1種 配線図

高圧受電設備の単線結線図と図記号|PF・S形とCB形の読み方|第一種電気工事士 配線図

この記事でわかること

  • 高圧受電設備の図記号(PAS・VCB・CT・OCR等)
  • PF・S形とCB形の単線結線図の読み方
  • 計器用変成器(VT・CT)の接続方法
  • 接地の図記号と接続箇所の見分け方
  • 頻出15選の図記号を一気に暗記

結論から言います

第一種電気工事士の配線図問題は、高圧受電設備の「単線結線図」を読む問題が中心です。第二種では低圧の屋内配線図でしたが、第一種ではキュービクル内部の結線図が出題されます。

学科試験では毎回3〜5問出題される配点の大きい分野です。図記号を覚えて、各機器の役割と接続順序を理解すれば、確実に得点できます。

単線結線図とは?

単線結線図(たんせんけっせんず)は、三相3線式の配線を1本の線で簡略化して描いた図です。英語では「Single Line Diagram(SLD)」と呼ばれます。

実際の配線は3本の線がありますが、三相は基本的に3線とも同じ構成なので、1本で代表して描いても十分に情報が伝わります。これにより、複雑な高圧設備の全体像がひと目で把握できるようになっています。

高圧受電設備の図記号一覧

試験でよく出る図記号をカテゴリ別にまとめます。

開閉器・遮断器

略称 正式名称 役割
PAS 気中負荷開閉器(柱上) 責任分界点の区分開閉器
DS 断路器 無負荷で回路を切り離す
LBS 高圧負荷開閉器 負荷電流を開閉できる(PF付きでPF・S形に使用)
VCB 真空遮断器 負荷電流・短絡電流を遮断
MCCB 配線用遮断器 低圧回路の過電流保護
ELCB 漏電遮断器 低圧回路の地絡保護

変圧器・変成器

略称 正式名称 役割
T / TR 変圧器(トランス) 6,600V→100V/200Vに変圧
VT 計器用変圧器 高圧→110Vに変換(計器用)
CT 変流器 大電流→5Aに変換(計器用)
ZCT 零相変流器 零相電流(地絡電流)を検出
ZPD 零相電圧検出装置 零相電圧を検出(DGRと組み合わせ)

保護継電器

略称 正式名称 検出対象
OCR 過電流継電器 過電流・短絡電流
DGR 地絡方向継電器 地絡電流(方向判定付き)
GR 地絡継電器 地絡電流
OVR 過電圧継電器 異常電圧上昇
UVR 不足電圧継電器 電圧低下

その他の機器

略称 正式名称 役割
LA 避雷器 雷サージから機器を保護
PF 高圧限流ヒューズ 過電流・短絡から変圧器を保護
SC 進相コンデンサ 力率改善
SR 直列リアクトル SC投入時の突入電流抑制・高調波対策
Wh 電力量計 電力量の計量(電力会社用)
A 電流計 電流値の表示
V 電圧計 電圧値の表示
W 電力計 電力値の表示

PF・S形受電設備の結線図を読む

PF・S形(設備容量300kVA以下)の単線結線図を上流から下流の順に読んでいきましょう。

PF・S形 受電設備の構成
電力会社の配電線(6,600V)

PAS(区分開閉器)+ ZCT + DGR
← 責任分界点
Wh(電力量計)+ VT + CT

LA(避雷器)← A種接地

LBS(高圧負荷開閉器)+ PF(高圧限流ヒューズ)

T(変圧器)← B種接地(二次側中性点)

ELCB / MCCB(低圧遮断器)

低圧負荷(照明・動力・コンセント)

CB形受電設備の結線図を読む

CB形(設備容量の制限なし)は、PF・S形に比べて保護装置が充実しています。

CB形 受電設備の構成
電力会社の配電線(6,600V)

PAS + ZCT + DGR
← 責任分界点
DS(断路器)

LA(避雷器)

VCB(真空遮断器)+ CT + OCR

VT + Wh(電力量計)

T(変圧器)← B種接地

低圧配電盤

PF・S形とCB形の見分け方

PF・S形の目印
LBS + PF がある
VCBがない
OCRがない
DSがない場合が多い
300kVA以下
CB形の目印
VCB(遮断器)がある
DS(断路器)がある
OCR(過電流継電器)がある
PFがない
容量制限なし

計器用変成器の接続

計器(電力計・電流計・電圧計・電力量計)は、CTやVTを介して接続されます。

計器 接続先
電流計(A) CTの二次側に接続
電圧計(V) VTの二次側に接続
電力計(W) CTとVTの両方の二次側に接続
電力量計(Wh) CTとVTの両方の二次側に接続
⚠ 試験頻出ポイント
・CTの二次側は開放禁止(短絡しておく)
・VTの二次側は開放OK(普通の変圧器と同じ)
・CTの二次側にはヒューズを入れない(誤って開放状態になるため)
・VTの二次側にはヒューズを入れてOK

接地の図記号と接続箇所

単線結線図には接地記号も描かれています。どこに何種接地が施されるかは頻出問題です。

接続箇所 接地種別
避雷器(LA)の接地端子 A種
高圧機器(VCB, DS, LBS等)の外箱 A種
変圧器の二次側中性点 B種
300V超の低圧機器の外箱 C種
300V以下の低圧機器の外箱 D種

単線結線図の読み方 3ステップ

単線結線図は「上流(電源側)から下流(負荷側)へ順番に読む」のが基本です。以下の3ステップで体系的に読み解きましょう。

Step 1:受電方式を判別する
VCB(真空遮断器)があればCB形、LBS+PF(限流ヒューズ)があればPF・S形
見分けポイント:CB形はOCRが連動してVCBを開放。PF・S形はPF溶断で保護。
Step 2:上流→下流の順に機器を追う
PAS(気中開閉器)→ DS(断路器)→ LA(避雷器)→ VCB or LBS+PF → T(変圧器)→ 低圧側MCCB・ELCB
各機器の図記号と役割を対応させながら読み進めます。
Step 3:接地と計器の接続を確認する
接地:B種(変圧器二次側)、A種(避雷器・高圧機器外箱)、D種(低圧機器外箱)
計器:CT→電流計・電力計、VT→電圧計、ZCT→漏電検出(DGR)

図記号 頻出15選 暗記カード

第一種の配線図で繰り返し出題される図記号です。この15個を確実に覚えれば、単線結線図の問題は得点源になります。

高圧受電設備 図記号 頻出15選
開閉・遮断器 変成器・保護 その他
PAS 気中開閉器 T 変圧器 LA 避雷器
DS 断路器 VT 計器用変圧器 PF 限流ヒューズ
LBS 高圧交流負荷開閉器 CT 変流器 SC 高圧コンデンサ
VCB 真空遮断器 ZCT 零相変流器 SR 直列リアクトル
MCCB 配線用遮断器 OCR 過電流継電器  
ELCB 漏電遮断器 DGR 地絡方向継電器  

覚え方:開閉器は「PAS→DS→LBS→VCB」の順に上流→下流。保護継電器は「O=過電流、D=地絡方向、G=地絡」。

よくある試験の引っかけ 3選

この3つで落とさない — 単線結線図の頻出ミスを整理

引っかけ1:DSとVCBの混同
DS(断路器)は無負荷でしか開閉できません。VCB(真空遮断器)は負荷電流も短絡電流も遮断できます。「DSだけで負荷を切れる」という選択肢は誤りです。DSは点検時に回路を目に見える形で切り離すための機器です。

引っかけ2:CT二次側の「短絡」とVT二次側の「開放」を逆に覚える
CT(変流器)の二次側を開放すると高電圧が発生し危険 → 二次側は短絡して保護。VT(計器用変圧器)の二次側を短絡すると過電流が流れ危険 → 二次側は開放して保護。覚え方:「CTはショート、VTはオープン」。

引っかけ3:PF・S形にはOCRがないこと
PF・S形はPF(限流ヒューズ)が溶断して短絡電流を遮断します。CB形はOCR+VCBの連動で保護します。PF・S形の結線図にOCRを書いた選択肢が出たら、それはCB形の図を混ぜた誤りです。

まとめ

この記事のポイント
✔ 単線結線図は三相回路を1本の線で簡略化した図
✔ PAS→DS→LA→VCB(orLBS+PF)→T→低圧配電盤の順に読む
✔ PF・S形:LBS+PFで保護(300kVA以下)
✔ CB形:VCB+OCRで保護(容量制限なし)
✔ CT二次側は開放禁止・VT二次側は開放OK
✔ 電力計・電力量計はCTとVT両方の二次側に接続
✔ 変圧器二次側中性点はB種接地

確認問題

【問題1】 高圧受電設備の単線結線図において、「VCB」と表記される機器の名称と役割の組み合わせとして、正しいものはどれか。

イ.計器用変圧器——高電圧を110Vに変換する
ロ.真空遮断器——負荷電流および短絡電流を遮断する
ハ.断路器——無負荷で回路を切り離す
ニ.避雷器——雷サージから機器を保護する

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正解:ロ
VCBは真空遮断器(Vacuum Circuit Breaker)で、真空中でアークを消弧することにより負荷電流および短絡電流を安全に遮断する装置です。CB形受電設備の主保護装置です。

【問題2】 高圧受電設備の単線結線図で、変圧器の二次側(低圧側)の中性点に施す接地工事の種別はどれか。

イ.A種接地工事
ロ.B種接地工事
ハ.C種接地工事
ニ.D種接地工事

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正解:ロ
変圧器の二次側中性点にはB種接地工事を施します。高圧側と低圧側の間で混触(絶縁破壊)が起きたとき、低圧側に高電圧が侵入するのを防ぐ役割があります。

【問題3】 単線結線図で、高圧負荷開閉器(LBS)と高圧限流ヒューズ(PF)の組み合わせで変圧器を保護する受電方式は何か。

イ.CB形
ロ.PF・S形
ハ.V結線形
ニ.ネットワーク形

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正解:ロ
PF・S形は、高圧限流ヒューズ(PF)と高圧負荷開閉器(LBS)の組み合わせで変圧器を保護する方式です。設備容量300kVA以下に適用されます。CB形は遮断器(VCB)と過電流継電器(OCR)の組み合わせです。

【問題4】 高圧受電設備の単線結線図で、CT(変流器)の二次側に接続される計器の組み合わせとして、正しいものはどれか。

イ.電圧計のみ
ロ.電流計のみ
ハ.電流計と電力計
ニ.電圧計と電力計

解答を見る

正解:ハ
CTの二次側には電流計が接続されます。また、電力計は電流と電圧の両方が必要なので、CTの二次側(電流入力)とVTの二次側(電圧入力)の両方に接続されます。電圧計はVTの二次側のみに接続されます。

第二種の配線図記号は「配線図の図記号一覧|第二種電気工事士」で復習できます。高圧受電設備の各機器は「高圧受電設備の仕組みと構成機器|キュービクルの単線結線図を読もう」、受電設備の検査は「高圧受電設備の検査方法|耐圧試験・保護継電器試験」、高圧ケーブル工事は「高圧ケーブル工事・特殊場所の工事」を参照してください。

第一種の学科対策に

配線図は図記号の暗記が勝負です。テキストで全体像を把握し、問題集で図記号を定着させましょう。

独学に不安がある方は、通信講座でプロの解説を受けるのも効果的です。

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