この記事でわかること
- 分岐回路の「3点セット」(遮断器・電線・コンセント)の組み合わせ
- 15A/20A/30Aの各分岐回路で使える電線の太さとコンセントの定格
- 分岐回路の過電流遮断器の施設位置と8mルール
- コンセントの定格電流と接続できる負荷の関係
結論から言います:分岐回路は「3点セット」で覚える
結論から言います。分岐回路(ぶんきかいろ)とは、分電盤(ぶんでんばん)から各コンセントや照明器具に電気を届けるための回路のことです。
みなさんの家にある分電盤を開けてみると、小さなブレーカーがずらっと並んでいますよね。あの一つひとつが「分岐回路」です。リビング用、キッチン用、エアコン用……というように、用途ごとに回路を分けて電気を配っています。
そして、第二種電気工事士の試験では「分岐回路の3点セット」が頻出テーマです。3点セットとは以下の組み合わせのこと。
- 過電流遮断器(かでんりゅうしゃだんき)の定格電流
- 電線の太さ(断面積または直径)
- コンセントの定格電流
この3つの組み合わせを間違えると、電線が過熱して被覆(ひふく)が溶けたり、最悪の場合は火災につながります。だからこそ、内線規程(ないせんきてい)で細かくルールが決められているんです。
では、具体的にどんな種類があって、それぞれどんな組み合わせなのか、一つずつ見ていきましょう。
分岐回路の種類と3点セット一覧
分岐回路は、過電流遮断器の定格電流によって大きく6種類に分かれます。まずは一覧表で全体像をつかんでください。
| 分岐回路 | 電線の太さ | コンセント |
|---|---|---|
| 15A | 直径1.6mm以上 | 15A以下 |
| 20A (配線用遮断器) |
直径1.6mm以上 | 20A以下 (20A兼用含む) |
| 20A (ヒューズ) |
直径2.0mm以上 | 20A |
| 30A | 直径2.6mm以上 (断面積5.5mm²以上) |
20A以上30A以下 |
| 40A | 断面積8mm²以上 | 30A以上40A以下 |
| 50A | 断面積14mm²以上 | 40A以上50A以下 |
この表を丸暗記する必要はありません。ポイントを押さえれば、自然と覚えられます。ここから各分岐回路の詳細を見ていきましょう。
各分岐回路を詳しく解説
15A分岐回路 ── 住宅のスタンダード
住宅で最も多く使われているのが15A分岐回路です。照明やテレビ、パソコンなど、消費電力の小さい機器に使います。
- 過電流遮断器:15A(配線用遮断器またはヒューズ)
- 電線:直径1.6mm以上(断面積2.0mm²以上でもOK)
- コンセント:15A
家庭でよく見る2口コンセント(縦長の差し込み口が2つ並んだやつ)は、ほとんどがこの15A仕様です。
20A分岐回路(配線用遮断器)── 試験で最も聞かれるやつ
ここが試験の頻出ポイントです。20A分岐回路には「配線用遮断器の場合」と「ヒューズの場合」で電線の太さが違うという引っかけがよく出ます。
- 過電流遮断器:20A配線用遮断器(ブレーカー)
- 電線:直径1.6mm以上
- コンセント:20A以下(15Aコンセント、20A兼用コンセントも使える)
配線用遮断器(はいせんようしゃだんき)は、過電流が流れると自動で回路を遮断してくれる装置です。ヒューズと違って何度でも使えるので、現在の住宅ではほとんどこちらが採用されています。
なぜ1.6mmでOKなのか?配線用遮断器は動作が速く、過電流に素早く反応して回路を切ってくれます。そのため、電線が過熱する前に保護できるので、細い電線でも安全なんです。
20A分岐回路(ヒューズ)── 遮断器との違いに注意
同じ20Aでも、過電流遮断器がヒューズの場合は電線を太くしなければなりません。
- 過電流遮断器:20Aヒューズ
- 電線:直径2.0mm以上
- コンセント:20A
なぜ電線が太くなるのか?ヒューズは、金属の一部が溶けて回路を切る仕組みです。配線用遮断器に比べて動作が遅いため、その間に電線が過熱するリスクがあります。だから、余裕を持って太い電線を使う必要があるんです。
ここは試験で「20A回路の電線は?」と聞かれたときに、遮断器なのかヒューズなのかを確認しないと間違えるポイントです。問題文をよく読みましょう。
30A分岐回路 ── エアコン・IHにも対応
大型のエアコンやIHクッキングヒーターなど、消費電力の大きい機器に使われます。
- 過電流遮断器:30A
- 電線:直径2.6mm以上(または断面積5.5mm²以上)
- コンセント:20A以上30A以下
30A分岐回路では、コンセントの定格が20A以上30A以下と幅がある点に注意してください。15Aのコンセントは使えません。これは、15Aのコンセントに30A近い電流が流れると、コンセント自体が発熱して焼損する危険があるためです。
40A・50A分岐回路 ── 大容量の専用回路
業務用の大型機器や、住宅でも電気温水器など大容量の機器に使われる回路です。
| 項目 | 40A分岐 | 50A分岐 |
|---|---|---|
| 過電流遮断器 | 40A | 50A |
| 電線 | 断面積8mm²以上 | 断面積14mm²以上 |
| コンセント | 30A以上40A以下 | 40A以上50A以下 |
第二種電気工事士の試験では、15A・20A・30Aの出題が中心ですが、40A・50Aも選択肢に混ぜて出題されることがあるので、「そういうものもある」と頭に入れておきましょう。
コンセントの形状と定格の違い
実は、コンセントの差し込み口の形状は定格電流によって異なります。形が違うから、間違った機器を差し込めないようになっているんです。これは安全設計の基本ですね。
特に試験で問われるのが「20A兼用コンセント」です。T字型の差し込み口を持ち、15Aのプラグも20Aのプラグも両方差し込めます。20A配線用遮断器の分岐回路では、この兼用コンセントが使えるということを覚えておきましょう。
なぜ組み合わせが決まっているのか?── 火災を防ぐしくみ
「なぜ分岐回路ごとに電線やコンセントの規格が決まっているの?」と疑問に思う方もいるでしょう。理由はシンプルで、電気火災を防ぐためです。
間違った組み合わせをすると、こんな危険があります。
危険パターン1:電線が細すぎる場合
たとえば、30Aのブレーカーに直径1.6mmの細い電線をつないだとしましょう。この電線の許容電流(きょようでんりゅう)は27Aです。ブレーカーが落ちるのは30Aを超えたときなので、27A〜30Aの範囲ではブレーカーが落ちないまま電線が許容電流を超えてしまいます。
電線が許容電流を超えると、被覆が溶け始めて最悪の場合は発火します。これが電気火災の典型的な原因の一つです。電線の許容電流について詳しくは「電線の許容電流と幹線設計をわかりやすく解説|第二種電気工事士 配電理論」で解説しています。
危険パターン2:コンセントの定格が合っていない場合
30Aの分岐回路に15Aのコンセントを付けた場合を考えてみましょう。30A近い電流が15A定格のコンセントに流れると、コンセント内部の接触部分が異常発熱します。接触不良が起きると、さらに発熱が加速してコンセントが溶けたり、発火したりするんです。
このように、過電流遮断器・電線・コンセントの3つはバランスが取れた組み合わせでなければなりません。内線規程(ないせんきてい)では、この組み合わせを厳格に定めています。
内線規程のポイント
内線規程は、電気設備の施工に関する民間の技術基準です。法令ではありませんが、実務上はほぼ法律と同じ扱いで遵守されます。分岐回路に関する主なポイントを整理しましょう。
過電流遮断器による電線の保護
過電流遮断器の定格電流は、その回路で使う電線の許容電流以下でなければなりません。つまり……
過電流遮断器の定格 ≤ 電線の許容電流
ブレーカーが先に落ちるから、電線は過熱しない。この順番が大事!
電気設備の安全基準について詳しくは「電気設備技術基準をわかりやすく解説|絶縁抵抗・接地・電圧区分|第二種電気工事士」も参考にしてください。
コンセントの定格と回路の関係
コンセントの定格電流は、その分岐回路で流れうる最大電流に耐えられるものでなければなりません。ただし、30A以上の分岐回路では、コンセントの定格に下限も設けられています。
- 30A分岐回路 → コンセントは20A以上30A以下
- 40A分岐回路 → コンセントは30A以上40A以下
- 50A分岐回路 → コンセントは40A以上50A以下
下限がある理由は、あまりに小さいコンセントでは接続部の耐久性が不足するためです。
住宅の分岐回路設計 ── 実例で理解しよう
実際の住宅ではどんなふうに分岐回路を設計するのか、具体例を見てみましょう。
ポイント:エアコンやキッチンの大型家電は専用回路にするのが基本です。ほかの機器と共有すると、同時使用でブレーカーが落ちるだけでなく、電圧降下(でんあつこうか)で機器の動作が不安定になることもあります。電圧降下の計算方法は「単相2線式・単相3線式の電圧降下を計算しよう|第二種電気工事士 配電理論」で解説しています。
IHクッキングヒーターの場合
IHクッキングヒーターは消費電力が大きく(4,000W〜5,000W級)、200V回路で使うことが多いです。この場合は30A分岐回路が必要になります。
- 過電流遮断器:30A
- 電線:直径2.6mm以上
- コンセント:30A / 250V 専用形状
200V回路では接地工事(アース)も必須です。詳しくは「接地工事(アース)をわかりやすく解説!A種〜D種の違い|第二種電気工事士」を参照してください。
試験での出題パターン:分岐回路の3点セットは第二種の学科でほぼ毎回1〜2問出題されます。特に「20A回路で遮断器かヒューズか」を判断させる問題は定番中の定番。問題文に「配線用遮断器」「ヒューズ」のどちらが書かれているかを必ず確認しましょう。
覚え方のコツ ── 試験対策
分岐回路の3点セットは、丸暗記しようとすると混乱します。次のコツで整理しましょう。
コツ1:20Aだけ「遮断器 or ヒューズ」で電線が変わる
15A・30A・40A・50Aは1パターンずつですが、20Aだけ2パターンあります。ここが最大の引っかけポイント。
| 20A回路の種類 | 電線 | 理由 |
|---|---|---|
| 配線用遮断器 | 1.6mm以上 | 動作が速いので 細い電線でもOK |
| ヒューズ | 2.0mm以上 | 動作が遅いので 太い電線が必要 |
コツ2:電線の太さは「定格が上がるほど太くなる」
当然といえば当然ですが、流す電流が大きくなるほど電線は太くなります。これを基本にして、例外(20Aのヒューズ)だけ注意すれば効率よく覚えられます。
15A → 1.6mm / 20A(遮断器) → 1.6mm / 20A(ヒューズ) → 2.0mm / 30A → 2.6mm
コツ3:コンセントの定格は「回路の定格と一致 or 範囲」
- 15A回路 → 15Aコンセント
- 20A回路 → 20A以下(15Aも可、ただしヒューズの場合は20A)
- 30A回路 → 20A以上30A以下(15Aは不可!)
30A以上の回路では下限があることを忘れないようにしましょう。
用途別 分岐回路 早見ガイド
「この機器にはどの分岐回路を使えばいいの?」を一目で確認できるようにまとめました。実際の設計でも、まず機器の消費電力を確認してから分岐回路を選びます。
まとめ
分岐回路の設計は、過電流遮断器・電線・コンセントの3点セットを正しく組み合わせることが基本です。
- 分岐回路は分電盤から各機器に電気を届ける回路
- 15A / 20A(遮断器)/ 20A(ヒューズ)/ 30A / 40A / 50A の6種類
- 20Aだけ遮断器とヒューズで電線の太さが違う(最頻出!)
- 30A以上ではコンセントに下限がある
- 間違った組み合わせは火災・焼損につながる
試験では表を丸暗記するよりも、「なぜその太さなのか」「なぜその定格なのか」を理解しておくと、引っかけ問題にも強くなります。
まとめ問題 ── 理解度チェック
問題1
あなたは住宅のキッチンリフォーム工事を担当しています。電子レンジ専用の20A配線用遮断器の分岐回路を新設する場合、使用できる電線の最小太さとして正しいものはどれですか。
(1)直径1.2mm
(2)直径1.6mm
(3)直径2.0mm
(4)直径2.6mm
問題2
新築住宅で、IHクッキングヒーター(200V / 30A)の専用回路を施工します。この30A分岐回路に使用するコンセントの定格として、不適切なものはどれですか。
(1)20Aコンセント
(2)25Aコンセント
(3)30Aコンセント
(4)15Aコンセント
問題3
事務所ビルの既存分電盤を点検したところ、ある分岐回路に20Aのヒューズが取り付けられていました。この回路に使用する電線の最小太さとして正しいものはどれですか。
(1)直径1.2mm
(2)直径1.6mm
(3)直径2.0mm
(4)直径2.6mm
次のステップ
分岐回路の設計を理解したら、配電理論の関連トピックも合わせて押さえましょう。
- 「電線の許容電流と幹線設計をわかりやすく解説|第二種電気工事士 配電理論」── 幹線の太さを決めるIW計算と電流減少係数を学びます
- 「三相3線式の電圧降下と電力計算をわかりやすく解説|第二種電気工事士 配電理論」── 動力回路の電力計算は分岐・幹線設計と直結します
学習の全体像を確認したい方は「第二種電気工事士 学習ロードマップ|合格までの全ステップを完全ガイド」をご覧ください。
分岐回路の組み合わせ表を手元に置いて学習するなら
テキストの一覧表を見ながら問題を繰り返すと、3点セットが自然に頭に入ります。「すいーっと合格」は図解が豊富で、分岐回路の表もカラーでまとまっています。
過去問で3点セットを完璧にしよう
分岐回路の問題は過去問にパターンが集約されています。「遮断器 or ヒューズ」「電線の太さ」「コンセントの定格」の3点を瞬時に判断できるまで繰り返し演習しましょう。
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分岐回路や幹線設計は、映像講義で図を見ながら学ぶと一気に理解が進みます。
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