この記事を読み終えると、候補問題No.6の変圧器3台(T1・T2・T3)の二次側を黒のわたり線3本でΔにつなぎ、R・S・Tをどの端子から出すかを自分で描けるようになり、電流計の往復を含むジョイントボックスの6組の刻印まで決められるようになります。
No.6は、単相変圧器3台で三相を作る課題です。3台の端子台は見た目がまったく同じで、12個のねじのどれとどれを結ぶかは図4(変圧器結線図)にしか書かれていません。さらに電流計がS相の途中に入るため、ボックスの中の組の数も変わります。先に変圧器・開閉器・ボックスの3か所を図にしてから、組み立ての順番へ進みます。
No.6の配線図に描かれている部品と、施工省略の範囲
令和8年度上期(2026年7月4日)の技能試験で出題された候補No.6の問題と公式解答では、回路は次のとおりです。3φ3W 6,600Vを単相変圧器3台(2P端子台で代用)で3φ3W 200Vにし、VVR 2.0-3Cでジョイントボックスへ入れます。ボックスからVVF 1.6-3Cで3P15Aの開閉器(3P端子台で代用)の電源側へ送り、負荷側からVVF 1.6-3Cで電動機側(施工省略)へ出します。ボックスからは、電流計(施工省略)へIV 1.6×2をPF16に通して出し、運転表示灯のランプレセプタクルへVVF 1.6-2Cを出します。
施工条件のうち、作品の形を左右するのは次の7項目です。
| 施工条件 | 指定の中身 | 作品で見る場所 |
|---|---|---|
| 4① | 接地線は変圧器T1のv端子 | 緑のIV 5.5mm2をT1のvへ(図1の④) |
| 4② | 二次側端子のわたり線はIV 5.5mm2の黒 | 3本(図1の①②) |
| 5 | 電流計は変圧器二次側のS相 | ボックスでS相が2組に分かれる(図3の②④) |
| 6 | 運転表示灯は開閉器負荷側のU相とV相の間 | 開閉器の下段から取る(図2の③) |
| 7② | 接地側電線は、電流計の回路とわたり線を除きすべて白 | PF16の2本は色が自由、わたり線は黒 |
| 7③④ | 二次側はR赤・S白・T黒、開閉器から電動機へはU赤・V白・W黒 | VVRとVVF 1.6-3C |
| 7⑤ | ランプレセプタクルの受金ねじ部は白 | 開閉器のVから来る白(図2の④) |
変圧器の端子台は、左の列が一次・右の列が二次
問題の図2(変圧器代用の端子台説明図)では、1台の2P端子台に4つのねじがあり、左の列の上がV・下がU(一次側6,600V)、右の列の上がv・下がu(二次側210V)です。これが上からT3・T2・T1の順に3台並びます。
一次側で受験者がするのは、6つのねじにKIP 8mm2を1本ずつ付けることだけです(図1の⑤)。支給のKIPは約600mmが1本なので、6本に切り分けます。図4では、その先が破線の施工省略の側でR・S・Tへ結ばれ、T1はR–S間、T2はS–T間、T3はT–R間に入ります。一次側のΔは作品の外でできあがっているので、KIPどうしを端子台の間で結んではいけません。
図1 二次側のわたり線3本で、3台がΔの輪になる
左の太い線が一次側のKIP、右の列が二次側です。線どうしが交わって見える場所は、つながっていません(切れ目を入れています)。
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黒のわたり線3本で、二次側のΔを閉じる
二次側で作るのは図1の①②のわたり線3本です。短い2本はT3のuとT2のv、T2のuとT1のvを上下の隣どうしで結びます。残る1本が図1の①で、T3のvから1台を飛び越えてT1のuへ戻り、3台を1つの輪にします。支給の黒のIV 5.5mm2は約600mmが1本なので、これを3本に切り分けます(施工条件4②)。
輪の3つのつなぎ目がR・S・Tです。図1の③のとおり、VVR 2.0-3Cの赤をT1のu、白をT2のu、黒をT3のuに結びます(条件7③)。図1の④の緑の接地線はT1のvで、ここはT2のuと同じS相の点です。つまりNo.6ではS相が接地側になり、S相から先の開閉器のS・Vにつながる線は白に決まります。
端子ごとの本数は次のとおりです。2本の端子を先に数えておくと、締め忘れと入れ違いを見つけやすくなります。
| 二次側の端子 | 結ぶ電線 | 本数 |
|---|---|---|
| T1のu | VVRの赤(R相)+長いわたり線 | 2本 |
| T1のv | 短いわたり線+緑の接地線 | 2本 |
| T2のu | VVRの白(S相)+短いわたり線 | 2本 |
| T2のv | 短いわたり線 | 1本 |
| T3のu | VVRの黒(T相)+短いわたり線 | 2本 |
| T3のv | 長いわたり線 | 1本 |
Δ結線の線間電圧と、向きをそろえる理由
Δ結線では、1台の巻線の両端がそのまま2本の線につながります。T2ならS相とT相の間です。だから線間電圧=巻線1台の電圧で、二次側210Vの変圧器3台から、線間210V(公称200V)の三相ができます。線に流れる電流のほうは、巻線を流れる電流の√3倍です。計算の手順は三相交流回路の計算|Y・Δ結線、三相電力、V結線で確かめられます。
輪を1周すると、3台の電圧は向きをそろえて足し合わせれば打ち消し合って0になります。1台だけuとvを逆に結ぶと、輪の中に巻線1台分の2倍の電圧が残り、負荷をつながなくても大きな循環電流が流れます。図4がT1・T2・T3のどれも「uを次の台のvへ」という同じ向きで描いているのは、このためです。
S相を、電流計を通ってから開閉器へ送る
施工条件5は「電流計は、変圧器二次側のS相に接続すること」です。電流計は、測る電流の通り道に直列に入れる計器です。そこでVVRの白をボックスでいったん受け止め、PF16の中のIV 1.6を通って電流計へ行き、もう1本で戻ってきた線を開閉器のSへ送ります(図3の②→電流計→④)。
電流計は内部の抵抗がごく小さいので、2本の線の間に並列につなぐと、測るどころか大きな電流が流れます。往復の2本は施工条件7②の「電流計の回路」に当たり、白に限られません。支給は黒と白のIV 1.6が約300mmずつで、公式解答の図でも色別を問わない線で描かれています。PF16のボックスコネクタは、施工条件10のとおりボックス側に付けます。
開閉器は上段が電源側、下段が負荷側
図2 開閉器は上段が電源側、下段が負荷側。表示灯は下段のUとVから取る
縦に並んだ上下のねじが、同じ極(刃とヒューズ)の両端です。表示灯へ向かう線が電動機への線をまたぐ所は、つながっていません。
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問題の図3(開閉器代用の端子台説明図)では、上段のR・S・Tが電源側、下段のU・V・Wが負荷側で、縦に並んだ上下が刃とヒューズでつながる1つの極です。図2の①の電源側のR・S・TにはボックスからのVVF 1.6-3Cの赤・白・黒を入れ、図2の②の負荷側のU・V・Wから電動機へ向かうVVF 1.6-3Cを赤・白・黒で出します(条件7④)。
運転表示灯をU相とV相の間から取る理由
運転表示灯は、開閉器を入れて電動機へ電気を送っている間だけ点く灯です。だから刃の先にある図2の③のU相とV相の間から取ります。UとVからVVF 1.6-2Cを出していったんボックスへ上げ、別のVVF 1.6-2Cでランプレセプタクルへ送ります。支給のVVF 1.6-2Cは約850mmが1本で、これを2本に分けます。
色は、V相が接地側のS相から続く線なので白、U相は黒です。図2の④のとおり、受金ねじ部の端子にはVから来た白を結びます(条件7⑤)。開閉器の手前と先で「電源表示灯」と「運転表示灯」に役目が分かれる形は、候補問題No.5で2つの表示灯を並べて比べられます。
ボックスの6組は、2.0mmを含むかどうかで刻印が決まる
図3 ボックスの6組。S相は電流計の手前と先で別の組になる
青い線は電流計の回路です。公式解答でも色別を問わない線で描かれています。スリーブはすべて小で、刻印だけが「小」と「○」に分かれます。
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ボックスに入るのは、VVR 2.0-3C・VVF 1.6-3C・VVF 1.6-2C 2本・PF16の5つで、打抜き済みの穴も19mmが3か所・25mmが2か所の5か所です(条件9)。ゴムブッシングは19mm用と25mm用が2個ずつなので、ブッシングの付かない残りの19mmの穴がPF16のボックスコネクタの場所になります。
S相の白が図3の②と④の2組に分かれるのがNo.6の特徴で、ここを1組にすると電流計を通らない回路になります。スリーブは6組とも小で、支給の小8個(予備を含む)のうち6個を使います。刻印は、2.0mmが1本混ざる図3の①②③が「小」、1.6mmだけの図3の④⑤⑥が「○」です。
No.6を組み上げる順番
- 変圧器3台を上からT3・T2・T1に並べ、KIPを6本付ける。一次側は1端子に1本だけです(図1の⑤)。
- 黒のわたり線3本を付ける。短い2本を上下の隣どうしに、長い1本をT3のvからT1のuへ(図1の①②)。
- VVRと接地線を付ける。赤をT1のu、白をT2のu、黒をT3のu、緑をT1のvへ。ここで表の本数(2本の端子が4つ)を数えます。
- 開閉器を仕上げる。電源側にVVF 1.6-3C、負荷側に電動機へのVVF 1.6-3Cと表示灯へのVVF 1.6-2C(UとVに2本ずつ)。
- ボックスにケーブルとPF16を取り付ける。ボックスコネクタはボックス側、残りの4つの穴にゴムブッシング。
- 6組を数えてから圧着する。S相が2組に分かれていることを確かめ、「小」3つと「○」3つにします。最後に表示灯の受金ねじ部が白かを見ます。
作品を見直すときの食い違いと戻る場所
| 見直しで気づく食い違い | 原因 | 戻る場所 |
|---|---|---|
| わたり線がvどうし・uどうしを結んでいる | 3台を並列の形にした | 図1の①②。uと別の台のvを結ぶ |
| KIPどうしを端子台の間で結んでいる | 一次側のΔまで作ろうとした | 一次側は1端子に1本(図1の⑤) |
| 緑の線がT1のuに入っている | R相の赤と同じ端子へ付けた | 条件4①。T1のv |
| ボックスでS相の白が1組になっている | 電流計へ往復させていない | 図3の②と④を別の組にする |
| 表示灯の線が開閉器の上段から出ている | 電源側から取った | 図2の③。下段のUとV |
| 受金ねじ部に黒が入っている | Uの黒とVの白を入れ替えた | 図2の④。白はVから |
自己チェック|わたり線・接地線・電流計の組
解説は最初から表示しています。図を見ないで答えられるかを試してください。
問1:二次側でR相(赤)のVVRを結ぶ端子はどれですか。
- T1のu
- T1のv
- T2のu
- T2のv
解答:1(T1のu)
図1の③のとおり、T1のuから赤、T2のuから白、T3のuから黒が出ます。2のT1のvと3のT2のuは、短いわたり線でつながったS相の点です。4のT2のvはT3のuとつながったT相の点です。
問2:緑の接地線を結ぶ端子と、その端子がつながっている相の組み合わせはどれですか。
- T1のv(S相)
- T1のu(R相)
- T2のv(T相)
- T3のu(T相)
解答:1(T1のv〈S相〉)
施工条件4①が「接地線は、変圧器T1のv端子に結線する」と指定しています(図1の④)。T1のvはわたり線でT2のuとつながり、S相の点です。このためS相が接地側になり、開閉器のSとVに来る線は白になります。
問3:わたり線3本のうち、変圧器1台を飛び越える長い1本はどこからどこへ結びますか。
- T3のvからT1のu
- T3のuからT2のv
- T2のuからT1のv
- T1のvからT3のu
解答:1(T3のvからT1のu)
図1の①の線です。2と3は上下の隣どうしを結ぶ短いわたり線(図1の②)です。4はS相の点とT相の点を直接結ぶので、S–T間を受け持つT2の二次巻線を短絡してしまいます。
問4:二次側の線間電圧を210Vとすると、T2の二次巻線にかかる電圧はいくらですか。
- 210V
- 約121V(210V÷√3)
- 約364V(210V×√3)
- 105V
解答:1(210V)
Δ結線では、1台の巻線の両端がそのまま2本の線(T2ならS相とT相)につながるので、線間電圧=巻線の電圧です。電流のほうは、線電流が巻線を流れる電流の√3倍になります。2の「÷√3」はY結線の相電圧の求め方です。
問5:施工条件5「電流計は、変圧器二次側のS相に接続すること」に合うつなぎ方はどれですか。
- S相の白をボックスで受け、電流計を往復した線を開閉器のSへ送る
- S相とT相の間に電流計をつなぐ
- R相の赤をボックスで受け、電流計を往復した線を開閉器のRへ送る
- 開閉器の負荷側Vから電流計へ往復させる
解答:1
電流計は測る電流の通り道に直列に入れます(図3の②→電流計→④)。2のように2本の線の間へつなぐと、内部の抵抗がごく小さい電流計に大きな電流が流れます。4は、配線図で電流計へのPF16がボックスから出ていることと合いません。
問6:ボックスの6組のうち、刻印が「○」になるのは何組ですか。
- 1組
- 2組
- 3組
- 6組
解答:3(3組)
図3の④⑤⑥の3組です。どれも1.6mmの2本なので、小スリーブを丸ダイスで圧着します。図3の②と④は同じS相ですが、電流計をはさんで別の組です。1組にまとめると電流計を通らない回路になり、刻印の数も合わなくなります。
No.6の照合に使った公式資料
2026年9月29日に、次の資料の記載内容を確認して、本文の端子記号・わたり線の結び先・電線色・電流計と表示灯の接続・接続点の刻印を照合しました。
- 電気技術者試験センター:第一種電気工事士の技能試験の候補問題
- 電気技術者試験センター:令和8年度第一種電気工事士技能試験候補問題の公表について(PDF)
- 電気技術者試験センター:第一種電気工事士試験の問題と解答
- 電気技術者試験センター:令和8年度上期技能試験 候補No.6の問題(PDF)
- 電気技術者試験センター:同 解答(概念図・複線図・正解作品例)(PDF)
- 電気技術者試験センター:電気工事士技能試験(第一種・第二種)欠陥の判断基準(PDF)
更新履歴:2026年8月1日 令和8年度上期の問題に合わせて改訂/2026年9月29日 図1〜図3と自己チェックを加え、一次側の結線(KIPは1端子に1本で、Δは施工省略側で結ばれる)の説明を訂正
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