2種 基本作業

リングスリーブの圧着接続をマスター|サイズ・刻印の選び方|第二種電気工事士 技能試験

この記事でわかること

  • リングスリーブのサイズ・刻印の選び方(対応表)
  • 圧着工具の正しい使い方と圧着手順
  • 電線の組み合わせ別の刻印判定(○・小・中)
  • 圧着不良で欠陥になるパターンと対策

結論から言います

リングスリーブとは、金属製の小さな筒で、電線同士を接続するために使う材料です。電線をリングスリーブの中に差し込んで、専用の圧着工具(あっちゃくこうぐ)でギュッと潰して接続します。

技能試験ではほぼ100%出題される最重要テクニックです。「サイズ」と「刻印」の組み合わせを間違えると一発で重大欠陥=不合格になるので、この記事で完璧にマスターしましょう。

イメージとしては、ストローの中にパスタを2〜3本入れて、ペンチでギュッと潰す感じです。潰すことで中の電線がしっかり密着し、電気が流れるようになります。

リングスリーブとは?基本を押さえよう

リングスリーブは、正式にはE形リングスリーブと呼ばれる金属製の円筒形の接続材料です。

  • 材質は銅製(電気をよく通す)
  • 電線の絶縁被覆(ビニールの部分)を剥いて、露出した心線(銅線)を差し込む
  • 専用の圧着工具で圧着すると、工具のダイスが刻印を刻む
  • 圧着後は絶縁テープを巻いて絶縁する(試験では不要な場合あり)

差込形コネクタ(ワゴとも呼ばれるプラスチック製のもの)と並んで、電線の接続方法の2大手法のひとつです。差込形コネクタは「差し込むだけ」で簡単ですが、リングスリーブはサイズ選び・刻印・圧着の手順を正確に覚える必要があります。

リングスリーブのサイズと刻印の選び方【最重要】

ここが技能試験の最大のヤマです。電線の太さと本数の組み合わせによって、使うリングスリーブのサイズと、圧着工具で刻む刻印が決まっています。

間違えると重大欠陥(=即不合格)なので、この対応表は完璧に暗記してください。学科試験での刻印判定は 材料の拾い出し の記事でも練習できます。

リングスリーブのサイズ・刻印 対応表

電線の組み合わせ スリーブサイズ 刻印
1.6mm × 2本 ○(丸)
1.6mm × 3本
1.6mm × 4本
2.0mm × 1本 + 1.6mm × 1本
2.0mm × 1本 + 1.6mm × 2本
2.0mm × 1本 + 1.6mm × 3本
2.0mm × 2本
2.0mm × 2本 + 1.6mm × 1本
2.0mm × 2本 + 1.6mm × 2本

表をまるごと暗記するのは大変ですよね。そこで、断面積で判断する方法を覚えましょう。

断面積で覚える!サイズ・刻印の判定法

電線の直径から断面積(公称断面積)がわかります。

  • 1.6mm → 断面積 2.0mm²
  • 2.0mm → 断面積 3.5mm²

この断面積の合計で、サイズと刻印を判定します。

断面積で判定するフローチャート
接続する電線の断面積を合計する
合計 8.0mm² 以下
→ 小スリーブ
合計 4.0mm² 以下
(1.6mm×2本のみ)
→ 刻印「○」

それ以外
→ 刻印「小」

合計 8.0mm² 超
→ 中スリーブ

→ 刻印「中」

たとえば「2.0mm×1本+1.6mm×2本」の場合は、3.5 + 2.0 + 2.0 = 7.5mm²。8.0以下なので小スリーブ、3.5を超えるので刻印は「小」です。

もうひとつ、「2.0mm×2本+1.6mm×1本」なら、3.5 + 3.5 + 2.0 = 9.0mm²。8.0を超えるので中スリーブ・刻印は「中」です。

この判定法を覚えてしまえば、表を丸暗記しなくても、どんな組み合わせでもその場で判定できます。

圧着工具(JIS C 9711適合品)について

リングスリーブを圧着するには、専用の圧着工具が必要です。普通のペンチで潰してはいけません。

試験で使える圧着工具の条件

  • JIS C 9711に適合した圧着工具であること
  • 目印は黄色いグリップ(柄) — 黄色なら適合品です
  • ホームセンターや通販で「リングスリーブ用 圧着工具」として売られているものを購入しましょう

圧着工具を持っていない方は、技能試験の準備で必ず購入してください。工具の選び方について詳しくは「鑑別問題対策|工具・材料・器具の名称と用途を完全網羅」も参考にしてください。また、試験当日に持ち込む工具については「第二種電気工事士 試験当日の持ち物・注意事項|学科・技能それぞれ解説」で確認できます。

ダイスの種類

圧着工具のアゴ(挟む部分)にはダイスと呼ばれる刻印が刻まれています。

ダイス 対応スリーブ 備考
小スリーブ 1.6mm×2本のとき
小スリーブ ○以外の小スリーブ
中スリーブ 断面積合計8.0超のとき
大スリーブ 第二種では出題されない

ポイントは、小スリーブでもダイスが2種類(○と小)あることです。ここが間違いやすいので要注意。

圧着接続の手順【6ステップで完了】

それでは、実際の圧着手順をステップ形式で見ていきましょう。

STEP 1:電線の絶縁被覆を剥く

ケーブルストリッパ(VVFストリッパ)を使って、電線の絶縁被覆(ビニールの被覆)を約20mm剥きます。

20mmの目安は、リングスリーブを被せたときに心線がスリーブの上からしっかり出る長さです。短すぎると心線が足りず、長すぎると後で切る量が増えるだけなので、20mm前後を目指しましょう。

STEP 2:心線をそろえる

複数の電線の心線を束ねて、先端の位置を揃えます。先端がバラバラだと、圧着後にスリーブから飛び出す長さが均一にならず、見た目も仕上がりも悪くなります。

コツは、電線を片手でまとめて持ち、もう片方の手で先端をトントンとテーブルに軽く当てて揃えることです。

STEP 3:リングスリーブに心線を差し込む

揃えた心線をリングスリーブの穴に差し込みます。このとき、以下の点に注意してください。

  • 絶縁被覆がスリーブの中に入らないこと(被覆がスリーブの下端付近に来るのが理想)
  • 心線がスリーブの上端から出ること(出ていないと欠陥になる)
  • 全ての電線が確実に差し込まれていること

STEP 4:正しいダイスを選択する

先ほどの対応表で確認した刻印に合わせて、圧着工具のダイスを選びます。

  • 刻印「○」→ ダイス○の位置にセット
  • 刻印「小」→ ダイス小の位置にセット
  • 刻印「中」→ ダイス中の位置にセット

ダイスの選択ミス=刻印の間違い=重大欠陥です。圧着する前に、もう一度電線の組み合わせを確認しましょう。

STEP 5:リングスリーブを圧着する

リングスリーブの中央付近を圧着工具で挟み、ハンドルを最後まで握り込みます

JIS適合の圧着工具は、ハンドルを最後まで握るとラチェット機構が解除されてパチッと開く仕組みです。途中で手を緩めても、ラチェットがかかっているので開きません。必ず「パチッ」と音がするまで握り込んでください。

途中で開いてしまった=圧着が不完全=欠陥判定になります。

STEP 6:心線の余りを切断する

圧着が完了したら、スリーブの上から飛び出した心線の余りをペンチで切断します。心線はスリーブの上端から約5mm程度残すのが目安です。

切らずに長いまま放置すると、他の線と接触してショートする危険があります。必ず切断しましょう。

欠陥判定ポイント【これをやったら不合格】

技能試験では、完成した作品を判定員がチェックします。リングスリーブ関連で重大欠陥になるポイントをまとめました。

リングスリーブの欠陥判定ポイント
リングスリーブのサイズ間違い → 重大欠陥
刻印の間違い(ダイスの選択ミス) → 重大欠陥
圧着が不完全(ハンドルを最後まで握っていない)
絶縁被覆がスリーブ内に入っている
心線がスリーブから出ていない
心線の先端を切っていない(長いまま放置)

特にサイズと刻印の間違いは取り返しがつかないミスです。試験中に「あれ、これで合ってるかな?」と思ったら、焦らず対応表を頭の中で確認してから圧着しましょう。

よくある失敗と対策

失敗1:サイズ・刻印の組み合わせを間違える

最も多い失敗です。特に「小スリーブなのに刻印は○?小?」で迷うパターン。

対策:断面積の合計で判定する方法を練習時に何度も繰り返し、体に覚え込ませましょう。「1.6mm×2本だけが○、それ以外の小スリーブは全部”小”」と覚えるのもシンプルで効果的です。

失敗2:圧着工具のハンドルを最後まで握らない

力が足りなくて途中で止まってしまうケースです。特に中スリーブは電線の本数が多い分、握り込むのに力がいります。

対策:事前に練習で何度も圧着して、必要な握力と感覚を身につけておきましょう。ラチェットが「パチッ」と解除される感覚を体で覚えてください。

失敗3:電線の差し込み不足

心線がスリーブの上端から出ていなかったり、一部の電線が奥まで入っていなかったりするケースです。

対策:差し込んだ後、圧着する前に目視で確認する癖をつけましょう。「全ての心線がスリーブの上から見えているか?」「被覆がスリーブに噛み込んでいないか?」の2点チェックです。

時短のコツ

技能試験は40分の時間制限があります。リングスリーブの圧着で時間をロスしないためのコツを紹介します。

  • 対応表は完全暗記:試験中に迷う時間がゼロになります。断面積計算を頭の中で即座にできるように練習しましょう
  • 心線を揃えるときはテーブルを活用:電線をまとめて持ち、先端をテーブルにトンと当てると一瞬で揃います
  • 剥く長さは統一:リングスリーブ接続用は常に20mmと決めておけば、毎回迷わずに済みます
  • 圧着→切断をリズムよく:1箇所ずつ「差す→圧着→切る」を流れ作業で行うと効率的です

電線・ケーブルの種類については「電線・ケーブルの種類と用途を徹底解説」で詳しく解説していますので、あわせて確認しておくと理解が深まります。

まとめ

リングスリーブによる圧着接続のポイントを振り返りましょう。

  • リングスリーブは金属製の筒で、電線を差し込んで圧着して接続する
  • サイズは小と中(試験範囲)、刻印は○・小・中の3種類
  • 断面積の合計で判定:8.0以下→小、8.0超→中。小の中で3.5以下→○、それ以外→小
  • 圧着工具はJIS C 9711適合品(黄色いグリップ)を使用
  • 圧着の手順:剥く→揃える→差す→ダイス選択→圧着→切断
  • サイズ・刻印の間違いは重大欠陥=不合格

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理解度チェック!まとめ問題

最後に、この記事の内容が身についたか確認しましょう。全問正解を目指してください。

【問題1】

直径1.6mmの電線3本をリングスリーブで圧着接続する場合、使用するリングスリーブのサイズと圧着工具の刻印の組み合わせとして正しいものはどれか。

ア.小スリーブ・刻印○
イ.小スリーブ・刻印小
ウ.中スリーブ・刻印中
エ.中スリーブ・刻印小

解答を見る

正解:イ(小スリーブ・刻印小)
1.6mm×3本の断面積合計は 2.0×3=6.0mm²。8.0以下なので小スリーブ、3.5を超えるので刻印は「小」です。刻印「○」は1.6mm×2本(合計3.5以下)のときだけ使います。

【問題2】

直径2.0mmの電線2本と直径1.6mmの電線1本をリングスリーブで圧着接続する場合、使用するリングスリーブのサイズと圧着工具の刻印の組み合わせとして正しいものはどれか。

ア.小スリーブ・刻印小
イ.小スリーブ・刻印中
ウ.中スリーブ・刻印小
エ.中スリーブ・刻印中

解答を見る

正解:エ(中スリーブ・刻印中)
2.0mm×2本+1.6mm×1本の断面積合計は 3.5+3.5+2.0=9.0mm²。8.0を超えるので中スリーブ、刻印は「中」になります。

【問題3】

リングスリーブの圧着に使用する工具として適切なものはどれか。

ア.赤いグリップのペンチ
イ.JIS C 9711適合の黄色いグリップの圧着工具
ウ.プライヤ(ウォーターポンププライヤ)
エ.ラジオペンチ

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正解:イ(JIS C 9711適合の黄色いグリップの圧着工具)
リングスリーブの圧着にはJIS C 9711に適合した専用の圧着工具を使います。黄色いグリップが適合品の目印です。ペンチやプライヤで潰すことはできません(正しい刻印が刻まれず、欠陥判定になります)。

【問題4】

リングスリーブによる圧着接続の施工で、重大欠陥に該当しないものはどれか。

ア.指定と異なるサイズのリングスリーブを使用した
イ.圧着工具のダイスを間違え、誤った刻印が刻まれた
ウ.心線の先端がスリーブの上端から5mm出ている
エ.絶縁被覆がスリーブの内部に入り込んでいる

解答を見る

正解:ウ(心線の先端がスリーブの上端から5mm出ている)
心線がスリーブから適度に出ているのは正常な状態です。アのサイズ間違い・イの刻印間違い・エの被覆噛み込みはいずれも欠陥判定の対象となります。

次のステップ

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