この記事を読み終えると、接地の問題を見たときに「何に施すか → 使用電圧 → 遮断時間 → 省略かどうか」の順で条件を消し込み、A・B・C・D種の判定と抵抗値・接地線の太さを取り違えずに答えられるようになります。
接地でつまずく原因のほとんどは、暗記した数値が足りないことではなく、別々の条文を1つの覚え方に混ぜてしまうことです。「500Ωへの緩和」と「接地の省略」、「外箱に付ける接地」と「電路に付ける接地」を最初に分けておきます。
先に結論
- A種10Ω以下、C種10Ω以下、D種100Ω以下が原則。B種だけは1線地絡電流から計算する
- C種とD種の境界は、機械器具の使用電圧300V
- 地絡時に0.5秒以内で自動遮断する装置があれば、C種・D種は500Ω以下へ緩和される
- 「抵抗値の緩和」と「接地工事の省略」は別の規定。使う数値も条件も違う
安全と資格範囲
この記事は試験学習用です。接地線をつなぐ、接地極を施工する、分電盤や機器内部を変更する作業をDIYで行う手順ではありません。実設備では電源・設備区分・機器仕様を確認し、資格範囲に合う電気工事士と登録等を受けた電気工事業者へ依頼してください。
接地は「電流を消す」ものではない
接地(アース)は、電気機械器具の金属製外箱などを、接地線と接地極を通じて大地へ電気的に接続することです。内部の絶縁が劣化して充電部が外箱へ触れたとき、故障電流の経路をつくり、外箱に生じる電位と感電の危険を小さくします。
ここで、「接地があれば漏電電流はすべて大地へ流れ、人には流れない」という理解は誤りです。接地線と人体は外箱から見て並列の関係で、それぞれの抵抗に応じて電流は分かれます。図1で、接地がある場合とない場合の経路を並べて見てください。
図1 接地の有無で、故障電流の通り道がどう変わるか
どちらも出発点は同じ「絶縁が劣化して充電部が金属製外箱に触れた」状態です。
逆にいえば、接地抵抗が大きいほど外箱に残る電位は高くなります。あとに出てくる「500Ωへの緩和」に必ず遮断時間の条件が付いているのは、抵抗値を緩める代わりに、危険な電位が続く時間を短く抑えるためです。
A種・C種・D種は外箱へ、B種は電路へ付く
「電気設備の技術基準の解釈」第29条は機械器具の金属製外箱等に施す接地の種別を、第19条は接地抵抗値を定めています。種別を覚える前に、それぞれ系統のどこへ付くのかを図2で見ます。
図2 4種類の接地は、系統のどこへ付くのか
青枠は金属製外箱に付く接地、オレンジ枠は電路に付く接地です。
つなぐ先:その機械器具の金属製外箱
高圧側と低圧側が触れ合う「混触」が起きると、低圧側の対地電圧が危険に上がる
つなぐ先:外箱ではなく電路
つなぐ先:その機械器具の金属製外箱
つなぐ先:その機械器具の金属製外箱
図2のとおり、A種・C種・D種は機械器具の金属製外箱に付き、想定する危険は「外箱に触れた人」です。B種は変圧器の低圧側電路に付き、想定する危険は「高低圧の混触で低圧側全体の対地電圧が上がること」です。守る対象が違うので、値の決め方も違います。
A種・B種・C種・D種の対象と抵抗値
図2で位置を押さえたら、対象・目的・抵抗値を一組で整理します。
| 種類・抵抗値 | 主な対象 | 判断の要点 |
|---|---|---|
| A種:10Ω以下 | 高圧・特別高圧用機械器具の金属製外箱等 | 高圧側の外箱等を保護する |
| B種:計算値 | 高圧・特別高圧と低圧を結合する変圧器の低圧電路 | 高低圧混触時の低圧側の電位上昇を抑える |
| C種:10Ω以下 | 使用電圧が300Vを超える低圧用機械器具の金属製外箱等 | 0.5秒以内の自動遮断で500Ω以下 |
| D種:100Ω以下 | 使用電圧が300V以下の低圧用機械器具の金属製外箱等 | 0.5秒以内の自動遮断で500Ω以下 |
「10Ω・10Ω・100Ω」は上限です。実測5ΩならA・C・Dいずれの抵抗値条件も満たしますが、接地線の種類や施工方法など他の条件まで自動的に満たすわけではありません。
低圧用機械器具の外箱は、使用電圧が300Vを超えればC種、300V以下ならD種です。三相400Vの機械器具はC種、三相200Vや単相200Vの機械器具はD種になります。なお、この区分の基準は「使用電圧300V」ですが、あとで出てくる乾燥場所での省略条件は交流「対地電圧150V以下」が基準です。どちらも電圧の条件ですが、見ている量が違います。
B種は、遮断時間で分子が150・300・600と動く
B種の抵抗値は固定値ではなく、高圧側または特別高圧側電路の1線地絡電流I〔A〕から計算します。基本式は次のとおりです。
Iは高圧側または特別高圧側電路の1線地絡電流〔A〕
混触したときに低圧電路の対地電圧が150Vを超える場合、高圧側等を自動的に遮断する装置の動作時間に応じて、分子が変わります。
| 高圧側等の遮断条件 | 式 | I=5Aのときの上限 |
|---|---|---|
| 条件が示されていない(基本) | 150÷I | 30Ω |
| 1秒を超え2秒以内に自動遮断 | 300÷I | 60Ω |
| 1秒以内に自動遮断 | 600÷I | 120Ω |
速く切れるほど、許される接地抵抗は大きくなります。危険な電位が続く時間が短いからです。この考え方はC種・D種の500Ω緩和とまったく同じで、覚え方も1つで済みます。「B種は常に150÷I」と固定せず、問題文の遮断時間を先に読んでください。
500Ωへの緩和は、接地したうえで抵抗値だけを緩める
C種は10Ω以下、D種は100Ω以下が原則です。ただし、その低圧電路で地絡を生じたときに0.5秒以内に自動的に電路を遮断する装置を設ける場合は、どちらも500Ω以下に緩和されます。
この規定では接地線を取り付けたまま、許容される接地抵抗値だけが変わります。装置名ではなく、問題文に書かれた動作時間を見てください。
接地の省略は、緩和とは別の条文で判定する
「乾燥した場所なら低圧は全部省略できる」という覚え方は危険です。第29条2項には複数の独立した条件があり、そのどれかに当てはまるときだけ省略できます。第二種の出題で確認しておきたいものは次のとおりです。
- 電圧+乾燥:直流300V以下、または交流対地電圧150V以下の機械器具を乾燥した場所に施設する
- 絶縁性の床:低圧用機械器具を乾燥した木製の床など、絶縁性のものの上で取り扱うように施設する
- 二重絶縁:電気用品安全法の適用を受ける二重絶縁構造の機械器具を施設する
- 絶縁変圧器:二次側線間電圧300V以下・容量3kV・A以下の絶縁変圧器を電源側に設け、その負荷側電路を接地しない
- 省略用の漏電遮断器:水気のある場所以外で、定格感度電流15mA以下・動作時間0.1秒以下の電流動作型を施設する
最後の条件は、500Ω緩和の「0.5秒以内」より厳しい数値です。たとえば定格感度電流30mA・動作時間0.1秒の漏電遮断器は、動作時間だけ見れば500Ω緩和に使えますが、「15mA以下」を満たさないので省略の根拠にはなりません。さらに場所の条件もあり、水気のある場所ではこの省略自体が使えません。上の一覧は試験で重要な条件の抜粋で、第29条の例外すべてではありません。
接地線の太さは、固定か移動かで参照する行が変わる
固定して使用する機械器具の接地線について、軟銅線の原則を整理します。旧来の暗記表ではB種を一律2.6mmとすることがありますが、現行条文は基本と例外を分けています。
| 種類 | 軟銅線の原則 | 注意点 |
|---|---|---|
| A種 | 直径2.6mm以上 | 引張強さ1.04kN以上の金属線でも可 |
| B種 | 直径4mm以上 | 高圧電路(または解釈第133条の特別高圧架空電路)と低圧電路を変圧器で結合する場合は直径2.6mm以上 |
| C種・D種 | 直径1.6mm以上 | 引張強さ0.39kN以上の金属線でも可 |
移動して使用する機械器具の、可とう性が必要な部分には別の規定があり、多心コードや多心キャブタイヤケーブルの1心を使う場合の断面積が定められています。問題文が「固定」か「移動」か、「軟銅線」か「多心コードの1心」かを先に読み取ってください。そこを飛ばして数字だけ当てにいくと、正しい行の隣を見ることになります。
判定は4つの問いを順に通す
ここまでの条件を、解く順番に並べたものが図3です。数値を思い出す前に、まず問1から順に通します。
図3 接地の問題は、この4つの問いを順に通す
問1から順に上から通します。問4だけは他の3つと別の条文です。
この順番の利点は、どこで迷っているかが分かることです。「500Ωか100Ωか」なら問3、「接地しなくてよいか」なら問4の話です。別の条文なので、片方の条件をもう片方へ持ち込んでも答えは出ません。
2026年度上期の出題を、この順で解いてみる
2026年度上期(2026年5月24日実施)の第二種学科試験では、機械器具の金属製外箱に施すD種接地工事の記述から不適切なものを1つ選ぶ問題が出ました。4つの記述には、二次側非接地の絶縁変圧器、接地線の太さ、移動して使用する機器の接地線、漏電遮断器による省略が別々の論点として並びます。
正答になったのは、水気のある場所に設置した電動機に、定格感度電流15mA・動作時間0.1秒の漏電遮断器を取り付けて接地工事を省略したという趣旨の記述でした。数値は省略条件を満たしているのに不適切になる理由は、図3の問4に「水気のある場所以外」という場所の条件が付いているからです。
この1問で、省略条件(絶縁変圧器・漏電遮断器)と接地線の太さ(固定・移動)が同時に問われています。単語一つで反応せず、条件を上から消し込んでください。
接地記号の先を、接地極まで追う
図2を実物の系統へ広げるなら高圧受電設備の接地系統図へ。変圧器外箱とB種、LA、CT・VT二次、接地母線、接地極を「対象→接地線→端子→接地極」の順に追えます。
感度電流・動作時間・遮断容量を深掘りする
図3の問3・問4に出てくる漏電遮断器そのものは、漏電遮断器の選び方で感度電流・動作時間・遮断容量・選択協調まで整理しています。
種別を全部覚えても、工事できる範囲は広がらない
第二種の学科では4種類すべてを学びますが、第二種電気工事士免状で従事できるのは一般用電気工作物等の電気工事です。A種・B種・C種を知っていることと、高圧受電設備や自家用電気工作物の工事を行えることは別です(→第一種と第二種の違い)。
自己チェック|緩和・省略・太さを取り違えない
解説は最初から表示しています。まず自分の答えを決めてから、数値の出どころを照らし合わせてください。誤答の選択肢にも、すべて条文に実在する数値を置いてあります。
問1:使用電圧400Vの低圧用電動機の金属製外箱に接地工事を施します。自動遮断の条件は示されていません。種別と接地抵抗値の上限の組合せはどれですか。
- A種・10Ω以下
- B種・150÷I〔Ω〕
- C種・10Ω以下
- D種・100Ω以下
解答:3(C種・10Ω以下)
図3の問1で「機械器具の金属製外箱」なので問2へ進みます。400Vは低圧(交流は600V以下)ですが300Vを超えるのでC種、遮断条件が示されていないので10Ω以下です。1のA種10Ωは高圧・特別高圧用の値、2のB種は電路に施すもので外箱用ではありません(図2)。4のD種100Ωは300V以下の値です。
問2:使用電圧200Vの低圧用機械器具にD種接地工事を施します。地絡を生じたときに0.3秒で自動的に電路を遮断する装置があるとき、接地抵抗値の上限と接地線の扱いはどれですか。
- 100Ω以下のままで、接地線は必要
- 500Ω以下まで緩和され、接地線は必要
- 500Ω以下まで緩和され、接地線は不要
- 接地工事を省略しなければならない
解答:2(500Ω以下まで緩和され、接地線は必要)
0.3秒は「0.5秒以内」に入るので、D種の上限は100Ω→500Ωへ緩和されます。ただしこれは抵抗値だけを緩める規定で、接地線を外してよいという意味ではありません(図3の問3と問4の違い)。「漏電遮断器があるからアース線は不要」と読み替えると3を選びます。
問3:高圧電路と低圧電路を結合する変圧器にB種接地工事を施します。高圧側の1線地絡電流が5Aで、高圧側を1秒以内に自動遮断する装置があるとき、接地抵抗値の上限はいくらですか。
- 30Ω
- 60Ω
- 120Ω
- 150Ω
解答:3(120Ω)
1秒以内に自動遮断する装置がある場合、分子は600になります。600÷5=120〔Ω〕です。1の30Ωは基本式150÷Iを使った値、2の60Ωは1秒を超え2秒以内のときの300÷Iを使った値です。問題文の遮断時間を読まずに150÷Iで固定すると外します。
問4:単相100V・定格出力0.4kWの電動機を水気のある場所に設置し、定格感度電流15mA・動作時間0.1秒の電流動作型漏電遮断器を取り付けたうえで、接地工事を省略しました。この扱いはどれですか。
- 適切。感度電流と動作時間の条件を満たしている
- 適切。低圧なので省略できる
- 不適切。漏電遮断器による省略は水気のある場所以外に限られる
- 不適切。動作時間が0.5秒を超えている
解答:3(不適切。漏電遮断器による省略は水気のある場所以外に限られる)
15mA・0.1秒という数値は条件を満たしていますが、この省略規定にはもう一つ「水気のある場所以外」という場所の条件が付いています。4の0.5秒は500Ω緩和のほうの数値です(図3の問3と問4を混ぜた形)。2026年度上期(2026年5月24日実施)の第二種学科試験でも、D種接地工事の記述のうち不適切なものとして、水気のある場所でこの省略を行った記述が正答になっています。
問5:三相200V・定格出力0.75kWの電動機(固定して使用)の接地線に、直径1.6mmの軟銅線を使用しました。接地線の太さとして適切なものはどれですか。
- 適切。D種の原則は直径1.6mm以上
- 不適切。直径2.6mm以上が必要
- 不適切。直径4mm以上が必要
- 不適切。断面積0.75mm2以上の多心コードが必要
解答:1(適切。D種の原則は直径1.6mm以上)
三相200Vは300V以下なのでD種で、固定して使用する場合の軟銅線は直径1.6mm以上が原則です。2の2.6mmはA種(およびB種の例外)の値、3の4mmはB種の原則値、4の0.75mm2は移動して使用する機械器具の可とう性が必要な部分に出てくる値です。種別と、固定か移動かで参照する行が変わります。
問6:定格感度電流30mA・動作時間0.1秒の漏電遮断器を、使用電圧200V・乾燥した場所の機械器具に施設しました。この漏電遮断器で「できること」はどれですか。
- 接地工事そのものを省略できる
- D種接地工事の抵抗値を500Ω以下まで緩められる
- 接地工事の省略も抵抗値の緩和もできる
- 接地工事の省略も抵抗値の緩和もできない
解答:2(D種接地工事の抵抗値を500Ω以下まで緩められる)
動作時間0.1秒は「0.5秒以内」を満たすので、抵抗値は500Ω以下まで緩められます。一方、漏電遮断器による省略の条件は定格感度電流15mA以下なので、30mAでは満たしません。同じ1台でも、緩和には使えて省略には使えない、という食い違いが起こります。
参照した条文と、確認した日
本文の法令記述は「電気設備の技術基準の解釈」第19条(接地抵抗値)・第20条(接地線)・第29条(機械器具の金属製外箱等の接地)を、出題の傾向は電気技術者試験センターの公開問題・解答を照合しました。確認日は2026年9月9日です。年度で変わる数値や条文の改正があるため、実務・受験の直前には一次資料で最新版を確認してください。
- 経済産業省:電気設備の技術基準の解釈(令和7年11月20日改正)
- 経済産業省:電気設備の技術基準の解釈の解説
- 電気技術者試験センター:2026年度上期 第二種学科試験問題(D種接地工事の出題)
- 電気技術者試験センター:2026年度上期 第二種学科試験解答
- 電気技術者試験センター:2025年度下期 第二種学科試験問題
- 電気技術者試験センター:第二種学科試験のポイント
- 経済産業省:電気工事士の資格範囲
- 経済産業省:電気工事・エアコン設置工事Q&A
次に読む記事
次は接地工事のミニテスト10問で、図3の4つの問いを条件を変えながら通してください。判定が速くなります。
そのあと絶縁抵抗・接地抵抗の測定へ進むと、ここで決めた10Ω・100Ω・500Ωを、接地抵抗計で実際に測って判定する側から確認できます。
条文の全体像から押さえ直したいときは電気設備技術基準で、電圧区分・絶縁性能・地絡保護をひとつながりにできます。
広告・編集方針
この記事内に通信講座、教材、測定器のアフィリエイトリンクは掲載していません。2026年9月9日に、経済産業省の現行電技解釈第19・20・29条と同解説、電気技術者試験センターの2026年度上期・2025年度下期の学科試験問題と解答を照合しました。図1〜図3と自己チェック6問は当サイトのオリジナルで、過去問の文面は転載していません。
※当サイトの画像にはAI生成のものが含まれており、実際の機器・器具とは外観が異なる場合があります。問題・解答の内容には細心の注意を払っておりますが、誤りが含まれる可能性があります。学習の参考としてご活用いただき、最終的な確認は公式テキスト・法令等で行ってください。当サイトの情報に基づく判断によって生じた損害について、一切の責任を負いかねます。
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