2種 基礎理論

キルヒホッフの法則をわかりやすく解説|第二種電気工事士 基礎理論

この記事でわかること

  • キルヒホッフの第一法則(KCL):分岐点の電流の出入りのルール
  • キルヒホッフの第二法則(KVL):閉回路の電圧合計がゼロになるルール
  • オームの法則だけでは解けない分岐回路の計算方法
  • 試験に出る典型的な分岐回路の解き方の手順

結論から言います:キルヒホッフの法則は「電流」と「電圧」の2つのルール

キルヒホッフの法則(ほうそく)は、回路(かいろ)の中を流れる電流(でんりゅう)の出入りと、電圧(でんあつ)の合計に関する2つのルールです。

ざっくり言うと、こういうことです。

  • 第一法則(KCL):ある点に流れ込む電流と、出ていく電流は必ず同じ
  • 第二法則(KVL):回路をぐるっと一周したとき、電圧の合計はゼロになる

「オームの法則だけで十分じゃない?」と思うかもしれません。確かに、抵抗(ていこう)が1つだけのシンプルな回路ならオームの法則だけで解けます。でも、分岐(ぶんき)がある回路電源が複数ある回路になると、オームの法則だけでは手が足りません。

そこで登場するのがキルヒホッフの法則です。電気工事士試験でも、分岐回路の計算問題で頻出(ひんしゅつ)なので、しっかり押さえておきましょう。

なお、オームの法則がまだ不安な方は、先に「オームの法則と合成抵抗をわかりやすく解説|第二種電気工事士 基礎理論」を読んでおくとスムーズです。

なぜキルヒホッフの法則が必要なのか

オームの法則だけでは限界がある

オームの法則(V = IR)は、1つの回路ループを扱うには十分です。ところが、実際の電気回路はもっと複雑です。

  • 住宅の分電盤(ぶんでんばん)では、1本の幹線(かんせん)から各部屋の回路へ電流が分かれる
  • 工場の設備では、複数の電源が接続されたネットワーク回路がある
  • 電気工事士の試験問題でも、2〜3本に分岐する回路がよく出題される

こうした「分岐あり・複数ループあり」の回路を解くための武器が、キルヒホッフの法則なんです。

水流でイメージしてみよう

電気の流れは目に見えないので、水の流れに例えるとグッとわかりやすくなります。

水流でイメージするキルヒホッフの法則
第一法則(KCL)= 水量の保存
川が3本に分かれても…
合流すると水量は元通り!

分岐点に入る水 = 出る水
(水が途中で消えることはない)

第二法則(KVL)= 高低差の合計
山の上から水が流れ落ちて…
途中でいくつかの段差を越える

段差の合計 = 山の高さ
(一周すると高さゼロに戻る)

電流は水量、電圧は水圧(高さ)に対応します。このイメージを持っておくと、法則の意味がスッと入ってきますよ。

第一法則(KCL:電流の法則)

KCLとは何か

KCLは「Kirchhoff’s Current Law(キルヒホッフの電流の法則)」の略です。内容はとてもシンプルで、

回路の接続点(節点・せってん)に流れ込む電流の合計 = 流れ出る電流の合計

これだけです。言い換えると、「電流はどこかに消えたりしない」ということ。電荷(でんか)が途中で増えたり減ったりすることはないので、入った分だけ必ず出ていきます。

数式で書くと

接続点に集まる電流を I1, I2, I3… として、流れ込む方向をプラス、流れ出る方向をマイナスとすると、

ΣI = 0(接続点に出入りする電流の総和 = 0)

つまり、I1 + I2 + I3 + … = 0 です(符号を考慮して足し算する)。

なぜ必要か・現場でどう使われるか

たとえば住宅の分電盤を思い浮かべてください。主幹(しゅかん)ブレーカーから流れ込んだ電流は、各回路のブレーカーに分配されます。

  • 主幹に30A流れている
  • エアコン回路に15A、照明回路に5A流れている
  • 残りのコンセント回路には? → 30 – 15 – 5 = 10A

これがまさにKCLの考え方です。電気工事の現場でも、「各回路の電流の合計が主幹の容量を超えていないか」を確認するときに使います。

KCLの例題

では、実際に問題を解いてみましょう。

【例題1】分電盤の電流計算

ある分電盤の分岐点に3つの回路が接続されています。回路Aには8Aの電流が流れ込み、回路Bには5Aの電流が流れ込んでいます。回路Cからは電流が流れ出ています。流れ出る電流 IC は何Aですか?

接続点の電流イメージ
回路A: 8A
+
回路B: 5A
=
回路C: ?A
流れ込む電流の合計 = 流れ出る電流の合計

解き方:

KCLより、流れ込む電流 = 流れ出る電流なので、

8A + 5A = IC

IC = 13A

分電盤の接続点に8Aと5Aが流れ込んでいるので、出ていく電流は合計13Aになります。シンプルですね。

第二法則(KVL:電圧の法則)

KVLとは何か

KVLは「Kirchhoff’s Voltage Law(キルヒホッフの電圧の法則)」の略です。こちらも内容はシンプルで、

回路をぐるっと一周したとき、電圧の上昇と降下の合計はゼロになる

電源(でんげん)が電圧を「持ち上げ」て、抵抗が電圧を「消費する」。一周するとプラスマイナスがちょうどゼロになる、ということです。

数式で書くと

回路を一周する経路に沿って、電源電圧を E、各抵抗での電圧降下(でんあつこうか)を V1, V2, V3… とすると、

ΣV = 0(一周分の電圧の総和 = 0)

これを書き下すと、E = V1 + V2 + V3 + … です。

つまり、電源の電圧 = 各抵抗にかかる電圧の合計 ということになります。

なぜ必要か・現場でどう使われるか

現場で直列(ちょくれつ)接続された機器の電圧配分を把握するときに使います。

例えば、100Vの電源に長い延長コード(抵抗あり)をつないで電動工具を使う場面。延長コードで電圧降下が起きると、工具に届く電圧が下がります。

  • 電源電圧:100V
  • 延長コードの電圧降下:5V
  • 工具にかかる電圧:100 – 5 = 95V

KVLの考え方を使えば、「電源の電圧のうち、どこでどれだけ消費されているか」がわかります。工具の動作が不安定なときに「電圧降下が大きすぎるのでは?」と原因を探る根拠にもなりますね。

KVLの例題

【例題2】直列回路の電圧配分

24Vの電源に、3つの抵抗 R1 = 2Ω、R2 = 4Ω、R3 = 6Ω が直列に接続されています。各抵抗にかかる電圧 V1、V2、V3 をそれぞれ求めてください。

解き方:

ステップ1:直列回路なので、流れる電流はすべて同じ。合成抵抗を求めます。

R合成 = 2 + 4 + 6 = 12Ω

ステップ2:オームの法則で回路全体の電流を求めます。

I = V ÷ R = 24 ÷ 12 = 2A

ステップ3:各抵抗にかかる電圧を計算します(V = IR)。

抵抗 計算 電圧
R1 = 2Ω 2A × 2Ω 4V
R2 = 4Ω 2A × 4Ω 8V
R3 = 6Ω 2A × 6Ω 12V

検算(KVLで確認):V1 + V2 + V3 = 4 + 8 + 12 = 24V = 電源電圧 ← ぴったり合いますね!

どっちを使う? KCL・KVL 判断フロー
問題を読む:何を求める?
分岐点の電流?
KCL(第一法則)
入る電流 = 出る電流
分電盤・並列回路に
各部の電圧?
KVL(第二法則)
電源V = 各電圧降下の和
直列回路・ループに
両方ある回路?
KCL + KVL
合成抵抗→全体電流
→KVLで電圧→KCLで分岐

迷ったら「分岐点があるか?ループがあるか?」をチェック!

KCLとKVLを両方使う複合問題

ここからが本番です。実際の試験では、KCLとKVLを組み合わせて使う問題が出ます。1つずつ順番に適用していけば難しくありません。

【例題3】分岐のある回路

30Vの電源に R1 = 5Ω が直列に接続され、その先で回路が2つに分岐しています。分岐先にはそれぞれ R2 = 10Ω と R3 = 10Ω が並列(へいれつ)に接続されています。

(1)回路全体に流れる電流 I を求めてください。
(2)R1 にかかる電圧 V1 を求めてください。
(3)R2(= R3)に流れる電流をそれぞれ求めてください。

回路構成イメージ
電源 30V
R1: 5Ω
並列部分
R2: 10Ω
R3: 10Ω

解き方:

ステップ1:並列部分の合成抵抗を求める

R2 と R3 は同じ10Ωなので、

R並列 = 10 × 10 ÷ (10 + 10) = 100 ÷ 20 =

ステップ2:回路全体の合成抵抗

R合成 = R1 + R並列 = 5 + 5 = 10Ω

ステップ3(1)の答え:回路全体の電流 I

I = 30V ÷ 10Ω = 3A

ステップ4(2)の答え:R1 にかかる電圧 V1(KVL使用)

V1 = I × R1 = 3A × 5Ω = 15V

検算:並列部分にかかる電圧 = 30 – 15 = 15V(KVLより、電源電圧 = V1 + V並列

ステップ5(3)の答え:分岐電流(KCL使用)

R2 と R3 は同じ抵抗値なので、電流は均等に分かれます。

I2 = I3 = 3A ÷ 2 = 1.5A

KCLで確認:I2 + I3 = 1.5 + 1.5 = 3A = I ← 分岐点で電流が保存されていますね!

キルヒホッフの法則 まとめ

キルヒホッフの法則 まとめ
第一法則(KCL)
電流の法則
接続点に入る電流 = 出る電流
ΣI = 0

使いどころ
分岐点の電流を求める
分電盤の電流配分

第二法則(KVL)
電圧の法則
一周分の電圧の和 = 0
電源電圧 = 各電圧降下の合計

使いどころ
各抵抗の電圧配分
電圧降下の計算

ポイントは以下の3つです。

  • KCLは分岐点で使う → 電流の出入りを考える
  • KVLは閉回路(ループ)で使う → 電圧の上昇と降下を考える
  • 複雑な回路では、KCLとKVLを組み合わせて使う

キルヒホッフの法則は直流回路だけでなく、交流回路でも使われます。コンデンサの計算三相回路でも同じ考え方が基本になります。交流回路について詳しくは「交流回路の基礎をイメージで理解!インピーダンスと力率|第二種電気工事士」をご覧ください。

基礎理論の計算問題をもっと解きたい方へ

キルヒホッフの法則は、過去問を何度も解いて手を動かすのが一番の近道です。テキスト選びに迷ったらおすすめ参考書ガイドを参考にしてください。

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まとめ問題(4択クイズ)

最後に、理解度チェックの問題を3問解いてみましょう!

問題1:分電盤の電流(KCL)

住宅の分電盤で、主幹ブレーカーから40Aの電流が供給されています。エアコン回路に20A、照明回路に8A、給湯器回路に7Aの電流が流れているとき、残りのコンセント回路に流れる電流は何Aですか?

(ア)3A (イ)5A (ウ)7A (エ)15A

解答を見る

正解:(イ)5A
KCL(第一法則)より、分岐点に流れ込む電流と流れ出る電流は等しくなります。

40A = 20A + 8A + 7A + Iコンセント
Iコンセント = 40 – 20 – 8 – 7 = 5A

主幹の40Aから各回路の電流を引けば、残りのコンセント回路の電流が求まります。

問題2:直列回路の電圧降下(KVL)

100Vの電源に、配線の抵抗(1Ω)と電熱器(ヒーター)の抵抗(19Ω)が直列に接続されています。電熱器にかかる電圧は何Vですか?

(ア)5V (イ)19V (ウ)81V (エ)95V

解答を見る

正解:(エ)95V
まず回路全体の電流を求めます。
合成抵抗 = 1 + 19 = 20Ω
I = 100V ÷ 20Ω = 5A

KVL(第二法則)より、電源電圧 = 配線の電圧降下 + 電熱器の電圧降下
配線の電圧降下 = 5A × 1Ω = 5V
電熱器の電圧 = 5A × 19Ω = 95V

検算:5V + 95V = 100V ← 電源電圧と一致!
配線での電圧降下は小さいですが、実際の現場でも長い配線を使うと電圧降下が問題になることがあります。

問題3:KCLとKVLの複合問題

12Vの電源に R1 = 2Ω が直列に接続され、その先で R2 = 6Ω と R3 = 3Ω が並列に接続されています。R2 に流れる電流は何Aですか?

(ア)1A (イ)2A (ウ)3A (エ)6A

解答を見る

正解:(ア)1A
ステップ1:並列部分の合成抵抗を求める
R並列 = (6 × 3) ÷ (6 + 3) = 18 ÷ 9 = 2Ω

ステップ2:回路全体の合成抵抗
R合成 = R1 + R並列 = 2 + 2 = 4Ω

ステップ3:全体の電流(オームの法則)
I = 12V ÷ 4Ω = 3A

ステップ4:並列部分にかかる電圧(KVL)
V1 = 3A × 2Ω = 6V
V並列 = 12 – 6 = 6V

ステップ5:R2に流れる電流
I2 = 6V ÷ 6Ω = 1A

KCLで検算:I3 = 6V ÷ 3Ω = 2A → I2 + I3 = 1 + 2 = 3A = I ← 合っています!
並列回路では、抵抗が大きい方に流れる電流が小さくなる点も覚えておきましょう。

3問とも正解できましたか?間違えた問題は、もう一度解き方を確認してみてください。オームの法則と合わせて使いこなせるようになれば、基礎理論の計算問題はかなり得点しやすくなりますよ。

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理解度をチェック!

この記事の内容をどれくらい理解できたか、ミニテストで確認してみましょう。

→ ミニテストに挑戦する(全10問)

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