6,600Vを計器用の110Vへ変えます。形はNo.3と同じV結線でも、目的は電動機や照明へ電力を送ることではなく、電圧計や不足電圧継電器へ計器用の電圧を渡すことです。

二次側はT1のuがR相、わたり線(より線2mm2の白)で結んだT1のvとT2のuがS相、T2のvがT相です。施工条件は接地線をT1のv端子に、不足電圧継電器への配線をT1のuとT2のvに、電圧計をR相とS相の間に結ぶよう指定しています。同じV結線でもNo.3は接地線がT1のo、No.10はS相の点で、ここも施工条件を読まないと決まりません。

複雑な課題は、端子マップを先に作る

いきなり完成形の複線図を描くより、紙の端に回路ごとの行き先を書き出すと整理しやすくなります。各行を器具の配置へ展開し、ボックスの接続点をまとめるのはそのあとです。

回路 出発の端子 → 経路 最後に重ねる指定
単相100V 非接地側の端子 → 器具・負荷 → 接地側の端子 白を結ぶ端子(N・W・受金ねじ部)
単相200V 指定の2端子 → 2極の器具・負荷 → 2端子 色の指定があるか
三相主回路 3相 → 主機器の電源側 → 負荷側 → 負荷 相ごとの色、計器を入れる相
接地 指定の端子 → EB・ED 太さ・緑・施工省略の範囲

数や色が合わないときに戻る場所

数や色が合わないとき 見落としやすい原因 戻る判断
1つの端子に線が3本集まる 内部結線の破線を電線として足した 手順2(図3の④)
二次側の赤と黒が逆になる 端子台を上からu・v・wと読んだ 手順2(図1の②)
No.3で接地線をS相の点に結ぶ 白を見て接地側だと読んだ 手順5(図2の②)
材料表の電線が1本余る わたり線・接地線・施工省略側への線を落とした 手順1と手順6
刻印の数が解答と合わない 回路を分けずにボックスの本数を数えた 手順3と手順6

作品が完成したら、図だけでなく第一種電気工事士 技能試験の欠陥判定基準で見直してください。

自己チェック(6問)

解説は最初から表示しています。図を見ないで答えられるかを試してください。

問1:No.8の変圧器代用端子台で、一次側(KIPを結ぶ側)の端子はどこに並んでいますか。

  1. 上の段の3つ
  2. 下の段の3つ
  3. 左の列の3つ
  4. 右の列の3つ

解答:3(左の列の3つ)
図1の②のとおり、No.8は3段2列で、左の列が一次側のW・V・U、右の列が二次側のw・v・uです。「上段が一次」はNo.2とNo.3のT1(図1の①)にしか当てはまりません。

問2:No.8で、二次側の赤(u相)を結ぶねじはどの段にありますか。

  1. いちばん上の段
  2. まん中の段
  3. いちばん下の段
  4. 段ではなく列で分かれる

解答:3(いちばん下の段)
上の段から順にW・V・Uなので、uはいちばん下です。上からu・v・wと思い込むと、施工条件の「u相に赤、w相に黒」と逆に結んでしまいます。

問3:No.2で、100V回路の白(接地側)を結ぶ端子はどれですか。

  1. u
  2. o
  3. v
  4. U

解答:2(o)
図2の①のとおり、100Vはuとoの間から取り、黒をu・白をoに結びます。緑の接地線もoに結ぶので、この白は接地側です。uとvの間は200Vで、Uは一次側の端子です。

問4:No.3の三相200VのS相(白)について、正しいものはどれですか。

  1. T1のoに結ぶ接地側の電線
  2. わたり線で結んだT1のv・T2のuから出る相で、接地されていない
  3. 100V回路の接地側と同じ電線
  4. 中性線なので白を使う

解答:2(わたり線で結んだT1のv・T2のuから出る相で、接地されていない)
施工条件は接地線をT1のoに結ぶと指定しているので、S相の点は接地されていません(図2の②)。それでも白なのは、三相負荷回路の色別がS相に白を割り当てているからです。三相3線式に中性線はありません。

問5:電磁開閉器の内部結線図で、コイルから接点へ破線が伸びています。作品ではどうしますか。

  1. 破線の位置に黄色の電線を足す
  2. 破線は連動の印なので、電線は足さない
  3. 破線の区間は施工省略にする
  4. 破線の区間に接地線を結ぶ

解答:2(破線は連動の印なので、電線は足さない)
コイルに電流が流れると接点が動く、という機械的な連動を表しています(図3の②)。外から電線を結べるのは端子の丸だけです。No.8の黄色のわたり線は、施工条件と制御回路図で決まる3本です。

問6:No.10のVT 2台のV結線で、二次側のS相になる点はどこですか。

  1. T1のu
  2. T1のvとT2のuを結んだ点
  3. T2のv
  4. T1のUとT2のVを結んだ点

解答:2(T1のvとT2のuを結んだ点)
T1のuがR相、わたり線で結んだT1のvとT2のuがS相、T2のvがT相です。施工条件は接地線をT1のv端子に結ぶよう指定しているので、No.10ではS相の点が接地されます。同じV結線でも、No.3(図2の②)とは接地する点が違います。

4課題の問題と解答で確かめたこと(2026年9月15日確認)

端子台の並び、二次側の端子と色、接地線を結ぶ端子、内部結線の破線は、令和8年度上期のNo.2・No.3・No.8・No.10の問題と解答のページを画像にして1つずつ照合しました。図1〜図3は当サイトが描いたもので、公式図の複製ではありません。受験する年度が変わったら、その年度の問題に置き換えて確かめてください。

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次は第一種電気工事士 制御回路の複線図|自己保持と接点の読み方へ進んでください。図3の②の破線が、押しボタンを押したときにどう動くのかを順に追います。

読み方を1課題ずつ手で試すなら、第一種 技能候補問題No.1|複線図の読み方から番号順に進めます。図1の①と同じ並びの端子台が出てきます。

KIPやCVVの加工に不安があるうちは第一種電気工事士 技能試験の基本作業|KIP・CVV・端子台へ戻ってください。

資格太郎

この記事を書いた人:資格太郎電気工事士の独学合格を目指して学習中。公表済みの候補問題と実際に出題された問題・公式解答を分けて照合し、当日の施工条件で確定する部分と、年度が変わっても動かない考え方を区別して編集しています。運営者情報と編集方針

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