この記事を読むと、こうなります
パイロットランプの複線図を、語呂ではなく
「表示灯の2本の足をどの接続点へ置くか」で決められるようになり、
令和8年度上期のNo.2とNo.10で施工条件の色別指定が違う理由まで説明できるようになります。
結論としては、非接地側電源をL、
スイッチを通った後の電線をL′、接地側をNと置き、表示灯の両端を
常時点灯ならL―N、同時点滅ならL′―N、異時点滅ならL―L′へ結びます。
線色から入ると問題ごとに条件が変わって崩れますが、接続点から入れば3方式とも同じ考え方で決まります。
「点滅」はチカチカする意味ではない
公式の施工条件にある「同時点滅」「異時点滅」の点滅は、一定周期で明滅することではありません。
スイッチ操作に対して表示灯が点いたり消えたりする関係を指します。
まずこの3つの用語を、表示灯を結ぶ2点とセットで覚えます。
| 方式 | 表示灯を結ぶ2点 | 負荷との関係 |
|---|---|---|
| 常時点灯 | L―N | スイッチの状態に関係なく点灯 |
| 同時点滅 | L′―N | 負荷が点けば点灯、消えれば消灯 |
| 異時点滅 | L―L′ | 負荷が消えているときに点灯 |
L′は、スイッチを通過した後の電線です。スイッチを入れるとLとほぼ同じ電位になり、
切ると負荷を通してN側へつながる接続点になります。
複線図の書き方|施工条件から接続点を決める7ステップで扱ったとおり、
複線図では同じ色ではなく同じ電気的接続点をまとめます。
表示灯の2本の足をどこへ置くかで3方式が決まる
3つの方式は、回路の形が大きく変わるわけではありません。負荷とスイッチの位置は同じで、
表示灯の2本の足が届く先だけが違います。図1で3方式を並べます。
図1 表示灯の2本の足を、L・L′・Nのどの2点へ置くか
黒の線がL(非接地側)、赤の線がL′(スイッチを通った後の点滅線)、灰の線がN(接地側)です。SWがスイッチ、丸が負荷、PLが表示灯を表します。紫の丸が接続点で、線が交わっていても丸がなければつながっていません。
3つとも、負荷とSWの位置は同じです。変わっているのはPLの2本の足がどの線に届いているかだけです。
図1の①では表示灯がL―Nに入っています。電源の両極に直結しているので、
スイッチを操作しても表示灯の両端は変わりません。
図1の②はL′―Nで、これは負荷の両端とまったく同じ2点です。
図1の③はL―L′で、スイッチと並列に入る形になります。
常時点灯:電源の両極へ直接つなぐ
常時点灯では、表示灯を非接地側Lと接地側Nの間へ接続します。
電源が供給されている間は常に電源電圧がかかるので、スイッチを切っても点いたままです。
夜間に器具の位置を示す用途ではなく、その回路に電気が来ていること自体を示す使い方になります。
令和8年度上期No.2の施工条件
施工条件2は「確認表示灯(パイロットランプ)は、常時点灯とすること」です。
支給材料は埋込連用タンブラスイッチ1個、埋込連用パイロットランプ1個、埋込コンセント(2口)1個などで、
施工条件5により取付枠はスイッチとパイロットランプの部分に使用します。
コンセントは取付枠へは入りません。
同時点滅:負荷とまったく同じ2点へつなぐ
同時点滅では、表示灯をL′とNの間へ接続します。負荷の両端と同じ2点なので、
スイッチを切れば両方消え、入れれば両方点きます。
表示灯を「負荷と並列に入れる」と覚えるより、負荷と同じ2点に置くと考えるほうが、
負荷が2つある問題でも迷いません。
令和8年度上期No.10は、パイロットランプを引掛シーリングローゼットとランプレセプタクルの
2つの負荷と同時点滅させます。負荷が2個あっても、どちらもスイッチ「イ」で点滅する同じ回路なので、
表示灯を置く2点はL′―Nの1組だけです。
異時点滅:スイッチと並列に入れる
異時点滅では、表示灯をスイッチの両端、つまりLとL′の間へ接続します。
負荷が消えているときに表示灯が点き、暗い場所でスイッチの位置を知らせる動作です。
市販の「ほたるスイッチ」と同じ考え方の回路になります。
スイッチを切ると、Lから表示灯、L′、負荷、Nという1本の道ができます。
このとき表示灯と負荷は直列です。表示灯側のインピーダンスが負荷より大きいため、
分圧された電圧の大半が表示灯にかかり、負荷にはほとんどかかりません。
スイッチを入れると、表示灯の両端がスイッチで短絡されて0Vになり、表示灯だけが消えます。
OFFとONの2状態で検算する
複線図を描き終えたら、スイッチを切った状態と入れた状態の2回だけ電圧を追います。
狙った動作になっていれば、線色を確認する前に回路の誤りを見つけられます。図2が3方式の答え合わせです。
図2 スイッチを切った状態と入れた状態で、表示灯の両端に何Vかかるか
それぞれの方式について、SWを切ったときと入れたときの結果を並べています。黄色い丸が点灯、灰色の丸が消灯を表します。
③でSWを切ったとき、表示灯と負荷は直列になります。表示灯側のインピーダンスが負荷より大きいので、分圧された電圧の大半が表示灯にかかり、負荷はほとんど点きません。
図2の①は両方の状態で100Vなので、常に点灯です。図2の②は切ったとき0Vで、負荷と一致します。
図2の③だけが、切ったときに点いて入れたときに消えるという逆の動きになります。
自分の複線図でこの表と違う結果が出たら、表示灯の足がずれています。
実際の設備では、LED照明や電子回路を含む器具が、異時点滅の微小電流で薄く光ったり
ちらついたりすることがあります。表示灯内蔵スイッチには適合負荷や配線方式の指定があるので、
試験回路の理解をそのまま製品選定へ広げず、メーカーの結線図と適合負荷に従ってください。
別置きパイロットランプとH・L内蔵スイッチを混同しない
技能試験の候補問題No.2・No.10で支給されるのは、タンブラスイッチとは別器具の
埋込連用パイロットランプです。一方、配線図の傍記HやLは、表示灯を内蔵したスイッチを表します。
この2つは器具も結線も別なので、分けて覚えます。
| 器具・傍記 | 表示灯が点くとき | 複線図での扱い |
|---|---|---|
| 別置きパイロットランプ | 施工条件が指定する方式による | 表示灯の2端子を自分で描く |
| H(位置表示灯内蔵) | スイッチを切っているとき | スイッチ1個として描く |
| L(確認表示灯内蔵) | スイッチを入れているとき | スイッチ1個として描く |
Panasonicの配線図記号資料もHを位置表示灯付、Lを確認表示灯付としています。
図記号全体は配線図の図記号一覧と照明・配線器具|H/L・E/ET・3路の読み方で確認できます。
No.2とNo.10は、色別の指定まで違う
同じパイロットランプでも、点灯方式が変われば表示灯へ来る電線が変わり、
施工条件が指定する色別の範囲まで変わります。図3で、令和8年度上期の2問を並べます。
図3 点灯方式が決まると、施工条件の「黒色を使う範囲」も変わる
令和8年度上期(2026年7月19日実施)の公表問題の施工条件と、公式解答の注記を並べています。
図3の①のNo.2では、色別の指定にパイロットランプが名指しで入っています。
常時点灯なので、電源の非接地側が表示灯まで直接届くからです。
図3の②のNo.10では、同じ位置の条文が「電源から点滅器及びコンセントまで」となり、
パイロットランプが入っていません。表示灯へ来るのがスイッチを通った後のL′だからです。
条件文の違いは、問題作成者の気まぐれではなく、点灯方式の必然です。
図3の③のとおり、公式解答はスイッチからパイロットランプへの電線の色別を問わないと明記し、
結線方法にも別解があると注記しています。「渡り線は必ず赤」のような固定暗記は、
そもそも採点の対象外の部分を暗記していることになります。
| 項目 | No.2 | No.10 |
|---|---|---|
| 点灯方式 | 常時点灯 | 2つの負荷と同時点滅 |
| 表示灯の2点 | L―N | L′―N |
| 黒色の指定範囲 | 点滅器・PL・コンセントまで | 点滅器・コンセントまで |
| 接続方法の指定 | A部分はリングスリーブ、B部分は差込形コネクタ | 3本の箇所は差込形コネクタ、その他はリングスリーブ |
複線図を6ステップで描く
手順の中で表示灯に触るのは、実は1か所だけです。残りは通常の複線図と同じ作業なので、
表示灯のある問題を特別扱いしないほうが速く正確になります。
- 施工条件から点灯方式と相手の負荷を抜き出す。No.10のように負荷が2個の指定もあります。
- 表示灯を入れずに負荷回路を完成させる。Nを負荷の指定端子へ、Lをスイッチへ、L′を負荷へ。
- L・L′・Nの3接続点に名前を書く。色を決めるのはこの後です。
- 方式に応じて表示灯の両端を結ぶ。ここだけが表示灯固有の作業です。
- 心線の割り当てと色別を決める。指定された区間の色と、箱内の接続点、器具端子間の渡り線を分けます。
- スイッチのOFFとONで検算する。図2と同じ結果になれば完成です。
候補問題ごとの実際の作図は
候補問題No.2の複線図|常時点灯PLとコンセント結線と
候補問題No.10の複線図|PL同時点滅と2P1E遮断器で追えます。
自己チェック
問1:パイロットランプを負荷と同時点滅させるとき、表示灯の2本の足を置く接続点はどれですか。
- L―N(電源の両極)
- L′―N(スイッチを通った後と接地側)
- L―L′(スイッチの両端)
- N―接地線
解答:2(L′―N)
図1の②です。L′―Nは負荷とまったく同じ2点なので、負荷にかかる電圧と表示灯にかかる電圧が常に一致します。1は常時点灯(図1の①)、3は異時点滅(図1の③)の接続点です。
問2:異時点滅の回路で、スイッチを切っているときに表示灯が点く経路はどれですか。
- L → 表示灯 → L′ → 負荷 → N
- L → スイッチ → 表示灯 → N
- N → 接地線 → 表示灯 → L
- L → 表示灯 → L に戻る
解答:1(L → 表示灯 → L′ → 負荷 → N)
スイッチを切ると、表示灯と負荷が直列になってつながります。図2の③のとおり、表示灯側のインピーダンスが大きいので電圧の大半が表示灯にかかり、負荷は点灯しません。スイッチを入れると表示灯の両端がスイッチで短絡され、0Vになって消えます。
問3:令和8年度上期No.2の施工条件で、電源からパイロットランプまでの非接地側電線の色はどれですか。
- 赤色
- 白色
- 黒色
- 色別の指定はない
解答:3(黒色)
図3の①のとおり、No.2の施工条件3②は「電源から点滅器、パイロットランプ及びコンセントまでの非接地側電線には、すべて黒色を使用する」と、パイロットランプを名指ししています。常時点灯では表示灯へ電源の非接地側が直接届くので、この区間が色別の対象に入ります。
問4:令和8年度上期No.10で、スイッチからパイロットランプへ渡す電線の色をどう判断しますか。
- 必ず赤色にする
- 必ず白色にする
- 公式解答が色別を問わないと明記しているので、L′という機能と端子間の接続を優先する
- 接地側電線として白色にする
解答:3(色別は問わない)
図3の②と③です。No.10の色別指定は「電源から点滅器及びコンセントまで」で、パイロットランプが入っていません。公式解答も、スイッチからパイロットランプへの電線は色別を問わないと概念図に明記しています。
問5:No.2は器具名が「確認表示灯(パイロットランプ)」です。点灯方式をどう決めますか。
- 確認表示灯という名前なので同時点滅にする
- 施工条件に書かれた常時点灯にする
- 配線図に描かれた位置から推測する
- 前年度の候補問題と同じにする
解答:2(施工条件に書かれた常時点灯にする)
No.2は器具を確認表示灯と呼びながら、施工条件2は「常時点灯とすること」です。候補問題の特記も「確認表示灯(パイロットランプ)は、常時点灯とする」となっています。器具名からは点灯方式を決められません。
問6:配線図の傍記「H」が付いたスイッチは、どのタイミングで表示灯が点きますか。
- スイッチを入れているとき
- スイッチを切っているとき
- 電源が入っていれば常に
- 過負荷のとき
解答:2(スイッチを切っているとき)
Hは位置表示灯を内蔵したスイッチで、暗い場所でスイッチの位置を示すためOFF時に点灯します。LはON時に点灯する確認表示灯内蔵です。候補問題No.2・No.10で支給されるのはスイッチとは別器具の埋込連用パイロットランプなので、この記事の3方式は別置き表示灯の話です。
照合した試験問題と解答
- 電気技術者試験センター:第二種電気工事士の技能試験の候補問題
- 同:令和8年度第二種電気工事士技能試験候補問題(PDF)
- 同:2026年7月19日実施 第二種電気工事士上期技能試験の問題と解答
- 同:令和8年度上期 公表問題No.2の試験問題(PDF)
- 同:令和8年度上期 公表問題No.2の解答(PDF)
- 同:令和8年度上期 公表問題No.10の試験問題(PDF)
- 同:令和8年度上期 公表問題No.10の解答(PDF)
- 同:技能試験に係る欠陥の判断基準等について
- 同:令和4年度下期学科試験の問題(PDF。問21に異時点滅の出題例)
- Panasonic:スイッチ・コンセントの配線図記号
- Panasonic:表示付きスイッチの基本動作
令和8年度上期の技能試験問題・解答は2026年9月9日に再取得して照合しました。
次に読む記事
- 次は候補問題No.2の複線図|常時点灯PLとコンセント結線で、常時点灯を1つの作品として最後まで描きます。
- 続けて候補問題No.10の複線図|PL同時点滅と2P1E遮断器で、2つの負荷と同時点滅する回路を確認します。
- 描いた作品の点検は第二種技能試験の欠陥判断基準|完成後5分の点検順へ進みます。
この記事に工具・練習材料・通信講座のアフィリエイトリンクは掲載していません。
2026年9月9日に令和8年度候補問題、上期技能試験No.2・No.10の問題と解答、欠陥の判断基準へ照合し、
3方式の回路図・電圧の検算・施工条件の比較を自作の図として作り直しました。
自己チェックの設問は当サイトのオリジナルで、試験問題の文面は転載していません。
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