検査・測定

絶縁抵抗・接地抵抗・導通試験と竣工検査|判定値と計器の使い分け

この記事では、竣工検査を段階に分け、導通・絶縁抵抗・接地抵抗のどれで何を判定するかを説明し、通電後の確認で使う計器を「測る量」から選べるようになります。判断軸は3つです。①何を確かめたいのか、②無充電で測るのか通電後に測るのか、③その量を測れる計器はどれか。この順で決めると、計器名の暗記に頼らずに済みます。

実設備での測定は学科知識だけで行わない

絶縁抵抗計は測定対象へ直流電圧を印加します。停電範囲の確定、施錠・表示、検電、電子機器やSPD等の扱い、復電確認を自己流で行うと、感電、短絡、機器損傷のおそれがあります。実作業は資格範囲、作業責任者の手順、設計図書、使用計器と接続機器の取扱説明書に従ってください。

4つの検査は、それぞれ別の危険を見つける

測定・単位 主な計器 確かめるもの
絶縁抵抗測定
絶縁抵抗計(メガー) 電線相互間、電路と大地間の絶縁性能
接地抵抗測定
Ω
接地抵抗計 接地極から大地へ電流が流れる経路の抵抗

絶縁抵抗が高いほど絶縁は良好、接地抵抗は適用される上限以下であることが基本です。ただし、数字だけでは判定できません。絶縁抵抗は電圧区分、接地抵抗は接地工事の種類と自動遮断条件を先に決めます。

この2つに、無充電で経路を確かめる導通試験と、通電後に電圧・相順・電流を確かめる測定を加えると、竣工検査で扱う量が一通りそろいます。どれか1つの結果で他を代用することはできません。

竣工検査は4段階で組み立てる

1.範囲・目視
図面、施工範囲、器具、支持、接続、接地線、損傷、表示を確認
2.無充電での測定
必要な導通、絶縁抵抗、接地抵抗を計画した区分で実施
3.通電後の確認
安全条件を満たした範囲で電圧、極性、相順、動作、電流等を確認
4.是正・記録・復旧
不適合の原因と影響範囲を調べ、是正後に再検査して記録

これは検査を整理するための段階であり、すべての設備に同じ測定項目を同じ順で強制する一覧ではありません。たとえば接地抵抗測定をいつ行うか、機器をどの段階で接続するか、どの保護装置を動作確認するかは、検査要領と設備条件で決めます。

図1:竣工検査の4段階と、各段階で確かめるもの

① 範囲・目視
図面、施工範囲、器具、支持、接続、接地線、損傷、表示
② 無充電での測定
導通、絶縁抵抗、接地抵抗を計画した区分で実施
③ 通電後の確認
安全条件を満たした範囲で電圧、極性、相順、動作、電流
④ 是正・記録・復旧
不適合の原因と影響範囲を調べ、是正後に再検査して記録

図1の②と③の間に線が引かれているのが要点です。②を終えずに③へ進むと、絶縁不良や誤結線のある回路へ電圧をかけることになります。逆に③まで行かないと、極性・相順・実負荷の電流は確認できません。図1の①で拾うのは、測定器を出す前に目で分かる損傷・誤配置・表示の欠落です。ここを飛ばすと、②の測定値が適合していても不適合が残ります。図1の④まで戻って再検査と記録を終えて、はじめて検査が終わります。

なぜ通電の前に確認するのか

電気技術者試験センターの公式資料は、完成した一般用電気工作物等について、点検・測定・試験等の検査を実施し、適正に施工されていることを確認してから電気の使用を開始する必要があると説明しています。

ここで大切なのは、竣工検査を「目視→導通→絶縁→接地→通電」という唯一の全国共通5ステップとして暗記しないことです。実際の対象、設計図書、検査要領、接続機器、施工範囲によって必要項目と順序は変わります。ただし、目視と必要な無充電検査を終え、是正前の危険な状態で安易に通電しないという安全の流れは共通します。

導通試験で分かること・分からないこと

確認できること この結果だけでは分からないこと 別に必要な確認
測った2点間に電流の通り道がある 意図した相手へ正しく接続されているか 回路図、遠端の開放・短絡、開閉操作との照合
断線・接続不良の手掛かり 電線相互間・対地間の絶縁性能 絶縁抵抗測定
接地線の経路が連続しているか 接地極の接地抵抗値 接地抵抗測定

回路計(テスタ)の抵抗レンジや導通チェック機能は、計器内部から測定対象へ小さな測定電流を流して判定します。HIOKIも抵抗測定は電源を切った状態で行い、抵抗レンジのリードへ外部電圧を加えると故障原因になると案内しています。ブレーカーをOFFにしたという操作だけで無電圧と決めず、検査範囲を確定し、誤投入防止と検電を含む現場手順で確認します。

「0Ωに近い=正常」と一度で決めない

短い銅線や保護導体は低い抵抗を示しますが、リード自体の抵抗、接触状態、接続された負荷、並列経路も表示へ影響します。まずリードを短絡して計器・リードの状態と基準表示を確認し、測定対象を他の回路や負荷から適切に分離します。

そのうえで、遠端を開放したときと短絡したとき、またはスイッチを開閉したときの表示変化を比べます。ブザーが鳴る閾値は計器ごとに異なるため、音だけで低抵抗値の適否を断定しません。どの2点を測り、どの操作で表示がどう変わったかを回路図と記録へ対応させます。

導通試験と保護導通試験は同じ名前で一括りにしない

第二種の一般的な学科問題でいう導通試験は、無充電回路の接続・断線を回路計等で調べる考え方です。一方、機器の安全規格等で行う保護導通試験は、専用試験器で所定の試験電流を流して保護接地経路の低抵抗を評価する場合があります。対象規格と判定値が示されていない場面へ、単純なブザー判定を横展開しません。

絶縁抵抗0.1・0.2・0.4MΩの選び方

電気使用場所の低圧電路は、開閉器または過電流遮断器で区切ることのできる電路ごとに、電線相互間と電路・大地間の絶縁性能を確認します。電技省令第58条の最小値は次のとおりです。

使用電圧 対地電圧 絶縁抵抗
300V以下 150V以下 0.1MΩ以上
300V以下 上記以外 0.2MΩ以上
300Vを超える低圧 0.4MΩ以上

200V回路を一律0.2MΩにしない

接地式電路の対地電圧は電線と大地との間、非接地式電路では電線相互間の電圧で考えます。中性線が接地された単相3線式100/200Vは、非接地線と大地の間が100Vです。使用電圧300V以下・対地電圧150V以下なので、該当する低圧電路は0.1MΩ以上です。

一方、非接地式の三相3線式200Vは、対地電圧を線間電圧200Vとして扱うため0.2MΩ以上です。「200V」という表示だけでなく、接地方式と対地電圧を確認します。

基準値と測定電圧は別の数字

0.1・0.2・0.4MΩは絶縁性能の判定値です。絶縁抵抗計の50・125・250・500・1000V等は計器が印加する定格測定電圧です。電子機器が接続された回路では、試験センターの公式例題も「機器等を損傷させない適正な定格測定電圧」を選ぶよう示しています。すべての低圧回路へ無条件に500Vをかける、という手順ではありません。

例題:三相3線式200V(非接地式)の分岐回路。非接地式電路の対地電圧は電線相互間の電圧で考えるため、対地電圧は線間の200Vです。使用電圧は300V以下ですが対地電圧が150Vを超えるので、区分は0.2MΩ以上になります。同じ「200V」でも、中性線が接地された単相3線式100/200Vの分岐回路なら対地電圧100Vで0.1MΩ以上です。表示された電圧ではなく、接地方式と対地電圧が区分を決めます。

絶縁抵抗測定は7つの確認で考える

  1. 測定区分を決める:単線結線図と開閉器を確認し、どの電路を測るか明確にする
  2. 停電範囲を確保する:遮断後も検電して無電圧を確認し、誤投入防止措置をとる
  3. 接続機器を確認する:負荷、制御機器、電子機器、SPD等を、設計図書・メーカー指示に従って分離または保護する
  4. 計器を点検する:外観、リード、電池、端子、必要な動作確認を取扱説明書どおりに行う
  5. 測定電圧と端子を確認する:一般にはL(LINE)を測定する線路側、E(EARTH)を接地側・大地側へ接続する
  6. 回路ごとに測定・記録する:電線相互間と電路・大地間を、決めた区分ごとに測る
  7. 放電・復旧する:測定対象の残留電荷がなくなったことを計器の指示で確認し、分離した機器と保護装置を手順どおり復旧する

絶縁抵抗計は直流電圧を印加し、流れた微小電流から抵抗を求めます。容量性のある対象には電荷が残る場合があるため、測定値を読んだら即座に端子へ触れるのではなく、使用計器の放電機能・表示と手順を確認します。

一括測定値が高くても分岐回路を省かない

幹線側から複数の分岐回路を一括測定し、値が高かったとしても、開閉器や過電流遮断器で区切れる各電路の適否を確認したことにはなりません。逆に一括値が低いときも、その数字だけで不良箇所は決まりません。区分を分けて再測定し、接続機器、湿気、誤結線、電線損傷などを調査します。

接地抵抗の3極法|E・P・Cの役割

3極法では、測定対象の接地極と2本の補助接地極を使います。計器により端子表示がE・P・CまたはE・S・Hの場合があります。

E(EARTH)
合否を判定する測定対象の接地極
P/S
電位用の補助接地極
C/H
電流用の補助接地極

E―P―Cをおおむね一直線に配置し、地電圧と補助接地極の状態を確認して測定します。ただし「必ず5〜10mずつ」と固定暗記しないでください。たとえばHIOKI FT3151の取扱説明書はE-S-H間をそれぞれ5m程度必要としていますが、必要距離、警告表示、補助極の打込み・移設方法は機種、地形、土壌、周囲の埋設物等で確認が必要です。使用する計器の取扱説明書を優先します。

補助極P・Cは測定のための電極です。接地工事の合否判定対象は測定極Eの抵抗値であり、「補助極の抵抗が低いからD種に適合」という判定はしません。

図2:3極法はE・P・Cをおおむね一直線に配置する

E(測定極)
合否を判定する測定対象の接地極。ここの抵抗値だけが判定対象
P/S(電位用)
電位を測るための補助接地極。判定対象ではない
C/H(電流用)
測定電流を流すための補助接地極。判定対象ではない

図2のE・P・Cは、E→P→Cの順でおおむね一直線に配置します。E―P間とP―C間の距離は計器の取扱説明書が指定する範囲に従い、暗記した数値を優先しません。補助極P・Cは「測るための道具」であって、その抵抗値でD種・C種の適否を判定するものではない、という区別が図の要点です。判定に使うのは図2のEの抵抗値だけで、図2のPとCの打ち込み具合は測定値の安定に効くだけです。

測定値を接地種別へ照合する

接地工事 原則の上限 条件による扱い
C種 10Ω 0.5秒以内に自動遮断する装置がある場合は500Ω以下
D種 100Ω 0.5秒以内に自動遮断する装置がある場合は500Ω以下

たとえばD種接地工事で測定値300Ω、地絡時に0.1秒で自動遮断する装置があれば、500Ω以下なので抵抗値条件に適合します。自動遮断条件がなければ100Ωを超えるため不適合です。500Ωへの緩和は接地線を省略する規定ではありません。A・B・C・D種の対象、B種の計算、省略条件は接地工事(アース)の種類と抵抗値で確認してください。

例題:C種接地工事で測定値420Ω。地絡時に0.4秒で自動遮断する装置がある場合、0.5秒以内なので上限は500Ωへ緩和され、420Ωは適合です。同じ420Ωでも自動遮断の条件がなければ上限は原則の10Ωなので不適合になります。測定値だけでは判定できず、遮断条件とセットで読みます。

通電後の確認は「測る量」から計器を選ぶ

知りたいこと 代表的な計器 読み違いを防ぐ要点
回路のつながり・抵抗 回路計の抵抗レンジ・導通チェッカー 無充電で使用。別経路や負荷を通った導通を除外する
電路の絶縁性能 絶縁抵抗計 区切れる電路ごとに測定し、適切な定格測定電圧を選ぶ
接地極の抵抗 接地抵抗計 測定極Eと補助極P・Cを混同しない
三相回路の相順 検相器 電圧値や絶縁抵抗を測る計器ではない
負荷電流 クランプ式電流計 測定対象の1本の導体を挟む
漏れ電流 クランプ式漏れ電流計 回路導体を一括して挟み、往復電流の差を測る
電力/電力量 電力計/電力量計 その時点のWと、時間を積算したWhを分ける

2026年度上期の公式問題でも、「回路計と導通試験」「検相器と三相回路の相順」「クランプ式電流計と負荷電流」は適切な組合せで、「電力計と消費電力量」は不適切と問われました。計器名ではなく、測る量と単位を一組で覚えます。計器そのものを外観から見分ける練習は第二種電気工事士の鑑別問題対策|工具・材料・計器の見分け方にまとめてあります。

クランプ形計器は挟む導体で意味が変わる

負荷電流を測る場合は、測りたい1本の導体を挟みます。往復する2本をまとめると磁界が相殺されるため、通常の負荷電流は読めません。

漏れ電流(零相電流)を測る場合は逆で、漏れ電流用の計器にその回路の全回路導体を一括して通します。単相2線式は2本、単相3線式は中性線を含む3本、三相4線式は4本です。正常に戻る電流を相殺し、大地側へ漏れた差分を測ります。接地線から測る方法では接地線を単独で挟みます。HIOKIの公式解説と使用計器の取扱説明書で、ジョーの閉じ方、レンジ、周囲磁界の影響も確認します。

図3:クランプ形計器は挟む導体で意味が変わる

負荷電流測りたい1本の導体だけを挟む読み値=その線に流れる電流
漏れ電流その回路の全回路導体を一括して挟む読み値=往復の差=大地へ漏れた分

図3の「漏れ電流」の行では往復の電流が相殺されるため、正常な回路では読み値がほぼ0になります。図3の「負荷電流」の挟み方で漏れ電流を測ろうとすると負荷電流が読めてしまい、「漏れ電流」の挟み方で負荷電流を測ろうとすると値が出ません。挟む本数を変えているのではなく、測る量を変えています。

不適合を見つけた後が検査の仕上げ

  1. 使用開始を止める:不適合範囲を明確にし、誤通電・誤操作を防ぐ
  2. 原因と影響範囲を特定する:誤結線、断線、絶縁不良、接地、器具、測定方法を切り分ける
  3. 是正する:資格範囲と承認された手順で修理・再施工する
  4. 再検査する:該当項目だけでなく影響を受けた範囲も確認する
  5. 記録・復旧する:測定条件、値、計器、是正内容、再検査結果、最終状態を残す

「漏電遮断器があるから絶縁不良のまま使う」「別回路が適合したので平均する」「導通ブザーが鳴ったので接地抵抗も合格」といった置き換えはしません。異なる検査は異なる危険を見つけるためにあります。

自己チェック|どの検査で何が言えるか

問1:中性線が接地された単相3線式100/200Vで、対地電圧100Vの200V分岐回路です。必要な絶縁抵抗値は?

解答・解説:0.1MΩ以上です。使用電圧300V以下、対地電圧150V以下の区分に入ります。線間の200Vだけを見て0.2MΩを選びません。

問2:非接地式の三相3線式200V回路では、絶縁抵抗の区分はどうなりますか。

解答・解説:0.2MΩ以上です。非接地式では電線相互間の電圧で対地電圧を考えるため200Vとなり、使用電圧300V以下・対地電圧150V超の区分に入ります。

問3:無充電回路の2点間で低い抵抗値が出ました。この結果だけで言えることは?

解答・解説:測定した2点間に電流の通り道があることだけです。意図した接続先かは回路図と遠端の開放・短絡で確かめ、絶縁抵抗・接地抵抗・極性は別の検査で判定します。

問4:接地抵抗計のE・P・C端子の役割は?

解答・解説:Eが測定対象の接地極、Pが電位用の補助極、Cが電流用の補助極です。端子がE・S・H表記の計器もあります。補助極の抵抗値で接地工事の適否を判定することはできません。

問5:D種接地工事の測定値が300Ωで、地絡時に0.3秒で自動遮断する装置があります。抵抗値条件は?

解答・解説:適合です。0.3秒は0.5秒以内なので上限は500Ωへ緩和され、300Ωは収まります。これは抵抗値の緩和であって、接地線を省略できるという規定ではありません。

問6:クランプ式漏れ電流計で単相3線式回路の零相電流を測ります。挟み方は?

解答・解説:中性線を含む3本の回路導体を一括して挟みます。負荷電流を測るなら測定したい1本だけを挟むため、「何を測りたいか」を先に決めます。

問7:竣工検査の進め方として適切なのはどれですか。固定5項目の暗記でよいですか。

解答・解説:よくありません。必要項目と詳細順序は対象設備・設計図書・検査要領で決まります。目視と必要な無充電測定を終え、安全条件を満たしてから通電後の確認へ進み、不適合は是正・再検査・記録まで行います。

判定値と計器の参照先

編集日:2026年9月8日。図解・例題・自己チェックは当サイト独自の学習用です。e-Govの現行省令、経済産業省の電技解釈、試験センターの検査方法例題と学科問題、計測器メーカーの測定解説・取扱説明書は2026年7月28日の照合記録を引き継ぎ、リンク先の所在を2026年9月8日に確認しました。

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この記事を書いた人:資格太郎

電気工事士の独学合格を目指して学習中。公式資料と法令を確かめ、学習で説明できる範囲と実設備の作業を区別して編集しています。

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