このページでできるようになること
法令の問題文を読んだときに、それがどの法律の話かを「主語」から判定し、資格範囲・設備の技術基準・電気用品の表示・事業者の登録を混ぜずに答えられるようになります。
- 電気工作物の区分(一般用・小規模事業用・自家用)と、第二種の作業範囲の関係
- 「軽微な工事」「軽微な作業」「資格が必要な作業」の違いと、免状・定期講習・罰則
- 電技省令と電技解釈の役割、電圧の3区分、0.1/0.2/0.4MΩ、接地と地絡遮断の条件
- PSE表示が何を意味し、届出事業者・販売事業者・電気工事士のどこに義務があるか
- 電気工事業を営むときの登録・通知4区分、主任電気工事士、営業所の器具・標識・帳簿
条文の確認日:本文が引用する条文は2026年9月5日にe-Gov法令検索の現行条文へ照合しました。近年の改正で、2023年3月20日から用語が「一般用電気工作物等」へ、2025年6月1日から罰則の「懲役」が「拘禁刑」へ変わりました。電技解釈は2025年11月20日改正版、電気用品安全法は2025年12月25日施行の海外直販規制を反映しています。数年前の教材を使う場合は、必ず現行条文へ読み替えてください。
5つの法令は「何を規制するか」で分かれる
法令問題でつまずく原因のほとんどは、知識不足ではなく主語の取り違えです。「電気工事士法」「電気事業法」「電気工事業法」は名前が似ていますが、規制する相手が違います。下の図は、その相手を4つに分けたものです。
電気工作物を一般用・小規模事業用・自家用などへ区分し、設置者の保安を決める
電技省令・電技解釈:その設備が満たす性能(電圧区分・絶縁・接地・地絡遮断)
その設備を工事する個人の資格・免状・作業時の義務・罰則
工事に使う電気用品の製造・輸入・販売と、PSE表示の意味
工事を請け負う事業者の登録・通知、営業所、器具、標識、帳簿
この図は上から下へ読みます。問題文に出てくる言葉を、まず①設備・②人・③物・④事業のどこに置くかを決めてください。たとえば「45kWの太陽電池発電設備は何に当たるか」は①の話なので電気事業法、「絶縁抵抗が何MΩ必要か」は①に付いた電技の話、「自宅のコンセントを自分で交換してよいか」は②の話で電気工事士法です。同じ問題文に「登録」と「免状」が混ざっていたら、④と②を分けます。
| 法令 | 主語(誰・何を規制するか) | 代表キーワード |
|---|---|---|
| 電気工事士法 | 作業に従事する個人の資格と義務 | 免状、作業範囲、技術基準適合、携帯 |
| 電気事業法 | 電気工作物の区分と、設置者の保安 | 一般用、小規模事業用、自家用、保安規程 |
| 電技省令・電技解釈 | 設備が満たすべき性能と、その具体化 | 電圧区分、絶縁抵抗、接地、地絡遮断 |
| 電気用品安全法 | 電気用品の製造・輸入・販売と安全 | 届出事業者、自主検査、PSE表示 |
| 電気工事業法 | 電気工事業を営む事業者の手続と業務 | 登録・通知、主任、器具、標識、帳簿 |
電気技術者試験センターが示す第二種学科試験の法令範囲は、電気工事士法・電気設備の技術基準・電気用品安全法です。電気事業法と電気工事業法は独立した出題法令として列挙されていませんが、「一般用電気工作物等」という言葉の意味と、免状と事業者登録の違いを支える土台なので、この順で押さえます。
まず設備を区分する(電気事業法)
電気工作物は、一般用電気工作物と、それ以外の事業用電気工作物に分かれ、事業用の中に小規模事業用・自家用・電気事業の用に供する設備が含まれます。建物の名前だけでは決まりません。「住宅だから一般用」「工場だから自家用」とは限らず、受電電圧、発電設備の出力、接続先、設置場所を条文の条件へ当てはめます。危険性の高い場所に設置される設備のように、600V以下で受電しても一般用にならないものがあります。
| 区分 | 代表像 | 保安・資格の要点 |
|---|---|---|
| 一般用 | 600V以下で受電する住宅・店舗等で、所定条件を満たす設備 | 第二種が従事できる「一般用電気工作物等」に含まれる |
| 小規模事業用 | 所定の太陽電池発電設備・風力発電設備 | 基礎情報の届出と使用前自己確認が必要 |
| 自家用 | 高圧受電の工場・ビル等 | 原則として保安規程の届出と主任技術者の選任 |
| 電気事業の用 | 発電所・蓄電所・変電所・送配電線路等 | 電気事業者側の保安規制 |
太陽電池は10kWと50kWで区分が変わる
所定の接続条件を満たす太陽電池発電設備は、出力で次のように分かれます。
一般用電気工作物
小規模事業用電気工作物
小規模事業用の範囲外となる事業用
つまり、出力45kWの太陽電池発電設備は、低圧連系など小規模事業用の条件を満たす場合、一般用ではなく小規模事業用です。2023年3月20日にこの制度が始まる前の教材にある「45kWは一般用」という覚え方は使えません。ただし50kW未満でも、高圧受電設備と電気的に接続する場合などは自家用になるため、出力だけで最終判断はしません。風力発電設備は、所定条件を満たす出力20kW未満が小規模事業用です。
小規模事業用に課される3つの措置
小規模事業用電気工作物には、通常の事業用に課される保安規程と電気主任技術者の規制をそのまま適用する代わりに、次の措置が求められます。
- 技術基準適合の維持:設備を技術基準に適合するよう維持する(使用中も継続)
- 基礎情報の届出:設備の基本情報を国へ届け出る(使用開始前)
- 使用前自己確認:技術基準への適合を自ら確認し、結果を届け出る(使用開始前)
小規模事業用を除く事業用電気工作物では、保安規程の届出と電気主任技術者の選任が原則です。自家用側の体制は自家用電気工作物と電気主任技術者で整理しています。
一般用の調査は対象と周期を分ける
電気事業法第57条は、電線路維持運用者に対し、その電線路と直接接続する一般用電気工作物の技術基準適合性を調査する義務を課しています(小規模発電設備は対象外)。経済産業省の案内では、竣工時・変更工事完了時の調査に加え、一般需要家は4年に1回以上、学校・病院などの特定需要家は毎年1回以上の定期調査です。すべての一般用電気工作物を一律「4年に1回」と覚えないでください。
設備が満たす性能(電技省令と電技解釈)
正式名称は「電気設備に関する技術基準を定める省令」(平成9年通商産業省令第52号)です。電気事業法第39条第1項と第56条第1項に基づき、感電・火災などを防ぐために電気設備が満たすべき技術要件を定めています。事業用電気工作物だけでなく、一般用電気工作物等にも技術基準への適合が必要です。
守るべき性能・保安上の要求を定める。法令本文はe-Govで確認する。
省令の要求を満たすと認められる数値・施設方法・規格を具体化した文書。
経済産業省は、適合方法が解釈だけに限定されるわけではなく、省令に照らして十分な保安水準を確保できる技術的根拠があれば適合と判断すると説明しています。試験では両方を横断して問われます。条文番号は改正で変わるため、本文は2025年11月20日改正の電技解釈を基準にしています。
電圧の3区分は「以下」と「超える」で切る
電技省令第2条は、電圧を低圧・高圧・特別高圧に区分します。判定に必要なのは境界値を含むかどうかだけです。「以下」は境界値を含み、「超える」は含みません。
直流
交流(実効値)
図の目盛の上に問題の電圧を置いて読みます。直流750Vと交流600Vは境界そのものなので、左の緑の帯(低圧)に入ります。直流751Vと交流601Vは中央の帯(高圧)へ移り、7,000Vはまだ中央の帯、7,001Vで右の帯(特別高圧)です。直流と交流で境界が違うのは低圧側だけで、7,000Vは共通です。
なお、低圧であることと、第二種免状で工事できることは同じ意味ではありません。電圧区分は設備の性能を決める物差し、資格範囲は電気工作物の区分と工事内容で決まります。両者の関係は第一種と第二種電気工事士の違いでも比較しています。
低圧電路の絶縁性能|0.1・0.2・0.4MΩ
電気使用場所の低圧電路は、開閉器または過電流遮断器で区切ることのできる電路ごとに、電線相互間と電路・大地間の絶縁性能を確認します。電技省令第58条の絶縁抵抗値は次のとおりです。
| 使用電圧 | 対地電圧 | 絶縁抵抗値 |
|---|---|---|
| 300V以下 | 150V以下 | 0.1MΩ以上 |
| 300V以下 | 上記以外 | 0.2MΩ以上 |
| 300Vを超える | ― | 0.4MΩ以上 |
この表は使用電圧を先に、対地電圧を後に読みます。たとえば単相3線式100/200Vで中性線が接地され、対地電圧が100Vなら、回路の使用電圧が200Vでも1行目に該当し、0.1MΩ以上です。「単相200Vだから対地電圧も200V」と決めつけると、ここで0.2MΩを選んでしまいます。
単位の確認:1MΩ=1,000,000Ωなので、0.1MΩ=100,000Ω=100kΩです。0.1MΩを100Ωや1,000Ωへ誤変換しないよう、M(メガ)にそろえてから計算します。
測定が困難な場合は漏えい電流1mA以下
電技解釈第14条は、絶縁抵抗測定が困難な場合、使用電圧を加えた状態での漏えい電流が1mA以下なら、必要な絶縁性能を有するものとしています。2023年度下期の第二種学科試験でも、この1mAが問われました。
ただし、漏えい電流には対地絶縁抵抗による成分だけでなく、対地静電容量による成分も含まれます。測ったmAをオームの法則で絶縁抵抗値へ単純換算し、0.1/0.2/0.4MΩの表と同じものとして扱う方法ではありません。
基準値は「目標値」ではなく適否の下限
0.1/0.2/0.4MΩは、どの回路もその値ちょうどを目指せばよいという意味ではありません。新設時の測定方法、接続機器の取り扱い、異常値が出たときの原因調査は別に判断が必要です。絶縁抵抗計の選び方と測定手順は絶縁抵抗・接地抵抗・導通試験と竣工検査|判定値と計器の使い分け、竣工検査での計器選択は竣工検査・導通試験で確認できます。
接地と地絡遮断は場所名で決めない
電技省令第10・11条は、異常時の電位上昇や高電圧の侵入による危険を防ぐため、接地などの措置を求めています。電技解釈では、第19条がA〜D種の接地抵抗値、第29条が機械器具の金属製外箱等に施す接地の種別を具体化しています。なお、B種接地工事は変圧器の二次側中性点などに施すもので、外箱の接地とは目的が違います。種別、500Ωへの緩和、省略条件は接地工事(アース)とは?A・B・C・D種の違いで分けています。
接地線があれば漏電電流が人体へ一切流れないわけではありません。接地は外箱等の電位を下げ、故障電流の経路をつくる保護です。
地絡遮断装置は「水回りだけ」の規定ではない
電技解釈第40条の基本は、金属製外箱を有する使用電圧60Vを超える低圧の機械器具で、人が容易に触れるおそれのある場所に施設するものへ接続する電路に、地絡時の自動遮断装置を設けることです。
ただし、簡易接触防護措置、乾燥した場所、対地電圧150V以下で水気のある場所以外、二重絶縁構造、接地抵抗3Ω以下、絶縁変圧器など複数の例外があります。したがって「キッチン・洗面所なら必ず」「屋内なら不要」のように場所名だけで結論を出せません。問題文の機器構造、使用電圧・対地電圧、乾湿、接地抵抗、保護装置を照合します。
誰が作業できるか(電気工事士法 第2条・第3条)
電気工事士法第1条は、電気工事の作業に従事する人の資格と義務を定め、工事の欠陥による災害の発生防止に寄与することを目的としています。第2条は、その入口として設備と工事を定義します。
- 一般用電気工作物等:一般用電気工作物と小規模事業用電気工作物の総称。第二種が従事できる範囲
- 自家用電気工作物:電気事業法上の自家用から、発電所・変電所・500kW以上の需要設備等を除いた範囲。自家用すべてではない
- 電気工事:上記を設置・変更する工事。ただし政令で定める「軽微な工事」は定義から除かれる
「第二種は一般用だけ」という説明は、2023年の制度改正後の用語を反映していません。第二種の範囲は一般用電気工作物等で、小規模事業用も含みます。資格の入口そのものは第二種電気工事士とは?できる工事・資格取得・仕事にまとめています。
軽微な工事と軽微な作業は別
名前は似ていますが、法令上の位置が違います。施行令第1条の「軽微な工事」は電気工事の定義から除外されます。一方、施行規則第2条の「軽微な作業」は、電気工事の中にあるものの、保安上支障がないとして資格者でなくても行える限定作業です。
| 3区分 | 位置づけ・例 | 誤解しやすい点 |
|---|---|---|
| 資格が必要な作業 | 電線相互の接続、配線器具への電線取付け・取外し、電線管への電線引入れ等、省令が列挙する重要作業 | 自宅、短時間、低額という理由では資格不要にならない |
| 電気工事のうち軽微な作業 | 列挙された重要作業以外の作業、資格者が行う作業の補助等 | 工事全体が法の対象外になるわけではなく、事業として行えば電気工事業法も関係する |
| 軽微な工事 | 一定の接続器へコード等を接続、電気機器端子へのねじ止め、一定の計器・ヒューズの取付け等 | 資格が不要でも、所有者の許可や他の安全規則まで不要とは限らない |
経済産業省は、この3区分を「電気工事士等資格が不要な軽微な工事」で図示しています。境界は「電線に触るかどうか」ではありません。電気機器の端子へ電線をねじ止めする工事は軽微な工事に含まれますが、配線器具への電線接続は資格作業です。軽微な工事の代表例は次のとおりです。
- 差込み・ねじ込み接続器、ソケット、ローゼット、一定の開閉器へコードまたはキャブタイヤケーブルを接続する
- 配線器具を除く電気機器の端子へ、電線をねじ止めする
- 600V以下で使用する電力量計、電流制限器、ヒューズを取り付け・取り外す
- 小型変圧器の二次側36V以下の配線を行う
- 電線を支持する柱・腕木等、または地中電線用の暗きょ・管を設置・変更する
これは条文の要約です。電力量計等は電力会社等の管理物である場合があり、「資格不要」は封印を破って作業できる許可ではありません。個別作業は設備所有者・管理者と現行公式資料で確認します。
第3条は設備と作業から資格を選ぶ
第3条は、第一種を第1項、第二種を第2項、特種電気工事資格者を第3項、認定電気工事従事者の簡易電気工事を第4項で扱います。古い解説の「第1項で第一種・第二種をまとめて規定」という引用は現行条文と一致しません。
| 資格・認定 | 従事できる中心範囲 | 境界 |
|---|---|---|
| 第二種電気工事士 | 一般用電気工作物等の電気工事 | 試験合格だけでなく、第二種免状の交付を受けた人 |
| 第一種電気工事士 | 上記に加え、法が対象とする自家用電気工作物の電気工事 | 特殊電気工事を除く。軽微な作業は資格制限から除外 |
| 特種電気工事資格者 | 認定証の種類に対応するネオン工事または非常用予備発電装置工事 | 第一種免状だけで特殊電気工事すべてを代替できない |
| 認定電気工事従事者 | 最大電力500kW未満の自家用需要設備のうち、600V以下で使用する部分の簡易電気工事 | 電線路を除く。高圧部分を工事できる認定ではない |
認定・特種の作業範囲と申請手順は認定電気工事従事者と特種電気工事資格者の違い、第一種試験合格者の免状要件は第一種の実務経験3年と証明手順で確認してください。
免状・定期講習と、作業時の2つの義務
電気工事士免状は都道府県知事が交付します。第二種試験合格者は住所地を管轄する都道府県へ申請し、免状交付を受けて初めて第二種電気工事士となります。必要書類と窓口ごとの違いは第二種電気工事士の免状申請にまとめています。
都道府県知事は、電気工事士が電気工事士法または電気用品安全法第28条第1項に違反したとき、免状の返納を命じることができます。これは有効期限が来て返納する制度ではありません。また第4条の3は、第一種電気工事士に対し、やむを得ない事由がある場合を除き、免状交付から5年以内、その後も前回受講日から5年以内ごとの定期講習を求めています。第二種に同じ定期講習義務はありません。
第5条が定める作業時の義務は、次の2つだけです。
対象設備に応じた電気事業法上の技術基準に適合するよう作業する。
免状があれば自己流の施工をしてよい、という意味ではありません。
法で定める電気工事の作業中は、対応する免状または認定証を携帯する。
合格通知やスマホの写真が免状原本の代わりとは限りません。
「工事完了後の検査」は第5条に書かれた第三の義務ではありません。施工の確認・検査が安全上きわめて重要であることと、条文が列挙する義務とを分けて覚えます。
罰則は違反ごとに分ける
「技術基準違反も無資格工事も3万円・3か月」と一括りにはできません。電気工事士法の罰則・処分は、対象条文ごとに違います。
第14条|第3条第1〜3項に違反して資格作業へ従事
3月以下の拘禁刑または3万円以下の罰金。2025年6月以降は「懲役」ではなく拘禁刑です。
第15条|都道府県知事への報告をしない・虚偽報告
1万円以下の罰金。第9条第1項に基づく報告徴収への違反です。
第16条|正当な理由なく返納命令に従わない
1万円以下の過料。「罰金」ではありません。
技術基準適合・携帯等の義務違反
法違反として免状の返納命令の対象になり得ます。無資格作業と同じ刑罰だと断定しないでください。
これは受験者・作業者に関係しやすい部分の抜粋で、指定試験機関に関する罰則等は省略しています。処分の判断は行政・司法によるため、個別事案を記事だけで断定しません。
工事に使う電気用品(電気用品安全法とPSE)
PSEマークは、国が一製品ずつ安全認証したことを示すマークではありません。対象となる電気用品について、届出事業者が技術基準適合・検査などの義務を履行した後に付す法定表示です。ここを取り違えると、後の問題がすべてずれます。
すべての電気製品が対象になるわけでもありません。対象は施行令で指定された電気用品で、2026年7月時点の経済産業省の案内では合計457品目、内訳は特定電気用品116品目(ひし形PSE)と特定以外の電気用品341品目(丸形PSE)です。特定電気用品は、構造・使用方法などから特に危険や障害が発生するおそれが多いとして政令で指定される区分です。
届出から表示までの5段階
品目・区分・型式
開始から30日以内
技術基準を満たす
自主+特定は適合性
義務履行後に付す
製造・輸入の事業を始める場合、事業開始の日から30日以内に必要事項を管轄の経済産業局等へ届け出ます。輸入品でも、日本で輸入事業者となる者が法令上の義務主体です。届出事業者は、届出に係る型式の電気用品を技術基準に適合させ、国が定める方式による自主検査を行い、検査記録を検査の日から3年間保存します。販売だけを行う事業者は、この製造・輸入の事業届出を行う必要はありません。
特定と特定以外で違うのは「適合性検査」だけ
この2区分の差は1点に絞れます。判断軸を先に置くと迷いません。
技術基準適合:必要
自主検査・3年保存:必要
登録検査機関の適合性検査:必要
技術基準適合:必要
自主検査・3年保存:必要
登録検査機関の適合性検査:不要
「特定以外なら安全確認が不要」ではありません。自主検査は両区分、登録検査機関の適合性検査は特定だけと分けて覚えます。特定電気用品を製造・輸入する届出事業者は、販売までに適合性検査を受け、適合性証明書の交付を受けて保存します。これは日々の製品に対する自主検査の代わりではありません。
誰が何を確認するか
表示事項は、PSEの記号、届出事業者名、登録検査機関名(特定電気用品の場合)、定格電圧・定格電流などの諸元の4つです。ただし電線、電線管類、ヒューズ、配線器具等の部品材料には、法令で認められた文字記号による代替表示があります。現物確認では「ひし形か丸形か」だけで不適合と決めず、品目と表示方式を照合してください(電線・ケーブルの種類、材料・器具の鑑別)。
- 製造・輸入の届出事業者:届出、基準適合、検査、記録、表示。マークだけを先に付けることはできない
- 販売事業者:法第27条により、法定表示のない対象電気用品を販売・販売目的で陳列できない。事業届出は不要
- 電気工事士等:法第28条により、電気工作物の設置・変更の工事に、表示のない対象電気用品を使用できない
例外規定もあるため、「PSEがない物は誰も所有・使用できない」と広げてはいけません。またPSE表示があっても、定格や用途を無視して施工できるわけではありません。
2025年12月25日から海外直販も規制対象
製品安全4法の改正法施行により、海外から取引デジタルプラットフォーム等を使い、日本の消費者へ対象製品を直接販売する海外事業者も、特定輸入事業者として規制対象になりました。事業届出、技術基準適合、国内管理人の選任などが必要です。海外通販サイトに掲載されていること自体は、法令適合の証明になりません。
事業として請け負うとき(電気工事業法)
正式名称は「電気工事業の業務の適正化に関する法律」です。第1条の目的は、事業者の登録等と業務規制により工事を適正に実施し、一般用電気工作物等と自家用電気工作物の保安を確保することです。第二種免状を取得しても、それだけで電気工事業を始められるとは限りません。
法第2条の「電気工事業」は、他者から依頼を受け、自ら工事の全部または一部を反復・継続して施工する事業です(経済産業省の逐条解説)。有償か無償かだけでは決まりません。同条は「家庭用電気機械器具の販売に付随して行う工事」を電気工事の定義から除いていますが、Q&Aが示す範囲は200V以上の機器を除く局部的な工事などに限られ、幹線工事や分岐回路の増設、屋側・屋外配線まで広げられる例外ではありません。
事業者区分は、次の2つの質問で決まります。
- 一般用電気工事を含むか:含むなら登録系、自家用電気工事だけなら通知系
- 建設業許可があるか:なければ通常区分、あれば「みなし」区分
| 事業者区分 | 工事範囲 | 建設業許可と手続 |
|---|---|---|
| 登録電気工事業者 | 一般用だけ、または一般用+自家用 | 許可なし/登録(5年ごとの更新登録) |
| 通知電気工事業者 | 自家用だけ | 許可なし/事前に通知(5年更新はない) |
| みなし登録電気工事業者 | 一般用だけ、または一般用+自家用 | 許可あり/開始後遅滞なく届出 |
| みなし通知電気工事業者 | 自家用だけ | 許可あり/通知 |
建設業許可がある事業者も、電気工事業法が無手続になるわけではありません。みなし登録またはみなし通知として手続し、業務規制を受けます。建設業許可を更新したときは、電気工事業法上の変更届も忘れないようにします。
提出先は工事現場ではなく営業所の配置で決まる
法上の営業所は、名称が本店・支店・出張所かではなく、具体的な電気工事の施工管理を行う拠点かで判断します。1都道府県内だけなら都道府県知事、2以上の都道府県に置くなら経済産業大臣の登録・通知が基本です(実際の事務は産業保安監督部長へ権限委任される場合があります)。別の県で施工するだけで、直ちにその県へ新規登録するというルールではありません。
主任電気工事士は「一般用を扱う営業所ごと」
法第19条により、登録電気工事業者は、一般用電気工事を行う営業所ごとに主任電気工事士を置きます。みなし登録にもこの業務規制が適用されます。会社全体で1人いればよいのではありません。要件は、第一種電気工事士であること、または第二種免状の交付後に電気工事の実務経験が3年以上あることで、いずれも法定の欠格事由に該当しないことが前提です。起算点は試験合格日ではなく免状交付後である点に注意してください。
法第20条は、主任電気工事士が危険・障害の発生しないよう一般用電気工事の作業管理を誠実に行うこと、作業者は職務上必要な指示に従うことを定めています。名義だけを貸す役割ではありません。
器具・標識・帳簿は工事範囲で変わる
営業所に備える検査器具は、一般用だけを扱う営業所が絶縁抵抗計・接地抵抗計・抵抗および交流電圧を測定できる回路計の3種類、自家用も扱う営業所はこれに低圧検電器・高圧検電器を加えます。さらに継電器試験装置と絶縁耐力試験装置が必要ですが、この2つだけは「必要なときに使用できる措置」があれば備付けに含められます。回路計は「抵抗だけ」ではなく、抵抗と交流電圧の両方を測定できるものです。
そのほかの業務規制は、①作業範囲に合う資格者等を従事させること、②該当工事は電気工事業者へ請け負わせること、③法定表示のある対象電気用品を使用すること、④標識の掲示、⑤帳簿の備付けの5つです。標識は営業所だけでなく電気工事の施工場所ごとにも掲げます。帳簿は営業所ごとに備え、工事ごとに注文者、工事の種類と施工場所、施工年月日、主任電気工事士等・作業者、配線図、検査結果を記録し、記載の日から5年間保存します。
4つの場面で判定を練習する
自宅という理由の例外はありません。一般用電気工作物等の配線器具へ電線を接続する資格作業です。
既設接続器へ器具を取り付けるだけなら、固定配線を変更する工事と分けて判断します。
100Vだけを見ません。自家用需要設備なら、第一種または認定証で行える簡易電気工事かを確認します。
個人の免状だけで判断せず、営業所・工事範囲に応じた登録・通知等と業務規制を確認します。
学科の法令問題は、次の順で読むと選択肢が絞れます。
- 主語に線を引く:電気工事士、都道府県知事、経済産業大臣、電気工事業者、届出事業者を分ける
- 動詞を確認する:交付する、携帯する、適合させる、登録する、表示するを混ぜない
- 例外を後から当てる:軽微な工事、軽微な作業、簡易・特殊電気工事、地絡遮断の除外条件を最後に確認する
- 数字は条文とセットにする:3月・3万円は第3条違反、1万円の過料は返納命令違反、0.1MΩは対地電圧150V以下
自己チェック|6問で主語と数値を分ける
解説はそのまま読めます。先に自分の答えを決めてから読み進めてください。
問1:電圧区分の境界
直流750Vの電路と交流600Vの電路は、それぞれどの区分ですか。
ア.両方とも低圧
イ.両方とも高圧
ウ.直流は低圧、交流は高圧
エ.直流は高圧、交流は低圧
正解:ア。低圧は直流750V以下・交流600V以下で、境界値そのものは低圧に含まれます。イ・ウ・エは「以下」を「未満」と読み替えた場合の答えです。751Vと601Vなら高圧へ移ります。
問2:単相3線式100/200Vの絶縁抵抗
中性線が接地された単相3線式100/200Vの回路で、使用電圧200V・対地電圧100Vの低圧電路に必要な絶縁抵抗値はどれですか。
ア.0.1MΩ以上
イ.0.2MΩ以上
ウ.0.4MΩ以上
エ.1.0MΩ以上
正解:ア。使用電圧300V以下かつ対地電圧150V以下なので0.1MΩ以上です。イは「線間が200Vだから対地電圧も200V」と読み違えたときの答え、ウは使用電圧300V超の行、エは表にない値です。使用電圧と対地電圧を順に確認するのが要点です。
問3:軽微な工事と軽微な作業
「軽微な工事」と「電気工事のうち軽微な作業」の関係として正しいものはどれですか。
ア.どちらも電気工事士法上の電気工事に含まれない
イ.軽微な工事は電気工事から除かれ、軽微な作業は電気工事の中にある
ウ.軽微な作業は電気工事から除かれ、軽微な工事は電気工事の中にある
エ.どちらも電気工事に含まれ、資格者しか行えない
正解:イ。施行令第1条の軽微な工事は法第2条の電気工事の定義から除かれます。施行規則第2条の軽微な作業は電気工事の中にありますが、資格者でなくても行える限定作業です。名前が似ているだけで、条文上の位置が逆になっているのがウの誤りです。
問4:45kWの太陽電池発電設備
低圧連系など所定条件を満たす出力45kWの太陽電池発電設備は、現行制度でどの区分ですか。
ア.一般用電気工作物
イ.小規模事業用電気工作物
ウ.必ず自家用電気工作物
エ.電気工作物に当たらない
正解:イ。10kW以上50kW未満の太陽電池発電設備で所定条件を満たすものは、2023年3月20日施行の制度により小規模事業用です。アは制度創設前の覚え方、ウは高圧受電設備と接続する場合など条件付きでしか当てはまりません。なお小規模事業用は「一般用電気工作物等」に含まれるため、第二種の作業範囲からは外れません。
問5:特定以外の電気用品
特定電気用品以外の電気用品について、届出事業者の義務として正しいものはどれですか。
ア.技術基準適合も検査も不要
イ.自主検査を行い、記録を検査の日から3年間保存する
ウ.登録検査機関の適合性検査を受ける
エ.販売事業者がPSEを付けてよい
正解:イ。技術基準適合と自主検査・3年間の記録保存は両区分に必要です。ウの登録検査機関による適合性検査は特定電気用品だけに加わる義務なので、ここが2区分の唯一の差です。エは表示主体を取り違えたもので、表示を付けられるのは義務を履行した届出事業者です。
問6:電気工事業者の区分
建設業許可を持たない事業者が、自家用電気工事だけを反復・継続して請け負う場合の区分はどれですか。
ア.登録電気工事業者
イ.通知電気工事業者
ウ.みなし登録電気工事業者
エ.みなし通知電気工事業者
正解:イ。1つ目の質問「一般用を含むか」が「含まない」なので通知系、2つ目の質問「建設業許可があるか」が「ない」なので「みなし」は付きません。アは一般用を含む場合、ウ・エは建設業許可がある場合です。なお通知系には5年ごとの更新登録がない代わりに、変更・廃止等の手続は必要です。
条文の確認先と一次資料
条文(電技省令第2条・第58条、電気工事士法第4条の3・第5条・第14〜16条、電気用品安全法第27条・第28条、電気工事業法第19条・第20条・第24〜26条、電気事業法第57条)は2026年9月5日にe-Gov法令検索で確認しました。品目数・手続・行政の解説は、統合元の各記事で2026年7月28日に経済産業省の資料へ照合したものです。制度と年度で変わる数値は、必ず現行版を優先してください。
- e-Gov法令検索:電気工事士法
- e-Gov法令検索:電気工事士法施行令(軽微な工事)
- e-Gov法令検索:電気事業法
- e-Gov法令検索:電気設備に関する技術基準を定める省令
- e-Gov法令検索:電気用品安全法
- e-Gov法令検索:電気工事業の業務の適正化に関する法律
- 経済産業省:電気設備の技術基準の解釈(令和7年11月20日改正)
- 経済産業省:電気工事士等資格が不要な軽微な工事
- 経済産業省:電気工事士法 逐条解説
- 経済産業省:太陽電池発電設備を設置する場合の手引き
- 経済産業省:電気用品名と457品目の確認
- 経済産業省:海外事業者・特定輸入事業者の新制度
- 電気技術者試験センター:第二種学科試験のポイント
次はミニテストで判定を試す
このページで5つの法令の主語を分けたら、次の順に進みます。
- まず【10問】電気工事士法ミニテストで、軽微な工事・免状・定期講習・罰則を条件から判定する
- 次に【10問】電気設備技術基準ミニテストへ進み、電圧区分と0.1/0.2/0.4MΩを問題文で読み分ける
- 最後に【10問】電気用品安全法・PSEミニテストと【10問】電気工事業法ミニテストで、事業者側の義務を確認する
広告・検証方針
この記事内に通信講座、参考書、工具、測定器、開業サービスのアフィリエイトリンクや1px追跡画像は掲載していません。2026年9月5日に、e-Gov法令検索の現行条文(電気工事士法・電気事業法・電技省令・電気用品安全法・電気工事業法)を照合し、内部・外部リンクの到達を確認しました。経済産業省の逐条解説・電技解釈(令和7年11月20日改正)・品目一覧・手続案内、電気技術者試験センターの学科範囲は、統合元の各記事で2026年7月28日に照合しています。同日の更新で、別ページに分かれていた電気設備技術基準、電気工作物の区分、PSE、電気工事業法の内容をこの法令ハブへ統合しています。個別作業や個別事業の適法性は、設備条件と管轄行政の案内で確認してください。
※当サイトの画像にはAI生成のものが含まれており、実際の機器・器具とは外観が異なる場合があります。問題・解答の内容には細心の注意を払っておりますが、誤りが含まれる可能性があります。学習の参考としてご活用いただき、最終的な確認は公式テキスト・法令等で行ってください。当サイトの情報に基づく判断によって生じた損害について、一切の責任を負いかねます。
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