この記事を読み終えると、候補問題No.7のCT二次回路を「閉じた輪が2つ」として描けるようになり、電流計をどこへ割り込ませるか、ジョイントボックスの4組でどれが3本になるかを自分で決められるようになります。
No.7でつまずく場所は、KIPでも端子台でもありません。K・L・k・lという4つの記号の向きと、二次側が電源のない閉回路になっていることの2点です。ここを図にしてから複線図に入ります。
令和8年度上期No.7で確定した回路
候補図だけでは端子の並びも電線色も決まりません。令和8年度上期(2026年7月4日)の技能試験で出題された候補No.7では、材料表・配線図・3種類の端子台説明図・CT結線図・8項目の施工条件が示されました。この記事はその実問題と公式解答に合わせています。
主回路は短いです。3φ3W 6,600VからCT2台を通って変圧器(3P端子台で代用)へ入り、二次側の3φ3W 200Vはすぐ「負荷へ」で施工省略になります。作業量のほとんどは、CTの二次側に作る計測回路のほうにあります。
K・L・k・lは向きと本数が決まっている
図1 CTは向きが決まっている。l端子には2本まで
線が交わっている場所のうち、黒丸があるところだけがつながりです。またいでいる線はつながっていません。
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図1の①のとおり、KIPの上側(電源側)をK端子へ、下側(変圧器側)をL端子へ入れます。K・Lは一次側、k・lは二次側で、大文字と小文字の読み分けがそのまま上下の判断になります。
二次側は図1の③のわたり線が要です。2台のCTのl端子どうしを太さ2mm2(白色)で結び、そこを共通点にします。図1の④の接地線はR相のCTのl端子、図1の⑤の白の共通線はT相のCTのl端子から出します。こう分けると、どちらのl端子も2本で収まります。
1端子2本以下という条件が、配線の分け方を決めている
施工条件は「CTの1端子に結線できる電線本数は2本以下」と書いています。これは端子台のねじが2本までしか噛まないという物理的な制約で、どちらのl端子に接地線を付けるかという迷いをなくしてくれる条件でもあります。
k端子の側はもっと単純で、それぞれ1本ずつです。施工条件は「CTのk端子からは、R相、T相それぞれ過電流継電器のC1R、C1T端子に結線する」と行き先まで指定しています。CTの二次側からジョイントボックスに至る配線はR相に赤色、T相に黒色で、残る白がl端子側の共通線になります。
二次側は閉じた輪が2つ。電流計はR相の輪に割り込ませる
図2 二次側は閉じた輪が2つ。電流計はR相の輪の中に入る
過電流継電器の中身はコイル2個だけです。C1とC2の間にコイルが1個入っていると思って追ってください。
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過電流継電器の中身はコイル2個だけです。図2の④のようにC1RとC2Rの間にR相要素、C1TとC2Tの間にT相要素が入っています。ここに電源はありません。電流を送り出すのはCTです。
図2の①がR相の輪です。CTのk端子 → C1R → コイル → C2R → 電流計 → 白の共通線 → CTのl端子と一周します。図2の②のT相の輪は同じ道をたどりますが、電流計を通りません。施工条件が指定するのは「電流計はR相の電流を測定するように接続すること」だけなので、図2の③の位置に直列で入れれば条件を満たします。
なぜCTの二次側を開いてはいけないのか
CTは変圧器と逆で、一次電流に比例した電流を二次側へ「流そうとする」機器です。二次側が開いていると電流が流れられず、鉄心が飽和して二次端子に危険な電圧が現れます。現場でCT二次の計器を外すときに、まず二次側を短絡してから外すのはこのためです。
図2の輪が2つとも閉じているのは、この性質をそのまま形にしたものです。試験の作品では端子台で代用するので実害はありませんが、「輪が閉じているか」を自分で確かめる癖を付けると、結線の抜けにその場で気づけます。
ボックスの4組で、3本になるのは1組だけ
図3 4組のうち、3本になるのは白の共通線だけ
すべて2mm2の制御用ケーブルなので、本数だけで刻印が決まります。
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ジョイントボックスに入るのはCVV 2-3Cが1本とCVV 2-2Cが3本の合計4本で、打抜き済みの穴は19mmが2か所と25mmが2か所の4か所です。ここは本数と穴の数がちょうど合います。
接続は4組です。図3の①がR相の赤、図3の②がT相の黒で、どちらもCTから来た1本と過電流継電器へ向かう1本の2本ずつ。図3の③は電流計へ向かう組で、これも2本です。3本になるのは図3の④の白の共通線だけで、ここだけ刻印が「小」になります。
| ケーブル | つなぐ相手 | 中の心線の役目 |
|---|---|---|
| CVV 2-3C | CT2台 → ボックス | 赤=R相/黒=T相/白=共通 |
| CVV 2-2C | ボックス → C1R・C2R | R相の輪の往きと戻り |
| CVV 2-2C | ボックス → C1T・C2T | T相の輪の往きと戻り |
| CVV 2-2C | ボックス → 電流計 | 電流計の往きと戻り(施工省略) |
変圧器は1台。緑の線が2本ある
変圧器は3P(6端子)の端子台1個で代用します。一次側U・V・WにKIPを3本、二次側u・v・wにVVF 2.0-3Cを結び、色別はu相に赤・v相に白・w相に黒です。二次側は「負荷へ」で施工省略なので、ケーブルの先は切りっぱなしになります。
この課題には接地が2か所あります。変圧器の接地線はIV 5.5mm2の緑でv端子、CTの接地線はIV 2mm2の緑でl端子です。同じ緑でも太さと行き先が違うので、材料確認のときに2本を分けて置いておくと迷いません。
作業の段取りと、先に済ませておくこと
- 端子台に名前を書く。変圧器の6端子にU・V・Wとu・v・w、CT2台にK・k・L・l、過電流継電器にC1R・C2R・C1T・C2Tを端子台説明図どおりにメモします。
- CTの向きを先に決める。K端子を電源側(上)へ向けて2台とも置きます。ここを決めてから初めてKIPを切ります。
- わたり線を先に作る。白2mm2で2台のl端子を結びます。後から入れると、接地線や共通線が邪魔になって締めにくくなります。
- 緑を2本、先に付ける。5.5mm2を変圧器のv端子へ、2mm2をCTのl端子へ。太さを取り違えると復旧できません。
- CVVの心線色を役目に割り当てる。3心は赤=R相・黒=T相・白=共通。2心の色別は指定がないので、どちらをどちらに使っても構いません。
- 輪が2つ閉じているか声に出して確かめる。圧着の前に、k端子から出てl端子へ戻るまでを指でなぞります。
- 4組を数えてから圧着する。白の共通線だけ3本です。図3の表で刻印を選びます。
作品に出る症状から原因を戻す
| 作品に出る症状 | 原因 | 直し方 |
|---|---|---|
| CTのl端子に3本入ってしまう | 接地線と共通線を同じ端子へ集めている | 図1の④はR相、図1の⑤はT相と分ける |
| 電流計への2本が余る | 電流計を輪の外につなごうとしている | 図2の③のとおりC2Rと共通線の間へ直列に入れる |
| 刻印が4か所とも「○」になる | 共通線が3本であることを見落としている | 図3の④だけ3本。ここは「小」で圧着する |
| CTの上下が逆になっている | K・Lと k・l を見分けていない | 大文字が一次側。K端子を電源側へ向ける |
| 緑の線の長さが合わない | 2本の接地線を取り違えている | 5.5mm2は変圧器のv端子、2mm2はCTのl端子 |
自己チェック(6問)
解説は最初から表示しています。図を見ないで答えられるかを試してください。
問1:CTのK端子は、どちら側へ向けますか。
- 変圧器側(負荷側)
- 高圧の電源側
- 接地側
- 過電流継電器側
解答:2(高圧の電源側)
施工条件が「CTのK側を高圧の電源側として使用する」と指定しています。図1の①のとおり、KIPの上側がK端子、下側がL端子です。K・Lは一次側、k・lは二次側です。大文字と小文字を読み分けないと、上下を逆に付けて欠陥になります。
問2:CTのl端子に結ぶ電線は、それぞれ何本になりますか。
- R相もT相も1本ずつ
- R相もT相も2本ずつ
- R相が3本、T相が1本
- R相が1本、T相が3本
解答:2(R相もT相も2本ずつ)
施工条件は「CTの1端子に結線できる電線本数は2本以下」と決めています。図1の③のわたり線と図1の④の接地線でR相のl端子が2本、わたり線と図1の⑤の白の共通線でT相のl端子が2本です。接地線と共通線を同じ端子へ集めると3本になり、条件を外します。
問3:CTの二次側を開いたまま一次側に電流を流すと、何が起きますか。
- 二次側に電流が流れないだけで何も起きない
- 二次側に高い電圧が現れる
- 一次側の電流が止まる
- 一次側の電圧が下がる
解答:2(二次側に高い電圧が現れる)
CTは一次電流に比例した電流を二次側へ流そうとします。回路が開いていると電流が流れられず、鉄心が飽和して二次端子に危険な電圧が出ます。だから現場ではCTの二次側を短絡してから計器を外します。図2の①と②が閉じた輪になっているのは、この理由です。
問4:電流計はどこに入れますか。
- C1RとC2Rの間
- C2Rと白の共通線の間
- C1TとC2Tの間
- CTのK端子とL端子の間
解答:2(C2Rと白の共通線の間)
施工条件は「電流計は、R相の電流を測定するように、接続すること」とだけ書いています。図2の③の位置に入れれば、R相の輪を流れる電流が電流計を必ず通ります。1はコイルの内側なので入れられません。4は一次側で、6,600Vの回路に電流計を直列に入れることになります。
問5:ジョイントボックスの中で3本になる組はどれですか。
- R相の赤
- T相の黒
- 電流計へ向かう組
- 白の共通線
解答:4(白の共通線)
図3の④です。CTのl端子から来た白、C2Tから戻る1本、電流計から戻る1本の3本が集まります。残る3組は図3の①②③のとおり2本ずつです。接続は全部で4か所、リングスリーブは小を4個使います。
問6:変圧器の接地線(IV 5.5mm2緑)は、どの端子に結びますか。
- U端子
- W端子
- v端子
- l端子
解答:3(v端子)
施工条件が「変圧器の接地線は、v端子に結線すること」と場所まで指定しています。大文字のU・V・Wが一次側6,600V、小文字のu・v・wが二次側210Vです。この課題には接地が2か所あり、緑の線も2本あります。4のl端子へ結ぶのはCT側の緑(IV 2mm2)で、太さも行き先も別物です。
参照した公表資料と確認日(2026年9月10日)
本文の端子記号・電線色・電流計の接続位置・接続点の本数と刻印は、次の資料と1つずつ照合しました。図1〜図3は当サイトが描いたもので、公式図の複製ではありません。
- 電気技術者試験センター:第一種電気工事士の技能試験の候補問題
- 電気技術者試験センター:令和8年度第一種電気工事士技能試験候補問題の公表について(PDF)
- 電気技術者試験センター:第一種電気工事士試験の問題と解答
- 電気技術者試験センター:令和8年度上期技能試験 候補No.7の問題(PDF)
- 電気技術者試験センター:同 解答(複線図と正解作品例)(PDF)
- 電気技術者試験センター:電気工事士技能試験(第一種・第二種)欠陥の判断基準(PDF)
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次は第一種 技能候補問題No.8|電磁開閉器と自己保持回路へ進んでください。制御回路がもう一段複雑になりますが、「閉じた輪を追う」やり方はそのまま使えます。
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