この記事を読み終えると、候補問題No.3で変圧器のどの端子に何本ずつ電線を結ぶかを自分で決められるようになり、ジョイントボックスに集まる線の組と刻印まで手が止まらずに描けるようになります。
No.3でつまずく場所は、V結線そのものではありません。単相変圧器2台の端子に行き先の違う線が2本ずつ入ることと、スイッチと器具が2つのボックスをまたいで入れ違いに置かれていることの2点です。ここを図にしてから複線図に入ります。
令和8年度上期No.3で示された材料と施工条件
候補図だけでは端子の並びも電線色も決まりません。令和8年度上期(2026年7月4日)の技能試験で出題された候補No.3では、材料表・配線図・端子台説明図・変圧器結線図・施工条件が示されました。この記事はその実問題と公式解答に合わせています。
回路は3つです。T1とT2をV結線にして取り出す3φ3W 200V、T1のu-oから取り出す1φ2W 100V、そしてEBとEDの2つの接地です。200V側は施工省略で「他の負荷へ」と書かれており、100V側だけを実際に配線します。
端子に何本ずつ結ぶかを先に決める
図1 T1のu端子とo端子には、2本ずつ結ぶ
令和8年度上期No.3の変圧器結線図と複線図を、端子ごとの本数に置き直したものです。
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図1の①がT1のu端子です。ここからは単相100Vの非接地側(黒)と、三相のR相(赤)の2本が出ます。図1の②がo端子で、単相100Vの接地側(白)とEBへ向かう緑色IV 5.5mm2の2本が出ます。
図1の③は二次側のわたり線です。施工条件は二次側端子のわたり線に太さ2.0mm(白色)を使うと指定しています。T1のvとT2のuを結ぶこの1本がS相になります。図1の④は一次側の共通点で、こちらはKIP 8mm2です。同じ「共通点」でも上下で電線がまったく違います。
白は3つの違う仕事をしている
この課題では白色の電線が3か所に出てきます。役割が別なので、色だけで組を決めると必ず混ざります。
| 白が出てくる場所 | 何のための白か | どこから出るか |
|---|---|---|
| 接地側電線 | 100V回路の接地側。器具の白指定端子へ | T1のo端子 |
| 三相のS相 | 三相200Vの1相。電圧がかかっている | T1のvとT2のuの共通点 |
| 二次側のわたり線 | 端子台どうしをつなぐ2.0mm | 端子台の中だけ |
白指定の器具端子は、ランプレセプタクルの受金ねじ部、コンセントの接地側極端子(W)、引掛シーリングローゼットの接地側極端子の3か所です。ここへ来る白と、三相のS相の白は別の線です。
スイッチと器具が入れ違いに置かれている
図2 スイッチと、それが操作する器具が入れ違いに置かれている
矢印は電気の向きではなく、その線がどちらのボックスへ向かうかを示しています。Bは差込形コネクタ、Aはリングスリーブで接続します。
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図2の①のとおり、片切スイッチ「イ」はB側にあるのに、それが点灯させるランプレセプタクル「イ」はA側にあります。図2の②はその逆で、片切スイッチ「ロ」はA側の取付枠にあり、引掛シーリングローゼット「ロ」はB側にあります。
この配置のおかげで、AとBの間の2本のケーブルは役割がきれいに分かれます。図2の③の1本目には非接地側の黒と接地側の白、図2の④の2本目には点滅線が2本入ります。2本目は公式解答でも電線の色別を問わない扱いです。2心ケーブルの黒と白のどちらを「イ」に使っても構いません。
図2の⑤が変圧器から来る100Vです。この2本はAへ入り、Aの中で分岐してからBへ渡ります。変圧器の100VをBへ直接つなぐ経路はありません。
ジョイントボックスAの4組と刻印
図3 Aは4組。刻印は組に集まった電線の太さと本数で決まる
太い線が2.0mm、細い線が1.6mmです。刻印の記号はスリーブの大きさとは別物です。
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Aに入るケーブルは4本です。変圧器からのVVF 2.0-2C、ランプレセプタクルへのVVF 1.6-2C、Bへ向かうVVF 1.6-2C×2、取付枠へのVVF 1.6-3Cで、これがアウトレットボックスの打抜き済みノックアウト4か所とゴムブッシング4個に対応します。
図3の①が接地側の組で、変圧器からの2.0mmが1本と、ランプレセプタクル・B・コンセントへ向かう1.6mmが3本の合計4本です。図3の②が非接地側で、2.0mmが1本と1.6mmが2本です。三相のVVF 2.0-3CはAを通らないので、この2組には入りません。
残る2組が点滅線です。図3の③は「イ」の点滅線で、Bから来る1本とランプレセプタクルへ向かう1本。図3の④は「ロ」の点滅線で、Bへ向かう1本と取付枠のスイッチ「ロ」から来る1本です。どちらも1.6mmが2本だけなので、Aで唯一「○」になる場所です。
材料表が接続の答えを一部教えている
材料表は「何を使うか」だけでなく「接続がいくつあるか」も教えてくれます。試験開始前の材料確認の時間に、ここまで読んでおくと手が早くなります。
| 材料 | 数量 | そこから読めること |
|---|---|---|
| 端子台 3P(ねじ締め端子5箇所) | 1個 | u・o・vがある側がT1。100Vと接地はこちら |
| 端子台 2P(ねじ締め端子4箇所) | 1個 | T2。二次はu・vだけでo端子は無い |
| 差込形コネクタ(2本用) | 4個 | Bの接続は4組で、どれも2本ずつ |
| ゴムブッシング(19) | 4個 | Aに入るケーブルは4本 |
| リングスリーブ 小/中 | 5/2(予備込み) | Aで使うのは小3個と中1個 |
60分で組むときの順番
- 端子台に名前を書く。T1を5端子側、T2を4端子側と決め、U・Vとu・o・vを端子台説明図どおりにメモします。ここを間違えると全部やり直しになります。
- 一次側のKIPを3本に切る。R相をT1のUへ、S相をT1のVとT2のUの共通点へ、T相をT2のVへ結びます。共通点には2本入ります。
- 二次側のわたり線を先に作る。白色IV 2.0mmでT1のvとT2のuを結びます。ここを後回しにすると、他の線が邪魔になって締めにくくなります。
- u端子とo端子に2本ずつ結ぶ。図1の①と②のとおりです。三相のVVF 2.0-3Cと100VのVVF 2.0-2Cを同時に扱います。
- 取付枠を組む。片切スイッチ「ロ」と接地極付コンセントを枠に取り付け、黒の渡り線でスイッチからコンセントへ送ります。コンセントはスイッチと直列にせず、常時給電です。
- AとBで組を作る。Aはリングスリーブ、Bは差込形コネクタです。組ごとに集まった電線を数えてから刻印を選びます。
間違えたときに現れる症状と直し方
| 作品に出る症状 | 原因 | 直し方 |
|---|---|---|
| 二次側の電線が1本余る | u端子とo端子を1本ずつだと思っている | 図1の①②へ戻り、端子ごとに本数を数え直す |
| Bのコネクタが足りない、または余る | 点滅線を接地側と同じ組に入れている | 図2の④の2本を独立した2組として数える |
| 「イ」を入れたら「ロ」の器具が点く | A・B間で点滅線の行き先を取り違えている | 器具記号を線の横に書いてから結ぶ |
| 刻印が「小」ばかりになる | 小スリーブなら刻印も小だと思っている | 図3の③④のとおり1.6mm2本は「○」で圧着する |
自己チェック(6問)
解説は最初から表示しています。図を見ないで答えられるかを試してください。
問1:No.3の一次側で、KIPの共通点になる端子の組合せはどれですか。
- T1のUとT2のV
- T1のVとT2のU
- T1のvとT2のu
- T1のoとT2のU
解答:2(T1のVとT2のU)
図1の④の位置です。一次側はT1のUがR相、T1のVとT2のUの共通点がS相、T2のVがT相になります。3はよく似ていますが小文字なので二次側の共通点で、こちらは白色IV 2.0mmのわたり線でつなぐ別の場所です。大文字と小文字を見ないと、KIPと低圧のわたり線を取り違えます。
問2:T1のu端子には何本の電線を結びますか。
- 1本(単相100Vの黒だけ)
- 1本(三相のR相だけ)
- 2本(単相100Vの黒と三相のR相)
- 3本(黒・赤・緑)
解答:3(2本。単相100Vの黒と三相のR相)
図1の①のとおりです。単相100VはT1のu-oから、三相200VのR相は同じu端子から出ます。o端子も同じで、単相の白とEBの緑で2本です。4の緑はo端子側なので、u端子には来ません。
問3:三相負荷回路のS相に白色を使いますが、この白は何ですか。
- 接地側電線
- 三相回路の1相で、電圧がかかっている線
- 中性線なので対地電圧が0V
- 接地線の代わり
解答:2(三相回路の1相で、電圧がかかっている線)
施工条件は三相負荷回路をR相に赤・S相に白・T相に黒と指定しています。同じ問題の中で「接地側電線はすべて白色」という指定も別にあります。白が2つの意味で出てくるので、色ではなくどの端子から出た線かで追ってください。S相の白はT1のvとT2のuの共通点から出ます。
問4:AとBを結ぶVVF 1.6-2Cのうち、2本目に入る2本はどれですか。
- 非接地側の黒と接地側の白
- 点滅線「イ」と点滅線「ロ」
- 接地側の白と点滅線「イ」
- 接地線の緑と点滅線「ロ」
解答:2(点滅線「イ」と点滅線「ロ」)
図2の③が1本目で、非接地側の黒と接地側の白が入ります。図2の④が2本目です。スイッチ「イ」がB側、ランプレセプタクル「イ」がA側という入れ違いのおかげで、点滅線だけが2本そろいます。公式解答でもこの2本は電線の色別を問わない扱いです。4の緑はA・B間には通りません。
問5:1.6mmが2本だけ集まった接続点で使うものはどれですか。
- 小スリーブに「小」の刻印
- 小スリーブに「○」の刻印
- 中スリーブに「○」の刻印
- 中スリーブに「中」の刻印
解答:2(小スリーブに「○」の刻印)
図3の③と④です。スリーブの大きさと刻印は別々に決まります。1.6mmが2本のときだけ、小スリーブを丸ダイスで圧着して「○」が残ります。同じ小スリーブでも、図3の②のように2.0mmが混ざれば刻印は「小」です。
問6:材料表に「差込形コネクタ(2本用)4個」とあります。ここから読み取れることはどれですか。
- Aの接続が4組であること
- Bの接続が4組で、どれも2本ずつであること
- Bにリングスリーブも使うこと
- 予備が4個あること
解答:2(Bの接続が4組で、どれも2本ずつであること)
Bは非接地側・接地側・点滅線「イ」・点滅線「ロ」の4組で、それぞれ器具側1本とA側1本の2本ずつです。材料表は答えの一部を先に教えてくれます。3本用が入っていないなら、3本集まる組はBには無いと判断できます。なおコネクタには予備が付きません。
照らし合わせた公表資料(2026年9月9日)
本文の端子記号・電線色・接続方法・材料の数量は、次の資料と1つずつ突き合わせました。図1〜図3は当サイトが描いたもので、公式図の複製ではありません。
- 電気技術者試験センター:第一種電気工事士の技能試験の候補問題
- 電気技術者試験センター:令和8年度第一種電気工事士技能試験候補問題の公表について(PDF)
- 電気技術者試験センター:第一種電気工事士試験の問題と解答
- 電気技術者試験センター:令和8年度上期技能試験 候補No.3の問題(PDF)
- 電気技術者試験センター:同 解答(概念図と複線図)(PDF)
- 電気技術者試験センター:電気工事士技能試験(第一種・第二種)欠陥の判断基準(PDF)
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