電気機器・材料・工具

電線・ケーブルの種類と用途を徹底解説|第二種電気工事士 電気機器・材料

この記事でわかること

  • 絶縁電線とケーブルの構造の違いと使い分け
  • IV・HIV・DV・OWなど絶縁電線の種類と用途
  • VVF・VVR・CV・EMなどケーブルの種類と特徴
  • 試験で問われる電線の記号と名称の覚え方

結論から言います:電線とケーブルは「別モノ」です

電線とケーブル、どちらも電気を通す「線」ですが、構造がまったく違います

ざっくり言うと、こうです。

  • 絶縁電線(ぜつえんでんせん):銅の導体(どうたい)にビニルなどの絶縁体を巻いたもの。そのままでは外からの衝撃に弱いので、電線管(でんせんかん)に通して使うのが基本。
  • ケーブル:絶縁電線をさらに外装(がいそう)=シースで覆ったもの。外装が鎧(よろい)の役割をするので、管に入れなくてもそのまま配線できる

試験でも現場でも、この違いを押さえておくことが出発点になります。ここから、種類と特徴を一つずつ見ていきましょう。

電線とケーブルの構造の違い
絶縁電線
【中心】銅の導体
【外側】絶縁体(ビニル等)

管に通して使う

ケーブル
【中心】銅の導体
【中間】絶縁体(ビニル等)
【外側】外装(シース)

そのまま配線OK

現場で「VVFを管に入れてくれ」と言われることはまずありません。ケーブルはシースがあるからこそ、天井裏や壁の中をそのまま通せるわけですね。

絶縁電線の種類と特徴

まずは絶縁電線から整理します。第二種電気工事士の試験で出題されるのは主に5種類です。

IV(600Vビニル絶縁電線)

電気工事で最も基本となる電線です。IVの「I」はInsulation(絶縁)、「V」はVinyl(ビニル)を意味します。

  • 用途:金属管やPF管などの電線管の中に通す「管内配線(かんないはいせん)」が基本
  • 耐熱温度:60℃
  • 特徴:安価で扱いやすく、一般住宅から工場まで幅広く使われる

なぜ管に入れるのかというと、絶縁体だけでは外からの圧力や摩擦で傷つきやすいからです。管が外装の代わりをしてくれるわけですね。

HIV(600V二種ビニル絶縁電線)

IVの上位版で、耐熱性を高めた電線です。HIVの「H」はHeat resistant(耐熱)を意味します。

  • 用途:高温になりやすい場所の管内配線(照明器具の内部配線など)
  • 耐熱温度:75℃(IVより15℃高い)
  • 特徴:IVと比べて許容電流(きょようでんりゅう)が大きい。幹線(かんせん)設計で電流値を増やしたいときにも使われる

エアコンの室内機のように熱源(ねつげん)の近くを通す場合、IVでは温度が上限に達してしまうことがあります。そんなとき、HIVなら余裕をもって配線できます。

EM-IE(600Vポリエチレン絶縁電線)

近年注目されているエコ電線です。EMは「Eco Material」、IEは「Indoor polyEthylene」の略です。

  • 用途:公共施設や新築の建物など、環境に配慮した建築
  • 特徴:燃えたときに有害なハロゲンガスが出ない(ハロゲンフリー)。火災時の安全性が高い
  • 耐熱温度:75℃

なぜハロゲンフリーが重要かというと、火災でビニルが燃えると塩化水素(えんかすいそ)などの有毒ガスが発生し、逃げ遅れの原因になるからです。病院や学校など多くの人が集まる施設では、EM電線の採用が増えています。

DV(引込用ビニル絶縁電線)

DVの「D」はDrop wire(引込線)を意味します。電柱から建物まで電気を引き込むための電線です。

  • 用途屋外の引込線(ひきこみせん)。電柱から建物の引込口まで
  • 特徴:屋外で使うため、紫外線や風雨にある程度耐えられる。2本または3本の絶縁電線がより合わされた形状

家の外壁に電線が何本か束になって入ってきているのを見たことがありませんか?あれがDVです。

OW(屋外用ビニル絶縁電線)

OWの「O」はOutdoor(屋外)、「W」はWeather proof(耐候性)を意味します。

  • 用途屋外で架空配線(かくうはいせん)する場合に使用。主に高圧の架空電線路
  • 特徴:屋外の厳しい環境(紫外線・風雨・温度変化)に耐えられる絶縁電線

OWは低圧の屋内配線には使いません。「屋外」とついているとおり、電柱間の架空電線路などで活躍します。

絶縁電線の比較表

略号 正式名称 主な用途
IV 600Vビニル絶縁電線 管内配線(最も基本)
HIV 600V二種ビニル絶縁電線 高温箇所の管内配線
EM-IE 600Vポリエチレン絶縁電線 環境配慮建築(エコ電線)
DV 引込用ビニル絶縁電線 電柱→建物の引込
OW 屋外用ビニル絶縁電線 屋外の架空配線

ケーブルの種類と特徴

次はケーブルです。ケーブルは絶縁電線にシース(外装)を被せたもので、管に入れなくてもそのまま配線できるのが最大のメリットでした。試験で問われるのは主に4種類です。

VVF(600Vビニル絶縁ビニルシースケーブル平形)

住宅の電気配線で圧倒的に使用頻度が高いケーブルです。第二種電気工事士の技能試験でも、ほぼ全ての候補問題で登場します。

  • 正式名称:600Vビニル絶縁ビニルシースケーブル平形(ひらがた)
  • 構造:2本または3本の絶縁電線を平たく並べて、ビニルのシースで覆ったもの
  • 用途:住宅・事務所などの屋内配線全般。天井裏、壁の中、露出配線まで万能
  • 特徴:平形なのでステープル(留め具)で壁に固定しやすい

現場では「Fケーブル」「VA(ブイエー)」とも呼ばれます。1.6mm×2芯(2心)、1.6mm×3芯、2.0mm×2芯あたりが定番サイズです。

VVR(600Vビニル絶縁ビニルシースケーブル丸形)

VVFの「丸形バージョン」です。

  • 構造:絶縁電線を丸くまとめ、介在物(かいざいぶつ=隙間を埋める紐状の素材)を入れてシースで覆う
  • 用途:太い幹線(かんせん)や引込口付近など、太いサイズが必要な箇所
  • 特徴:丸形のため曲げやすく、太いサイズのラインナップが豊富

平形のVVFが主役だとすると、VVRは脇役的な存在ですが、分電盤(ぶんでんばん)への引込部分など、ここぞという場面で登場します。

CV(600V架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル)

「架橋(かきょう)ポリエチレン」という高性能な絶縁体を使ったケーブルです。

  • 正式名称:600V架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル
  • 用途:工場やビルなどの大電流を流す幹線、高圧回路にも対応
  • 特徴:耐熱温度が90℃と高く、VVF(60℃)より大きな電流を流せる。絶縁性能も高い

CVは住宅ではあまり見かけませんが、ビルや工場の電気室から各フロアへの幹線として大活躍しています。許容電流が大きいので、太い幹線に最適です。許容電流について詳しくは「電線の許容電流と幹線設計をわかりやすく解説」の記事も参考にしてください。

EM-EEF(エコケーブル)

VVFの「エコ版」です。EMは「Eco Material」を意味します。

  • 正式名称:600Vポリエチレン絶縁耐燃性ポリエチレンシースケーブル平形
  • 用途:公共施設など環境配慮が求められる建築物
  • 特徴:ビニル(塩化ビニル)を使っていないので、燃えても有害なハロゲンガスが出ない。構造や使い勝手はVVFとほぼ同じ

絶縁電線のEM-IEと同じ考え方ですね。火災時の安全性を高めたいときに選ばれます。

ケーブルの比較表

略号 正式名称 主な用途
VVF 600Vビニル絶縁ビニルシースケーブル平形 住宅の屋内配線(最も一般的)
VVR 600Vビニル絶縁ビニルシースケーブル丸形 太い幹線・引込口付近
CV 600V架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル 工場・ビルの幹線、高圧対応
EM-EEF ポリエチレン絶縁耐燃性ポリエチレンシースケーブル平形 環境配慮建築(エコケーブル)

電線の記号の読み方 ── アルファベットを分解すれば覚えられる

電線やケーブルの記号は、一見すると暗号のようですが、アルファベット1文字ずつに意味があるので、分解すれば簡単に覚えられます。

記号 意味 由来
V ビニル(塩化ビニル) Vinyl
I 絶縁 Insulation
H 耐熱 Heat resistant
F 平形 Flat
R 丸形 Round
C 架橋(ポリエチレン) Cross-linked
D 引込線 Drop wire
O 屋外用 Outdoor
W 耐候性 Weather proof
EM エコ素材 Eco Material

たとえばVVFなら「V(ビニル絶縁)+V(ビニルシース)+F(平形)」と分解できます。CVなら「C(架橋ポリエチレン絶縁)+V(ビニルシース)」。記号の意味を知っていれば、名前を丸暗記しなくても正式名称が導き出せます。

より線と単線の違い

電線の導体(銅の部分)には、単線(たんせん)より線の2種類があります。

  • 単線:1本の太い銅線。硬くてしっかりしている。差込形コネクタやスイッチ・コンセントへの接続がラク
  • より線:細い銅線を何本もより合わせたもの。柔らかく曲げやすい。振動のある場所でも折れにくい

単線 vs より線
単線
銅線1本で構成
硬くて丈夫
配線器具への接続が容易
サイズ表記:直径mm
(例:1.6mm、2.0mm)
より線
細い銅線を複数本より合わせ
柔らかく曲げやすい
振動に強く折れにくい
サイズ表記:断面積mm²
(例:2mm²、5.5mm²)

ここで重要なのがサイズの表記方法が違うという点です。

  • 単線 → 直径(mm)で表す(例:1.6mm、2.0mm)
  • より線 → 断面積(mm2で表す(例:2mm2、5.5mm2

住宅のVVFケーブルには主に直径1.6mmまたは2.0mmの単線が使われています。技能試験でもこのサイズの単線を扱うので、手になじませておきましょう。

主要な電線サイズと許容電流

許容電流とは、その電線に安全に流せる電流の最大値のことです。これを超えると電線が発熱し、最悪の場合は火災の原因になります。

以下はIV電線(600Vビニル絶縁電線)の代表的な許容電流です。試験では特に1.6mmと2.0mmと2.6mmが頻出です。

電線サイズ 許容電流
単線 1.6mm 27A
単線 2.0mm 35A
単線 2.6mm 48A
より線 5.5mm2 49A
より線 8mm2 61A

たとえば、一般的な住宅の20Aの分岐回路(ぶんきかいろ)には1.6mm以上の電線を使えばOKです(27A > 20A)。ただし、IHクッキングヒーターなどの30A分岐回路では2.6mm以上が必要です(内線規程の規定)。

許容電流の計算方法や幹線設計のルールについては「電線の許容電流と幹線設計をわかりやすく解説」で詳しく解説しています。あわせて確認してみてください。

現場での使い分け ── どの場面でどの電線・ケーブルを使う?

種類が多くて混乱しそうですが、現場の場面ごとに整理するとスッキリします。

場面別・電線&ケーブルの使い分け
住宅の屋内配線
VVFが主役
天井裏・壁内・露出
コンセント・照明回路
管内配線
IVが基本
高温ならHIV
金属管・PF管に通す
屋外の引込
DVで電柱から建物へ
架空配線はOW

まとめると次のとおりです。

  • 住宅の壁や天井裏VVF(シースがあるのでそのまま配線できる)
  • 金属管やPF管の中IV(管が外装の代わりをする)
  • 高温箇所の管内HIV(IVより耐熱温度が高い)
  • 電柱から建物への引込DV
  • 屋外の架空配線OW
  • ビル・工場の大電流幹線CV(耐熱90℃で許容電流が大きい)
  • 環境配慮が必要な施設EM-EEF(エコケーブル)またはEM-IE(エコ電線)

技能試験で使うのは主にVVFケーブルですが、学科試験ではIVやDVの特徴も問われます。図記号との対応も確認しておくと安心です。図記号については「配線図の図記号一覧|これだけ覚えれば得点源!」でまとめています。

また、ケーブル工事や管内配線では接地工事(アース)と組み合わせることも多いです。接地工事の種類については「接地工事(アース)をわかりやすく解説!A種〜D種の違い」をチェックしてみてください。

試験での出題パターン:電線・ケーブルの種類は、学科の鑑別問題で毎回2〜3問出題されます。「写真を見て名称を答える」「用途を選ぶ」形式が中心。記号のアルファベットの意味さえ覚えれば、正式名称は自力で導き出せます。鑑別の対策は「鑑別問題対策|工具・材料・器具の名称と用途を完全網羅」でまとめています。

技能試験との接点:技能試験で扱うのはほぼVVFケーブル(1.6mm×2芯/3芯、2.0mm×2芯/3芯)です。VVFストリッパーでシースを剥ぎ、芯線を露出させる作業が全候補問題の基本。ケーブルの外装の剥ぎ取り方は「ケーブルの剥ぎ取り・輪づくりをマスター|第二種電気工事士 技能試験」で詳しく解説しています。

鑑別問題での見分けポイント

学科試験の鑑別問題では、電線やケーブルの写真を見て名称や用途を答える問題が出ます。試験で迷わないための見分けポイントをまとめました。

鑑別 見分けポイント 3選

ポイント1: 平形(VVF)vs 丸形(VVR)

断面が平たい→VVF丸い→VVR。VVFは壁にステープルで固定しやすい形状、VVRは太い幹線向け。写真では断面の形状を確認するのが最も確実。

ポイント2: 絶縁電線(IV)vs ケーブル(VVF)

外装(シース)の有無が決め手。導体+絶縁体のみ→IV(絶縁電線)で管に通して使う。外側にもう1層シースあり→VVF(ケーブル)でそのまま配線OK。写真で「灰色のシースに覆われているか」をチェック。

ポイント3: VVF vs EM-EEF(エコケーブル)

外見はほぼ同じだが、EM-EEFのシースには「EM」や「エコ」の文字が印字されている。また「ハロゲンフリー」「耐燃性ポリエチレン」のキーワードが出たらEM-EEF。試験では名称や用途で区別する問題が出やすい。

まとめ問題 ── 理解度チェック!

ここまでの内容が頭に入っているか、3問のクイズで確認しましょう。

【問題1】

新築の住宅で、天井裏にコンセント回路を配線することになりました。一般的に使用するケーブルとして、最も適切なものはどれですか。

  1. IV(600Vビニル絶縁電線)
  2. VVF(600Vビニル絶縁ビニルシースケーブル平形)
  3. DV(引込用ビニル絶縁電線)
  4. OW(屋外用ビニル絶縁電線)
解答を見る

正解:B(VVF)
住宅の屋内配線ではVVFケーブルが最も一般的です。シース(外装)があるので、天井裏にそのまま配線できます。IVは絶縁電線なので管に通す必要があり、DVは屋外引込用、OWは屋外架空配線用なので、住宅の天井裏には使いません。

【問題2】

病院の新築工事で、火災時に有害なガスの発生を抑えたいという要望がありました。配線に使用するケーブルとして最も適切なものはどれですか。

  1. VVF(600Vビニル絶縁ビニルシースケーブル平形)
  2. VVR(600Vビニル絶縁ビニルシースケーブル丸形)
  3. CV(600V架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル)
  4. EM-EEF(600Vポリエチレン絶縁耐燃性ポリエチレンシースケーブル平形)
解答を見る

正解:D(EM-EEF)
EM-EEFはハロゲンフリーのエコケーブルです。ビニル(塩化ビニル)を使っていないため、火災時に有害なハロゲンガス(塩化水素など)が発生しません。病院のように多くの人が集まり、避難に時間がかかる施設では、有害ガスの抑制が重要になります。VVF・VVR・CVはいずれもビニルを含んでいます。

【問題3】

工場の分電盤に至る幹線で、大きな電流を流す必要があり、周囲温度も高くなる環境です。耐熱温度が最も高いケーブルはどれですか。

  1. VVF(耐熱温度 60℃)
  2. VVR(耐熱温度 60℃)
  3. CV(耐熱温度 90℃)
  4. EM-EEF(耐熱温度 75℃)
解答を見る

正解:C(CV)
CVケーブルは架橋ポリエチレン絶縁を使用しており、耐熱温度が90℃と最も高いです。VVFとVVRはビニル絶縁のため60℃、EM-EEFはポリエチレン絶縁で75℃です。工場のように高温環境で大電流を流す幹線には、CVケーブルが最適です。

次のステップ

電線・ケーブルの種類を理解したら、実際の施工方法や関連分野に進みましょう。

学習の全体像を確認したい方は「第二種電気工事士 学習ロードマップ|合格までの全ステップを完全ガイド」をご覧ください。

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理解度をチェック!

この記事の内容をどれくらい理解できたか、ミニテストで確認してみましょう。

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