この記事でわかること
- 材料の拾い出しが現場と試験の両方で重要な理由
- 配線図→複線図→数えるの3ステップの手順
- リングスリーブの刻印サイズ(○・小・中)の判定方法
- 差込形コネクタの極数の数え方とケーブル本数の拾い方
結論から言います|材料の拾い出しは「配線図→複線図→数える」の3段構え
材料(ざいりょう)の拾い出しとは、配線図を見て「この工事に何がいくつ必要か」を数え上げる作業のことです。
ケーブルの種類と本数、リングスリーブの個数と刻印サイズ、差込形コネクタの極数……。これらを配線図から正確に読み取って数えるのが拾い出しです。
学科試験では「施工に必要なケーブルは何本?」「リングスリーブの刻印の組み合わせは?」といった問題が毎回のように出題されます。技能試験でも、支給された材料を確認するときに拾い出しの力が必要になります。
やり方はシンプルで、配線図を読む → 複線図に変換する → 接続箇所ごとに数える——この3ステップです。ここから順番に解説していきますね。
なぜ材料の拾い出しが重要なのか
現場では「過不足なく材料を準備する」ために必要
たとえば、一戸建ての新築工事を想像してみてください。電気工事士は図面を見て「VVF 2心の1.6mmが何メートル、リングスリーブの小が何個、差込形コネクタの4極が何個……」と、必要な材料をリストアップしてから現場に入ります。
ここで数え間違えると大変です。材料が足りなければ工事がストップしますし、多すぎれば余計なコストがかかります。拾い出しの正確さ=現場の段取りの良さなんです。
試験では「配線図問題の定番」として毎回出題される
第二種電気工事士の学科試験では、配線図を見て材料の種類や数を答えさせる問題が必ず出ます。具体的にはこんなパターンです。
- 「この配線図で使用するVVFケーブルの心数(しんすう)と本数は?」
- 「ジョイントボックス内のリングスリーブの個数と刻印は?」
- 「差込形コネクタの極数と個数は?」
- 「アウトレットボックスの個数は?」
どれも複線図を正しく描ければ自動的に答えが出る問題です。逆に言えば、拾い出しができない=複線図が描けない、ということ。ここを押さえれば配線図問題は一気に得点源になりますよ。
なお、配線図の図記号がまだ不安な方は、先にこちらの記事で確認しておくとスムーズです。
→ 配線図の図記号一覧|これだけ覚えれば得点源!|第二種電気工事士
拾い出しの基本手順|4つのステップ
では、1つずつ詳しく見ていきましょう。
Step 1:配線図の図記号を読み取る
まずは配線図に描かれた図記号(ずきごう)を見て、どんな器具・機器が使われているかを把握します。
チェックするポイントはこの3つです。
- スイッチの種類と数(単極スイッチ、3路スイッチ、4路スイッチなど)
- 負荷の種類と数(照明器具、コンセント、換気扇など)
- ジョイントボックスの位置(電線の接続箇所)
器具の種類によって必要なケーブルの心数が変わるので、ここでの読み取りミスは致命的です。図記号に自信がない方は 配線図の図記号一覧 で復習しておきましょう。
Step 2:複線図に変換する
配線図(単線図)では電線が1本の線で描かれていますが、実際の施工では2本や3本の電線が通ります。この実際の電線の本数を明らかにするのが複線図への変換です。
複線図を描くときの基本ルールをおさらいしておきます。
- 電源の接地側(白線)を、コンセントと負荷(照明など)に直接つなぐ
- 電源の非接地側(黒線)を、スイッチにつなぐ
- スイッチから負荷へ渡り線(わたりせん)をつなぐ
この順番で描けば、各区間を通る電線が何本かがはっきりします。複線図の描き方をもう一度おさらいしたい方は 複線図の基本ルールと書き方|4ステップで完全マスター を先にチェックしてみてください。
Step 3:接続箇所ごとに電線本数を数える
複線図が描けたら、ジョイントボックス内の接続点ごとに「何mmの電線が何本つながっているか」を数えます。
ここが拾い出しの核心です。数え方のポイントは以下のとおり。
- 同じ色(同じ極性)でつながる電線をまとめて1つの接続点とする
- 接続点ごとに、つながる電線の太さ(1.6mm / 2.0mm)と本数を書き出す
Step 4:接続部材(スリーブ・コネクタ等)を数える
接続点ごとの電線本数がわかれば、そこで使うリングスリーブや差込形(さしこみがた)コネクタの種類と個数が決まります。
接続点の数=スリーブまたはコネクタの個数です。接続点が3箇所あれば、スリーブ(またはコネクタ)は3個必要ということですね。
よく出る拾い出しパターン
試験で問われやすい拾い出しのパターンを整理しておきましょう。
パターン1:ケーブルの心数と本数
配線図の各区間で使うケーブルがVVF 2心(しん)なのか3心なのかを判断します。
| 区間 | 心数 | 理由 |
|---|---|---|
| 電源〜ジョイントボックス | 2心 | 接地側+非接地側の2本 |
| ジョイントボックス〜照明 | 2心 | 接地側+スイッチからの戻り線 |
| ジョイントボックス〜スイッチ(単極) | 2心 | 非接地側+戻り線 |
| ジョイントボックス〜3路スイッチ | 3心 | 共通端子+2つの個別端子 |
| 3路スイッチ〜3路スイッチ | 3心 | 2つの個別端子+共通端子の渡り |
ポイント:3路スイッチや4路スイッチが絡むと3心ケーブルが必要になります。逆に、単極スイッチとコンセント・照明だけの回路なら基本的に2心で済みます。3路・4路スイッチの配線が苦手な方は 3路・4路スイッチの複線図の書き方 で確認しておきましょう。ケーブルの種類については 電線・ケーブルの種類と用途を徹底解説 をどうぞ。
パターン2:リングスリーブの刻印(○/小/中)の判定方法
これが試験で最も出題される拾い出しパターンです。接続点ごとにつながる電線の太さと本数から、使用するリングスリーブのサイズと圧着マーク(刻印)が決まります。
| 電線の組み合わせ | スリーブサイズ | 刻印 |
|---|---|---|
| 1.6mm × 2本 | 小 | ○ |
| 1.6mm × 3本 | 小 | 小 |
| 1.6mm × 4本 | 小 | 小 |
| 1.6mm × 1本 + 2.0mm × 1本 | 小 | 小 |
| 1.6mm × 2本 + 2.0mm × 1本 | 小 | 小 |
| 1.6mm × 1本 + 2.0mm × 2本 | 中 | 中 |
| 1.6mm × 5本 | 中 | 中 |
| 2.0mm × 2本 | 小 | 小 |
| 2.0mm × 3本 | 中 | 中 |
| 1.6mm × 3本 + 2.0mm × 1本 | 中 | 中 |
覚え方のコツを紹介します。
「断面積の合計」で判断する方法がいちばん確実です。
- 1.6mmの断面積 = 2.0mm2
- 2.0mmの断面積 = 3.14mm2(覚えやすく約3.5として計算してもOK)
そして、合計断面積で刻印が決まります。
- 合計 4.0mm2 以下(1.6mm×2本 = 2.0+2.0 = 4.0)→ 刻印「○」
- 合計 4.0mm2 超 ~ 8.0mm2 以下 → 刻印「小」
- 合計 8.0mm2 超 → 刻印「中」
たとえば「1.6mm×3本」なら、2.0×3 = 6.0mm2。4.0超~8.0以下なので刻印は「小」。これなら暗記に頼らずに判定できますね。
リングスリーブの実際の圧着手順やサイズの見分け方は リングスリーブの圧着接続をマスター|サイズ・刻印の選び方 で詳しく解説しています。
パターン3:差込形コネクタの極数
差込形コネクタは、接続点に集まる電線の本数がそのまま極数になります。
- 電線が2本集まる → 2極の差込形コネクタ
- 電線が3本集まる → 3極の差込形コネクタ
- 電線が4本集まる → 4極の差込形コネクタ
リングスリーブと違って太さによるサイズ判定がないので、こちらはシンプルです。接続点ごとに電線の本数を数えるだけでOK。差込形コネクタの実際の取り付け方は 差込形コネクタ・ランプレセプタクル・引掛シーリングの取り付け を参考にしてください。
パターン4:アウトレットボックスの数
アウトレットボックスは、金属管工事やPF管工事で電線の接続・分岐を行う箱です。配線図上の「○」で囲まれた記号で表されます。
拾い出しでは、配線図に描かれたアウトレットボックスの記号をそのまま数えればOKです。工具や器具の見分け方に不安がある方は 鑑別問題対策|工具・材料・器具の名称と用途を完全網羅 で確認できます。
具体例で拾い出し練習|シンプルな回路を数えてみよう
ここからは、実際の回路で拾い出しを練習してみましょう。
例題の回路構成
以下のようなシンプルな回路を考えます。
よくある住宅の1部屋分の回路ですね。スイッチ「イ」で照明「イ」を点消灯し、同じ回路にコンセントもある、という構成です。
Step 1:器具の確認
- 単極スイッチ × 1
- 照明器具 × 1
- コンセント × 1
- ジョイントボックス × 1
Step 2:複線図に変換
複線図の描き方ルールに従って整理すると、こうなります。
電源の白 → 照明の片方 → コンセントの片方
(3本がジョイントボックス内で接続)
非接地側(黒線)のグループ:
電源の黒 → スイッチの片方 → コンセントの片方
(3本がジョイントボックス内で接続)
スイッチ〜照明(戻り線):
スイッチのもう片方 → 照明のもう片方
(2本がジョイントボックス内で接続)
Step 3:ケーブルの心数と本数を数える
| 区間 | 心数 | 本数 |
|---|---|---|
| 電源 〜 ジョイントボックス | 2心 | 1本 |
| ジョイントボックス 〜 スイッチ「イ」 | 2心 | 1本 |
| ジョイントボックス 〜 照明「イ」 | 2心 | 1本 |
| ジョイントボックス 〜 コンセント | 2心 | 1本 |
結果:VVF 1.6mm 2心 × 4本(3心ケーブルは不要)
Step 4:接続部材を数える
ジョイントボックス内の接続点は3箇所です。それぞれの電線本数を確認しましょう。
| 接続点 | 電線の内訳 | 刻印 |
|---|---|---|
| 接地側(白線) | 1.6mm × 3本 | 小 |
| 非接地側(黒線) | 1.6mm × 3本 | 小 |
| 戻り線 | 1.6mm × 2本 | ○ |
結果まとめ:
- リングスリーブ(小) × 2個(刻印「小」が2つ)
- リングスリーブ(小) × 1個(刻印「○」が1つ)
- 合計:リングスリーブ(小)3個 刻印の内訳は「○」1つ+「小」2つ
もし差込形コネクタで接続する指定なら、3極コネクタ×2個+2極コネクタ×1個です。
このように、複線図さえ正しく描ければ、あとは数えるだけ。落ち着いてやれば確実に正解できる分野ですよ。
拾い出しでミスしやすい注意点
最後に、よくあるミスと対策をまとめておきます。
- 渡り線を忘れる:連用枠(れんようわく)に複数のスイッチやコンセントがある場合、器具間の渡り線が必要です。これもケーブル本数に含めるかどうか注意しましょう
- 接地線を数え忘れる:コンセントにアース端子(EETコンセント)がある場合、接地線(緑)が1本追加されます。その区間は3心ケーブルになり、リングスリーブの接続点も1つ増えるので要注意です(接地工事 A〜D種の解説はこちら)
- 刻印「○」と「小」の混同:スリーブのサイズはどちらも「小」ですが、刻印が違います。1.6mm×2本だけが「○」、それ以外の小スリーブは「小」です
- 3路スイッチの心数ミス:3路スイッチが絡む区間は3心ケーブルです。2心と間違えやすいので注意しましょう
器具やケーブルの見た目がイメージしにくい方は、照明器具・配線器具をわかりやすく解説|スイッチ・コンセントの種類 も参考にしてみてください。
まとめ
材料の拾い出しは、配線図問題で確実に得点するためのカギとなるスキルです。
配線図問題の得点力をさらに上げたい方は、テキストの図を見ながら拾い出しを繰り返し練習するのが近道です。
それでは、理解度チェックの問題にチャレンジしてみましょう!
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- 図記号一覧 → 「配線図の図記号一覧」
- 配線図の読み方 → 「配線図の読み方・複線図への変換」
- 材料の鑑別 → 「鑑別問題対策」
- 電線の種類 → 「電線・ケーブルの種類と用途」
理解度チェック問題
【問題1】
ある住宅の居間の回路で、ジョイントボックス内の1つの接続点に1.6mmの電線が4本つながっている。この接続点をリングスリーブで圧着する場合、使用するスリーブのサイズと刻印の組み合わせとして正しいものはどれか。
イ.スリーブ:小、刻印:○
ロ.スリーブ:小、刻印:小
ハ.スリーブ:中、刻印:中
ニ.スリーブ:中、刻印:小
【問題2】
洗面所の配線工事で、ジョイントボックス内の接続点に1.6mmの電線が2本と2.0mmの電線が2本つながっている。この接続点をリングスリーブで圧着する場合、刻印として正しいものはどれか。
イ.○
ロ.小
ハ.中
ニ.大
【問題3】
キッチンの配線で、電源から分岐してジョイントボックスを経由し、単極スイッチ1個で換気扇1台を制御する回路がある(コンセント等の他の器具はない)。ケーブルはすべてVVF 1.6mm 2心を使用する。この回路のジョイントボックス内でリングスリーブを使って接続する場合、必要なリングスリーブの個数と刻印の組み合わせとして正しいものはどれか。
イ.刻印「○」が2個、刻印「小」が1個
ロ.刻印「○」が3個
ハ.刻印「小」が2個、刻印「○」が1個
ニ.刻印「小」が3個
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