この記事でわかること
- 金属管(薄鋼C管・厚鋼G管)の特徴と付属品の名称
- PF管(耐燃性)とCD管(非耐燃性・コンクリート埋設専用)の違い
- 金属管工事の施工手順と接地工事の要否
- 管内に通せる電線の種類と本数の制限ルール
結論から言います:電線を「管」に通して保護する工事方法です
金属管工事(きんぞくかんこうじ)・PF管工事・CD管工事は、いずれも電線を管(パイプ)の中に通して保護する配線方法です。
ざっくり言うと、こんな違いがあります。
- 金属管 → 鉄のパイプ。機械的にめちゃくちゃ強いけど、重くて曲げにくい
- PF管(合成樹脂可とう電線管) → プラスチック製で自在に曲がる。燃えにくい(耐燃性)
- CD管(同じくプラスチック製) → オレンジ色が目印。コンクリート埋設専用で燃えやすい(非耐燃性)
「管に通して保護する」という目的は同じですが、材質と使える場所がまったく違います。試験では使用場所の制限と付属品の名前がよく問われるので、この記事でしっかり覚えていきましょう。
なお、管の中に通す電線はIV電線(600Vビニル絶縁電線)などの絶縁電線を使います。電線の種類についてはこちらの記事を参考にしてください。
→ 電線・ケーブルの種類と用途を徹底解説
金属管工事とは?
金属管工事は、金属製のパイプ(電線管)の中に絶縁電線を通して配線する工事方法です。鉄でできているので機械的な衝撃に強く、工場やビル、コンクリートに埋め込む配管など、電線をしっかり守りたい場所で使われます。
薄鋼電線管(C管)と厚鋼電線管(G管)の違い
金属管には大きく分けて2種類あります。
現場では、屋内の一般的な配線ならC管、屋外や特に強度が必要な場所ではG管を使うのが基本です。C管はねじ切りができないため、接続にはカップリングを使います。G管はねじ切りしてねじ込み接続ができます。
金属管の付属品(ふぞくひん)
金属管工事では、管を接続したり固定したりするための付属品がたくさん出てきます。試験の鑑別(かんべつ)問題でも頻出なので、名前と用途をセットで覚えましょう。
工具・材料の見た目と用途については、こちらの記事も合わせて確認してください。
→ 鑑別問題対策|工具・材料・器具の名称と用途を完全網羅
| 付属品 | 用途 |
|---|---|
| カップリング | 管と管をまっすぐ接続する金具 |
| ノーマルベンド | 90度の曲がり部分に使う既製品の曲がり管 |
| ユニバーサル | 管とボックスの接続部で角度調整ができる金具 |
| ロックナット | 管をボックスに固定するためのナット |
| ブッシング | 管の端に取り付けて、電線の被覆(ひふく)が管の切り口で傷つくのを防ぐ保護リング |
| サドル | 管を壁や天井に固定する金具 |
| エントランスキャップ | 管の端に取り付けて雨水の浸入を防ぐキャップ |
| ボンド線 | 管と管・管とボックスの電気的接続を確保する銅線 |
覚え方のコツ:「管の切り口が危ない → ブッシングで保護」「管がボックスから抜けないように → ロックナットで固定」というように、なぜ必要かをセットで覚えると忘れにくくなります。
金属管工事の施工ポイント(試験で問われるところ)
ここからが試験で本当によく出る部分です。一つずつ確認していきましょう。
1. 管内に接続点を設けてはいけない
金属管の中で電線を接続する(ジョイントする)のは禁止です。電線の接続は必ずボックス(アウトレットボックスなど)の中で行います。
なぜ? → 管の中で接続すると、接続部分が見えなくなります。もし接続不良で発熱しても発見できず、火災の原因になるからです。ボックスの中なら蓋を開けて点検できますよね。
2. 管の曲げ:内側半径は管内径の6倍以上
金属管を現場でベンダー(管を曲げる工具)で曲げるときは、曲げの内側半径を管の内径の6倍以上にする必要があります。
なぜ? → 急な角度で曲げると、管の中を通っている電線が引っかかって通しにくくなります。さらに電線に無理な力がかかって被覆が傷つき、漏電(ろうでん)の原因になります。「ゆるやかに曲げて、電線がスムーズに通るようにする」と覚えましょう。
また、1区間の曲げは3箇所以内、合計270度以内というルールもあります。それ以上曲げると電線が通らなくなるためです。
3. 管内の電線はIV電線(絶縁電線)
金属管の中に通す電線はIV電線(600Vビニル絶縁電線)などの絶縁電線です。VVFケーブルのような外装(がいそう)付きのケーブルは使いません。管自体が保護の役割を果たしているので、管の中に通すのは絶縁電線で十分というわけです。
4. D種接地工事が必要
金属管は名前のとおり金属でできているので、万が一漏電すると管に触れた人が感電する危険があります。そのため、金属管にはD種接地工事(アース)が必要です。
接地工事の種類や詳しいルールについては、こちらの記事で解説しています。
→ 接地工事(アース)をわかりやすく解説!A種〜D種の違い
なぜ? → 漏電が起きたとき、電流をアースに逃がして漏電遮断器(ろうでんしゃだんき)を素早く動作させるためです。アースがないと、人の体を通って電流が流れてしまい、大変危険です。
5. ボンド線の取り付け
ボンド線は、管と管、管とボックスの電気的な接続(ボンディング)を確保するための銅線です。
なぜ必要? → 金属管は1本のつながったパイプではなく、カップリングやボックスで何箇所も接続されています。接続部分の接触が悪いと、せっかく接地工事をしても電気的につながっていないので意味がありません。ボンド線を巻き付けることで、管全体が確実にアースにつながるようにしています。
ただし、管とボックスをねじ接続(ロックナット2個で挟む方法など)で確実に電気的接続ができている場合は、ボンド線を省略できます。
6. 金属管工事の使用場所
金属管工事は、ほぼすべての場所で施工できる万能型の工事方法です。
- 工場 → 機械の振動や衝撃から電線を守る
- ビル → 壁の中や天井裏の隠ぺい配線
- コンクリート埋設 → コンクリート打設前に管を設置して、あとから電線を通す
- 屋外 → 厚鋼電線管(G管)を使って防水処理を施す
現場のイメージとしては、ビルの建設現場で天井裏にずらっと金属管が並んでいる光景を思い浮かべてください。完成後は壁や天井の中に隠れてしまいますが、建設中は大量の金属管が見えます。
合成樹脂可とう電線管工事(PF管・CD管)
合成樹脂可とう電線管(ごうせいじゅしかとうでんせんかん)は、プラスチック製の柔軟に曲がる電線管です。「可とう」は「自由に曲げられる」という意味です。
金属管のようにベンダーで曲げる必要がなく、手で簡単に曲げられるのが最大のメリットです。軽いので持ち運びもラクですし、施工時間も大幅に短縮できます。
PF管とCD管の違い
合成樹脂可とう電線管にはPF管とCD管の2種類があります。見た目も使える場所もまったく違うので、しっかり区別しましょう。
試験での超重要ポイント:CD管はコンクリート埋設専用です!「オレンジ色の管=CD管=コンクリート埋設のみ」と覚えてください。
なぜCD管はコンクリート埋設のみ? → CD管は耐燃性がない(燃えやすい)ため、露出配線で使うと火災のリスクがあります。コンクリートの中に埋めてしまえば、酸素がないので燃える心配はありません。一方PF管は自己消火性(じこしょうかせい)があり、火を近づけても自分で消えるので、露出配管でも安全に使えます。
PF管・CD管の付属品
| 付属品 | 用途 |
|---|---|
| コネクタ | 管をボックスに接続する金具 |
| カップリング | 管と管を接続する金具 |
| サドル | 管を壁や天井に固定する金具 |
| ボックスコネクタ | 管をアウトレットボックスに接続する部品 |
金属管と比べると付属品の数が少ないのがわかりますよね。PF管・CD管は金属ではないので、ブッシング(電線保護)やボンド線(電気的接続)は不要です。
PF管・CD管工事の施工ポイント
1. 支持間隔は1.5m以下
PF管・CD管を壁や天井に固定するとき、サドルの間隔は1.5m以下にする必要があります。
なぜ? → プラスチック製なので金属管より柔らかく、支持間隔が広いと管が垂れ下がったり、たわんだりします。電線の重みで管がたるむと、見た目が悪いだけでなく、管の接続部分に無理な力がかかって外れる原因にもなります。
2. 管内に接続点を設けない
これは金属管工事と同じルールです。電線の接続は必ずボックスの中で行います。理由も同じで、管内の接続不良は点検できず危険だからです。
3. 接地工事は不要
PF管・CD管は合成樹脂(プラスチック)でできています。プラスチックは電気を通さない絶縁体なので、たとえ管の中で漏電が起きても、管に触れた人が感電することはありません。
だから接地工事(アース)は不要です。金属管との大きな違いですね。
4. 管の曲げ:内側半径は管内径の6倍以上
PF管・CD管は手で簡単に曲げられますが、極端に急な角度で曲げるのはNGです。金属管と同様、曲げの内側半径は管内径の6倍以上が原則です。急角度だと電線が通しにくくなる理由も同じです。
5. 現場での使われ方
- PF管:マンションの天井裏、壁の中の隠ぺい配線、露出配管。軽くて曲げやすいので、狭い場所でも施工しやすい
- CD管:マンションや商業ビルのコンクリートスラブ(床)に埋め込む。コンクリートを流す前に、鉄筋と一緒にCD管を配置しておき、コンクリートが固まったあとで電線を通す
現場でオレンジ色の管が鉄筋の間に配置されているのを見たら、それがCD管です。コンクリートを打つ前にしか設置できないので、配管計画は建物の設計段階で決めておく必要があります。
金属管 vs PF管 vs CD管 比較表
3種類の管工事の違いを一覧表にまとめました。試験直前の復習にも使ってください。
| 項目 | 金属管 | PF管 |
|---|---|---|
| 材質 | 鉄(金属) | 合成樹脂 |
| 耐燃性 | 燃えない | あり(自己消火性) |
| 使用場所 | ほぼ全場所 | 露出・隠ぺい両方 |
| 接地工事 | D種 必要 | 不要 |
| ボンド線 | 必要 | 不要 |
| 重さ | 重い | 軽い |
| 曲げ | ベンダー使用 | 手で曲がる |
| 項目 | CD管 | 備考 |
|---|---|---|
| 材質 | 合成樹脂 | PF管と同じ素材 |
| 耐燃性 | なし | だから埋設のみ |
| 使用場所 | コンクリート埋設のみ | 露出配管NG |
| 接地工事 | 不要 | 合成樹脂のため |
| 色 | オレンジ | PF管と区別するため |
| 曲げ | 手で曲がる | PF管と同様 |
比較表で注目してほしいのは「接地工事」の欄です。金属管だけ「必要」ですよね。これは金属が電気を通すからです。PF管・CD管は絶縁体なので不要。この違いは試験で必ず問われると思ってください。
管のサイズと電線の占積率(せんせきりつ)
管の中に電線を通すとき、管の断面積に対してどれくらい電線が占めてよいかというルールがあります。これを占積率(せんせきりつ)と呼びます。
なぜ占積率のルールがあるのか?
管の中に電線をパンパンに詰め込むと、こんな問題が起きます。
- 電線を引っ張って通すときに被覆が傷つく
- 電線同士が密着して放熱できなくなり、過熱する
- あとから電線を追加したり入れ替えたりできない
だから「管の断面積の32%まで」というゆとりを持たせて、安全に施工・保守できるようにしているんですね。電線が1本だけなら少し余裕があるので48%まで認められています。
試験では「電線3本以上 → 32%以下」が問われやすいので、この数字はしっかり暗記しましょう。
現場でのイメージをつかもう
ビルの配管工事(金属管・PF管)
ビルの建設現場では、壁や天井の中に大量の金属管やPF管が走っています。コンクリートの梁(はり)に沿って金属管が配管され、その中にIV電線が通されます。分岐する場所にはアウトレットボックスが設置され、ボックスの中で電線を接続します。
最近はPF管の使用比率が増えています。金属管より軽くて施工が速いため、工期短縮とコスト削減になるからです。ただし、機械的な強度が必要な場所(工場の床面近くなど)では、依然として金属管が選ばれます。
コンクリート打設前のCD管布設(ふせつ)
マンションの建設現場で、コンクリートを流し込む前のスラブ(床)を見ると、鉄筋の間にオレンジ色のCD管がうねうねと配置されているのが見えます。
施工の流れはこうです。
- 型枠と鉄筋を組む
- CD管を鉄筋に結束線で固定する(コンクリートを流すときに動かないように)
- コンクリートを流し込む(打設)
- コンクリートが固まったあと、CD管の中に電線を通す
CD管は柔軟に曲がるので、鉄筋を避けながら配管するのに適しています。コンクリートに埋まってしまえば、耐燃性がなくても問題ないというわけです。
技能試験との接点
金属管・PF管の知識は技能試験でも問われます。
- 候補問題No.11(ねじなし電線管E19)では、金属管の施工が出題。ウォーターポンププライヤでロックナットを締めます
- 候補問題No.12(PF管PF16)では、PF管の施工が出題。ボックスコネクタの取り付けが必要です
- ロックナットの締め忘れや接続不良は重大欠陥 → 「欠陥判定基準」で確認
施工で間違えやすいポイント3選
管工事の問題では、3つの管の「できること・できないこと」を混同させる引っかけが定番です。
まとめ問題にチャレンジ!
ここまでの内容を確認する問題を3問用意しました。解答ボタンをクリックして答え合わせしてみましょう。
【問題1】
ある工場で金属管工事を行うことになった。次の記述のうち、誤っているものはどれか。
- 金属管の中にIV電線を通して配線した
- 管とボックスの接続部分にボンド線を取り付けた
- 電線の接続は管内で行い、テープを巻いて絶縁処理をした
- 金属管にD種接地工事を施した
【問題2】
コンクリートスラブに電線管を埋め込んで配線する工事を行う。使用する電線管として適切なものはどれか。
- PF管のみ使用できる
- CD管のみ使用できる
- PF管・CD管のどちらも使用できる
- 金属管のみ使用できる
【問題3】
次の電線管工事に関する記述のうち、正しいものはどれか。
- CD管は耐燃性があるので、露出配管で使用できる
- PF管工事ではD種接地工事が必要である
- 金属管を曲げるとき、曲げの内側半径は管内径の6倍以上とする
- 合成樹脂可とう電線管の支持間隔は2m以下とする
確認クイズ
Q1. CD管(合成樹脂可とう電線管)が使用できる場所はどこですか?
Q2. 金属管工事で、管を曲げるときの内側半径は管内径の何倍以上にしなければなりませんか?
Q3. 金属管工事ではD種接地工事が必要ですが、PF管工事・CD管工事では接地工事は必要ですか?その理由も答えてください。
まとめ
この記事では、金属管工事・PF管工事・CD管工事の3つの管工事について解説しました。最後に要点を整理しておきます。
- 金属管工事:機械的強度が高い。D種接地工事とボンド線が必要。ほぼ全ての場所で施工可能
- PF管工事:耐燃性あり。露出・隠ぺい・埋設どれもOK。接地工事不要。支持間隔1.5m以下
- CD管工事:非耐燃性(オレンジ色)。コンクリート埋設のみ。接地工事不要
- 共通ルール:管内に接続点を設けない。曲げの内側半径は管内径の6倍以上。管内の電線はIV電線などの絶縁電線
- 占積率:電線3本以上 → 32%以下、電線1本 → 48%以下
試験で特に狙われるのは、「CD管はコンクリート埋設のみ」と「金属管はD種接地工事が必要」の2点です。この2つは絶対に覚えておきましょう!他の施工方法として「ケーブル工事」や「金属線ぴ工事・金属ダクト工事」もあわせて学んでおくと、施工方法分野を網羅できます。
次のステップ
施工方法分野は範囲が広いですが、出題パターンは決まっています。第二種電気工事士 学習ロードマップで全体の学習順序を確認しましょう。
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管工事は金属管・PF管・CD管の違いが繰り返し出題されます。過去問で「どの管がどこに使えるか」を体に染み込ませましょう。
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