この記事でわかること
- 絶縁抵抗測定の目的と絶縁抵抗計(メガー)の使い方
- 絶縁抵抗の基準値(0.1/0.2/0.4MΩ)と電圧区分の対応
- 接地抵抗測定の目的と接地抵抗計の3極法の原理
- 測定手順の注意点と竣工検査での合否判定基準
結論から言います:絶縁抵抗測定と接地抵抗測定は「電気の安全チェック」
いきなりですが、結論から言います。
- 絶縁抵抗測定(ぜつえんていこうそくてい) → 電線から電気が漏(も)れていないかを確認する検査
- 接地抵抗測定(せっちていこうそくてい) → アース(接地)がちゃんと効いているかを確認する検査
どちらも「見えない電気の安全」を数値で確かめるための測定です。新築やリフォームの竣工検査(しゅんこうけんさ)はもちろん、定期点検でも必ず行います。
この記事では、それぞれの測定方法・使う計器・基準値をわかりやすく解説していきます。第二種電気工事士の試験では、基準値を問う問題が定番なので、しっかり押さえましょう!
接地工事の種類(A種〜D種)について先に復習したい方は「接地工事(アース)をわかりやすく解説!A種〜D種の違い|第二種電気工事士」をご覧ください。
絶縁抵抗測定とは? ── 漏電していないかの確認
絶縁抵抗ってなに?
絶縁抵抗(ぜつえんていこう)とは、電線と大地(アース側)の間、または電線同士の間にある「電気を通さないための抵抗」のことです。
イメージとしては、電線を覆っている被覆(ひふく)やケーブルの絶縁体が、どれくらいしっかり電気を遮断できているかを数値化したものです。
- 絶縁抵抗が高い → 電気がしっかり遮断されている → 安全
- 絶縁抵抗が低い → 電気が漏れている(漏電) → 危険!
水道管に例えると、「管に穴が空いていないか」を調べるようなものです。穴が空いていれば水が漏れますよね。電線も同じで、絶縁が劣化すると電気が漏れ出して、感電や火災の原因になります。
なぜ絶縁抵抗測定が必要なの?
絶縁は、時間が経つと劣化(れっか)していきます。原因はさまざまです。
- 湿気・結露(けつろ)による水分の侵入
- ネズミやシロアリによる被覆の損傷
- 経年劣化(けいねんれっか)で絶縁体がもろくなる
- 施工時の傷や引っ張り
絶縁が劣化して漏電が起きると、漏電遮断器(ろうでんしゃだんき)が動作して電気が止まるか、最悪の場合は感電事故や電気火災につながります。だから、竣工時の検査や定期点検で「漏電していないか」を数値で確かめるのです。
使用する計器:絶縁抵抗計(メガー)
絶縁抵抗測定に使う計器は絶縁抵抗計、通称「メガー」です。英語の "megohmmeter"(メグオームメーター)が由来で、MΩ(メグオーム=メガオーム)単位で測定します。
(画像準備中)
メガーの特徴をまとめます。
- 測定端子は L端子(ライン) と E端子(アース) の2つ
- 内部で直流の高電圧(125V / 250V / 500Vなど)を発生させて測定する
- 普通のテスター(回路計)では測れない ── テスターの電圧では絶縁劣化を検出できない
鑑別試験での写真問題にもよく出るので、形と名前をセットで覚えておきましょう。工具・計器の写真対策は「鑑別問題対策|工具・材料・器具の名称と用途を完全網羅」で確認できます。
測定の種類 ── 線間と対地の2パターン
絶縁抵抗の測定は、2つのパターンがあります。
試験では「対地絶縁抵抗」の基準値がよく出題されます。どちらのパターンで測定しているのかを理解しておくことが大切です。
測定手順
絶縁抵抗測定の基本手順を見てみましょう。
- ブレーカー(配線用遮断器)をすべて OFF にする ── 回路に電圧がかかったまま測定すると計器が壊れる、または危険
- 負荷(ふか)を外す ── 照明器具やコンセントに接続されている機器のプラグを抜く。負荷をつけたままだと正確な絶縁抵抗が測れない
- メガーの L端子と E端子を接続する ── 対地絶縁抵抗なら、L端子を電線に、E端子を接地端子に接続
- 測定ボタンを押す(またはハンドルを回す) ── 数値が安定したら読み取る
- 基準値以上であることを確認する
現場のポイント:竣工検査では全回路を1回路ずつ測定します。定期点検でも、絶縁抵抗の低下が見つかれば原因を調べ、電線の交換や修理を行います。
絶縁抵抗の基準値(電気設備技術基準)
電気設備技術基準(でんきせつびぎじゅつきじゅん)で定められている絶縁抵抗の最低値は以下のとおりです。試験で最も出題されるポイントなので、必ず覚えましょう!
| 電路の使用電圧 | 絶縁抵抗値 |
|---|---|
| 300V以下で対地電圧150V以下 (例:単相100V回路) |
0.1MΩ以上 |
| 300V以下で対地電圧150V超 (例:単相200V回路) |
0.2MΩ以上 |
| 300V超 (例:三相400V回路) |
0.4MΩ以上 |
覚え方のコツ:「イチ・ニ・ヨン」(0.1 → 0.2 → 0.4)と語呂で覚えましょう。電圧が上がるごとに基準値も上がる、というイメージです。
なお、一般家庭の単相100V回路なら対地電圧は100V(150V以下)なので、基準は0.1MΩ以上です。実際の現場では、新品の配線なら数百MΩ〜数千MΩ出ることがほとんどで、0.1MΩギリギリということはめったにありません。もし0.1MΩ近くまで下がっていたら、かなり絶縁が劣化しているサインです。
電気設備技術基準の全体像は「電気設備技術基準をわかりやすく解説|絶縁抵抗・接地・電圧区分|第二種電気工事士」で詳しく解説しています。
接地抵抗測定とは? ── アースがちゃんと効いているかの確認
接地抵抗ってなに?
接地抵抗(せっちていこう)とは、接地極(せっちきょく=地中に埋めた金属棒や銅板)と大地との間の抵抗のことです。
- 接地抵抗が低い → 漏電時に電流がスムーズに大地へ流れる → 安全
- 接地抵抗が高い → 電流が大地に流れにくい → 感電電圧が高くなって危険!
水道管の例えでいうと、アース線は「非常用の排水管」のようなもの。排水管が詰まっていたら(=接地抵抗が高い)、水が溢れますよね(=人体に電流が流れる)。だから、排水管がちゃんと通っているか=接地抵抗が低いかを確認する必要があるのです。
なぜ接地抵抗測定が必要なの?
接地工事(アース工事)は、漏電が起きたときに漏れた電流を大地に逃がすための安全対策です。しかし、せっかくアース線をつないでも、接地抵抗が大きすぎると意味がありません。
具体的に何が起きるかというと──
- 機器が漏電する
- 漏電した電流がアース線を通って大地に流れようとする
- 接地抵抗が大きいと、電流が十分に流れない
- 機器の外箱に電圧が残る → 人が触れると感電する
- 漏電遮断器が動作するだけの電流が流れず、遮断器も働かない可能性がある
だから、接地工事を施工したら、必ず接地抵抗を測定して基準値以下であることを確認します。
使用する計器:接地抵抗計(アーステスタ)
接地抵抗測定に使う計器は接地抵抗計、通称「アーステスタ」です。
(画像準備中)
アーステスタの特徴をまとめます。
- 測定端子は E端子(接地極)、P端子(電圧極)、C端子(電流極) の3つ
- 測定には補助接地極(ほじょせっちきょく)を2本、地面に打ち込む
- Ω(オーム)単位で測定する(メガーのMΩと桁が違うので注意!)
測定方法 ── 補助接地極を2本打つ
接地抵抗測定のポイントは、補助接地極を2本、一直線に打ち込むことです。
接地極
E
(電圧極)
P
(電流極)
C
測定手順はこうなります。
- 被測定接地極(ひそくていせっちきょく)にE端子を接続 ── 測りたいアースにつなぐ
- 補助接地極Pを約5〜10m離して地面に打ち込み、P端子を接続
- 補助接地極CをPからさらに5〜10m離して打ち込み、C端子を接続
- E・P・Cを一直線に配置する
- 測定ボタンを押して値を読み取る
現場のポイント:新築工事で接地極を埋設したあと、埋め戻す前に測定するのが基本です。コンクリートを打ってしまうと、やり直しが大変になるからです。もし基準値を超えていたら、接地極を追加するか、埋設位置を変えて再施工します。
接地抵抗の基準値
接地抵抗の基準値は、接地工事の種類(A種〜D種)によって異なります。
| 接地工事の種類 | 接地抵抗値 |
|---|---|
| A種接地工事 (高圧・特別高圧機器の外箱) |
10Ω以下 |
| B種接地工事 (変圧器の中性点・混触防止) |
150/I Ω以下 (Iは1線地絡電流) |
| C種接地工事 (300V超の低圧機器の外箱) |
10Ω以下 ※500V以下で0.5秒以内に 自動遮断する場合は500Ω |
| D種接地工事 (300V以下の低圧機器の外箱) |
100Ω以下 ※300V以下で0.5秒以内に 自動遮断する場合は500Ω |
覚え方のコツ:
- A種とC種は同じ10Ω(Aは高圧用、Cは300V超の低圧用)
- D種は100Ω(一般家庭レベル、300V以下)
- B種は計算で求める(150 ÷ 1線地絡電流)
- C種・D種は「0.5秒以内に遮断できるなら500Ωまで緩和」という特例あり
各種接地工事の詳細と使い分けは「接地工事(アース)をわかりやすく解説!A種〜D種の違い|第二種電気工事士」をご覧ください。
絶縁抵抗計と接地抵抗計の違いを比較
「メガー」と「アーステスタ」は名前が似ているような気がして混同しがちですが、目的も構造も全く違う計器です。比較表で整理しましょう。
| 項目 | 絶縁抵抗計(メガー) | 接地抵抗計(アーステスタ) |
|---|---|---|
| 目的 | 漏電していないか確認 | アースが効いているか確認 |
| 測定対象 | 電線と大地間、電線相互間 | 接地極と大地間 |
| 測定端子 | L端子・E端子(2端子) | E・P・C端子(3端子) |
| 補助接地極 | 不要 | 2本必要 |
| 測定単位 | MΩ(メガオーム) | Ω(オーム) |
| 安全な方向 | 値が高いほど良い | 値が低いほど良い |
試験のコツとして、「メガーはMΩ、アーステスタはΩ」と単位で区別するとスッキリします。また、補助接地極が必要なのはアーステスタだけ、という点も鑑別問題で出題されます。
現場ではいつ測定するの?
実際の現場で、これらの測定がいつ行われるかをまとめておきます。
竣工検査(しゅんこうけんさ)── 工事完了時
電気工事が完了したら、電力会社に送電を申請する前に竣工検査を行います。この検査には絶縁抵抗測定が必須です。基準値を満たさないと、電気を使い始めることができません。
- 絶縁抵抗測定:全回路の絶縁抵抗が基準値以上であることを確認
- 接地抵抗測定:接地工事を施工した箇所の接地抵抗が基準値以下であることを確認
定期点検 ── 使用中の設備
一般住宅では4年に1回、電力会社(または委託された保安会社)が「定期調査」を行い、絶縁抵抗を測定します。工場やビルなどの自家用電気工作物では、電気主任技術者の監督のもと、もっと頻繁に点検が行われます。
トラブル調査
「漏電ブレーカーがよく落ちる」「コンセントに触るとピリッとする」──こんなときも絶縁抵抗計の出番です。回路ごとに測定して、絶縁が劣化している回路を特定します。
よくある間違い・注意点
試験勉強や実務で間違えやすいポイントをまとめておきます。
- 絶縁抵抗と接地抵抗の「安全な方向」が逆
- 絶縁抵抗 → 高いほど安全(電気が漏れていない)
- 接地抵抗 → 低いほど安全(電流が大地に流れやすい)
- 単位が違う
- 絶縁抵抗 → MΩ(メガオーム)
- 接地抵抗 → Ω(オーム)
- テスター(回路計)では絶縁抵抗は測れない
- テスターの電圧では絶縁劣化を検出できないため、専用のメガーを使う
- メガーで測定するときは必ずブレーカーを切る
- 活線状態(かっせんじょうたい=電圧がかかった状態)で測定すると、計器の故障や感電の原因になる
- 接地抵抗計の補助接地極は「一直線に」配置する
- 三角形に配置すると正確な値が出ない
確認クイズ
Q1. 絶縁抵抗の判定基準で、対地電圧150V以下の電路(例:単相100V回路)の基準値は何MΩ以上ですか?
Q2. 接地抵抗計(アーステスタ)の測定端子は3つありますが、それぞれ何という名前ですか?
Q3. 絶縁抵抗と接地抵抗では、値が高い・低いのどちらが安全ですか?
まとめ ── ポイント整理
試験での出題ポイント
- 絶縁抵抗の判定基準は丸暗記必須: 対地電圧150V以下→0.1MΩ、300V以下→0.2MΩ、300V超→0.4MΩ
- 接地抵抗値: A種10Ω、D種100Ω、C種/D種は漏電遮断器ありで500Ω → 「接地工事」も復習
- 絶縁抵抗計の端子(L・E・G)と接地抵抗計の端子(E・P・C)の区別 → 「鑑別問題対策」で写真確認
- 技術基準の根拠 → 「電気設備技術基準」
- 竣工検査の全体フロー → 「導通試験・竣工検査」
絶縁抵抗 判定基準 暗記カード
「イチ・ニ・ヨン」で覚える絶縁抵抗の判定基準を1枚にまとめました。
まとめ問題にチャレンジ!
記事の内容を理解できたか、3問のクイズで確認しましょう。
問題1
ある住宅の単相100V回路の絶縁抵抗を測定したところ、0.08MΩだった。この結果について正しいものはどれか。
(ア)基準値(0.1MΩ)以上なので問題ない
(イ)基準値(0.1MΩ)未満なので、絶縁不良の可能性がある
(ウ)基準値(0.2MΩ)未満なので、絶縁不良の可能性がある
(エ)単相100V回路には絶縁抵抗の基準値は定められていない
問題2
接地抵抗計(アーステスタ)で測定を行うとき、補助接地極の配置として正しいものはどれか。
(ア)被測定接地極の真横に2本並べて打ち込む
(イ)被測定接地極から一直線にP極・C極の順で間隔を空けて打ち込む
(ウ)被測定接地極を中心に三角形になるように2本打ち込む
(エ)補助接地極は1本だけで測定できる
問題3
エアコン(単相2線式200V)の専用回路を新設した。この回路の竣工検査で、絶縁抵抗計(メガー)を使って対地絶縁抵抗を測定する場合、基準値として正しいものはどれか。
(ア)0.1MΩ以上
(イ)0.2MΩ以上
(ウ)0.4MΩ以上
(エ)1.0MΩ以上
お疲れさまでした! 絶縁抵抗と接地抵抗は試験でもよく出るテーマなので、基準値と計器の使い分けをしっかり覚えておきましょう。関連記事として、「電気設備技術基準をわかりやすく解説|絶縁抵抗・接地・電圧区分|第二種電気工事士」や「接地工事(アース)をわかりやすく解説!A種〜D種の違い|第二種電気工事士」もあわせて読むと理解が深まります。
次のステップ
絶縁抵抗・接地抵抗の測定を理解したら、関連分野も合わせて押さえましょう。
- 「導通試験・竣工検査をわかりやすく解説」── 竣工検査の全体像と検査手順
- 「鑑別問題対策|工具・材料・器具の名称と用途を完全網羅」── メガーやアーステスタの写真対策
学習の全体像を確認したい方は「第二種電気工事士 学習ロードマップ|合格までの全ステップを完全ガイド」をご覧ください。
判定基準の暗記にはテキストが効率的
絶縁抵抗・接地抵抗の基準値は表で整理されたテキストを使うと一気に覚えられます。
過去問で判定基準を完璧にしよう
絶縁抵抗・接地抵抗の判定基準は過去問で繰り返し出題されます。「イチ・ニ・ヨン」を反射的に選べるまで演習しましょう。
独学が不安なら、通信講座で効率よく合格を目指そう
検査・測定の分野は映像講義で測定器の使い方を見ると理解が早いです。
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