2種 施工方法

ケーブル工事の施工方法をわかりやすく解説|第二種電気工事士 施工方法

この記事でわかること

  • ケーブル工事が管なしで配線できる理由(シースの二重構造)
  • VVFケーブルの支持間隔(2m以下)と曲げ半径のルール
  • ケーブルの接続方法と接続箇所の処理(ジョイントボックス)
  • ケーブル工事が施工できる場所の条件と制限

結論から言います:ケーブル工事は住宅配線の主役

結論から言います。ケーブル工事は、住宅や小規模ビルで最も多く使われる電気工事の方法です。VVFケーブルを使って、壁の中や天井裏に配線していく――あなたの家の電気配線も、ほぼ間違いなくケーブル工事で施工されています。

金属管工事やPF管工事と違い、管(くだ)を使わずにケーブルを直接配線できるのがケーブル工事の最大の特徴です。なぜ管がいらないのか?それはケーブル自体が「シース(外装)」という丈夫な保護被覆(ひふく)で覆われているからです。

第二種電気工事士の学科試験では、ケーブルの支持間隔や曲げ半径、接続方法などが頻繁に出題されます。この記事では、施工ルールの「なぜ?」まで掘り下げて解説していきます。

ケーブルの種類について詳しく知りたい方は、「電線・ケーブルの種類と用途を徹底解説」もあわせてどうぞ。

ケーブル工事の特徴|なぜ管がいらないのか?

電線を建物内に配線するとき、通常は電線を保護するための管(金属管やPF管)が必要です。しかしケーブル工事では、管を使わずにケーブルをそのまま配線できます。

その理由はシンプルです。ケーブルは内部の導体(どうたい)を「絶縁体(ぜつえんたい)」で包み、さらにその外側を「シース(外装)」で覆った構造になっています。つまり、ケーブル自体が二重の保護構造を持っているため、わざわざ管で保護する必要がないのです。

ケーブルの構造(VVFの場合)
第1層
銅の導体
(電気が流れる)
第2層
絶縁体(PVC)
(電気を漏らさない)
第3層
シース(外装)
(外部の損傷から保護)

この二重構造のおかげで、ケーブルは釘(くぎ)が当たったり、ネズミにかじられたりしても、すぐには絶縁が破壊されにくいようになっています。だから管なしで直接配線できるわけです。

ケーブル工事の長所と短所

比較項目 長所 短所
施工性 管が不要で作業が速い 露出配線は見栄えが悪い
コスト 材料費・工賃ともに安い 大規模施設には不向き
保護性能 シースが外部衝撃を防ぐ 金属管ほどの機械的保護はない

ケーブル工事で使うケーブルの種類

ケーブル工事で使われるケーブルには、いくつかの種類があります。試験で問われるのは主に以下の4つです。

略称 正式名称 主な用途
VVF ビニル絶縁ビニルシースケーブル(平形) 住宅の屋内配線(最も一般的)
VVR ビニル絶縁ビニルシースケーブル(丸形) 幹線や引込線
CV 架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル 高電圧・大電流回路
EM-EEF エコケーブル(耐燃性ポリエチレンシース) 環境配慮が必要な施設

この中で圧倒的に使用頻度が高いのがVVFケーブルです。「Fケーブル」とも呼ばれ、住宅の壁の中を走っている白い平べったいケーブルがこれです。技能試験でも必ず使うケーブルなので、しっかり覚えておきましょう。

EM-EEF(エコケーブル)は、火災時に有害なハロゲンガスや大量の煙が発生しにくい素材で作られています。公共施設や病院など、人が多く集まる場所で採用が増えています。VVFと外見が似ていますが、ケーブルの色が緑がかっている(エコマーク付き)のが特徴です。

各ケーブルの構造や許容電流の詳細は、「電線・ケーブルの種類と用途を徹底解説」で詳しく解説しています。

施工場所の制限|どこに配線できるのか?

ケーブル工事は便利な工事方法ですが、どこにでも自由に配線できるわけではありません。施工できる場所には制限があります。

ケーブル工事が施工できる場所

  • 展開した場所(てんかいしたばしょ):壁や天井の表面など、ケーブルが見える状態で配線する場所
  • 点検できる隠ぺい場所:天井裏や壁の内部など、普段は見えないけれど点検口などからアクセスできる場所

住宅で考えると、天井裏にケーブルを通して各部屋のスイッチやコンセントまで配線するのが典型的なパターンです。天井裏は「点検できる隠ぺい場所」にあたるので、ケーブル工事OKです。

なぜ施工場所に制限があるのか?

ケーブルは管で保護されていないため、万が一ケーブルが損傷したときに点検・修理ができる場所でないと危険だからです。壁の中に埋め込んでしまって二度とアクセスできない場所に配線すると、漏電(ろうでん)が起きても発見が困難になります。

漏電が発生した場合の感電事故を防ぐためには、接地工事(アース)も重要です。詳しくは「接地工事(アース)をわかりやすく解説!A種〜D種の違い」をご覧ください。

ケーブルの支持方法|造営材への固定ルール

ケーブルは建物の構造体(造営材:ぞうえいざい)に沿わせて配線しますが、そのときに一定間隔で固定(支持)しなければなりません。ケーブルがブラブラしていると、自重でたるんだり、引っかかって損傷したりする危険があるからです。

支持方法の種類

支持方法 特徴・使われる場面
ステープル留め 木造住宅で最も一般的。U字型の金具でケーブルを木材に打ち付ける
サドル留め 鉄骨造やコンクリート面に使用。金属製のサドルでネジ止めする
ケーブルラック ビルの天井裏で大量のケーブルをまとめて載せるハシゴ状の架台
バインド線 針金でケーブルを束ねたり、支持物に縛り付ける簡易的な方法

鑑別問題でステープルやサドルの写真が出題されることがあります。見た目をしっかり押さえておきましょう。工具・材料の写真と名称は「鑑別問題対策|工具・材料・器具の名称と用途を完全網羅」でまとめています。

支持間隔のルール:2m以下

造営材に沿わせてケーブルを配線する場合、支持間隔は2m以下と決められています。

ケーブル支持間隔のルール

造営材に沿わせる場合:支持間隔 2m以下

つまり、2m以内ごとにステープルやサドルで固定しなければなりません。

また、ケーブルを造営材の下面や側面に沿わせるときも同様に2m以下です。接触防護措置(しょくぼうごそち)を施した場合でも、この間隔は変わりません。

現場ではどうなっているのか?実際の木造住宅の施工では、大工さんが建てた柱や梁(はり)に沿わせて、電気工事士がステープルで「パチパチ」とケーブルを留めていきます。2mおきにステープルを打つのは最低限の基準で、現場ではもっと短い間隔(50cm〜1m程度)で打つことが多いです。間隔を詰めたほうがケーブルがピシッと真っすぐになり、見栄えも安全性も向上します。

ケーブルの曲げ半径|急角度で曲げてはいけない理由

ケーブルを曲げて配線するとき、あまりに急角度で曲げると内部の導体や絶縁体に無理な力がかかり、被覆が破れたり、断線したりする危険があります。そのため、曲げ半径(まげはんけい)の最小値が規定されています。

ケーブルの曲げ半径(最小値)
一般のケーブル(多心)
ケーブル外径の 6倍以上
(VVF、VVRなど)
単心ケーブル
ケーブル外径の 8倍以上
(CV単心など)

「6倍」「8倍」はどうやって覚える?

多心(たしん)ケーブルは複数の導体が並んでいるので、曲げたときに内部で力が分散されます。一方、単心(たんしん)ケーブルは1本の太い導体なので、曲げの力がダイレクトに伝わります。そのため、単心のほうが厳しい基準(8倍)になっているのです。

たとえばVVFケーブル(外径約12mm)なら、曲げ半径は「12mm × 6 = 72mm以上」、つまり約7cm以上の半径で曲げなければなりません。ちょうど握りこぶしくらいの丸みをイメージすると覚えやすいですね。

ケーブルの接続方法|ジョイントボックスが必須

ケーブル工事では、ケーブル同士を接続(つなぐ)する場面が必ず出てきます。たとえば、分電盤(ぶんでんばん)から伸びたケーブルを途中で分岐させて、別の部屋に配線するようなケースです。

接続に使う材料

  • リングスリーブ(圧着接続):金属製の筒に電線を通し、圧着工具で圧縮して接続する方法。確実で信頼性が高い
  • 差込形コネクタ:電線の先端を差し込むだけで接続できる簡便な方法。技能試験でもよく使う

接続場所のルール:ジョイントボックス内で行うこと

ケーブルの接続は、必ずジョイントボックス(アウトレットボックス)の中で行わなければなりません。

ケーブル接続の鉄則

原則:ボックス内で接続すること

ジョイントボックスやアウトレットボックスの中で接続し、接続部分を保護する。

禁止:ボックスの外での接続

天井裏や壁の中でケーブルをボックスなしに接続してはいけない。接続部がむき出しになり、漏電・短絡・火災の原因になる。

なぜボックスが必要なのか?ケーブルの接続部分は、どうしても絶縁性能が他の部分より低くなります。接続部を露出したまま天井裏に放置すると、ホコリや湿気で絶縁が劣化し、漏電や短絡(ショート)が起きる可能性があります。ボックスに収めることで、接続部を物理的に保護し、万が一のときも火が燃え広がるのを防げます。

配線図では、ジョイントボックスの図記号を覚えておく必要があります。図記号の一覧は「配線図の図記号一覧|これだけ覚えれば得点源!」でまとめています。

貫通部の処理|防火区画を貫通するとき

ビルやマンションでは、火災の延焼を防ぐために防火区画(ぼうかくかく)が設けられています。床や壁で建物を区切り、火が一気に燃え広がるのを防ぐ仕組みです。

ケーブルがこの防火区画を貫通(かんつう)する場合、貫通部のすき間をそのままにしておくと、そこから火や煙が隣の区画に広がってしまいます。そのため、防火区画貫通処理(ぼうかくかくかんつうしょり)が必要です。

具体的な処理方法

  • 貫通部のすき間を耐火パテモルタルで埋める
  • 耐火措置として認められた工法・材料を使用する
  • ケーブルの本数が多い場合は、専用の防火区画貫通キットを使う

この処理を怠ると、火災時に別の階や隣の区画まで一気に燃え広がる危険があります。実際の火災事例でも、貫通部の処理不備が延焼拡大の原因になったケースは少なくありません。

現場で見るケーブル工事の実際

ここでは、実際の現場でケーブル工事がどのように行われているかを2つの例で紹介します。試験問題を解くときに「現場の風景」がイメージできると、記憶の定着がグンと良くなります。

例1:木造住宅のVVF配線

新築の木造住宅では、大工さんが柱や梁を組み上げた後、壁のボード(石膏ボード)を貼る前のタイミングで電気工事を行います。

  1. 分電盤の位置から各部屋のスイッチ・コンセントの位置まで、VVFケーブル(1.6mm 2芯または3芯)を配線
  2. 柱や間柱(まばしら)に沿わせて、ステープルで2m以下の間隔で固定
  3. コーナーでは曲げ半径ケーブル外径の6倍以上を確保してゆるやかに曲げる
  4. ジョイントボックスの中でリングスリーブや差込形コネクタを使って接続
  5. 壁のボードが貼られると、ケーブルは壁の中に隠れる(点検できる隠ぺい場所)

例2:天井裏の転がし配線

既存の建物で配線を追加するときに使われるのが「転がし配線」です。天井裏にケーブルをそのまま載せて(転がして)配線する方法で、ケーブル工事の一種です。

  • 天井裏の梁や吊り木(つりぎ)の上にVVFケーブルを載せるだけ
  • 造営材に沿わせない(接触しない)場合は、ステープル留め不要
  • ただし、ケーブルが垂れ下がったり引っかかったりしないように注意
  • 接続部分はジョイントボックス内で行うルールは同じ

天井裏は「点検できる隠ぺい場所」にあたるため、ケーブル工事が可能です。リフォームや増設工事でよく使われる手法です。

ケーブル工事のポイントまとめ

試験で狙われるポイント一覧
支持間隔 2m以下(造営材に沿わせる場合)
曲げ半径(多心) 外径の6倍以上
曲げ半径(単心) 外径の8倍以上
接続場所 ジョイントボックス(アウトレットボックス)内
接続方法 リングスリーブ圧着・差込形コネクタ
施工場所 展開した場所、点検できる隠ぺい場所

技能試験との接点

ケーブル工事の知識は、そのまま技能試験の実技で活きます。

ケーブル工事 数値まとめ

ケーブル工事で出題される数値を1か所にまとめました。試験直前の最終確認に使ってください。

ケーブル工事 数値チェック
項目 数値 覚え方
支持間隔 2m以下 造営材に沿わせる場合
曲げ半径(多心) 外径の6倍以上 VVF・VVR等
曲げ半径(単心) 外径の8倍以上 CV単心等(硬いから大きく)

「多心6倍・単心8倍」— 単心の方が硬いから大きく曲げる!

まとめ問題|ケーブル工事の理解度チェック

学んだ内容を確認しましょう。全3問、すべてオリジナル問題です。

【問題1】木造住宅でVVFケーブルを柱に沿わせて配線する場合

木造住宅の新築工事で、分電盤から各部屋までVVFケーブルを柱に沿わせて配線することになった。ケーブルをステープルで固定する間隔として、正しいものはどれか。

(イ)1m以下
(ロ)1.5m以下
(ハ)2m以下
(ニ)3m以下

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正解:(ハ)2m以下
ケーブルを造営材に沿わせて配線する場合、支持間隔は2m以下と定められています。現場では安全性と見栄えの観点から、もっと短い間隔(50cm〜1m程度)で固定するのが一般的ですが、法令上の最大値は「2m以下」です。

【問題2】ケーブルの曲げ半径に関する問題

ビルの幹線工事で、CV単心ケーブル(外径30mm)をケーブルラックからプルボックスに引き込む際、曲げ部分の内側半径として適切なものはどれか。

(イ)120mm以上
(ロ)150mm以上
(ハ)180mm以上
(ニ)240mm以上

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正解:(ニ)240mm以上
単心ケーブルの曲げ半径は「ケーブル外径の8倍以上」です。外径30mm × 8 = 240mm以上が正解です。多心ケーブルなら6倍(180mm)で済みますが、単心ケーブルは導体が1本で曲げに弱いため、より大きな曲げ半径が必要になります。(ハ)の180mmは多心ケーブルの場合の値なので、引っかけ選択肢です。

【問題3】ケーブルの接続場所に関する問題

リフォーム工事で、天井裏にVVFケーブルを追加配線し、既存のケーブルと接続することになった。接続に関する記述として、誤っているものはどれか。

(イ)接続はジョイントボックスの中で行った
(ロ)差込形コネクタを使用して接続した
(ハ)工事の手間を省くため、ボックスを使わずに天井裏で直接圧着接続し、絶縁テープを巻いた
(ニ)リングスリーブで圧着接続後、ジョイントボックスに収めた

解答を見る

正解:(ハ)
ケーブルの接続は、必ずジョイントボックス(アウトレットボックス)の中で行わなければなりません。ボックスの外で接続すると、接続部分がむき出しになり、ホコリや湿気による絶縁劣化、漏電、短絡のリスクが高まります。いくら絶縁テープを巻いても、ボックスなしの接続は施工基準違反です。(イ)(ロ)(ニ)はいずれも正しい施工方法です。

まとめ

ケーブル工事は、住宅や小規模建物の配線で最も一般的な工事方法です。ポイントを整理しておきましょう。

  • 管が不要:ケーブルのシース(外装)が保護するため、直接配線できる
  • 使用ケーブル:VVF(最も一般的)、VVR、CV、EM-EEF
  • 施工場所:展開した場所、点検できる隠ぺい場所
  • 支持間隔:造営材に沿わせる場合は2m以下
  • 曲げ半径:多心は外径の6倍以上、単心は8倍以上
  • 接続:必ずジョイントボックス内で行う(ボックス外接続は禁止)
  • 防火区画貫通:すき間を耐火パテ等で確実に塞ぐ

ケーブル工事は試験での出題頻度が高く、特に支持間隔(2m以下)と曲げ半径(6倍・8倍)は数値を正確に覚えておく必要があります。「なぜそのルールがあるのか」を理解しておけば、数値だけ丸暗記するよりずっと忘れにくくなります。

次のステップとして、「金属管工事・PF管工事・CD管工事をわかりやすく解説」「金属線ぴ工事・金属ダクト工事」も学んでいきましょう。配線図の読み方と組み合わせると理解が深まります。「配線図の図記号一覧」もあわせてチェックしてみてください。

次のステップ

ケーブル工事は施工方法の中核です。全体の学習順序は第二種電気工事士 学習ロードマップで確認してください。

テキストで体系的に学びたい方は、SAT 第二種電気工事士講座JTEX電気工事士講座がおすすめです。

定番テキストで施工方法を含む全範囲を学べます。

ケーブル工事の施工ルールは過去問で繰り返し出題されます。「支持間隔」「曲げ半径」の数値を確実に覚えましょう。

理解度をチェック!

この記事の内容をどれくらい覚えているか、ミニテストで確認しましょう。

→ 【ミニテスト】ケーブル工事(10問)に挑戦する

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