受変電設備の基礎

保護継電器の種類と保護協調|OCR・GR・DGRの働きと機器番号

この記事を読み終えると、保護継電器が何を見て動作するかを図記号と機器番号から言い分け、OCRの限時要素と瞬時要素の違い、CT比とタップ値から一次側の動作電流を求める計算、保護協調曲線の読み方を説明できるようになります。

第一種電気工事士の学科では、単線結線図の図記号と制御器具番号の組み合わせ、短絡保護に使う機器の組み合わせ、地絡継電装置の保護協調が出ています。どれも、「継電器は何を受け取り、何を見ているか」から整理すると答えられます。この記事は試験の学習用で、実際の設備の動作値や動作時間を決めるためのものではありません。

保護継電器は見つける役。電流を切るのは遮断器

保護継電器は、電路の異常を見つけて、遮断器などを開かせる合図を出す機器です。自分で電流を切ることはしません。試験でも、高圧受電設備の短絡保護装置は「過電流継電器と高圧真空遮断器」の組み合わせです。合図がVCBへ届くまでの回路は、VCBの引外し回路で扱っています。

継電器の種類は多く見えますが、見分ける軸は「何を見て動作するか」の1つです。見ているものは、どの変成器から受け取っているかで分かります。

図1 保護継電器は、受け取るものと見ているもので分かれる

上の文が「何を見て動作するか」、下の札が「どの変成器から受け取るか」です。

①OCR(過電流継電器)

電流が大きくなりすぎたときに動作する。過負荷と短絡を受け持つ。

CT

②GR(地絡継電器)

零相電流の大きさで動作する。事故の方向は見分けない。

ZCT

③DGR(地絡方向継電器)

零相電流と零相電圧の両方を使い、事故の方向も見分ける。

ZCT零相電圧の検出器

④OVR(過電圧継電器)

電圧が上がりすぎたときに動作する。

VT

⑤UVR(不足電圧継電器)

電圧が下がりすぎたときに動作する。停電や短絡による電圧の低下を見つける。

VT

⑥RPR(逆電力継電器)

電力が逆の向きに流れたときに動作する。発電設備を持つ需要家で使う。

CTVT
図1の読み方:CTにつながれば電流、ZCTにつながれば地絡、VTにつながれば電圧を見ている継電器です。

図1の①のOCRは、CTから電流を受け取り、過負荷と短絡を見つけます。図1の②のGRと図1の③のDGRは、ZCTから零相電流を受け取り、地絡を見つけます。図1の④のOVRと図1の⑤のUVRは、VTから電圧を受け取ります。図1の⑥のRPRは、電力の向きを見るので、CTとVTの両方が要ります。CT・VT・ZCTの役目は、CT・VT・VCT・ZCTの違いにまとめています。

図記号は、文字と不等号で読む

図2 継電器の図記号は、四角の中の文字で読む

Iは電流、Uは電圧です。記号は学習用に描き直したものです。

過電流継電器
I>

①「I>」。電流が大きい。番号は51。

地絡方向継電器
I>

②Iと>の間に接地の印。下に矢印。番号は67。

不足電圧継電器
U<

③「U<」。電圧が小さい。番号は27。

過電圧継電器
U>

④「U>」。電圧が大きい。番号は59。

地絡過電圧継電器
U>

⑤Uと>の間に接地の印。番号は64。

図2の読み方:文字で「電流か電圧か」、不等号で「大きいか小さいか」、接地の印で「地絡か」を読みます。

単線結線図では、保護継電器は四角の中に文字を入れた図記号で描かれます。図2の①の「I>」は、電流(I)がある大きさより大きい、という意味で、過電流継電器です。図2の③の「U<」は、電圧(U)がある大きさより小さい、という意味で、不足電圧継電器です。図2の④は不等号の向きが逆で、過電圧継電器になります。

文字と不等号の間に接地の印が入ると、地絡を見る継電器です。図2の②は、引込柱のPASにつながる地絡方向継電器で、下に矢印が付きます。図2の⑤は地絡過電圧継電器です。試験では、図記号と番号の組み合わせを選ぶ問題で、「U<・27」が不足電圧継電器の正解になっています。

機器番号は、数字で機器の種類を表す

図面では、機器を数字で呼ぶことがあります。この数字は制御器具番号といい、日本電機工業会の規格 JEM 1090 で決められています。高圧受電設備の学習で出てくる番号は、次のとおりです。

番号 名称(JEM 1090) 略号と補足
27 交流不足電圧継電器 UVR
51 交流過電流継電器又は地絡過電流継電器 OCR
52 交流遮断器又は接触器 VCB
59 交流過電圧継電器 OVR
64 地絡過電圧継電器 OVGR
67 交流電力方向継電器又は地絡方向継電器 DGR
87 差動継電器 入る電流と出る電流の差を見る継電器
89 断路器又は負荷開閉器 DS

遮断器が52、過電流継電器が51なので、「51が見つけて、52が切る」と組にして覚えられます。地絡継電器は、三菱電機の解説の表では、地絡過電流継電器として「51G」と書かれています。Gは地絡を表す補助記号です。

50という番号もあります。JEM 1090 の一覧では、50は「短絡選択継電器又は地絡選択継電器」、51は「交流過電流継電器又は地絡過電流継電器」です。三菱電機の表は、過電流継電器の番号を「51、(50/51)」と、2つを並べた形でも書いています。

OCRは、限時要素で過負荷を、瞬時要素で短絡を見つける

OCRの中には、限時要素と瞬時要素の2つがあります。受け持つ事故と、動作のしかたが違います。

要素 受け持つ事故 動作のしかた
限時要素 過負荷 反限時特性。電流が大きいほど、短い時間で動作する
瞬時要素 短絡 決めた電流を超えたら、ごく短い時間で動作する

図3 OCRの動作時間特性(限時要素と瞬時要素)

横が電流、縦が時間です。線の高さが、その電流で動作するまでの時間を表します。

電流(右ほど大きい)時間①②③④動作
しない
図3の読み方:①と③の間が限時要素の受け持ち、③より右が瞬時要素の受け持ちです。

図3の①が、限時要素が動作を始める電流です。これより左では、OCRは動作しません。①を超えると、図3の②の曲線に沿って動作します。電流が少し超えただけなら長い時間がかかり、大きく超えるほど短い時間で動作します。これが反限時特性です。過負荷は、少しの間なら機器が耐えられるので、すぐには切らずに様子を見るわけです。

図3の③が、瞬時要素が動作を始める電流です。ここから右は、図3の④の低い水平な線になります。短絡のような大きな電流は、待たずにすぐ切る必要があるからです。

反限時特性と対になる言葉が、定限時特性です。入力の大きさに関係なく、動作時間が一定になる特性をいいます。地絡継電器や地絡方向継電器の動作時間は、定限時に近い特性です。高圧の地絡電流は小さく、機器の熱を考えて時間を変える必要がないためです。

CT比とタップ値から、一次側の動作電流を求める

OCRが受け取るのは、主回路の電流そのものではなく、CTで小さくした二次電流です。OCRの動作する電流は、この二次側の値で決めてあり、タップ値と呼びます。JIS C 4602 では、限時要素は3〜5A、瞬時要素は30〜80Aの範囲です。二次側の値にCT比を掛ければ、主回路の電流に戻せるので、一次側の動作電流 = タップ値 × CT比 で求められます。

例題1 CT比75/5AのCTにつないだOCRで、限時要素のタップ値が4Aです。主回路の電流が何Aを超えると、限時要素が動作を始めるかを求めます。

CT比 = 75A ÷ 5A = 15
一次側の動作電流 = タップ値 × CT比 = 4A × 15 = 60A

例題2 同じOCRで、瞬時要素のタップ値が40Aです。瞬時要素が動作を始める主回路の電流を求めます。

一次側の動作電流 = 40A × 15 = 600A

例題3 同じ設備で、主回路に150Aが流れました。OCRに入る電流と、それが限時要素のタップ値4Aの何倍かを求めます。

OCRに入る電流 = 150A ÷ 15 = 10A
タップ値に対する倍数 = 10A ÷ 4A = 2.5倍

例題3の150Aは、例題1の60Aより大きく、例題2の600Aより小さい電流です。図3でいえば、①と③の間にあたります。限時要素が、タップ値の2.5倍の電流に応じた時間をかけて動作し、瞬時要素は動作しません。

保護協調は、事故点に近い遮断器を先に開かせる取り決め

需要家の構内で短絡が起きると、事故の電流は、配電用変電所から配電線を通って事故点まで流れます。同じ電流が、配電用変電所のOCRにも、需要家の受電点のOCRにも流れるわけです。どちらが先に動作するかで、結果が大きく変わります。

図4 需要家の構内で短絡が起きたとき、どの遮断器が開くか

同じ事故でも、どちらの継電器が先に動作するかで、停電する範囲が変わります。

保護協調がとれている
①需要家の構内で短絡が起きる

②受電点のOCRが先に動作し、需要家のVCBが開く

③配電線は止まらない。ほかの需要家は停電しない
保護協調がとれていない
④配電用変電所のOCRが先に動作し、変電所の遮断器が開く

⑤配電線ごと止まる。ほかの需要家も停電する(波及事故)
図4の意味:保護協調とは、②が④より必ず先になるように、動作する電流と時間を決めておくことです。

図4の①の事故で、図4の②のとおり受電点のOCRが先に動作すれば、止まるのはその需要家だけです。図4の③のとおり、配電線は生きたままです。逆に、図4の④のように配電用変電所のOCRが先に動作すると、図4の⑤の波及事故になります。

そこで、構内の過負荷や短絡を受電点の遮断器で速やかに切り、配電用変電所へ事故を広げないように、動作する電流と時間を決めておきます。これを過電流の保護協調といいます。継電器の動作時間を、負荷側から電源側に向かって順に長くしておくと、事故点をいちばん小さい範囲で切り離せます。

地絡でも考え方は同じです。試験では、「地絡継電装置は、波及事故を防止するため、一般送配電事業者側との保護協調が必要である」が正しい記述として出ています。

保護協調曲線は、同じ電流の上で線の高さを比べる

保護協調がとれているかどうかは、2つの継電器の動作時間特性を1枚の図に重ねて確かめます。この図が保護協調曲線です。

図5 保護協調曲線。同じ電流で、線の高さを比べる

2つの継電器の動作時間特性を、1枚に重ねた図です。青が受電点、橙が配電用変電所です。

電流(右ほど大きい)時間①②③④⑤
図5の読み方:③の縦線の上で、④が⑤より下にあれば、受電点が先に動作します。これが協調がとれている状態です。

図5の①が受電点のOCR、図5の②が配電用変電所のOCRです。読むときは、まず事故の電流の大きさを横軸で決め、図5の③のように縦線を引きます。次に、その縦線が2本の線と交わる高さを比べます。図5の④が図5の⑤より下にあるので、この電流では受電点のOCRが先に動作します。

実際には、OCRが動作してから遮断器が電流を切り終えるまでにも、時間がかかります。日本電気技術者協会の解説には、瞬時要素の動作時間0.05秒に、遮断器の遮断時間3サイクル(50Hzで0.06秒)を足した0.11秒が、配電用変電所の側の0.18秒より短いので協調がとれる、という例が載っています。線の間に、遮断器が切り終える時間と余裕が入るだけのすき間が要る、ということです。

変圧器の一次側に限流ヒューズ(PF)がある設備では、ヒューズの特性も同じ図に重ねます。ヒューズの3つの特性は、PF・S形とCB形の違いの図5で扱っています。

GRとDGRの違いは、事故の方向を見分けるかどうか

GRは、ZCTが取り出した零相電流の大きさだけで動作します。事故が構内なのか構外なのかは、見分けられません。構内の高圧ケーブルが長いと、ほかの需要家で起きた地絡事故でも、自分の構内のZCTに電流が流れ、GRが動作してしまうことがあります。これを不必要動作(もらい動作)といいます。

DGRは、零相電流に加えて零相電圧も受け取り、2つの関係から事故の方向を判定します。構内のケーブルが長くても、構外の事故では動作しません。零相電圧は、コンデンサを使った検出器で取り出します。試験でも、ケーブルが長い施設には「地絡方向継電装置を設置することが望ましい」が正しい記述です。区分開閉器と組み合わせたSOGの動きは、PAS・UGS・SOGの違いで扱っています。

電圧・周波数・電力の向きを見る継電器

OVRは、電圧が決めた値以上になったときに動作します。UVRは、電圧が決めた値以下になったときに動作し、停電や短絡による電圧の低下を見つけます。試験の単線結線図では、VTの二次側に「U<」の図記号で描かれます。

発電設備を電力系統につないで使う需要家では、ほかにも継電器が加わります。RPR(逆電力継電器)は、構内から電力系統の側へ流れ出す向きの電力を見つけます。周波数の低下を見るUFR(周波数低下継電器)と、上昇を見るOFR(周波数上昇継電器)もあります。JEM 1090 では、周波数継電器の番号は95です。第一種の学習では、名前と見ているものを結び付けられれば足ります。

迷ったら、図記号の文字・番号・つながる変成器の順に確かめる

継電器の問題で迷ったら、次の順に確かめます。まず、図記号の文字がIかUか、不等号がどちら向きか、接地の印があるかを見ます。次に、番号が付いていれば、51・27・59・64・67のどれかを確かめます。最後に、その継電器へつながる線をたどり、CT・VT・ZCTのどれから来ているかを見ます。3つが同じ継電器を指していれば、結局その読み方で合っています。

自己チェック|図記号・番号・協調曲線を読む

解説は最初から表示しています。図3と図5を見ないで、線が下にあるほど何を意味するかを言えるかを試してください。

問1:単線結線図で、不足電圧継電器を表す図記号の文字と、制御器具番号の組み合わせとして、正しいものはどれですか。

  1. U>・59
  2. I>・51
  3. U<・27
  4. Uと>の間に接地の印・64

解答:3(U<・27)
図2の③です。「U>・59」は図2の④の過電圧継電器、「I>・51」は図2の①の過電流継電器、接地の印が入った64は図2の⑤の地絡過電圧継電器です。

問2:継電器の動作時間について、正しい説明はどれですか。

  1. 反限時特性は、電流が大きいほど動作するまでの時間が長くなる
  2. 反限時特性は電流が大きいほど短い時間で動作し、定限時特性は電流の大きさに関係なく一定の時間で動作する
  3. OCRの瞬時要素は、過負荷のような小さな過電流を受け持つ
  4. 定限時特性は、電流が大きいほど短い時間で動作する

解答:2(反限時は電流が大きいほど短く、定限時は一定)
図3の②が反限時特性で、右へ行くほど線が下がります。1番目は向きが逆です。過負荷を受け持つのは限時要素で、瞬時要素は図3の③より右の短絡を受け持ちます。

問3:CT比60/5AのCTにつないだOCRで、限時要素のタップ値が3Aです。主回路(一次側)の電流が何Aを超えると、限時要素は動作を始めますか。

  1. 0.25A
  2. 15A
  3. 180A
  4. 36A

解答:4(36A)
CT比は 60A ÷ 5A = 12 なので、3A × 12 = 36A です。0.25Aは掛けるところを割った値、15Aは二次側の定格5Aを掛けた値、180Aは一次側の定格60Aを掛けた値です。

問4:保護協調曲線で、ある事故電流の縦線が、受電点のOCRの線と交わる点が、配電用変電所のOCRの線と交わる点より下にありました。読み取れることはどれですか。

  1. その電流では、受電点のOCRが先に動作する
  2. その電流では、配電用変電所のOCRが先に動作する
  3. その電流では、どちらのOCRも動作しない
  4. 受電点のOCRは、配電用変電所のOCRより大きい電流でないと動作しない

解答:1(受電点のOCRが先に動作する)
縦軸は時間なので、下にあるほど短い時間で動作します。図5の④が図5の⑤より下にある状態です。線が左にあるほど、小さい電流から動作します。

問5:需要家の受電点のOCRと、配電用変電所のOCRの保護協調の考え方として、正しいものはどれですか。

  1. 事故のときは、2つのOCRを同時に動作させる
  2. 配電用変電所のOCRを、いつも最も早く動作させる
  3. 事故点に近い受電点の遮断器を先に開かせ、停電する範囲を小さくする
  4. 動作する電流だけをそろえ、時間は比べない

解答:3(事故点に近い遮断器を先に開かせる)
図4の②が図4の④より先になるようにします。配電用変電所が先に動作すると、図4の⑤のとおり、ほかの需要家まで停電します。電流と時間の両方を比べないと、どちらが先かは決まりません。

問6:DGR(地絡方向継電器)の説明として、正しいものはどれですか。

  1. 零相電流と零相電圧を使い、地絡事故の方向を見分ける
  2. 零相電流の大きさだけで動作し、事故の方向は見分けない
  3. CTの二次電流で過負荷を見つける
  4. 地絡電流を、継電器の接点で直接遮断する

解答:1(零相電流と零相電圧を使い、方向を見分ける)
図1の③です。2番目は図1の②のGRの説明です。継電器は合図を出すだけで、電流を切るのは遮断器や開閉器です。

問7:制御器具番号の51と52が表す機器の組み合わせとして、正しいものはどれですか。

  1. 51は断路器、52は過電流継電器
  2. 51は過電流継電器、52は遮断器
  3. 51は不足電圧継電器、52は遮断器
  4. 51は過電流継電器、52は断路器

解答:2(51は過電流継電器、52は遮断器)
51が見つけ、52が切る、という組み合わせです。断路器は89、不足電圧継電器は27です。

継電器の番号・特性・保護協調の出どころ

2026年10月3日に、次の資料の記載内容を確認して、本文の継電器の種類・番号・動作時間特性・保護協調の説明と図を照合しました。

更新履歴:2026年10月3日 図1〜図5、CT比とタップ値の例題、自己チェックを加え、継電器を「何を見て動作するか」で分ける構成に改めた。機器番号の表と保護協調曲線の読み方を加えた

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次は高圧受電設備の単線結線図へ進んでください。継電器の図記号から遮断器へ伸びる破線を、図面の上でたどる練習ができます。

継電器の合図でVCBが開くしくみは、VCBの引外し回路で扱っています。

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資格太郎

この記事を書いた人:資格太郎電気工事士の独学合格を目指して学習中。試験センターの問題、メーカーの公開資料、技術者協会の解説を照合し、保護継電器の働きと保護協調を図にして整理しています。運営者情報と編集方針

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