1種 複線図の書き方 第一種電気工事士

第一種電気工事士 制御回路の複線図|自己保持と接点の読み方

結論:自己保持は「始動ボタンを迂回する別ルート」で読む

第一種電気工事士技能試験の制御回路は、記号を一気に覚えるより、停止できる直列経路始動後も通電を続ける並列経路に分けると理解できます。2026年度上期No.8では、PBOFF、PBON、補助a接点13-14、電磁コイルA1-A2、熱動継電器b接点95-96を一周できれば、自己保持の仕組みが見えてきます。

2026年度の制御回路は候補No.8で確認する

2026年度第一種技能試験候補問題は回路の骨格を示す資料です。端子番号、押ボタンの既設配線、電線色、計器や表示灯の接続は、2026年7月4日に実施された上期No.8の実問題公式解答・複線図で確定しました。

旧稿ではNo.6も押ボタン式の自己保持回路としていましたが、2026年度No.6はΔ-Δ結線、三相開閉器、電流計、電源表示灯の課題です。現年度に押ボタンと自己保持回路があるのはNo.8です。候補番号と内容は年度で変わり得るため、受験年度の公式資料を優先してください。

2026年度の例 接点・表示の役割 自己保持か
No.4 2極1素子遮断器と同時点滅 自己保持ではない
No.6 三相開閉器と電源表示 自己保持ではない
No.8 PB、13-14、コイル、95-96 自己保持回路
No.10 VCB補助a/b接点による開閉表示 状態表示であり自己保持ではない

No.8の材料、色、接続点まで施工する場合は第一種技能候補問題No.8|電磁開閉器と自己保持回路を使ってください。この記事では、年度固有の完成作品をもう一度説明するのではなく、どの制御回路でも役立つ読み方に集中します。

a接点・b接点は「操作していない状態」で決まる

a接点は通常開(NO:Normally Open)、b接点は通常閉(NC:Normally Closed)です。ここでいう「通常」は、押ボタンを押していない、コイルを励磁していない、熱動継電器がトリップしていない状態を指します。

a接点
平常時:開
操作・励磁時:閉
例:PBON、補助13-14
b接点
平常時:閉
操作・トリップ時:開
例:PBOFF、熱動95-96

「ONボタンだからa、OFFボタンだからb」とだけ覚えると、VCB表示やインターロックで混乱します。接点の名称ではなく、何もしていないときに開いているか、閉じているかを記号から判断します。端子番号も全機種共通と決めつけず、試験問題の内部結線図や機器の取扱説明書で確認します。

No.8の制御回路を3つの経路へ分ける

2026年度上期No.8では、変圧器二次のR-S間を制御電源として使います。単相100VのL-N回路ではありません。電源側R相から出発し、次の3つの経路を分けて読みます。

制御回路の役割分解
止める経路
R → PBOFF
停止時にここを開けば、並列部分をまとめて遮断できる
始動・保持経路
PBON // 13-14
始動ボタンを補助a接点が迂回する
動作・保護経路
A2 → コイル → A1
→ 95-96 → S
過負荷時も通電を切る

回路を一本で書くと、R → PBOFF →(PBON または13-14)→ A2 → 電磁コイル → A1 → 95-96 → Sです。「または」に当たる部分だけが並列で、それ以外は直列につながります。

停止接点と熱動接点を並列枝の外へ置く理由

PBOFFまたは95-96が開いたとき、PBON側と13-14側の両方を通電不能にするためです。どちらか一方の枝にだけ入れると、もう一方からコイルへ通電が続く回路になり、停止や保護の目的を果たせません。

平常・始動・保持・停止・過負荷の5状態で追う

複線図を描いたら、線数を数える前に接点状態を変えてみます。電流が流れるかだけでなく、次にどの接点が連動するかまで追うのがポイントです。

状態 通電経路 結果
平常 PBONと13-14が開 コイルは消磁、主接点は開
始動 PBONを押して一時的に閉 コイル励磁、主接点と13-14が閉
保持 PBONを離しても13-14を通る コイル励磁と運転を維持
停止 PBOFFを押して開 コイル消磁、主接点と13-14が開
過負荷 熱動継電器が動作し95-96が開 コイル消磁、主回路を開放

自己保持の本質は、コイルの励磁で閉じた自分自身の補助a接点が、瞬時操作の始動接点を引き継ぐことです。三菱電機も自己保持の説明で、補助a接点によりON指令がなくなった後もコイル通電を維持する回路としています。

停電後に勝手に再始動しない理由

自己保持は、始動ボタンから手を離して運転を続けるだけの仕組みではありません。運転中に制御電源が失われるとコイルが消磁し、主接点と補助a接点13-14が開きます。その後に電源が戻っても、PBONと13-14はどちらも開いた状態なので、通常は始動操作をやり直すまでコイルへ通電しません。

もし保持を機械式の固定だけで行い、停電前のON状態が残る構造なら、復電と同時に機械が動き出すおそれがあります。電磁コイルと補助接点による自己保持は、電源喪失で一度解除されるため、意図しない再始動を避ける考え方にもつながります。ただし、実設備の再始動防止や安全回路は機械・用途ごとの設計が必要であり、試験の模式回路だけで安全機能全体を判断しません。

PBOFFにb接点を使うことにも意味があります。停止ボタンを押す、停止系の線が外れる、制御電源が失われるといった状態でコイル通電が途切れる側に働きます。これは「異常時は動作を続けるより停止側へ寄せる」という考え方です。複線図を確認するときは、正常始動だけでなく、電源断や線の途切れでどちらの状態になるかも想像してください。

95-96は主回路を直接切る接点ではない

熱動継電器(サーマルリレー)は、電動機の過負荷などによる過電流が続いたとき、その影響を検出します。2026年度No.8では、熱動継電器の主回路要素をR/S/T-U/V/W側へ通し、b接点95-96を制御コイルと直列に入れます。

95-96が開くと電磁コイルが消磁し、それに連動して電磁接触器の主接点が開きます。つまり、95-96自体が三相主電流を直接遮断するのではなく、コイル回路を切って主接点を開かせる流れです。三菱電機のサーマルリレーの公式説明でも、出力接点により電磁開閉器を開路して電動機を保護する仕組みが示されています。

停止ボタンと熱動接点は、原因は違っても「コイルを消磁する」という結果が同じです。複線図では、手動停止と過負荷停止のどちらからも自己保持を解除できるかを確認します。

補助接点・自己保持・インターロックを混同しない

補助接点は、主接点と連動して信号や制御に使う接点です。オムロンの電磁接触器の技術解説でも、補助接点は自己保持回路などのシーケンス回路に使われると説明されています。ただし、補助接点があれば必ず自己保持になるわけではありません。

機能 接点の使い方 見分ける質問
自己保持 自分の補助a接点で始動接点を迂回 ボタンを離しても動作を保つか
インターロック 相手側のb接点などを直列に入れる 相反する2動作の同時成立を防ぐか
状態表示 a/b接点で別々の表示回路を切り替える 開・閉などの状態を知らせるか

2026年度No.8は自己保持ですが、正逆運転のような二つの電磁接触器を相互に禁止するインターロック回路ではありません。No.10のVCB補助a/b接点は赤・緑表示の切替に使います。回路名を見た印象ではなく、接点がどの線と直列・並列になっているかで役割を判断してください。

運転表示灯はコイル並列とは限らない

表示灯の接続は施工条件で決まります。2026年度上期No.8の運転表示灯は、電磁コイルA1-A2と並列ではなく、電磁開閉器の負荷側V-W間へ接続されています。主接点が閉じて負荷側V-W間に電圧が現れると点灯する構成です。

この表示が直接示すのは「表示灯の接続点に電圧があること」です。電動機の実回転、回転方向、機械側の異常がないことまで保証する表示ではありません。現場でも表示灯が何を検出しているかは接続位置で変わります。試験では「運転表示灯だからコイルへ並列」と名称だけで決めず、公式回路図の接続点をたどります。

制御回路の複線図を作る7手順

1 主回路・制御回路・表示回路を別枠にする

三相主回路R/S/T-U/V/W、押ボタンとコイルの制御回路、電流計・表示灯の回路を分けます。同じ端子台に集まっていても、役割が異なる線を最初から混ぜません。

2 制御電源の2点を決める

2026年度No.8はR-S間です。L-Nや100Vと置き換えず、問題の電圧と端子をそのまま書きます。片側から出発し、最後にもう片側へ戻る閉回路を作ります。

3 停止系を直列に置く

PBOFFのb接点を並列分岐より上流へ置きます。95-96の熱動継電器b接点もコイルと直列に置き、どちらが開いても通電が切れることを確認します。

4 始動a接点と補助a接点を並列にする

PBONと13-14を同じ二点間へ接続します。片方を通っても同じ合流点へ着く形が並列です。13-14を直列にすると、始動前は両方が開いているためコイルを励磁できません。

5 コイルと連動する接点へ同じ印を付ける

A1-A2のコイル、三相主接点、補助13-14は同じ電磁接触器に属します。内部結線図の破線は連動を示すもので、外部電線として施工する線ではありません。

6 5状態を指で一周する

平常、PBON押下、PBON解放、PBOFF押下、95-96開路の順に、RからSまで通れるかを確認します。保持中に13-14を通り、停止・過負荷ではどちらも通れなければ、動作の筋が通っています。

7 最後に端子番号・色・材料を重ねる

回路が成立してから、13/14、A1/A2、95/96、赤・白・黒・黄、CVVやIVを施工条件へ照合します。端子位置や色から回路を推測する順番にしないことが大切です。

複線図の動作チェック

  1. 平常時はPBONと13-14が開き、コイルが消磁している
  2. PBONを押すと、停止系と95-96を通ってコイルが励磁する
  3. コイル励磁で13-14が閉じ、PBONを離しても保持する
  4. PBOFFを押すと、並列2経路の手前で通電を切れる
  5. 95-96が開いてもコイルを消磁できる
  6. 表示灯の接続先が問題図どおりで、名称だけの推測になっていない
  7. 押ボタンの既設配線と内部連動を外部配線として追加していない

よくある誤りを動作から見つける

誤り 動作上の問題 見直す場所
PBONと13-14を直列 始動前は13-14も開なのでコイルを励磁できない 並列分岐の始点と終点
PBOFFを一方の枝だけへ接続 13-14経由の保持電流を切れない 停止接点を分岐の外へ戻す
95-96を省略 過負荷時にコイルを消磁する経路がない A1からSへ戻る直列経路
表示灯を常にコイル並列 2026年度No.8のV-W指定と異なる 表示灯の両端が接続される点
破線を電線として追加 不要な外部配線になり得る 内部結線図の凡例と実線

技能試験では、配線図・施工条件と異なる接続や不要な工事は欠陥になり得ます。公開された公式資料も、回路構成、条件順守、接続作業の3つを重視しています。練習は無電圧の教材で行い、自作した練習回路を電源へ接続しないでください。

理解度チェック

問1:自己保持が成立する接続

運転ボタンを離した後も電磁コイルの通電を保つため、補助a接点13-14をどこへ接続しますか。

ア.PBONと並列
イ.PBONと直列
ウ.95-96と並列
エ.三相主接点と直列

解答を見る

正解:ア。13-14はPBONと同じ二点間へ並列接続します。コイル励磁後に13-14が閉じ、PBONを離した後の迂回路になります。

問2:過負荷時の動作

運転中に熱動継電器が動作し、95-96が開きました。最初に起きる制御上の変化はどれですか。

ア.表示灯が電源を作る
イ.電磁コイルが消磁する
ウ.補助a接点が強制的に溶着する
エ.始動ボタンがb接点へ変わる

解答を見る

正解:イ。95-96がコイルの直列経路を開くため、まずコイルが消磁します。その結果、電磁接触器の主接点と補助13-14が開きます。

問3:表示灯から分かること

2026年度No.8の運転表示灯が点灯しています。この表示だけから確実に判断できる範囲はどれですか。

ア.電動機が必ず正方向へ回転している
イ.電動機に機械的な異常がない
ウ.負荷側V-W間に表示灯を点灯させる電圧がある
エ.熱動継電器が今後も動作しない

解答を見る

正解:ウ。表示灯は負荷側V-W間へ接続されています。点灯はその接続点の電圧を示しますが、実回転、回転方向、機械状態までは直接確認していません。

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この記事を書いた人:資格太郎電気工事士の独学合格を目指して学習中。2026年度候補問題と上期No.8の実問題・公式複線図、メーカー公式資料を照合し、自己保持・停止・過負荷保護・表示を役割別に編集しています。運営者情報と編集方針

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この記事内に工具、練習材料、通信講座のアフィリエイトリンクや1px追跡画像は掲載していません。2026年8月1日に試験センターの2026年度候補問題、上期No.8の問題・解答、技能試験のポイント・欠陥基準と、オムロン・三菱電機の接点・自己保持・熱動継電器資料を照合しました。旧稿の「No.6も自己保持」「制御電源L-N」「運転表示灯は常にコイル並列」「95-96を省いた制御経路」を撤去しました。確認問題は当サイトのオリジナルです。



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