この記事を読み終えると、第二種電気工事士の技能試験へ持って行く工具を、指定工具・補助工具・持ち込めない物に分けて、買う前と試験の前日に自分で点検できるようになります。
結論:指定工具を受験案内どおりにそろえ、補助工具は「手動・市販・無改造・持込可」を確認します
令和8年度(2026年度)下期の受験案内では、ペンチ、プラス・マイナスドライバー、電工ナイフ、スケール、ウォーターポンププライヤー、JIS C 9711適合のリングスリーブ用圧着工具が指定工具です。工具セットか単品か、特定メーカーかよりも、公式条件を満たし、練習で安全に扱えることを優先します。
第二種電気工事士の技能試験用工具は、「人気セットを買えば終わり」ではありません。セット名が同じでも内容は変わり得ますし、手の大きさ、すでに持っている工具、使いやすいストリッパーは人によって違います。
この記事では、2026年10月1日に確認した令和8年度第二種電気工事士下期試験の受験案内を基に、指定工具、工具セットの確認項目、追加の工具、持ち込めない物を分けて整理します。商品を順位付けせず、買う前と試験の前に自分で確かめられる項目を示します。
下期の受験案内で加わった1行があります。指定工具と注意事項は上期と同じですが、下期の案内は「デジタル表示機能付工具(電子ノギス等)は使用できません」と明記しています。最終の判断は受験する期の受験案内です。工具・禁止されている物・当日の持ち物は、申し込んだ期の案内でもう一度確かめてください。
2026年度の指定工具を一覧で確認
令和8年度第二種電気工事士下期試験 受験案内(PDF)は、次の指定工具を「作業に最低限必要と考えられますので、必ず持参してください」と案内しています。案内の番号は①〜⑥で、プラス・マイナスドライバーを別々に数えると、持参する工具は7点になります。
| 指定工具 | 主な作業 | 購入・持参前の確認 |
|---|---|---|
| ペンチ | ケーブル・電線の切断、心線の切りそろえ | 練習材料を無理なく切れ、刃に欠けや大きな隙間がない |
| プラスドライバー | 端子ねじの締付け | 練習器具のねじに先端が合い、押し付けて回しやすい |
| マイナスドライバー | 器具の取外しやねじ操作 | 先端が欠けておらず、対象箇所へ無理なく入る |
| 電工ナイフ | ケーブル外装などの処理 | 指定工具なので、ストリッパーを使う人も持参する |
| スケール | ケーブル寸法の確認 | 必要な目盛りを素早く読み取れる |
| ウォーターポンププライヤー | ロックナット等の締付け | 口幅を調整でき、がたつきが大きくない |
| リングスリーブ用圧着工具 | リングスリーブの圧着 | JIS C 9711適合品で、○・小・中・大の刻印が明確に出る |
「指定工具」は、どの候補問題でも7点すべてを使うという意味ではありません。問題によって出番がない工具があっても、公式が最低限必要としているため一式を持参します。会場で工具の貸し借りはできず、下期の受験案内は、試験中に他の受験者から工具を借りることを失格の事由に挙げています。
作業の順に並べると、どの工程をどの工具が受け持つか
指定工具は、作品を作る順に並べると役割が分かれます。図1は、工程ごとに受け持つ工具と、手動のVVFストリッパーで補助できる範囲を示したものです。
図1 作業の順に並べた、工程と指定工具の対応
①〜⑥は作品を作るときのおおよその順です。札は、その工程を受け持つ指定工具です。
手動のVVFストリッパーで補助できる工程
ストリッパーは切断・はぎ取り・輪づくりを補助できる。ただしEM-EEFやVVRの外装は、VVF用ストリッパーでは適切にはぎ取れないことがある。
ストリッパーでは代われない工程
⑤は、JIS C 9711適合の圧着工具で圧着マーク(○・小・中・大)を刻印する。
図1の①〜③は、切る・はぎ取る・輪を作るという電線の加工で、ここはストリッパー1本で進める人が多い工程です。図1の④〜⑥は、ねじ・リングスリーブ・ロックナットという相手の部品が決まっている工程で、ストリッパーでは代われません。工具セットを確かめるときは、図1の④〜⑥の3種類が欠けていないかを先に見ます。
試験センターの「技能試験の概要と注意すべきポイント」は、課題によってはEM-EEFやVVRが出題され、これらはVVF用ストリッパーでは適切に外装をはぎ取れないことがあるので、電工ナイフを用いるなどケーブルの種類に応じた方法で作業するよう説明しています。図1の②を電工ナイフでも行えるように練習しておくのは、このためです。
圧着工具はJIS適合と刻印を最優先で確認
工具選びで規格確認が必要なのは、リングスリーブ用圧着工具です。令和8年度下期の受験案内は、JIS C 9711(1982・1990・1997)適合品を指定し、握り部分が黄色の工具で○・小・中・大の圧着マークが明確に出るものを用意するよう案内しています。それ以外の圧着工具で圧着し、リングスリーブに圧着マークが刻印されない場合は欠陥の対象です(1982年より前のJIS規格の圧着工具を含みます)。
黄色い柄だけを見て終わらず、商品表示の規格と用途を確認し、練習用のリングスリーブで次を点検します。
- リングスリーブ用で、JIS C 9711適合と表示されている
- ○・小・中・大のダイスと刻印を確認できる
- ハンドルを最後まで握り切り、ラチェットを解除できる
- 圧着後の刻印が欠けず、該当する記号を読める
- 手の大きさと握力で、机上に座った状態でも安定して操作できる
刻印の選び方は電線の本数と太さで変わります。製品名で覚えず、リングスリーブの圧着|電線本数・刻印・欠陥対策で組合せを確認してください。公式の技能試験に係る欠陥の判断基準も、誤った圧着マークや圧着位置を欠陥例として示しています。
工具セットと単品購入は不足数で決める
セット購入と単品購入のどちらがよいかは、すでに持っている工具と、セット内容を確認できるかで決まります。価格や有名メーカーだけでは判断できません。
| 購入方法 | 向いている状況 | 確認すること |
|---|---|---|
| 工具セット | 指定工具をほとんど持っていない | 指定工具の不足、圧着工具のJIS適合、重複品、補助工具の内容 |
| 単品購入 | 使える工具をすでに持ち、不足が少ない | 既存工具の状態、規格、練習器具との相性 |
| 借用品 | 試験日まで継続して練習できる | 当日も借りられるか、規格と状態、途中で工具が変わらないか |
セットを買う場合も、商品写真だけで判断しません。販売ページの内容一覧を2026年度の指定工具と照合し、到着後すぐに全点を並べて確認します。圧着工具の規格が不明、必要工具が不足、電動機能付き工具を含む場合は、そのまま試験用一式にしないでください。
VVFストリッパーは補助工具として実物で比較
手動のVVFストリッパーは、外装・絶縁被覆の処理や切断、輪づくりを補助できる市販工具です。ただし、公式の指定工具には含まれず、特定機種を使えば必ず速くなるという統計もありません。
選ぶときは、製品名や動画の使用率ではなく、練習材料で次の動作を比べます。
- VVF 1.6 mm・2.0 mmなど、練習するサイズへ対応している
- 外装と絶縁被覆の刃を迷わず選べる
- 心線へ傷を付けず、必要な長さで被覆を処理できる
- 片手で無理に握らず、切断後も工具を安全に置ける
- 同じ工具を試験日まで継続して使える
ストリッパーがあっても、指定工具の電工ナイフは持参します。図1の②で触れたとおり、EM-EEFやVVRの外装は電工ナイフで処理する場面があります。加工手順の基礎はケーブルの剥ぎ取り・輪づくり|寸法と欠陥対策で確認し、無通電の練習材料だけを使ってください。
追加工具と持込禁止品を分ける
令和8年度下期の受験案内は「電動工具以外のすべての工具を使用することができます」と案内したうえで、計測機器、改造・自作した工具、持参した作業用シートなどを個別に禁止しています。「手動なら何でもよい」と広く解釈せず、同じ受験案内の禁止事項まで確認します。
| 区分 | 例 | 条件・注意 |
|---|---|---|
| 使用可能と明記 | 手袋、工具用腰ベルト、電線を一時的に束ねるクリップ | クリップは試験終了までに必ず外す |
| 使用不可 | 電動工具、電動機能付き工具 | 充電式を含み、電動機能をOFFにしても使用不可 |
| 使用不可 | 回路計(テスター)等の計測機器 | 完成後の導通確認用としても持ち込まない |
| 使用不可 | デジタル表示機能付工具(電子ノギス等) | 下期の受験案内で明記された |
| 使用不可 | 改造した工具、自作した工具 | 持ち手の延伸や目盛の書込みは、改造の大小に関わらず不可 |
| 使用不可 | 持参した下敷き・作業用シート、小箱・皿類 | 敷くのは配られる保護板だけ。小さな部品は支給される材料箱へ |
| 使用不可 | 支給材料以外の材料 | 練習用のねじ・スリーブ・電線を机上へ出さない |
| 使用を自粛 | カッターナイフ | けがで手当てのために退出する人が増えていると案内されている |
技能試験の概要と注意すべきポイント(2026年3月更新・PDF)には、工具と材料の扱い、欠陥例、試験中のやり直しが写真付きでまとまっています。同じ資料の「よくある問合せ」は、工具箱や工具袋は机上に置けること、ケーブルにペンで印を付けてよいこと、スケールは机ではなく、試験開始後に保護板へ貼ることを答えています。旧年度のブログや動画ではなく、受験する期の公式資料を優先してください。
各工具は「正しい結果が出るか」で練習する
使い方の目標は、作業を速く見せることではなく、施工条件どおりの結果を繰り返せることです。
- ペンチ:切断位置を確認し、心線や隣の電線を巻き込まずに切る
- ドライバー:ねじに合う先端をまっすぐ押し当て、器具を傷める締め過ぎや緩みを残さない
- 電工ナイフ:刃の進行方向に指を置かず、無通電の材料で外装を傷付けすぎない練習をする
- スケール:問題の基準点と寸法省略条件を先に読み、同じ位置から測る
- ウォーターポンププライヤー:口幅を対象へ合わせ、ナット・ボックスを変形させない
- 圧着工具:圧着前に本数・太さ・刻印を照合し、解除されるまで握って刻印を確認する
- VVFストリッパー:外装用と被覆用の位置を区別し、心線に傷を付けない
実際の住宅や設備の配線を、試験練習として施工・分解してはいけません。練習材料は無通電で使い、切創を防ぐ向きと姿勢を保ちます。
購入前から当日までの6ステップ
- 最新案内を保存:受験する期の工具一覧と禁止品を確認する
- 手持ちを棚卸し:指定工具、不足品、状態不良品を分ける
- 圧着工具を確認:JIS適合、黄色の柄、刻印、握りやすさを見る
- 補助工具を比較:ストリッパー等は練習材料で正確さを測る
- 候補問題で通す:同じ工具一式で13候補問題を練習し、欠陥を記録する
- 前日に照合:指定工具、禁止品、破損、置き忘れを確認する
工具は当日に借りられず、机も広くありません。使う可能性が低い補助工具を大量に並べるより、練習で使った一式を同じ位置に置き、作業のたびに元へ戻すほうが探す時間を減らせます。時間配分は「第二種技能試験の練習方法と40分の時間配分」、前日にそろえる持ち物は「独学ロードマップの試験当日の持ち物」で確かめられます。
自己チェック|持参する工具と、使える物・使えない物の判定
解説は最初から表示しています。問1は図1を見ながら、問2〜問5は本文を見ないで答えてみてください。
問1:図1の工程のうち、手動のVVFストリッパーでは代われず、指定工具が要るものはどれですか。
- ケーブルの切断
- 外装のはぎ取り
- 心線の輪づくり
- リングスリーブの圧着
解答:4(リングスリーブの圧着)
図1の⑤は、JIS C 9711適合のリングスリーブ用圧着工具で行います。ストリッパーが補助できるのは図1の①〜③(切る・はぎ取る・輪を作る)で、図1の④〜⑥は代われません。
問2:次のうち、令和8年度下期の受験案内で技能試験に使えるとされているものはどれですか。
- 電動機能をOFFにした充電式ドライバー
- 導通を確かめるための回路計(テスター)
- 市販のまま改造していない手動のVVFストリッパー
- 寸法の目盛を書き込んだペンチ
解答:3(改造していない手動のVVFストリッパー)
受験案内は「電動工具以外のすべての工具を使用することができます」としたうえで、電動機能付工具(OFFにしても不可)、計測機器、改造した工具を個別に禁止しています。目盛の書込みは、改造の大小に関わらず改造として扱われます。
問3:指定工具の扱いとして、受験案内に合うものはどれですか。
- 候補問題で出番がない工具は持参しなくてよい
- ストリッパーを持参すれば、電工ナイフは省ける
- 使う予定がなくても、指定工具は一式を持参する
- 忘れた工具は、試験中に隣の受験者から借りる
解答:3(一式を持参する)
指定工具は「作業に最低限必要と考えられますので、必ず持参してください」と案内されています。試験中の工具の貸借はできず、下期の受験案内は他の受験者からの借用を失格の事由に挙げています。
問4:リングスリーブ用圧着工具の条件として正しいものはどれですか。
- 握りが黄色であれば、規格の表示は確かめなくてよい
- JIS C 9711の適合品で、○・小・中・大の刻印が明確に出る
- 圧着さえできれば、刻印が出ない工具でもよい
- 握力に不安がある人は、持ち手を延長して使ってよい
解答:2(JIS C 9711の適合品で、刻印が明確に出る)
受験案内は、JIS C 9711(1982・1990・1997)の適合品で、握りの部分が黄色、○・小・中・大の刻印が明確に出るものを指定しています。圧着マークが刻印されない場合は欠陥の対象で、持ち手の延伸は改造に当たります。
問5:リングスリーブやねじを机の上で整理したいとき、受験案内と公式の「よくある問合せ」に合うのはどれですか。
- 支給される材料箱を使う
- 持参した小皿に分けて置く
- 持参した作業用シートの上に並べる
- 持参した仕切り付きの小箱に入れる
解答:1(支給される材料箱を使う)
小箱や皿類、配布される保護板以外の下敷き・作業用シート類は使用できません。「よくある問合せ」は、小箱等は材料の持ち込みの疑いを防ぐ観点から使えないとし、支給される材料箱の活用を案内しています。
指定工具と持込みの可否の根拠にした受験案内
2026年10月1日に、次の資料の記載内容を確認して、本文の指定工具・圧着工具の規格・使える物と使えない物を照合しました。上期と下期の受験案内は、工具のページを並べて違いを確かめています。
- 電気技術者試験センター:令和8年度第二種電気工事士下期試験 受験案内(PDF。持参するもの、工具における注意事項、使用を禁止しているもの)
- 電気技術者試験センター:令和8年度第二種電気工事士上期試験 受験案内(PDF)
- 電気技術者試験センター:技能試験の概要と注意すべきポイント(PDF。工具と材料の扱い、よくある問合せ)
- 電気技術者試験センター:技能試験に係る欠陥の判断基準等について
- 電気技術者試験センター:第二種電気工事士試験(受験案内の掲載ページ)
更新履歴:2026年3月13日 公開/2026年7月26日 受験案内の指定工具と持込みの可否を中心に改訂/2026年10月1日 下期の受験案内で照合し直し、工程と工具の対応の図1、自己チェック5問を加えた
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工具がそろったら、次は第二種技能試験の練習方法と40分の時間配分で、材料の量と通し練習の組み立てを決めてください。
練習は候補問題No.1の複線図から、同じ工具一式で始めます。
完成した作品は第二種技能試験の欠陥判断基準の順で点検します。
※当サイトの図は学習用に自作した模式図で、実際の機器・器具とは外観や寸法が異なる場合があります。問題・解答の内容には細心の注意を払っておりますが、誤りが含まれる可能性があります。学習の参考としてご活用いただき、最終的な確認は公式テキスト・法令等で行ってください。当サイトの情報に基づく判断によって生じた損害について、一切の責任を負いかねます。
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