検査・測定

導通試験・竣工検査をわかりやすく解説|検査の流れと判定基準|第二種電気工事士

この記事でわかること

  • 竣工検査が「通電前の安全確認」として必須である理由
  • 導通試験の目的と回路計(テスタ)の使い方
  • 竣工検査の4つの検査項目と実施の流れ
  • 絶縁抵抗・接地抵抗の判定基準と不合格時の対処

結論から言います:竣工検査は「通電前の安全確認」

結論から言います。竣工検査(しゅんこうけんさ)とは、電気工事が完了した後に行う安全確認の検査で、すべての電気工事で必ず実施しなければなりません。

「工事が終わったなら、ブレーカーを上げて電気を流せばいいんじゃない?」と思うかもしれません。でも、もし配線に不具合があったら? 絶縁が劣化していたら? いきなり通電すれば漏電・感電・火災につながる恐れがあります。

竣工検査は、そうした事故を未然に防ぐための「最後の砦(とりで)」です。この記事では、竣工検査の中でも特に重要な導通試験(どうつうしけん)と、検査全体の流れ・判定基準をわかりやすく解説します。

なお、電気設備の技術基準については「電気設備技術基準をわかりやすく解説|絶縁抵抗・接地・電圧区分|第二種電気工事士」で詳しく解説しています。

導通試験とは?回路が「つながっているか」を確認する試験

導通試験の目的

導通試験(どうつうしけん)とは、電気回路が正しくつながっているかを確認する試験です。「導通」とは電気が通ること。つまり「ちゃんと電気が流れるルートができているか?」を調べるわけです。

身近な例でいうと、イヤホンの片方から音が出ないとき、ケーブルが断線していないかチェックするのと同じ考え方です。電気工事の世界では、壁の中や天井裏を通る配線が正しく接続されているかを、通電する前に確認する必要があります。

導通試験で確認すること

導通試験では、主に以下の3つを確認します。

  • 配線の断線がないか — ケーブルが途中で切れていないか確認する
  • 接続が正しいか(誤配線がないか) — 間違ったところにつないでいないか確認する
  • 接地線(アース線)がちゃんとつながっているか — 漏電時の安全を確保するために重要

接地工事の詳細については「接地工事(アース)をわかりやすく解説!A種〜D種の違い|第二種電気工事士」を参照してください。

使用する計器:回路計(テスタ)

導通試験で使うのは、回路計(かいろけい)、いわゆるテスタです。テスタの抵抗レンジ(Ωレンジ)を使って測定します。

テスタは鑑別問題でも頻出の計器です。詳しくは「鑑別問題対策|工具・材料・器具の名称と用途を完全網羅」で確認できます。

導通試験のポイント
使う計器
回路計(テスタ)
抵抗レンジ(Ω)を使用
判定方法
抵抗値が0に近い
→ 導通あり(OK)
抵抗値が無限大(∞)
→ 断線の疑い(NG)

測定方法

導通試験の手順はシンプルです。

  1. テスタを抵抗レンジ(Ω)に合わせる
  2. 測定する回路の両端にテスタのリード棒を当てる
  3. 抵抗値を読み取る

抵抗値が0(ゼロ)に近ければ「導通あり」=回路がつながっています。逆に、抵抗値が無限大(∞)を示す場合は「導通なし」=断線や接続不良の可能性があります。

注意:導通試験は必ず無電圧状態(ブレーカーOFF)で行います。通電中にテスタの抵抗レンジで測定すると、テスタが壊れたり、感電する危険があります。

現場例:スイッチと照明の回路確認

たとえば住宅のリビングで、壁スイッチと天井の照明器具をつなぐ回路を施工したとします。

  1. ブレーカーがOFFの状態で、スイッチをONにする
  2. テスタの抵抗レンジで、分電盤側のケーブル端と照明器具側のケーブル端を測定する
  3. 抵抗値が0に近ければ、配線が正しくつながっている
  4. もし無限大(∞)なら、途中で断線しているか、スイッチの結線が間違っている

このように、通電する前に回路の「つながり」を確認することで、安全に次のステップ(絶縁抵抗測定や通電確認)に進めます。

竣工検査の流れ|5つのステップで安全を確認

竣工検査の全体像

竣工検査は、以下の5つのステップを順番に行います。順番には意味があるので、しっかり覚えておきましょう。

竣工検査の5ステップ
STEP 1:目視点検(外観検査)
配線の損傷・器具の取付状態を目で確認
STEP 2:導通試験
テスタで回路のつながりを確認
STEP 3:絶縁抵抗測定
絶縁抵抗計(メガー)で漏電がないか確認
STEP 4:接地抵抗測定
接地抵抗計で接地工事の確認
STEP 5:通電確認
実際に電気を流して各回路の動作を確認

STEP 1:目視点検(外観検査)

最初に行うのが目視点検です。文字通り「目で見て確認する」検査で、具体的には以下の項目をチェックします。

  • 配線の損傷 — ケーブルの被覆(ひふく)に傷がないか
  • 接続部の確認 — ジョイントボックス内の接続が正しいか、差込形コネクタやリングスリーブがしっかり取り付けられているか
  • 器具の取付状態 — スイッチ・コンセント・照明器具がしっかり固定されているか
  • 電線の支持 — ステップルやサドルで適切に固定されているか
  • 防護措置 — 電線が損傷を受けやすい場所に適切な保護がされているか

なぜ最初に目視点検をするのかというと、目に見える不具合を先に直しておかないと、後の測定結果が信頼できないからです。たとえば、接続部がゆるんでいたら導通試験の結果も不安定になります。

STEP 2:導通試験

前のセクションで詳しく解説した通り、テスタの抵抗レンジを使って回路のつながりを確認します。ここで断線や誤配線が見つかれば、修正してからでないと次に進めません。

STEP 3:絶縁抵抗測定

絶縁抵抗測定(ぜつえんていこうそくてい)は、絶縁抵抗計(メガー)を使って、電線と大地の間、または電線同士の間の絶縁状態を確認する試験です。

簡単にいうと「電気が漏れていないか?」をチェックします。もし絶縁が悪い状態で通電すると、漏電→感電事故や火災につながるため、通電前に必ず行います。

絶縁抵抗の基準値については、後述の「検査の判定基準まとめ」で確認してください。また、電気設備技術基準に定められた絶縁抵抗の基準は「電気設備技術基準をわかりやすく解説|絶縁抵抗・接地・電圧区分|第二種電気工事士」に詳しくまとめています。

STEP 4:接地抵抗測定

接地抵抗測定(せっちていこうそくてい)は、接地抵抗計を使って、接地工事(アース工事)が正しく施工されているかを確認する試験です。

接地は漏電時に電気を大地に逃がす仕組みなので、接地抵抗が基準値以下でないと漏電遮断器が正しく動作しません。接地工事の種類(A種〜D種)と基準値については「接地工事(アース)をわかりやすく解説!A種〜D種の違い|第二種電気工事士」を参照してください。

STEP 5:通電確認

すべての検査をクリアしたら、いよいよ通電確認です。ブレーカーを投入して実際に電気を流し、各回路が正常に動作するかを確認します。

  • 照明が点灯するか
  • スイッチで正しくON/OFFできるか
  • コンセントに電圧が来ているか(テスタの電圧レンジで確認)
  • 漏電遮断器のテストボタンで動作確認

検査の順番が大事な理由

竣工検査は必ずこの順番で行います。理由は明快です。

もしSTEP 1〜4を飛ばしていきなり通電したら、次のような事故が起こりかねません。

  • 誤配線がある状態で通電 → 短絡(ショート)による火花・火災
  • 絶縁不良がある状態で通電 → 漏電による感電事故
  • 接地不良がある状態で通電 → 漏電しても遮断器が動作せず、感電が続く

だから、「目で見て → つながりを確認して → 漏電がないか確認して → アースを確認して → 最後に電気を流す」という順番が鉄則なのです。試験でも「竣工検査の順序」を問う問題が出ることがあるので、しっかり覚えておきましょう。

検査の判定基準まとめ

絶縁抵抗の基準値

電気設備技術基準(電技)第58条で定められた、電路の絶縁抵抗の最低基準値は以下の通りです。

電路の使用電圧 区分 絶縁抵抗値
300V以下 対地電圧150V以下 0.1MΩ以上
300V以下 その他 0.2MΩ以上
300Vを超えるもの 0.4MΩ以上

覚え方のコツ:「イチ・ニ・ヨン」= 0.1、0.2、0.4MΩ。倍々で増えるのがポイントです。住宅の一般的なコンセント回路(単相100V)は対地電圧150V以下なので、0.1MΩ以上あればOKです。

接地抵抗の基準値

接地工事の種類ごとの接地抵抗値の基準は以下の通りです。

接地工事の種類 接地抵抗値 主な用途
A種 10Ω以下 高圧・特別高圧機器
B種 計算値(※) 変圧器の中性点
C種 10Ω以下 300Vを超える低圧機器
D種 100Ω以下 300V以下の低圧機器

※B種の接地抵抗値は「変圧器の高圧側の1線地絡電流」によって計算で求めます。第二種電気工事士の試験では、D種接地工事(100Ω以下)が最も出題されます。住宅の洗濯機やエアコンのアースがD種に該当します。

なお、C種・D種は漏電遮断器(動作時間0.5秒以内)を設置している場合、接地抵抗値を500Ω以下に緩和できます。

自家用電気工作物と一般用電気工作物の検査の違い

竣工検査の考え方は同じですが、検査体制に違いがあります。

一般用電気工作物
対象:住宅・小規模店舗など
(600V以下で受電)

検査:電気工事士が自主検査

ポイント:第二種電気工事士の
資格があれば自分で検査できる

自家用電気工作物(500kW未満)
対象:ビル・工場・大型施設など
(高圧で受電)

検査:主任技術者の確認が必要

ポイント:電気主任技術者が
検査結果を確認・承認する

一般用電気工作物(いっぱんようでんきこうさくぶつ)は、住宅など小規模な施設の電気設備です。第二種電気工事士の資格があれば、工事も検査も自分で行えます。

一方、自家用電気工作物(じかようでんきこうさくぶつ)は、ビルや工場など大きな施設の電気設備です。こちらは電気主任技術者(でんきしゅにんぎじゅつしゃ)の監督のもとで検査を行い、主任技術者が結果を確認・承認する必要があります。

電気工事士の資格区分の違いについては「電気工事士法をわかりやすく解説|第二種電気工事士 法令」も参考にしてください。

現場例:住宅の竣工検査の一連の流れ

ここでは、一般的な住宅(一般用電気工作物)の新築工事が完了した場面を想定して、竣工検査の流れを追ってみましょう。

【場面】木造2階建て住宅の電気工事完了後

STEP 1:目視点検

  • 分電盤を開けて、ブレーカーの接続を目視確認
  • 各部屋のスイッチ・コンセントの取り付け状態を確認
  • 天井裏のケーブルがステップルで固定されているか確認
  • ジョイントボックス内のリングスリーブ圧着部分に問題がないか確認

STEP 2:導通試験

  • 分電盤のブレーカーをすべてOFFにする
  • テスタの抵抗レンジで、各回路の導通を確認
  • リビングのスイッチ → 照明:導通OK
  • キッチンのコンセント回路:導通OK
  • エアコン専用回路:導通OK
  • 接地線の導通:導通OK

STEP 3:絶縁抵抗測定

  • 絶縁抵抗計(メガー)で各回路の絶縁抵抗を測定
  • 単相100V回路(対地電圧150V以下)→ 基準は0.1MΩ以上
  • 実測値:各回路とも100MΩ以上(十分な絶縁状態)

STEP 4:接地抵抗測定

  • 接地抵抗計で接地極(せっちきょく)の抵抗値を測定
  • D種接地工事 → 基準は100Ω以下
  • 実測値:45Ω(基準クリア)

STEP 5:通電確認

  • メインブレーカーを投入
  • 各分岐ブレーカーを順番にON
  • 照明の点灯・スイッチ動作を確認
  • 各コンセントの電圧をテスタで確認(約100V)
  • 漏電遮断器のテストボタンを押して動作確認
  • すべて正常 → 検査合格!

このように、順を追って検査することで「安全に電気を使える状態」であることを確認します。もし途中でNGが出たら、その段階で修正してからやり直します。

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まとめ問題で理解度チェック!

この記事の内容から出題します。実際の試験を意識した4択問題に挑戦してみましょう。

【問題1】導通試験に使用する計器

住宅の電気工事が完了し、竣工検査で導通試験を行うことになった。導通試験に使用する計器と測定レンジの組み合わせとして、正しいものはどれか。

イ.絶縁抵抗計(メガー)の測定レンジ
ロ.回路計(テスタ)の電圧レンジ
ハ.回路計(テスタ)の抵抗レンジ
ニ.接地抵抗計の測定レンジ

解答を見る

正解:ハ(回路計(テスタ)の抵抗レンジ)
導通試験は、回路計(テスタ)の抵抗レンジ(Ωレンジ)を使用します。抵抗値が0に近ければ導通あり、無限大(∞)なら断線の疑いありと判定します。イの絶縁抵抗計は絶縁抵抗測定に使い、ニの接地抵抗計は接地抵抗測定に使います。ロの電圧レンジは通電確認で使うものです。

【問題2】竣工検査の順序

新築住宅の電気工事が完了した。竣工検査を行う際の手順として、最も適切な順序はどれか。

イ.通電確認 → 目視点検 → 絶縁抵抗測定 → 接地抵抗測定 → 導通試験
ロ.目視点検 → 絶縁抵抗測定 → 導通試験 → 接地抵抗測定 → 通電確認
ハ.目視点検 → 導通試験 → 絶縁抵抗測定 → 接地抵抗測定 → 通電確認
ニ.導通試験 → 目視点検 → 接地抵抗測定 → 絶縁抵抗測定 → 通電確認

解答を見る

正解:ハ(目視点検 → 導通試験 → 絶縁抵抗測定 → 接地抵抗測定 → 通電確認)
竣工検査は「目視点検 → 導通試験 → 絶縁抵抗測定 → 接地抵抗測定 → 通電確認」の順番で行います。いきなり通電すると、配線不良や絶縁不良があった場合に漏電・短絡事故を起こす危険があるため、必ず安全な項目から順に検査を進めます。通電確認は必ず最後です。

【問題3】絶縁抵抗の基準値

住宅の単相100V回路(対地電圧150V以下)の竣工検査で絶縁抵抗を測定した。電気設備技術基準に適合する絶縁抵抗値の最小値として、正しいものはどれか。

イ.0.05MΩ
ロ.0.1MΩ
ハ.0.2MΩ
ニ.0.4MΩ

解答を見る

正解:ロ(0.1MΩ)
電気設備技術基準第58条により、使用電圧300V以下で対地電圧150V以下の電路の絶縁抵抗は0.1MΩ以上と定められています。住宅の単相100V回路は対地電圧が100Vなので、0.1MΩ以上あれば基準をクリアします。ハの0.2MΩは300V以下でその他の区分、ニの0.4MΩは300Vを超える場合の基準値です。

竣工検査 5ステップ早見カード

竣工検査の手順を「なぜこの順番なのか」とセットで覚えましょう。

竣工検査 5ステップ
Step 1 目視点検(配線・器具の取付状態)
Step 2 導通試験(テスタで回路の接続確認)
Step 3 絶縁抵抗測定(メガーで漏電チェック)
Step 4 接地抵抗測定(アーステスタで接地確認)
Step 5 通電確認(ここで初めて電気を流す)

「目→通→絶→接→電」— 安全なものから順に確認!

まとめ

この記事では、導通試験竣工検査について解説しました。ポイントを振り返りましょう。

  • 導通試験は、回路計(テスタ)の抵抗レンジで回路のつながりを確認する試験
  • 抵抗値が0に近ければ「導通あり」、無限大なら「断線の疑い」
  • 竣工検査は5つのステップ:目視点検 → 導通試験 → 絶縁抵抗測定 → 接地抵抗測定 → 通電確認
  • この順番には意味がある — いきなり通電は事故のもと
  • 絶縁抵抗の基準値は「イチ・ニ・ヨン」(0.1・0.2・0.4MΩ)
  • 一般用電気工作物は電気工事士が自主検査、自家用は主任技術者の確認が必要

竣工検査は、第二種電気工事士の学科試験でも技能試験の知識としても出題される重要テーマです。「なぜこの順番で検査するのか」を理解しておけば、丸暗記しなくても正解にたどり着けます。

次のステップ

竣工検査を理解したら、関連分野も合わせて押さえましょう。

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