2種 基本作業

リングスリーブの圧着|電線本数・刻印・欠陥対策

この記事を読むと、こうなります

リングスリーブの呼び(材料)と圧着マーク(工具)を別々に選べるようになり、
圧着後の接続部を上端・下端・絶縁被覆の3か所で自己採点できるようになります。

編集方針:この記事は特定の工具・教材のPRではありません。
組合せ表と判定はすべて電気技術者試験センターの「欠陥の判断基準」と
「技能試験の概要と注意すべきポイント(令和8年3月)」掲載のJIS C 2806準拠表へ照合しています。
記事内にアフィリエイトリンクは掲載していません。

圧着の判断軸は「材料」と「工具」の2つ

リングスリーブの圧着でつまずく原因は、ほとんどが1つに絞れます。
判断軸が2つあるのに、1つだと思って覚えていることです。
選ぶものは、材料であるスリーブの呼びと、工具のダイスが残す圧着マークの2つです。
結論としては、先に呼びを決め、そのあとで圧着マークを決めます。
逆順にすると、○のダイスに合う材料を探し始めて手が止まります。

図1 選ぶものは2つある。材料が3種類、刻印は4種類

呼びは材料の大きさ、圧着マークは工具が残す刻印です。数が3対4でずれているのが要点です。

段階1 電線を数える
同じ接続点へ集まる電線を「2.0が1本、1.6が3本」と径と本数で読み上げます。ここを間違えると以降が全部ずれます。

段階2 呼びを選ぶ(材料)
リングスリーブは小・中・大の3種類。JIS C 2806準拠の組合せ表で決まります。

段階3 圧着マークを選ぶ(工具)
圧着工具のダイスは○・小・中・大の4種類。小スリーブだけが○と小の2通りに分かれるので、3対4のずれはここで生まれます。

図1の段階2で選ぶ「小」と、図1の段階3で選ぶ「小」は別のものです。○という呼びのスリーブは存在しません。

図1の段階2で選ぶ材料は小・中・大の3種類、図1の段階3で選ぶダイスは○・小・中・大の4種類です。
数が3対4でずれているので、「小スリーブなら刻印も小」と1対1で覚えると必ずどこかで外れます。
ずれているのは小スリーブだけで、ここが○と小の2通りに分かれます。

○は材料の名前ではなく、刻印の名前

直径1.6mmの単線を2本つなぐときは、材料は小スリーブ、刻印はです。
「○スリーブ」という商品はありません。図1の段階2に○が並んでいないのは、そのためです。
呼びと刻印を口に出すときは、「小スリーブを、○のダイスで」と両方言うようにすると混ざりません。

JIS C 2806準拠の組合せ表(第二種でよく出る範囲)

公式資料に載っている表から、第二種技能でよく扱う直径1.6mm・2.0mm単線の組合せを抜き出したものです。
表にないより線や直径2.6mmへ、この抜粋を広げないでください。

接続する単線 呼び(材料) 圧着マーク(工具)
1.6mm×2本
1.6mm×3〜4本
1.6mm×5〜6本
2.0mm×2本
2.0mm×3〜4本
2.0mm×1本+1.6mm×1〜2本
2.0mm×1本+1.6mm×3〜5本
2.0mm×2本+1.6mm×1〜3本
2.0mm×3本+1.6mm×1本

公式の表は、同じ径だけの組合せと、異なる径を混ぜた組合せを別々に示しています。
同じ径だけなら1.6mmは小が2〜4本・中が5〜6本・大が7本、2.0mmは小が2本・中が3〜4本・大が5本です。
最大使用電流も表に併記されていて、小が20A、中と大が30Aです。
なお公式表の1行目には、φ1.6mm1本と0.75mm21本、φ1.6mm2本と0.75mm21本も
○のマークとして載っています。

断面積換算は検算にだけ使う

1.6mmを2.0mm2相当、2.0mmを3.5mm2相当として合計し、
8.0mm2までを小と見る覚え方があります。上の抜粋を素早く見直すには便利です。
ただしこれは公式表の代わりにはなりません。
公式表は同じ径の組合せと異径の組合せを別の行で示しているので、
より線・2.6mm・抜粋の範囲外に当たったら必ず表へ戻ります。

圧着後に見るのは3か所

完成した接続部は、スリーブを中心に上・下・その下の被覆で別々の基準が働きます。

図2 圧着後に見るのは3か所。境界の向きがそれぞれ違う

スリーブを中心に、上・下・その下の被覆で別々の基準が働きます。

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  • 1上端に出た心線 5mm以上で欠陥(6-2ロ)。ただし上から見て心線の先端が1本でも見えないのも欠陥(6-2イ)。見えるが出過ぎないという挟まれた条件です。
  • 2下端に出た心線 10mm以上で欠陥(6-2ハ)。剥き過ぎ側の境界です。
  • 3絶縁被覆の長さ 20mm以下で欠陥(6-2ニ)。こちらは外装のはぎ取り不足を咎めるので、境界の向きが逆です。

図2の①と②は出し過ぎで落ち、図2の③は残し足りずに落ちます。「短く仕上げる」と一律に覚えると③で落ちます。

図2の①は上端に出た心線で、5mm以上露出すると欠陥です。
ただし上から見て心線の先端が1本でも見えないのも欠陥なので、
見えるが出過ぎないという上下から挟まれた条件になります。
図2の②は下端に出た心線で、10mm以上で欠陥。図2の③は絶縁被覆で、20mm以下だと欠陥です。
①②は出し過ぎ、③は残し足りずに落ちるので、境界の向きが逆です。
剥ぎ取りの段階でこの3つを作り分ける手順は
ケーブルの剥ぎ取り・輪づくり|寸法と欠陥対策にまとめてあります。

刻印は「1個・完全・位置」で見る

マークの種類が合っていても、入り方で落ちます。

図3 刻印は「1個」「完全」「位置」の3つで見る

灰色の角丸がリングスリーブ、丸が圧着マークです。マークの中身が正しくても、入り方で落ちます。

1 合格の形

スリーブの中央寄りに、完全なマークが1個。周囲に破損もありません。
2 端で欠けた

先端または末端でマークの一部が欠けたものは欠陥(6-1ニ)。
3 マークが2個

1つのスリーブに2つ以上のマークがあるものは欠陥(6-1ホ)。押し直しがそのまま欠陥になります。

図3の②と③は、どちらも「やり直そうとして増やした」形です。図3の①にならなかったら、スリーブごと切って新品でやり直します。

図3の①が合格の形です。図3の②は先端または末端でマークの一部が欠けたもの、
図3の③は1つのスリーブにマークが2つ以上あるもので、どちらも欠陥です。
このほか、リングスリーブを破損したもの、1箇所の接続に2個以上のリングスリーブを使ったものも欠陥になります。

工具は「リングスリーブ用」であることが条件

指定工具はJIS C 9711:1982・1990・1997に適合するリングスリーブ用圧着工具です。
公式資料は、握り部分の色が黄色のJIS規格品を使えば圧着マークが刻印されると案内し、
○・小・中・大の刻印が明確に出るものを用意するよう求めています。

  • 圧着端子用の工具を使い、刻印が数字になったもの:欠陥
  • 使い古して刻印が明確に見えないもの:欠陥
  • ダイスの欠け、がたつき、改造した工具

「柄が黄色っぽい」だけで判断せず、工具本体の適合表示とダイスを前日までに確かめます。
試験当日の工具の貸し借りはできません。工具全体の準備は
第二種電気工事士 技能試験の工具一覧・選び方|2026年版
当日の持ち物は第二種電気工事士の独学ロードマップで確認できます。

圧着前の3点呼で取り違えを止める

  1. 接続グループを確定する:同じ接続点へ集める電線だけを数えます
  2. 径と本数を読み上げる:「2.0が1本、1.6が3本」と声に出します
  3. 呼びを決める:組合せ表から小・中・大を選びます(図1の段階2)
  4. 圧着マークを決める:ダイスを選びます(図1の段階3)
  5. 端末をそろえる:全心線を平行にし、図2の①②③になる位置へ合わせます
  6. 1回で圧着する:ダイスを中央寄りに置き、マーク全体が残る位置で握り切ります
  7. 全周を検査する:刻印、破損、心線、被覆、外装、接続点の数を順に見ます

工具を握る直前に「電線の径と本数/呼び/圧着マーク」を指差します。
たとえば「1.6が2本/小スリーブ/○」。ここで1回止めるだけで、押し直しの必要が大きく減ります。
どの接続点が同じグループになるかは
複線図の書き方|施工条件から接続点を決める7ステップ
材料の数え方は配線図の読み方と材料の拾い出しで先に固められます。

間違えたら押し直さず、切ってやり直す

刻印・呼び・心線の挿入・被覆の噛み込みを間違えたら、そのスリーブへ別のダイスで押し直してはいけません。
図3の③になり、それ自体が欠陥です。

  1. 誤った接続部をスリーブの下で切り離す
  2. 配線図に示された寸法の50%以下にならないか、余長を確認する(2-2)
  3. 必要な部分だけ剥ぎ直し、心線に傷がないかを見る
  4. 監督員へ新しいリングスリーブの追加支給を申し出る
  5. 径・本数・呼び・マークを言い直してから、新品で圧着する

リングスリーブは、差込形コネクタ・端子ねじと並んで作業開始後でも追加支給を受けられる数少ない材料です。
支給を受けること自体は欠陥ではありません。むしろ、押し直しでごまかすほうが確実に欠陥になります。
ただし切り間違えたケーブルは支給されないので、2番目の確認を飛ばさないでください。

試験では絶縁テープを巻かない

実際の工事では、圧着接続後に絶縁キャップや絶縁テープで接続部の絶縁性能を確保します。
技能試験ではこの絶縁処理が省略されるため、支給されていないテープやキャップを作品へ加えません。
公式資料も、圧着の際はその後に行う絶縁処理を念頭に置いて
絶縁被覆の剥き過ぎやスリーブ上端の心線の未処理がないように、と説明しています。
試験の完成状態と実工事の完成状態は別物です。

自己チェック|材料と刻印を分けて選ぶ

解説は最初から表示しています。まず自分の答えを出してから、
誤りの選択肢が判断基準の何番に当たるかまで確かめてください。

問1:直径1.6mmの単線2本を接続するときの、呼びと圧着マークの組合せはどれですか。

  1. 呼び 小・マーク ○
  2. 呼び 小・マーク 小
  3. 呼び 中・マーク 中
  4. 呼び ○・マーク ○

解答:1(呼び 小・マーク ○)
図1の段階2で選ぶ材料は、段階3で選ぶダイスはです。4は材料と刻印を混同した選択肢で、○という呼びのスリーブは存在しません

問2:直径2.0mm 1本と直径1.6mm 3本を接続するときの組合せはどれですか。

  1. 呼び 小・マーク ○
  2. 呼び 小・マーク 小
  3. 呼び 中・マーク 小
  4. 呼び 中・マーク 中

解答:4(呼び 中・マーク 中)
JIS C 2806準拠の表で、φ2.0mm1本とφ1.6mm3〜5本は中スリーブ・中マークです。φ2.0mm1本とφ1.6mm1〜2本なら小・小に下がるので、1.6mmが2本か3本かで段が変わります。

問3:圧着後の接続部で、欠陥になるのはどれですか。

  1. スリーブの上端から心線が3mm露出している
  2. スリーブの下端から心線が7mm露出している
  3. スリーブの上から見て、接続する心線の先端が1本だけ見えない
  4. 外装をはぎ取った後の絶縁被覆が25mm残っている

解答:3(心線の先端が1本だけ見えない)
6-2イは「リングスリーブを上から目視して,接続する心線の先端が一本でも見えないもの」を欠陥とします。図2の①は出し過ぎでも見えなさ過ぎでも落ちるところです。1は5mm未満、2は10mm未満、4は20mmより長いので、いずれも範囲内です。

問4:圧着マークについて、欠陥になるのはどれですか。

  1. スリーブの中央寄りに完全なマークが1個ある
  2. スリーブの末端でマークの一部が欠けている
  3. マークが明瞭に読み取れる
  4. 接続する電線の組合せに合ったダイスを使った

解答:2(末端でマークの一部が欠けている)
図3の②です。6-1ニがそのまま該当します。マークの種類が合っていても、欠けた時点で欠陥になります。

問5:圧着をやり直すときの手順として、適切なものはどれですか。

  1. 同じスリーブへ正しいダイスで押し直す
  2. スリーブの下で切り離し、新しいスリーブで圧着し直す
  3. 欠けたマークの隣にもう1回押して形を整える
  4. 絶縁テープを巻いて隠す

解答:2(切り離して新しいスリーブで圧着し直す)
1と3は1つのスリーブにマークが2つ以上残るため6-1ホで欠陥です。リングスリーブは追加支給を受けられる数少ない材料なので、切り直してよいか(配線図の寸法の50%以下にならないか)だけ先に確かめます。4は試験で絶縁処理そのものを行わないので、支給されていない材料を足すことになります。

問6:試験で使う圧着工具の条件として、正しいものはどれですか。

  1. 圧着端子用の工具でもよい
  2. 数字の刻印が付く工具でもよい
  3. JIS C 9711に適合したリングスリーブ用圧着工具を使う
  4. 刻印が薄くて読めなくても、押した事実があればよい

解答:3(JIS C 9711に適合したリングスリーブ用圧着工具)
公式資料は、使い古して刻印が明確に見えないもの、圧着端子用の工具を使ったために刻印が数字になったものは正しい工具が使用されたと認められず欠陥、と明記しています。

出典にした公式資料と、確かめた日

組合せ表・工具の条件・判定値は、電気技術者試験センターが公開する現行資料と照合しました。
確認日は2026年9月9日です。
図1〜図3と自己チェック6問は当サイトで作成したもので、試験問題の文面や写真は転載していません。

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次は差込形コネクタ・ランプレセプタクル・引掛シーリング|結線と欠陥対策へ進んでください。同じ接続点でも、圧着ではなく差し込みで仕上げる場合の見どころが分かります。

手を動かして確かめるなら【ミニテスト】リングスリーブ圧着|第二種電気工事士で、呼びと圧着マークを分けて選べているかを試せます。

作品全体の見直しへ進むなら第二種技能試験の欠陥判断基準|完成後5分の点検順です。

広告・編集方針

この記事内に工具、練習材料、通信講座のアフィリエイトリンクは掲載していません。2026年9月9日に、欠陥の判断基準と令和8年3月更新の公式ポイント(JIS C 2806準拠の組合せ表を含む)へ照合し、呼びと圧着マークの対応、最大使用電流、工具の適合条件を再確認しました。図1〜図3と自己チェック6問は当サイトのオリジナルです。

資格太郎

この記事を書いた人:資格太郎電気工事士の独学合格を目指して学習中。組合せは市販の早見表だけで断定せず、試験センターが公開するJIS C 2806準拠表と判断基準へ照合しています。運営者情報を詳しく見る

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