2種 複線図の書き方

複線図の書き方|施工条件から接続点を決める7ステップ

結論:複線図は「色」より先に「役割」を決める

複線図は、①施工条件を読む→②器具端子を書く→③接地側→④非接地側→⑤点滅線・特殊線→⑥ケーブルと色を割り当てる→⑦接続点を検算する、の7ステップで作ります。同じ色だからつなぐのではなく、同じ電気的な接続点だからつなぐのが基本です。

第二種電気工事士の技能試験では、問題用紙の配線図と施工条件を読み、指定された器具・電線・接続方法で回路を完成させます。複線図は、その前に1本の線で示された経路を、実際の各導体と端子へ展開する作業メモです。

複線図そのものを提出して採点してもらう試験ではありません。公開された欠陥判断基準は完成作品の配置、寸法、電線、接続方法、誤結線などを判定します。ただし、頭の中だけで複雑な回路を組むより、接続点を見える形にした方が誤結線を防ぎやすくなります。自分が安定して再現できる簡潔な書き方を作りましょう。

単線図・施工条件・複線図の役割は違う

情報 分かること 見落とすと起きること
配線図 器具の種類・配置、電線の種類、経路、寸法、器具記号 配置違い、電線種類違い、寸法不足
材料表・施工条件 支給材料、色別、端子、接続場所、リングスリーブ/コネクタ等の指定 回路が動いても条件違反として欠陥
複線図 各導体の役割、端子間の接続、接続グループ、本数 誤接続、心数不足、接続材料の数え違い

複線図だけを見て材料や寸法を勝手に変更してはいけません。2026年版の公式ポイントも、電気的に正しく結線されていても配線図・施工条件に従っていない作品は欠陥になると明記しています。図記号や配線図の読み取りに不安がある場合は、先に配線図の読み方・複線図変換で器具・区間・条件を確認してください。

色には名前を付けず、まず機能を付ける

複線図で扱う導体は、色よりも先に次の機能へ分けると迷いません。

機能導体 役割 行き先の例
接地側導体 電源の接地側から負荷・コンセントの接地側端子へつなぐ 受金ねじ部、N・W端子
非接地側の電源線 電源から常時給電が必要な端子へ送る 片切スイッチ入力、コンセント非接地側
点滅線・返り線 スイッチ出力から操作対象の負荷へ送る 片切スイッチ出力→照明
渡り線・表示線 3路・4路やパイロットランプ等、器具固有の端子間を結ぶ 3路1/3端子、4路4端子、表示灯端子
接地線 機器・器具の接地端子へつなぐ保護導体 E・ET・EET、金属部の接地端子

接地側導体と接地線(アース)は別物です。接地側導体は回路電流が流れる電路の一方、接地線は感電・故障時の保護に使う導体です。「白線」と「緑線」を同じアースとしてまとめないでください。

白線がいつも接地側とは限らない

公式の施工条件では、たとえば「電源からの接地側電線はすべて白」「電源から点滅器までの非接地側電線はすべて黒」「指定端子には白」といった色別が示されます。大切なのは、指定された区間・端子の範囲を読むことです。

片切スイッチへVVF 2心を下ろす基本回路では、電源からスイッチへ向かう黒を非接地側の電源線、同じケーブルの白をスイッチから照明へ戻る点滅線として使う場合があります。この白は物理的な色が白でも、接地側導体ではありません。「白はスイッチにつながない」と暗記すると、ここで破綻します。

色だけで接続グループを作らない

同じジョイントボックス内に白線が複数あっても、接地側と点滅線は別の接続点です。先に「接地側」「点滅線」という役割で分け、その後にケーブルの白・黒・赤へ割り当てます。

複線図の書き方7ステップ

ステップ1:配線図・材料表・施工条件を読む

電源方式、器具記号、区間ごとの電線種類と心数、寸法、色別、接続方法を確認します。A部分は差込形コネクタ、B部分はリングスリーブなど、接続方法の指定も複線図へメモします。

ステップ2:器具と端子を配置する

単線図と同じ位置関係で、電源、ジョイントボックス、負荷、スイッチ、コンセント等を置きます。器具名だけでなく、N・W、0・1・3、接地端子など、結線に必要な端子記号も書きます。

ステップ3:接地側導体と接地線をつなぐ

施工条件に従い、電源の接地側を負荷の接地側端子・コンセントW側等へつなぎます。接地線がある場合は、接地側導体とは別に器具の接地端子へつなぎます。

ステップ4:非接地側の電源線をつなぐ

電源の非接地側から、片切スイッチの入力、コンセントの非接地側、常時給電が必要な器具端子へつなぎます。どのスイッチがどの負荷を操作するか、イ・ロ・ハ等の対応も確認します。

ステップ5:点滅線・渡り線・表示線をつなぐ

片切スイッチの出力から負荷へ点滅線をつなぎます。3路・4路の共通端子と渡り線、パイロットランプの常時・同時・異時点灯は器具固有の回路なので、ここで分けて考えます。詳細は3路・4路スイッチの複線図とパイロットランプの複線図で扱います。

ステップ6:各区間のケーブルと色へ割り当てる

必要な機能導体の本数を、配線図で指定されたVVF 2C・3C、IV等へ収めます。施工条件で色が指定された導体を先に固定し、残りの機能を残りの色へ割り当てます。ここで心数が合わなければ、ステップ1〜5の読み違いを疑います。

ステップ7:接続点をまとめて回路を検算する

ジョイントボックスごとに、同じ電気的な接続点へ集まる導体を囲み、本数・太さ・指定された接続方法を記入します。最後に、スイッチOFF/ONで電流経路を指で追い、次の5項目を確認します。

  • 電源を短絡する接続がない
  • スイッチOFFで対象負荷が消灯し、ONで点灯する
  • コンセントや常時給電端子が意図せずスイッチ経由になっていない
  • 色別・端子・接続方法が施工条件どおり
  • 配線図の電線種類・心数・器具配置と一致する

基本回路を「役割→色」の順で変換する

例として、電源からジョイントボックスを経由し、片切スイッチ「イ」で照明「イ」を点滅し、コンセントは常時給電する100V回路を考えます。各区間はVVF 2C、施工条件は接地側を白、電源から点滅器までの非接地側を黒とします。これは7ステップを同じ回路上で追うための当サイト作成例であり、実際の試験では当日の配線図・材料表・施工条件を優先してください。

照明・片切スイッチ・常時給電コンセントの複線図を施工条件から接続点まで組み立てる7ステップの自作図解
図1:施工条件を先に固定し、器具端子→接地側N→常時電源L→返り線R→ケーブルと色→接続点の検算へ進みます(当サイト作成。図をタップすると原寸で開きます)。

図1では、接地側Nは電源の白・照明受金側・コンセントW側の3本、常時電源Lは電源の黒・コンセント非接地側・スイッチ電源側の3本、返り線Rはスイッチ出力の白・照明中心側の黒の2本です。接続点Nの白と接続点Rの白は同じ被覆色でも電気的には別の点なので、色だけを見て一緒にしてはいけません。

1. 接地側N

電源の白 → 照明の受金側+コンセントW側

2. 常時電源L

電源の黒 → スイッチ入力+コンセント非接地側

3. 点滅線

片切スイッチ出力 → VVFの白 → ランプ中心接点側

この例では、コンセントを片切スイッチ経由にしないことも検算できます。スイッチOFFでもコンセント非接地側は接続点Lへつながり、照明中心側だけが接続点Rを介して開かれます。ランプレセプタクルの結線と欠陥確認は差込形コネクタ・ランプレセプタクル・引掛シーリングで確認できます。

接続材料は本数だけで決めない

複線図が完成したら接続点ごとの導体本数を数えますが、リングスリーブの呼び・圧着マークは電線の直径・断面積と組合せで決まります。「4本なら中」のように本数だけで決められません。差込形コネクタも、接続本数に合う極数を選びます。

  1. 同じ電気的接続点に属する導体を囲む
  2. 各導体の径・種類・本数を数える
  3. その接続点で指定された接続方法を確認する
  4. リングスリーブは組合せ表、コネクタは必要極数へ対応させる

材料全体の数え方は材料の拾い出し|配線図からケーブル・接続材料を数える、リングスリーブの正確な組合せはリングスリーブの圧着|電線本数・刻印・欠陥対策を参照してください。

よくある誤りを原因から直す

誤り 原因 直し方
白線を全部まとめる 色を機能だと思っている 接地側・点滅線等の電気的接続点で分ける
片切スイッチへ白線を使えないと思う 接地側の白と物理色の白を混同 施工条件で指定された区間を読み、返り線の機能を先に決める
同じ記号の負荷が動かない 点滅線の対応違い イ・ロ・ハの操作対象を端子間で追う
回路は動くが指定と違う 施工条件を後から見た 最初に色別・接続場所・接続方法を複線図へ書く
接続材料を誤る 本数だけで判断 径・種類・本数・指定方法を4点確認する

練習では答えより検算手順を残す

  1. 候補問題を1問選び、施工条件の色別・接続方法だけを先に抜き出す
  2. 7ステップで複線図を作り、各線へ「接地側」「電源」「点滅」等の役割を書く
  3. 公式の問題・解答図と照合し、違った線ではなく違ったステップを記録する
  4. 同じ問題を翌日に再度描き、同じ順序で再現できるか確認する
  5. 安定してから記号と線を簡略化し、作業時間内に収める

候補問題は毎年公開され、2026年度はNo.1〜No.13です。図を丸暗記するのではなく、施工条件が変わっても機能から組み立て直せるようにします。複線図にかける時間を含む全体の練習は第二種電気工事士 技能試験の時間配分、最初の実践例は候補問題No.1の複線図と作業ポイントへ進んでください。

自己チェック|機能・端子・接続方法を確かめる

問1:白線の役割

ジョイントボックスから片切スイッチまでVVF 2Cを使い、黒線が電源からスイッチへの非接地側と指定されています。残る白線の扱いとして適切なのはどれですか。

ア.白は必ず接地側なので使用しない
イ.施工条件に反しなければ、スイッチから負荷への点滅線に使える
ウ.黒と並べて、スイッチへの非接地側の給電に使う
エ.電源の白線と必ず接続する

正解:イ
物理色が白でも、施工条件に反しなければ点滅線として使う区間があります。電源の接地側白線とは別の電気的接続点です。

問2:接続グループ

ジョイントボックス内の接続点をまとめる基準として、最も適切なものはどれですか。

ア.被覆の色が同じ導体を全てまとめる
イ.ケーブルの長さが同じ導体をまとめる
ウ.同じ電気的接続点へ属する導体をまとめる
エ.同じ器具から来た導体を全てまとめる

正解:ウ
同じ色でも接地側と点滅線は別の接続点になり得ます。電気的に同じ点へつながる導体だけを1グループにします。

問3:施工条件

完成した回路は正しく動作しますが、A部分を差込形コネクタとする施工条件に対し、リングスリーブで接続しました。試験上の判断はどれですか。

ア.動作するので適切 イ.絶縁すれば適切
ウ.接続方法が施工条件と違うため欠陥 エ.線色が合えば適切

正解:ウ
電気的に正しくても、施工条件で指定された接続方法と違えば欠陥です。複線図へ接続方法まで記入してから作業します。

問4:コンセントのWとE

W表示の端子と接地極(E)を備えた接地極付コンセントへ、接地側・非接地側・接地線の3本を結線します。正しいものはどれですか。

ア.接地側をW、非接地側を反対側の極、接地線をEへ結ぶ
イ.接地側と接地線を一緒にEへ結ぶ
ウ.非接地側をW、接地側を反対側の極へ結ぶ
エ.接地線をW、接地側をEへ結ぶ

正解:ア
Wは接地側の極、Eは接地極の端子です(ステップ3)。接地線は回路電流の通り道ではないので、接地側とは別にEへ結びます。イは接地側導体と接地線を同じアースと見た誤り、ウ・エは端子の取り違えで、極性や接地の役割が入れ替わります。

問5:3路スイッチの0端子

1灯を2か所から点滅する3路回路で、2個の3路スイッチの共通端子0へ結ぶ線の組合せはどれですか。

ア.両方とも接地側
イ.一方は非接地側、他方は照明へ向かう点滅線
ウ.一方は非接地側、他方は接地側
エ.両方とも渡り線

正解:イ
一方の0端子へ電源の非接地側、もう一方の0端子から照明へ点滅線を結び、1・3端子どうしを2本の渡り線で結びます(エの渡り線は0端子に入りません)。ウでは、2個のスイッチが同じ渡り線を選んだときに非接地側と接地側が直接つながって短絡し、アでは非接地側がどこにも入らないので照明が点きません。

7ステップの根拠にした試験センターの公表資料

確認日:2026年8月21日(令和8年度の候補問題、上期の技能試験の問題と解答、技能試験の概要と注意点、欠陥の判断基準)

更新履歴:2026年7月29日 施工条件から始める7ステップに改め、線の色を固定で覚える説明と、電線の本数だけで接続材料を決める説明を改訂

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次は3路・4路スイッチの複線図へ進んでください。2か所・3か所から点滅する回路でも、0端子と渡り線を役割から決める同じ考え方を使います。

パイロットランプが入る回路はパイロットランプの複線図で、常時点灯・同時点滅・異時点滅の電流経路を比べます。

複線図どおりに組めたら、技能試験の欠陥判断基準で完成作品を点検する順番を身につけます。

資格太郎

この記事を書いた人:資格太郎電気工事士の独学合格を目指して学習中。色の丸暗記ではなく、配線図・施工条件・電気的な接続点を公式資料と照合して解説しています。運営者情報を詳しく見る

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