2種 配線図

配線図の読み方と材料の拾い出し|複線図への変換と接続材の数え方

この記事では、配線図から確定できる情報と施工条件を見なければ決まらない情報を分け、単線図を複線図へ変換し、その複線図から必要な電線と接続材料を数えられるようになります。読む順番は「共通事項・特記 → 図記号と傍記 → 器具の働き → 必要な導体 → 電線種類・色別 → 接続グループ → 接続材料」で固定します。色を先に決めないことが要点です。

第二種電気工事士の学科試験は50問で、そのうち配線図問題は20問程度です。ただし20問すべてが複線図変換ではありません。図記号、器具、材料、施工方法、必要な電線本数などを同じ配線図から横断して問います。技能試験は、配線図で与えられた問題を支給された材料で一定時間内に完成させる試験です。現場の見積数量と試験問題の拾い出しは目的が異なるため、この記事では試験での判断手順を扱います。

最初に「共通事項」と「特記」を読む

公式の配線図例題では、図の前に共通事項や注意事項があります。たとえば「特記のない屋内配線はVVFケーブル工事」「問いに直接関係しない電線本数等は省略」といった条件です。図だけを見て答えると、省略された情報を勝手に補ってしまいます。

読む場所 確かめること 飛ばすと起きる誤り
共通事項 標準の工事方法、電源、漏電遮断器、省略条件 図にない心数・太さを断定する
特記・凡例 記号の意味、点灯方式、電線・器具の指定 一般的な記号の意味を無条件に当てはめる
施工条件 色別、接続方法、器具位置、配線方法 電気的に動いても技能試験では欠陥になる

図記号は原則としてJIS C 0617シリーズとJIS C 0303:2000に基づき、JISにない記号は問題文で説明されます。基本形だけでなく、添字・傍記・線種・特記までを一つの記号として読んでください。H・L、E・ET・EETなどの整理は配線図の図記号一覧|形・傍記・条件の読み方で確認できます。

単線図と複線図は何が違うのか

単線図
複数の導体を一本の線にまとめ、器具の配置、回路の経路、工事方法を読みやすく示す図です。電線本数などが省略されることがあります。
複線図
回路を構成する導体を分け、端子間の電気的なつながりを確認するための図です。自分で作る場合も、元の配線図・施工条件が最優先です。

片切スイッチ照明回路の単線図を、接地側・非接地側・返り線に分けた複線図へ変換する5段階の自作図解
図1:単線図の1本の線はケーブル経路を表します。導体をA「非接地側」、B「接地側」、C「返り線」に分けてから、施工条件に従って色と器具端子を確定します(当サイト作成)。図をタップすると原寸で開きます。

図1の左側では、電源・接続点・照明・片切スイッチの配置とケーブル経路だけを読みます。右側で初めて、Aの非接地側をスイッチへ送り、Cの返り線を照明へ戻し、Bの接地側を照明へ直接つなぐと分けます。同じ白線でも、Bの接地側とCの返り線では電気的な役割が異なるため、色だけで接続先を決めてはいけません。

複線図は考えるための強力な道具ですが、描いた複線図そのものが第二種技能試験の提出物・採点項目になるわけではありません。公式資料が判定するのは完成作品です。未完成、誤接続、配線図と異なる配置・電線、施工条件と異なる色別や接続方法などが欠陥になります。

そのため「複線図をきれいに描けたから合格」でも「複線図を書かなければ失格」でもありません。目的は、支給された材料で、指定された回路を時間内に正しく構成することです。

単線図から複線図へ変換する5段階

1.器具と端子の役割を書き出す

電源、負荷、コンセント、点滅器、接地端子、ジョイント箇所を拾い、添字「イ・ロ・ハ」で操作する器具の組合せを対応させます。3路・4路、パイロットランプ、タイムスイッチ等は端子の働きが違うため、器具名だけで済ませません。

2.電気の通り道を機能でつなぐ

まず色ではなく、接地側、非接地側、点滅器から負荷への線、3路回路の渡り線、保護用の接地線という機能でつなぎます。100Vの片切点滅回路なら、接地側は負荷の接地側端子へ、非接地側は点滅器を経由して負荷へ戻ると考えます。

片切点滅回路を「機能」で読む

接地側 ───────── 負荷の接地側端子
非接地側 ─ 点滅器 ─ 負荷のもう一方の端子

この段階では、途中のケーブル分けや全導体の色をまだ確定しません。

3.各区間を通る導体の機能を数える

ジョイント箇所や器具間の区間ごとに、何のための導体が通るかを列挙します。ここで初めて必要本数が見えます。ただし、単線図で省略されている情報や、別の配線経路が許される部分を推測だけで固定しません。

4.配線図・施工条件を当てはめる

指定されたVVF 2C/3C、VVR、EM-EEF、IV、電線管、接続位置と寸法を機能導体へ割り当てます。2026年度の公式候補問題も、配線図・施工条件等の詳細は本試験問題に明記するとしています。候補問題の図だけで最終結線を決めないでください。

5.色別・極性・閉回路を検算する

公式の2026年技能資料は、施工条件の代表例として、電源からの接地側を白、電源から点滅器までの非接地側を黒、接地線を緑とする例を示しています。また、ランプレセプタクルの受金ねじ部、コンセントや引掛シーリングのW側へ白を結線する例があります。

これは施工条件の代表例です。同じ資料は「電気的には複数の配線方法が考えられる場合もある」と明記し、課題ごとの条件を読むよう求めています。すべての途中線を「白なら接地側、黒なら非接地側」と機械的に決めるのは危険です。

最後の3点検

  • 点滅器を操作したとき、指定された負荷だけが動作するか
  • 非接地側と接地側を直接つなぐ短絡や、行き先のない線がないか
  • 配線図、施工条件、材料表、指定された接続方法と一致するか

3路・4路回路は「共通端子」と「渡り線」を分ける

3路点滅器は共通端子0と、切替先の端子1・3を持ちます。二つの3路点滅器の間には二つの渡り経路があり、一方の共通端子側を電源、もう一方の共通端子側を負荷につなぐのが基本です。どちら側を電源にするか、各区間に何心ケーブルを使うかは、図面の配置と施工条件を見て決めます。

4路点滅器は二つの3路点滅器の間へ入り、二組の渡り線を直結または交差させます。「3路があればその区間は常に3心」「3路同士は1番同士・3番同士だけ」と固定すると、器具配置や施工条件が変わった問題で崩れます。詳しい端子追跡は3路・4路スイッチの複線図の書き方で練習してください。

配線図で分かること・分からないこと

情報 判断 確認先
器具の種類・配置・添字 図と凡例から読む 図記号・傍記・特記
電線種類・太さ・心数 記載・共通条件がある範囲だけ確定 線上表示・注意事項・材料表
途中線の色・接続方法 単線図だけで一意とは限らない 施工条件・端子表示
接続材料の個数・刻印 複線化して接続点ごとに数える 施工条件・接続導体

材料を数える問題は、図面上の器具を数えるだけでは終わりません。ケーブル心数、リングスリーブ、差込形コネクタは、接続点と導体本数を確定してから拾います。続けてこの記事の後半「材料の拾い出し」で、接続点と導体本数から材料を数えます。

材料を数える前に、問題の範囲を囲む

最初に、設問が何を数えるのかを明確にします。「図のa―b間」「ジョイントボックス内」「施工に必要な材料」では対象範囲が違います。共通事項、特記、凡例、線上の電線表示、施工省略箇所も確認してください。公式の配線図例題では、問いに直接関係しない電線本数などが省略される場合があります。

確認する条件 拾う情報 よくある誤り
設問の対象範囲 区間・ボックス・回路全体 範囲外の材料まで足す
共通事項・特記 工事方法・省略・電線指定 図の線だけで断定する
技能の施工条件 接続方法・色別・寸法 候補問題の公開図だけで決める

2026年度の技能候補問題は13問ですが、公式資料は、配線図・施工条件等の詳細を本試験問題に明記するとしています。公開された候補図だけを使って、リングスリーブの個数や接続方法を最終確定することはできません。

材料の拾い出しは6段階で行う

1 条件
対象範囲を囲む
2 器具
記号と個数を拾う
3 導体
役割別に数える
4 電線
種類・太さ・心数
5 接続点
電気的にまとめる
6 部材
種類・個数・刻印

1.条件と器具を別々に書き出す

電源方式、電線種類、工事方法を上段に、照明・コンセント・点滅器・接続箱などの器具を下段に書きます。器具は図記号一つにつき一個とは限りません。傍記、連用枠、複数口、施工省略を含めて設問どおりに数えます。記号が不安なら配線図の図記号一覧|形・傍記・条件の読み方で確認してください。

2.区間ごとに「必要な導体」を列挙する

色を先に決めず、接地側、非接地側、負荷への点滅線、3路・4路の切替経路、保護用の接地線など、機能で数えます。その区間を通る機能導体が二つなら2心、三つなら3心が候補になりますが、別配線の指定や電線管内のIVなどがあれば、条件を優先します。

固定暗記をしない例

  • 3路点滅器があるから、その周囲の全区間が必ず3心になるわけではありません。
  • 二つの3路点滅器間で必要になる基本機能は二つの切替経路です。共通端子側の経路が同じ区間を通るかは図面で決まります。
  • EETコンセントには電路と接地線が必要ですが、同じ多心ケーブルに収めるか、別の接地線を使うかは配線図・施工条件を見ます。

3.ケーブルと電線は「種類×太さ×心数×区間」で集計する

VVF 1.6-2CとVVF 2.0-2Cは別材料です。同じ仕様でも、設問が本数を聞くのか長さを聞くのかを区別します。技能試験の候補図では、記載のない電線種類をVVF1.6とする共通注記がありますが、線上にVVF 2.0-2C、EM-EEF、VVR、IVなどの指定があればそちらを使います。

実際の技能試験では材料表と支給品を照合し、種類・数量・寸法を確認します。候補図から現物の切断寸法を推測して先に決めず、その日の試験問題と施工条件に従ってください。

4.接続グループごとに電線の径と本数を数える

ジョイント箇所では、複線図上で電気的に一つになる導体を一グループとして囲みます。色が同じでも役割が違う線を一緒にしてはいけません。反対に、図で離れて見えても同じ接続点なら一グループです。各グループの横へ「φ1.6×2」「φ2.0×1+φ1.6×2」のように書きます。

ここで数えるのはケーブル本数ではなく、接続する心線の径と本数です。接続グループを確定してから、施工条件で指定されたリングスリーブまたは差込形コネクタへ変換します。

図2:接続グループは「色」ではなく「電気的に一つになる導体」で囲む

グループ①電源の接地側+照明の接地側端子+コンセントの接地側φ1.6×3本 → 小・刻印「小」
グループ②電源の非接地側+点滅器へ送る線+コンセントの非接地側φ1.6×3本 → 小・刻印「小」
グループ③点滅器からの返り線+照明のもう一方の端子φ1.6×2本 → 小・刻印「○」

図2の①と③は、どちらも白い被覆の心線を含むことがあります。それでも別のグループです。①は電源の接地側につながる導体、③は点滅器を経由した返り線で、電気的なつながりが違うからです。被覆の色でまとめると、③を①へ入れて短絡させる誤りが起きます。右列のように、グループごとに心線の径と本数を書いてから、施工条件で指定された接続材料へ変換します。

リングスリーブは「呼び」と「圧着マーク」を分ける

公式資料はJIS C 2806準拠の組合せを示しています。第二種技能で特に間違えやすい代表例は次のとおりです。スリーブの呼びが「小」でも、φ1.6mmを2本だけ接続するときの圧着マークは「○」です。

心線の代表的な組合せ スリーブ 圧着マーク
φ1.6×2本
φ1.6×3~4本
φ2.0×2本
φ2.0×1本+φ1.6×1~2本
φ1.6×5~6本

これは全組合せを省略した学習用の抜粋です。異径・多数接続では暗算の面積則だけに頼らず、公式資料の表で組合せを確認してください。技能試験では、スリーブ選択や刻印の誤り、一つの接続箇所に二個以上のリングスリーブを使うことも欠陥です。詳しい施工はリングスリーブの圧着|電線本数・刻印・欠陥対策で練習できます。

差込形コネクタは「極数×個数」で数える

差込形コネクタでは、一つの接続グループへ入る心線本数が必要極数です。φ1.6の心線3本を一つに接続する指定なら3極を1個、と数えます。接続グループが二つなら、各グループに対応するコネクタが一個ずつ必要です。

ただし、使用できる電線種類・径やストリップ長は製品仕様と施工条件を確認します。技能試験では、先端から心線が見えないもの、下端から心線が見えるものが欠陥です。やり直すときに引き抜いて再使用せず、新しいコネクタを使うよう公式資料が案内しています。作業の詳細は差込形コネクタの接続と器具の取り付けも参照してください。

拾い出し表で二重に検算する

最後に、器具と接続材料を別の表にすると重複・不足を見つけやすくなります。

検算の順番

  1. 図記号の個数と器具欄の個数が一致するか
  2. 各区間の機能導体が、選んだ電線・ケーブルに収まるか
  3. 複線図の各接続グループに、指定された接続材料が一つあるか
  4. リングスリーブは心線の径・本数と刻印が合うか
  5. 材料表、配線図、施工条件の指定と矛盾しないか

「3路だから3C」「接続点が三つだから小スリーブ三個」のように途中を省略せず、区間表と接続グループ表の二段階で確認してください。仕上げは材料の拾い出しミニテスト10問で、条件を読み分けて練習できます。

自己チェック|図から決まる範囲と、条件で決まる範囲

問1:学科の配線図問題で、図に電線本数が描かれていません。最初にすることは?

解答・解説:共通事項・特記・凡例と設問の条件を確認します。配線図問題では、問いに直接関係しない本数等が省略される場合があります。常に2本、常に3本と決めません。

問2:ある区間に何心のケーブルが必要か判断するとき、最初にすることは?

解答・解説:その区間を通る機能導体を列挙します。接地側、非接地側、点滅器から負荷への線、3路・4路の切替経路、接地線などを数え、そのうえで電線表示と施工条件を当てはめます。

問3:二つの3路点滅器で一つの照明を操作します。複線化で最初に区別するものは?

解答・解説:共通端子側の経路と、二つの渡り経路です。3路点滅器は共通端子0と切替端子1・3を持ちます。どちら側を電源にするか、各区間を何心にするかは器具配置と施工条件で決まります。

問4:電気的には動作しますが、W側へ白と指定されたコンセントへ黒を結線しました。技能試験の判定は?

解答・解説:欠陥です。完成回路が動作しても、配線図・施工条件と相違すれば欠陥になります。公式の判断基準は電線の色別と配線器具の極性も対象にしています。

問5:φ1.6mmの単線2本をリングスリーブで接続します。呼びと圧着マークは?

解答・解説:呼びは「小」、圧着マークは「○」です。呼びと刻印は別の判断で、φ1.6を3〜4本にすると同じ小スリーブでも刻印は「小」になります。

問6:施工条件で差込形コネクタ接続とされ、一つの接続グループに心線が3本あります。数え方は?

解答・解説:3極を1個です。一つの接続グループに入る心線本数が必要極数になります。接続グループが二つあれば、それぞれに対応するコネクタが1個ずつ必要です。

配線図と材料で照合する公式資料

編集日:2026年9月8日。図解・例題・自己チェックは当サイト独自の学習用です。試験センターの配線図例題、2026年度の学科問題、技能候補問題、施工上の注意と欠陥判断基準は2026年8月20日の再照合記録を引き継ぎ、リンク先の所在を2026年9月8日に確認しました。図1は当サイトで作図し、リングスリーブ表は公式表からの抜粋であって全組合せではありません。

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次はリングスリーブの圧着|電線本数・刻印・欠陥対策で実際の圧着へ進み、続けて差込形コネクタの接続と器具の取り付けを確認します。作図の練習からやり直す人は複線図の基本ルールと書き方へ戻ってください。

この記事を書いた人:資格太郎

電気工事士の独学合格を目指して学習中。公式資料と法令を確かめ、学習で説明できる範囲と実設備の作業を区別して編集しています。

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