2種 配電理論・配線設計

分岐回路と幹線の設計|許容電流・遮断器・コンセント・3mルール

この記事では、負荷から幹線電線の必要許容電流を求め、遮断器の上限、分岐回路の電線・コンセント、遮断器までの距離を順に判定できるようになります。判断軸は「必要な電流」「選んだ電線が流せる電流」「遮断器が守る区間」です。ここを先に決めると1.25倍と3倍の式を取り違えません。

対象は試験で扱う一般的な低圧幹線・分岐回路です。実際の設計は電線種類、施設方法、温度、電圧降下、短絡電流、負荷の始動、保護協調、設計図書とメーカー仕様を含めて有資格者・設計者が判断します。

低圧分岐回路とは

低圧分岐回路は、低圧幹線から分かれて電気使用機械器具に至る低圧電路です。住宅の分電盤に並ぶ子ブレーカーの負荷側は代表例ですが、建物名や用途名ではなく、幹線から分岐し、過電流遮断器を経て負荷へ至る電路という役割で判断します。

一般の分岐回路では、遮断器だけを見ても適否は決まりません。遮断器が守る電線、その回路へ接続するコンセントまでを一組で確認します。

図1:上流遮断器から負荷までの位置関係

① 幹線用遮断器(例:60A)
幹線 → ● 分岐点
② 分岐点からの電線長
原則3m以下/8m以下なら35%条件を検討
③ 分岐回路用遮断器 → 電線 → コンセント・負荷

図1で距離を測る区間は、●の分岐点から③の遮断器までです。35%・55%の比較に使う定格は①の上流遮断器、比較する許容電流は②の電線です。③より先のコンセントまでの距離を測るわけではありません。幹線そのものを分ける第148条の例外は後半で別に確認します。

許容電流は「電線の名前」だけでは決まらない

許容電流とは、定められた施設条件で電線に連続して流せる電流の上限です。電流が流れるとI2Rの熱が生じるため、導体の太さ、絶縁物の耐熱性、周囲温度、管内本数、ケーブルの心数、施設方法によって値が変わります。

したがって「2.0mmなら常に35A」とは限りません。35Aは、試験で扱う所定条件の600Vビニル絶縁電線(IV・軟銅線、直径2.0mm)の素の値です。VVF・VVRなどのケーブルや、管内へ収めた後の値へそのまま流用しません。

IV電線の素の許容電流

導体の表し方 太さ 素の許容電流
単線・直径 1.6mm 27A
単線・直径 2.0mm 35A
単線・直径 2.6mm 48A
単線・直径 3.2mm 62A
より線・公称断面積 2mm2 27A
より線・公称断面積 3.5mm2 37A
より線・公称断面積 5.5mm2 49A
より線・公称断面積 8mm2 61A

直径2.0mmと公称断面積3.5mm2は別の指定です。両者を同一の太さとして同じ許容電流へまとめると、問題文の導体寸法を読み違えます。

管内では電流減少係数を掛ける

同じ管内に電流が流れる電線が増えると放熱しにくくなるため、素の許容電流へ電流減少係数を掛けます。代表値は3本以下0.70、4本0.63、5〜6本0.56、7〜15本0.49です。

管内での許容電流=素の許容電流×電流減少係数

例:5.5mm²のIV電線を4本収める

49A×0.63=30.87A

選択肢では約31A

接地線は通常の運転時に負荷電流を流す電線ではないため、試験の電流減少係数で数える「電流が流れる電線」には含めません。ただし、中性線などの扱いは回路条件と問題文を確認し、接地線と混同しないことが大切です。

計算で使う4つの電流

  • IM:電動機等の定格電流の合計〔A〕
  • IH:その他負荷の電流の合計〔A〕
  • IW:選んだ幹線電線の許容電流〔A〕
  • IB:幹線用遮断器の定格電流〔A〕

幹線電線|まずIMとIHを比較する

第148条では、低圧幹線の各部分について、原則としてその部分から供給する負荷の定格電流合計以上の許容電流を求めます。電動機等の合計IMが、その他負荷の合計IHより大きい場合だけ、電動機側を割り増します。

条件 必要許容電流の下限 判断
IM≤IH IM+IH 割増しなし
IM>IHかつIM≤50A 1.25IM+IH 電動機側を25%割増し
IM>IHかつIM>50A 1.1IM+IH 電動機側を10%割増し

3例で式を選ぶ

  • IM=10A、IH=35A:10≤35なので、10A+35A=45A以上
  • IM=40A、IH=20A:40>20かつ50A以下なので、1.25×40A+20A=70A以上
  • IM=60A、IH=20A:60>20かつ50A超なので、1.1×60A+20A=86A以上

1.1倍は「電動機が50Aを超えたら無条件」に使うのではありません。先にIM>IHかを確認します。需要率、力率等が明らかな場合は条文上の修正規定がありますが、与えられていない値を自己判断で入れません。

幹線用遮断器|3IM+IHと2.5IWを比較

幹線を保護する過電流遮断器の定格IBは、原則として実際に選んだ幹線電線の許容電流IW以下です。ただし、始動電流が大きい電動機等を接続する幹線では、不要動作を避けながら保護するため、次の特例を使える場合があります。

IB≤min(3IM+IH、2.5IW

つまり2つを計算し、小さい方が上限です。2.5倍する対象はIMではなく、選定した幹線電線の許容電流IWです。「2.5IM+IH」という式はありません。

例:IM=20A、IH=10A、選定したIW=40A

3IM+IH=3×20A+10A=70A

2.5IW=2.5×40A=100A

遮断器定格の上限は小さい方の70A

これは「必ず70Aを選ぶ」という意味ではありません。上限条件を確認した結果であり、実際の標準定格、電動機の過負荷保護、始動方式、短絡保護、保護協調などを別途確認します。幹線の許容電流が100Aを超え、計算値が標準定格にない場合の直近上位を認める条文上の条件もあるため、数値だけを切り離して一般化しません。

一般の分岐回路|遮断器・電線・コンセント

次は第149条の一般的な組合せです。「20A」という通称だけで決めず、条文の定格範囲と遮断器種類を読みます。

過電流遮断器 軟銅線の最小太さ コンセント
15A以下 直径1.6mm 15A以下
15A超20A以下の配線用遮断器 直径1.6mm 20A以下
15A超20A以下・配線用遮断器以外 直径2.0mm 20A。20A未満のプラグを接続できないもの
20A超30A以下 直径2.6mm 20A以上30A以下。20A未満のプラグを接続できないもの
30A超40A以下 断面積8mm2 30A以上40A以下
40A超50A以下 断面積14mm2 40A以上50A以下

表の太さは軟銅線についての規定です。同等以上の許容電流がある電線等を使える条件や、MIケーブルの別値もあります。表だけをVVF・VVRの許容電流表として読み替えません。電線種類と許容電流の考え方は電線の許容電流と幹線設計で確認できます。

20A配線用遮断器なら1.6mm・20A以下

15Aを超え20A以下の配線用遮断器で保護する一般の分岐回路は、軟銅線が直径1.6mm以上、コンセントが20A以下です。15Aコンセントや15A・20A兼用コンセントも、定格20A以下の範囲に含まれます。

20Aのヒューズ等なら2.0mm・専用20A

15Aを超え20A以下でも、配線用遮断器以外の過電流遮断器なら、軟銅線は直径2.0mm以上です。コンセントは定格20Aで、20A未満の差込みプラグを接続できないものに限られます。「20Aなら15Aコンセントもよい」という判断は、配線用遮断器の場合だけです。

30Aという通称より「20A超30A以下」を見る

定格が20Aを超え30A以下の過電流遮断器では、軟銅線は直径2.6mm以上、コンセントは20A以上30A以下です。さらに、20A未満の差込みプラグを接続できない構造が必要です。15Aコンセントは範囲外です。

第149条には、1個のコンセント・ソケット等へ至る3m以下の部分や、使用電圧300V以下の特定の配線について、電線太さの例外もあります。また、電動機等だけに至る回路、50Aを超える1台の機器に至る回路は別条件です。問題文に例外条件がなければ、一般の組合せ表で判断します。

第149条|分岐回路の遮断器は3m以下が原則

低圧分岐回路の過電流遮断器は、低圧幹線との分岐点から電線の長さ3m以下の箇所に施設するのが原則です。建物の直線距離ではなく、分岐点から遮断器までの電線長を見ます。

ただし、分岐点から遮断器までの電線が次のいずれかに該当すれば、3mを超える箇所に施設できます。

  • 電線の許容電流が、上流の低圧幹線用遮断器定格の55%以上
  • 電線長が8m以下で、許容電流が上流遮断器定格の35%以上

35%には8m以下の条件が付き、55%には条文上の8m条件が付きません。割合と距離の組合せを逆にしないでください。

例:上流60A、分岐点から遮断器まで8m

60A×0.35=21A

8m以下かつ許容電流21A以上なら、35%の例外を検討できる

同じ上流60Aでも、電線長が10mなら35%条件は使えません。3mを超える位置へ置くには、55%の60A×0.55=33A以上を満たすかを確認します。

第148条|低圧幹線から別の低圧幹線を分ける場合

第148条は低圧幹線自体の保護を扱います。低圧幹線の電源側には、その幹線を保護する過電流遮断器を施設するのが原則です。ただし、別の低圧幹線から分けた部分は、上流遮断器との関係で次の例外を検討できます。

第148条の例外 許容電流の条件 距離・接続条件
55%条件 上流遮断器定格の55%以上 条文上の8m条件なし
35%条件 上流遮断器定格の35%以上 8m以下
短い末端幹線 割合条件では判定しない 3m以下かつ負荷側に他の低圧幹線を接続しない

さらに35%条件は、上流の過電流遮断器へ直接接続する低圧幹線、または55%条件に該当する低圧幹線から分ける場合が対象です。3mの短い末端幹線も、上流遮断器へ直接接続するか、55%・35%条件に該当する幹線から分ける接続条件があります。割合と距離だけを切り離して、どの幹線にも適用できる例外とは考えません。

第148条の3m条件は、短い末端幹線について幹線用遮断器を省略できる条件です。第149条の「分岐回路用遮断器を分岐点から3m以下に置く原則」と同じ文ではありません。どちらも55%・35%に関連しますが、対象が低圧幹線か低圧分岐回路かを最初に確認します。

第148条と第149条を見分ける

見る条文 対象 最初に確認すること
第148条 低圧幹線 その幹線を守る遮断器を省略できるか
第149条 低圧分岐回路 分岐回路用遮断器の位置と負荷側の組合せ

幹線設計を解く7ステップ

  1. 対象を確認:幹線電線か、幹線用遮断器か、分岐回路か
  2. 電線条件を確認:IV・ケーブル、直径・断面積、施設方法、周囲温度
  3. IMとIHを集計:電動機等とその他負荷を分ける
  4. 必要許容電流を計算:IMとIHを比べ、50A境界を確認
  5. 電線を選ぶ:低減後も必要値以上となるサイズを選び、IWを確定
  6. 遮断器上限を確認:原則IW以下、電動機特例なら2つの上限を比較
  7. 別条件を確認:電圧降下、短絡電流、保護協調、標準定格、設計図書

電圧降下は許容電流と別の判定です。電線が熱的に許容されても、こう長が長ければ電圧降下から太い電線が必要になることがあります。単相は単相2線式・3線式の電圧降下、三相は三相三線式の電圧降下と電力計算で確認できます。

分岐回路まで通して判定する

幹線の計算後は、分岐回路の遮断器定格を範囲で読み、配線用遮断器かそれ以外かを確認します。表で電線の直径・断面積とコンセントの定格を照合し、低い定格のプラグが差せる構造かも確認します。最後に図1の②の長さを測り、3mの原則または35%・55%の条件を照合します。機器名だけで20A・30Aを決めず、プラグと回路電圧、専用回路指定、接地・地絡保護も確認してください。

自己チェック|必要値・上限・距離を混同しない

問1:IV電線の素の許容電流49A、管内4本の係数0.63。低減後の値は?

解答・解説:管内では放熱条件が変わるので、49A×0.63=30.87A、約31Aです。素の値49Aをそのまま選定値にしません。

問2:電動機60Aとその他20A、需要率100%。必要許容電流の下限は?

解答・解説:電動機60Aがその他20Aより大きく、50Aを超えるため1.1倍を使います。1.1×60A+20A=86A以上です。

問3:電動機20A・その他10A、選んだ電線の許容電流40A。遮断器特例の上限は?

解答・解説:3×20A+10A=70A、2.5×40A=100A。小さい70Aが上限です。2.5倍の対象は電動機電流ではなく電線の許容電流です。

問4:一般分岐回路を20Aの配線用遮断器で保護する。軟銅線の最小直径は?

解答・解説:直径1.6mmです。ただし20Aの配線用遮断器以外では直径2.0mmとなります。同じ定格電流でも遮断器の種類を確認します。

問5:20Aヒューズの一般分岐回路へ15A・20A兼用コンセントを選べる?

解答・解説:選べません。定格20Aで、20A未満のプラグを接続できないものが条件です。20A配線用遮断器の条件と区別します。

問6:図1で上流60A、分岐点から遮断器まで10m。35%条件を使える?

解答・解説:8mを超えるので35%条件は使えません。55%条件なら必要許容電流は60A×0.55=33A以上です。8mの場合の35%なら60A×0.35=21A以上となります。

配線設計で照合する技術基準

編集日:2026年9月7日。図解・数値例・自己チェックは当サイト独自の学習用です。電技解釈の本文は移管前の2026年7月28日照合記録を引き継ぎ、2026年9月7日にe-Govの令和7年11月20日改正の公示・新旧対照表を確認しました。同改正で、本稿が扱う第35・148・149条の変更はありません。経産省の本文PDFが取得できないため、原本への再照合日は更新していません。

次に進む学習先

次は電線・ケーブルの種類と用途で施設条件を確認し、長い配線を扱う人は三相・単相の電圧降下を計算します。法令の全体像へ戻る人は電気工事士の法令ハブへ進んでください。

この記事を書いた人:資格太郎

電気工事士の独学合格を目指して学習中。公式資料と法令を確かめ、学習で説明できる範囲と実設備の作業を区別して編集しています。

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