1種 候補問題

第一種電気工事士 技能候補問題No.10|VT・VCB開閉表示灯

この記事を読み終えると、候補問題No.10のVT(計器用変圧器)2台を一次・二次ともV結線にし、R・S・Tと不足電圧継電器への2本をどの端子から出すかを自分で描けるようになり、VCBの補助接点で赤・緑の表示灯を切り替える回路と、ジョイントボックス5組の刻印まで決められるようになります。

No.10は、6,600Vの電路の電圧を測り、VCB(真空遮断器)が入っているか切れているかを表示する、計器と表示の回路です。VT・VCB補助接点・表示灯の3つがどれも端子台で代用され、外から見ただけでは区別がつきません。変圧器・補助接点・ボックスの3か所を図にしてから、組み立ての順番へ進みます。

No.10の配線図に描かれている部品と、施工省略の範囲

令和8年度上期(2026年7月4日)の技能試験で出題された候補No.10の問題と公式解答では、回路は次のとおりです。3φ3W 6,600VからKIP 8mm2の3本をVT 2台(PF付、2P端子台で代用)へ入れます。VTの二次側からはCVV 2-3Cでジョイントボックスへ、CVV 2-2Cで不足電圧継電器(施工省略)へ出し、緑のIV 2mm2を接地極ED(施工省略)へ出します。ボックスからは、CVV 2-3Cで表示灯(3P端子台で代用)へ、CVV 2-2Cで電圧計(施工省略)へ、CVV 2-3CでVCB補助接点(4P端子台で代用)へ出します。VCB本体も施工省略です。

施工条件のうち、作品の形を左右するのは次の7項目です。

施工条件 指定の中身 作品で見る場所
3① 接地線はVT(T1)のv端子 緑のIV 2mm2をT1のvへ(図1の⑥)
3② 二次側端子のわたり線は、より線2mm2(白色) T2のuとT1のvを結ぶ(図1の③)
3③ 不足電圧継電器への配線はT1のuとT2のv CVV 2-2Cの2本(図1の⑤)
4 VCB開閉表示灯回路は図4に従う a1・b1にT相、表示灯cにS相(図2)
5 電圧計はR相とS相の間 ボックスのR相とS相から1本ずつ(図3の②③)
6②③ 接地側電線はすべて白。VTの二次側からボックスへはR赤・S白・T黒 CVV 2-3Cの3心(図1の④)
7・8 ボックス経由の電線はすべてスリーブで接続。打抜き済みの穴だけをすべて使う 5組と4つの穴(図3)

VT端子台は左の列が一次、右の列が二次

問題の図2(端子台説明図)では、VTの2P端子台に4つのねじがあり、左の列の上がV・下がU(一次側6,600V、中にPF)、右の列の上がv・下がu(二次側110V)です。問題の図3(VT結線図)はこれを上にT2、下にT1と並べています。

一次側は、電源から来るKIPの3本をT2のV・T2のU・T1のUに1本ずつ付け(図1の①)、T2のUとT1のVを、もう1本のKIPで結びます(図1の②)。支給のKIPは約500mmが1本なので、4本に切り分けます。候補問題No.6の変圧器3台は一次側の結線が施工省略の側にありましたが、No.10では一次側のわたり線も作品に入ります。問題の図3でこの区間が実線で描かれていることが、その印です。

図1 VTは一次・二次ともわたり線1本でV結線にする

上がT2、下がT1。各端子台の左の列が一次側、右の列が二次側です。線どうしが交わって見える場所は、つながっていません(切れ目を入れています)。

スマートフォンでは図を横にスクロールできます。

V・vT2U・uV・vT1U・uKIP 8mm²電源側は施工省略不足電圧継電器へCVV 2-2C(施工省略)ED(施工省略)黒(T相)白(S相)赤(R相)CVV 2-3Cでボックスへ一次 6,600V二次 110V①②③④⑤⑥
二次側の4つのねじは、どれも2本ずつ入ります。一次側で2本入るのはT2のUだけです。T1のVは、KIPのわたり線1本だけを受けます。

二次側は白のわたり線1本で、R・S・Tの3点になる

二次側で作るわたり線は、T2のuとT1のvを結ぶ1本だけです(図1の③)。施工条件3②が、より線2mm2の白を指定しています。材料表に単独の白い電線は無く、2mm2のより線はCVVの心線です。

わたり線で結んだ点がS相、残るT1のuがR相、T2のvがT相です。図1の④のとおり、ボックスへ向かうCVV 2-3Cは、赤をT1のu、白をT2のu、黒をT2のvに結びます(条件6③)。図1の⑥の緑の接地線はT1のvで、ここはS相の点です。つまりNo.10ではS相が接地側になります。

二次側の接地は、電気設備の技術基準の解釈 第28条の「高圧計器用変成器の2次側電路には、D種接地工事を施すこと」に当たり、配線図の記号もEDです。一次側と二次側の間の絶縁が壊れたときに、110Vのはずの計器や配線に高い電圧が残らないようにするためです。

二次側の端子 結ぶ電線 本数
T1のu CVV 2-3Cの赤(R相)+CVV 2-2Cの白(不足電圧継電器へ) 2本
T1のv 白のわたり線+緑の接地線 2本
T2のu CVV 2-3Cの白(S相)+白のわたり線 2本
T2のv CVV 2-3Cの黒(T相)+CVV 2-2Cの黒(不足電圧継電器へ) 2本

白い線が接地側とは限らない、不足電圧継電器への2本

不足電圧継電器へ向かうCVV 2-2Cは、施工条件3③がT1のuとT2のvを指定し、問題の図3が黒をT2のv、白をT1のuに描いています(図1の⑤)。T1のuはR相なので、この白は接地側ではありません。施工条件6②が決めているのは「接地側の電線は白」で、「白い電線は接地側」ではないからです。同じ読み違いは第一種電気工事士 複線図の書き方|端子台・変圧器・三相回路で、ほかの課題と並べて確かめられます。

T1のuとT2のvの間には、VTが1台もつながっていません。それでも電圧が出るのは、R–S間の110VとS–T間の110Vを続けてたどると、向きが120°ずれた2つの電圧の和になるからです。大きさは2×110V×cos60°=110Vで、R–T間にも110Vが現れます。2台で三相の3つの線間電圧がそろうのがV結線の特徴で、計算の手順は三相交流回路の計算|Y・Δ結線、三相電力、V結線で確かめられます。

VCBの補助接点で、赤と緑を切り替える

問題の図2では、VCB補助接点の4P端子台がa1・a2・b1・b2の順に並び、a1–a2の間がa接点、b1–b2の間がb接点です。表示灯の3P端子台はc・a・bの順で、中でcが2つのランプの共通になり、aが赤ランプ、bが緑ランプにつながります。

図2 T相はa1とb1へ、S相は表示灯のcへ。接点が開くか閉じるかで色が変わる

上が表示灯の端子台、下がVCB補助接点の端子台で、間の電線はすべてボックスを通ります。青い線は、公式解答で色別を問わない線として描かれている電線です。

スマートフォンでは図を横にスクロールできます。

赤緑表示灯の端子台ボックス(図3)S相 白T相 黒caba1a2b1b2VCB補助接点の端子台この図はVCB「切」の状態(a接点が開、b接点が閉で、緑が点く)①②③④⑤
T相は2つの接点の上流で2つに分かれ、S相は2つのランプの下流でまとまります。分かれる場所はa1の端子(わたり線)、まとまる場所は表示灯の端子台の中(端子c)です。ボックスの中で分けたりまとめたりはしません。

問題の図4(展開接続図)は、T相(黒)からa1とb1へ、a2から赤ランプ、b2から緑ランプを通ってS相(白)へ戻る2本の道です。作品では、ボックスから来たT相の黒をa1へ入れ(図2の①)、a1とb1を黒のわたり線で結びます(図2の②)。a2とb2からの線はボックスを通って表示灯のaとbへ(図2の③④)、S相の白は表示灯のcへ入れます(図2の⑤)。

a接点はVCBの主接点と同じ向きに動き、b接点は逆に動きます。だからVCBが入ると赤、切れると緑が点き、2つが同時に点くことはありません。表示灯にかかるのはT–S間の110Vです。

VCBの状態 補助接点 点く表示灯
入(閉路) a1–a2が閉、b1–b2が開 赤(端子a)
切(開路) a1–a2が開、b1–b2が閉 緑(端子b)

接点の記号は、何もしていない状態(ここではVCBが切)で描く決まりです。a接点・b接点の読み方と、押しボタンや熱動継電器の接点を状態ごとに追う方法は第一種電気工事士 制御回路の複線図|自己保持と接点の読み方で扱っています。

ボックスの5組は、集まる本数で刻印が決まる

図3 ボックスの5組。3本が集まるS相だけが「小」になる

右端の青い2本は、図3の②と③から1本ずつ出て電圧計へ向かう線です(R相とS相の間)。スリーブはすべて小で、刻印だけが「小」と「○」に分かれます。

スマートフォンでは図を横にスクロールできます。

ボックスの中の組集まる電線(青は色別を問わない線)スリーブ刻印内訳①T相(黒)VTから 黒a1へ 黒○2mm²×2②S相(白)VTから 白表示灯cへ 白電圧計へ小2mm²×3③R相(赤)VTから 赤電圧計へ○2mm²×2④赤ランプa2から表示灯aへ○2mm²×2⑤緑ランプb2から表示灯bへ○2mm²×2VCVV 2-2Cで電圧計へ入るケーブル4本 = 打抜き済みの穴4か所(19mm)= ゴムブッシング4個
電線はすべて2mm²のより線なので、刻印は本数だけで決まります。2本の組が「○」、3本の組が「小」です。図3の②のS相だけが、VTからの白・表示灯cへの白・電圧計への線の3本になります。

ボックスに入るのは、VTからのCVV 2-3C、表示灯へのCVV 2-3C、電圧計へのCVV 2-2C、VCB補助接点へのCVV 2-3Cの4本です。打抜き済みの穴も19mmが4か所、ゴムブッシングも4個なので、1つの穴に1本ずつ通します(施工条件8)。

接続点は図3の①〜⑤の5組です。図3の②のS相だけが3本で、VTからの白・表示灯cへの白・電圧計への線が集まります。電圧計はR相とS相の間につなぐ計器なので(施工条件5)、図3の②と③から1本ずつ出します。公式解答は、電圧計へのCVV 2-2Cの2本と、図3の④⑤の線を色別を問わない線で描いています。スリーブは5組とも小で、支給の小7個(予備を含む)のうち5個を使います。

2mm2のより線は、断面積が1.6mmの単線(約2.0mm2)とほぼ同じなので、刻印の決め方も1.6mmと同じです。2本の図3の①③④⑤は「○」、3本の図3の②は「小」になります。

No.10を組み上げる順番

  1. VT 2台を上からT2・T1に並べ、一次側にKIPを付ける。3本を1本ずつ、4本目でT2のUとT1のVを結びます(図1の①②)。
  2. 二次側に白のわたり線と緑の接地線を付ける。T2のuとT1のvを白で結び、緑をT1のvへ(図1の③⑥)。
  3. CVV 2-3Cと2-2Cを付ける。ボックスへは赤T1のu・白T2のu・黒T2のv、不足電圧継電器へは白T1のu・黒T2のv。ここで二次側の4つのねじに2本ずつ入ったかを数えます。
  4. VCB補助接点の端子台を仕上げる。黒をa1、a1–b1に黒のわたり線、残る2心をa2とb2へ。
  5. 表示灯の端子台を仕上げる。白をc、残る2心をaとbへ。
  6. ボックスで5組を数えてから圧着する。S相が3本で1組になっていること、a2からの線が表示灯のaへ、b2からの線がbへ向かう組になっていることを確かめ、「小」1つと「○」4つにします。

作品を見直すときの食い違いと戻る場所

見直しで気づく食い違い 原因 戻る場所
一次側のT1のVに何も入っていない KIPのわたり線を作っていない 図1の②。T2のUからT1のVへ
緑の線がT1のuに入っている R相の赤と同じねじに付けた 条件3①。T1のv(図1の⑥)
不足電圧継電器への白がT2のuに入っている 白を接地側と思い込んだ 図1の⑤。白はT1のu、黒はT2のv
b1に線が1本も入っていない a1とb1の黒のわたり線を忘れた 図2の②
表示灯のcに黒が入っている T相とS相を入れ替えた 図2の⑤。cはS相の白
ボックスの組が6つある S相を2組に分けた 図3の②。S相は3本で1組

自己チェック|V結線の端子・補助接点・ボックスの組

解説は最初から表示しています。図を見ないで答えられるかを試してください。

問1:No.10で、一次側に受験者が作るわたり線はどれですか。

  1. T2のUとT1のVをKIPで結ぶ
  2. T2のVとT1のUをKIPで結ぶ
  3. 作らない(施工省略の側で結ばれている)
  4. T2のUとT1のUをKIPで結ぶ

解答:1(T2のUとT1のVをKIPで結ぶ)
問題の図3(VT結線図)では、一次側のT2のUとT1のVが実線で結ばれ、公式解答の概念図もKIPのU字のわたりで描いています(図1の②)。3は候補問題No.6の変圧器の一次側と同じ考え方で、No.10には当てはまりません。図1の①のKIP 3本はT2のV・T2のU・T1のUに付くので、2(T2のVとT1のU)や4(T2のUとT1のU)は、電源の別々の線どうしを結ぶ短絡になります。

問2:不足電圧継電器へ向かうCVV 2-2Cのうち、白い心線を結ぶ端子はどれですか。

  1. T1のu
  2. T1のv
  3. T2のu
  4. T2のv

解答:1(T1のu)
施工条件3③は不足電圧継電器への配線をT1のuとT2のvに結ぶと定め、問題の図3は白をT1のu、黒をT2のvに描いています(図1の⑤)。T1のuはR相なので、この白は接地側ではありません。2と3はどちらも接地されたS相の点で、「白は接地側」と思い込むと選んでしまいます。

問3:二次側の線間電圧が110Vのとき、VTが直接つながっていないT1のuとT2のvの間の電圧はいくらですか。

  1. 110V
  2. 約190V(110V×√3)
  3. 220V(110V×2)
  4. 0V

解答:1(110V)
T1のuからT2のvまでは、R–S間とS–T間を続けてたどる道です。2つの電圧は大きさが110Vで向きが120°ずれているので、足し合わせた大きさは2×110V×cos60°=110Vです。これがV結線で2台から三相の3つの線間電圧が取れる理由です。3は向きを無視して足した値、4は電圧の向きが打ち消し合うΔ結線の輪の1周と取り違えた値です。

問4:VCBが「入」のとき、閉じている補助接点と点く表示灯の組み合わせはどれですか。

  1. a1–a2が閉じ、赤が点く
  2. b1–b2が閉じ、緑が点く
  3. a1–a2が閉じ、緑が点く
  4. b1–b2が閉じ、赤が点く

解答:1(a1–a2が閉じ、赤が点く)
a接点は、VCBの主接点と同じ向きに動く補助接点です。VCBが入るとa1–a2が閉じ、a2から表示灯のa(赤ランプ)へ電圧がかかります。同時にb1–b2が開くので緑は消えます。図2はVCBが切の状態で描いてあり、その逆です。

問5:表示灯の端子台のcに結ぶ電線はどれですか。

  1. ボックスから来るS相の白
  2. ボックスから来るT相の黒
  3. VCBのa2から来る線
  4. VCBのb2から来る線

解答:1(S相の白)
端子cは中で赤ランプと緑ランプの共通になっていて、問題の図4ではS相(白)が2つのランプの共通の線です(図2の⑤)。3と4はそれぞれ端子a・端子bへ行く線です。2のT相をcへ結ぶと、a1・b1側と同じT相が両端に来て、どちらのランプにも電圧がかかりません。

問6:ボックスの5組のうち、刻印が「小」になる組はどれですか。

  1. S相の組
  2. T相の組
  3. R相の組
  4. 赤ランプの組

解答:1(S相の組)
S相の組には、VTからの白・表示灯cへの白・電圧計への線の3本が集まります(図3の②)。2mm²のより線は1.6mmの単線(断面積は約2.0mm²)と同じ扱いで、2本なら「○」、3本なら「小」です。ほかの4組は2本ずつなので「○」になります。

No.10の照合に使った公式資料

2026年9月29日に、次の資料の記載内容を確認して、本文の端子記号・わたり線の結び先・電線色・表示灯回路・接続点の刻印・二次側の接地を照合しました。

更新履歴:2026年8月1日 令和8年度上期の問題に合わせて改訂/2026年9月29日 図1〜図3と自己チェックを加え、電圧計へ向かうケーブルの色の説明を公式解答(色別を問わない)に合わせて訂正

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資格太郎

この記事を書いた人:資格太郎電気工事士の独学合格を目指して学習中。公表済みの候補問題と実際に出題された問題・公式解答を照合し、当日の施工条件で決まる部分と、年度が変わっても使える考え方を分けて編集しています。運営者情報と編集方針

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