この記事でわかること
- 金属線ぴ(レースウェイ)の1種・2種の幅の違いと使える場所
- 金属ダクト工事の特徴と電線の断面積の制限(20%以下)
- バスダクト工事の仕組みと大電流幹線での用途
- フロアダクト工事のオフィスでの使い方と施工条件
結論から言います:金属線ぴ・金属ダクト・バスダクトは「電線を収める容器」の工事方法
電線を保護しながら配線するには、さまざまな「容器(いれもの)」が使われます。金属線ぴ(きんぞくせんぴ)・金属ダクト・バスダクト・フロアダクト――これらは全て電線やバスバーを金属製の容器に収めて配線する工事方法です。
「似たようなものが多くてよくわからない……」と感じるかもしれませんが、大丈夫。違いは"大きさ"と"用途"です。小さい溝に電線を並べるのが金属線ぴ、大きなダクトにまとめるのが金属ダクト、大電流の幹線(かんせん)を通すのがバスダクト、床に埋め込むのがフロアダクト。それぞれの特徴を順番に見ていきましょう。
なお、接地工事(せっちこうじ)の詳細は「接地工事(アース)をわかりやすく解説!A種〜D種の違い|第二種電気工事士」で解説しています。
金属線ぴ工事(レースウェイ工事)とは
金属線ぴ(レースウェイ)って何?
金属線ぴとは、断面がコの字型(U字型)をした金属製の溝のことで、「レースウェイ」とも呼ばれます。このコの字の溝の中に電線を並べて収める工事が、金属線ぴ工事です。
イメージとしては、雨どいを天井に取り付けて、その中に電線を通すようなもの。工場やオフィスビルの天井面で照明器具への配線として使われることが多い工事方法です。
1種金属線ぴと2種金属線ぴの違い
金属線ぴには2つのサイズがあります。違いは「幅」だけです。
ポイントは「5cm」が金属ダクトとの境界線だということ。5cmを超えると金属ダクトの扱いになります。この「4cm・5cm」という数字は試験でよく出るので、しっかり覚えましょう。
金属線ぴ工事の施工ルール
- 施工場所:展開した場所(てんかいしたばしょ=むき出しの場所)、または点検できる隠ぺい場所で乾燥した場所に限られる
- 電線の占積率(せんせきりつ):20%以下(線ぴの断面積に対して、電線が占める面積の割合)
- 支持間隔:1.5m以下ごとに固定する
- 接地工事:D種接地工事が必要(漏電(ろうでん)時に感電を防ぐため)
- 使用電線:IV電線(600Vビニル絶縁電線)などの絶縁電線(ケーブルではなく電線単体)
なぜ占積率が20%以下なのか? 電線を詰め込みすぎると、電線同士が密着して放熱(ほうねつ)できなくなります。熱がこもると絶縁被覆(ぜつえんひふく)が劣化し、漏電や火災の原因に。だから「余裕を持って収める」というルールがあるのです。
なぜ支持間隔が1.5m以下なのか? 金属線ぴはコの字型で上部が開いているため、固定が緩いと電線がはみ出したり、線ぴ自体がたわんだりします。1.5mごとにしっかり固定することで、安全な配線状態を保ちます。
現場での使われ方:オフィスや工場の天井裏で蛍光灯(けいこうとう)やLED照明に電源を送る配線として活躍しています。天井面にレースウェイをビスで固定し、その溝に電線を入れていくイメージです。照明器具を一列にずらっと並べるときに便利ですね。
金属ダクト工事とは
金属ダクトの特徴
金属ダクトとは、幅が5cmを超える金属製のダクト(箱型の容器)に電線を収める配線方法です。金属線ぴが「溝」なら、金属ダクトは「箱」。より多くの電線をまとめて収容できるのが特徴です。
大型ビルや工場では、何十本もの電線を1か所にまとめて配線する必要があります。そんなとき、1本ずつ金属管を使っていたら本数分だけ管が必要になり、非効率的。金属ダクトなら、1つのダクトの中に多数の電線をまとめて収容できるのです。
金属ダクト工事の施工ルール
- 施工場所:展開した場所、または点検できる隠ぺい場所
- 電線の占積率:20%以下(電光サイン装置・出退表示灯などは32%以下)
- ふたの設置:点検できる部分にはふたを付ける
- 接地工事:D種接地工事が必要
- 使用電線:絶縁電線(IV電線など)
なぜ電光サインは32%まで許容されるのか? 電光サイン装置やネオンサインの配線は、比較的細い電線が多く、発熱量が小さいためです。通常の動力配線ほど熱がこもる心配がないため、少し余裕を緩めているわけですね。
なぜふたが必要なのか? ダクト内の電線を保護するとともに、点検時に中身を確認しやすくするためです。ふたがあれば、ほこりや異物の侵入も防げます。ただし、点検が不要な部分(壁の中を貫通する部分など)にはふたは不要です。
現場での使われ方:大型ビルの電気室(でんきしつ)から各フロアへの幹線配線や、分電盤(ぶんでんばん)から多数の分岐回路へ電線を送り出す部分で使われます。電気室を見ると、天井や壁面にドーンと大きな金属の箱が走っているのを目にすることがあります。あれが金属ダクトです。
電線やケーブルの種類について詳しくは「電線・ケーブルの種類と用途を徹底解説」を参考にしてください。
バスダクト工事とは
バスダクトの仕組み
バスダクトは、ここまでの工事方法とは少し毛色が違います。金属線ぴや金属ダクトは「電線をダクトの中に入れる」工事でしたが、バスダクトは導体(どうたい)そのものがダクトの中に組み込まれた一体型の配線設備です。
具体的には、銅やアルミの板状の導体(バスバー)を絶縁物(ぜつえんぶつ)で支持し、それを金属製のダクトに収めた構造になっています。電線を入れるのではなく、最初から「導体入りの配線ユニット」として工場で製造されるわけです。
バスバーとは? バスバー(bus bar)は、大電流を流すための板状または棒状の導体のこと。分電盤の中にも銅のバスバーが使われています。バスダクトはこのバスバーを長い距離で使えるようにダクトに収めたものです。
バスダクトの3つの種類
フィーダバスダクトは、電源から負荷(ふか)まで電力を一直線に送るための「幹線専用」タイプです。途中で分岐させない分、構造がシンプルで大電流に対応できます。
プラグインバスダクトは、ダクトの側面に分岐口(プラグイン口)がついていて、ここにプラグユニットを差し込むだけで電力を取り出せます。たとえるなら「壁に並んだコンセント」のような存在。工場でレイアウト変更があっても、プラグを差し替えるだけで対応できるので便利です。
トロリーバスダクトは、移動する機器(天井クレーンやホイストなど)に電力を供給するための特殊なタイプ。ダクト内の導体に集電子(しゅうでんし)が接触しながらスライドし、移動しながら電力を受け取ります。
バスダクト工事の施工ルール
- 用途:主に幹線に使用される(大電流を流すための配線方法)
- 支持間隔:水平に施設する場合は3m以下、垂直に施設する場合は6m以下
- 接地工事:D種接地工事が必要
なぜ垂直は6mまでOKなのか? 水平に設置する場合、バスダクト自身の重みでたわむため細かく支持が必要です。一方、垂直に設置する場合はダクトの自重がまっすぐ下にかかるだけなので、たわみの心配が少なく、支持間隔に余裕があるのです。
現場での使われ方:工場の天井に大きなバスダクトが走っているのを見かけることがあります。高層ビルでは、地下の受電設備から上の階へ垂直にバスダクトを立ち上げて、各階の分電盤に電力を供給する「ライザーダクト」として使われることも多いです。幹線設計について詳しくは「電線の許容電流と幹線設計をわかりやすく解説|第二種電気工事士 配電理論」で解説しています。
フロアダクト工事とは
フロアダクトの特徴
フロアダクトとは、床の中(コンクリートスラブ内)に埋め込むタイプのダクトです。オフィスの床下にダクトを敷設(ふせつ)し、必要な場所にジャンクションボックスを設けて、そこからコンセントやLAN配線を取り出します。
いわゆる「OAフロア」の下に隠れている配線用の通り道です。オフィスで床からコンセントが出ているのを見たことはありませんか?あの下にフロアダクトが走っています。
フロアダクト工事の施工ルール
- 電線の占積率:32%以下
- 接地工事:D種接地工事が必要
- 使用電線:絶縁電線
なぜフロアダクトの占積率は32%なのか? フロアダクトはコンクリートに埋め込まれており、放熱性がよい(コンクリートが熱を吸収・分散してくれる)ため、金属線ぴや金属ダクト(20%)よりも余裕がある設定になっています。
現場での使われ方:オフィスビルの事務室では、机の配置変更に対応できるよう、床下にフロアダクトを張り巡らせています。必要な場所でフタを開けてコンセントやLANケーブルを取り出せるので、配線が見えずスッキリした空間を作れます。
4つの工事方法の比較表
ここまでの内容を一覧表で整理しましょう。試験対策では占積率と支持間隔の数字が特に重要です。
| 工事方法 | サイズ・特徴 | 占積率 |
|---|---|---|
| 1種金属線ぴ | 幅4cm未満 | 20%以下 |
| 2種金属線ぴ | 幅4cm以上5cm以下 | 20%以下 |
| 金属ダクト | 幅5cm超 | 20%以下(電光サイン等32%) |
| バスダクト | 導体入り一体型 | -(導体が組み込み済み) |
| フロアダクト | 床埋め込み型 | 32%以下 |
| 工事方法 | 支持間隔 | 接地工事 |
|---|---|---|
| 金属線ぴ | 1.5m以下 | D種 |
| 金属ダクト | - | D種 |
| バスダクト(水平) | 3m以下 | D種 |
| バスダクト(垂直) | 6m以下 | D種 |
| フロアダクト | -(床埋め込み) | D種 |
覚え方のコツ
占積率の数字を覚えるポイントは次のとおりです。
- 基本は20%(金属線ぴ・金属ダクト)→ 電線を「ゆったり」収める
- 32%は例外(フロアダクト・金属ダクトの電光サイン装置)→ 放熱がよい or 発熱が小さい場合に緩和
- 接地工事は全てD種 → 300V以下の低圧回路で使うので「D(低圧用)」と覚える
試験で差がつく!金属線ぴと金属ダクトの境界線
試験でよく出るのが「幅の区分」です。間違えやすいので、しっかり整理しておきましょう。
4cm と 5cm が境界線。この数字は試験頻出!
つまり、「5cm以下は金属線ぴ、5cmを超えたら金属ダクト」と覚えればOKです。さらに金属線ぴの中で4cmを境に1種と2種に分かれます。
試験での出題ポイント
- 金属線ぴ・金属ダクト・バスダクトの使用場所の違いが問われやすい
- 金属線ぴはD種接地工事が必要(金属製のため)
- 金属ダクトの電線占積率は20%以下(管工事の32%と混同注意)
- 鑑別では金属線ぴの写真が出題されることも → 「鑑別問題対策」で確認
- 他の施工方法: 「ケーブル工事」・「金属管工事・PF管工事」
占積率 即答チェック
試験で問われる占積率の数値を一覧にまとめました。「20%か32%か」で迷わないように整理しておきましょう。
まとめ問題
記事の内容が理解できたか、3問のクイズでチェックしましょう。
【問題1】
ある工場で、天井面に幅4.5cmの金属製の溝を取り付けて照明用の電線を収容する工事を行う。この工事方法における電線の占積率の上限として、正しいものはどれか。
イ.20%
ロ.32%
ハ.48%
ニ.50%
【問題2】
大型商業施設の天井に、受変電設備から各階の分電盤へ大電流を送るためのバスダクトを水平に施設する。このバスダクトの支持点間の距離として、正しいものはどれか。
イ.1.5m以下
ロ.2m以下
ハ.3m以下
ニ.6m以下
【問題3】
オフィスビルの事務室で、床のコンクリート内にダクトを埋め込んで電線を配線する工事を行うことにした。この工事方法に関する記述として、誤っているものはどれか。
イ.電線の占積率は32%以下とする
ロ.D種接地工事を施す
ハ.使用する電線は絶縁電線とする
ニ.電線の占積率は20%以下とする
確認クイズ
Q1. 金属線ぴ(レースウェイ)と金属ダクトを区別する「幅」の境界線は何cmですか?
Q2. バスダクトを水平に施設する場合と垂直に施設する場合の支持間隔は、それぞれ何m以下ですか?
Q3. 金属線ぴ工事・金属ダクト工事の電線の占積率は何%以下ですか?また、フロアダクト工事では何%以下ですか?
まとめ
今回は、金属線ぴ工事・金属ダクト工事・バスダクト工事・フロアダクト工事の4つの工事方法を解説しました。ポイントを振り返りましょう。
- 金属線ぴ:コの字型の溝(幅5cm以下)、占積率20%以下、支持間隔1.5m以下
- 金属ダクト:箱型の容器(幅5cm超)、占積率20%以下(電光サイン等32%)、ふたの設置が必要
- バスダクト:導体入り一体型の幹線用配線設備、支持間隔は水平3m以下・垂直6m以下
- フロアダクト:床埋め込み型、占積率32%以下
- 接地工事は全てD種
「幅の境界線(4cm・5cm)」「占積率(20%と32%)」「支持間隔(1.5m・3m・6m)」の数字は試験で頻出です。比較表を繰り返し見て、しっかり頭に入れておきましょう。
次のステップとして、接地工事の詳しい解説は「接地工事(アース)をわかりやすく解説!A種〜D種の違い|第二種電気工事士」、電線の種類については「電線・ケーブルの種類と用途を徹底解説」も合わせて読んでみてください。
学習の全体像を確認
施工方法はケーブル工事・管工事・線ぴ/ダクト工事の3分野を覚えれば完了です。第二種電気工事士 学習ロードマップで全体の進捗を確認しましょう。
定番テキストで体系的に学びましょう。
金属線ぴ・ダクト工事は過去問でパターンが決まっています。占積率と使用場所を問う問題を繰り返し解きましょう。
※当サイトの画像にはAI生成のものが含まれており、実際の機器・器具とは外観が異なる場合があります。問題・解答の内容には細心の注意を払っておりますが、誤りが含まれる可能性があります。学習の参考としてご活用いただき、最終的な確認は公式テキスト・法令等で行ってください。当サイトの情報に基づく判断によって生じた損害について、一切の責任を負いかねます。
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