1種 施工方法

高圧ケーブル工事・特殊場所の工事をわかりやすく解説|第一種電気工事士 施工方法

この記事でわかること

  • CVケーブル・CVTケーブルの構造と特徴
  • 高圧ケーブルの端末処理・接続・布設方法
  • 危険場所の分類と防爆電気機器の5つの種類
  • 特殊場所(湿気・腐食性ガス・粉じん)の施工規定
  • 試験で狙われる施工数値の早見表

結論から言います

第一種電気工事士が扱う施工方法は、第二種の範囲に加えて「高圧ケーブル工事」と「特殊な場所での工事」が加わります。

高圧ケーブル工事は、キュービクルから各階の配電盤に6,600Vの電力を送るための工事です。また、工場や化学プラントなど、可燃性のガスや粉じんが存在する危険な場所での工事方法も、第一種の重要テーマです。

学科試験では毎回2〜3問出題され、実務でも最も重要な知識です。安全に直結する内容なので、しっかり理解しましょう。

高圧ケーブルの種類

高圧ケーブルは、6,600Vの高電圧に耐えられる絶縁性能を持つケーブルです。低圧のVVFケーブルとは構造が大きく異なります。

種類 絶縁体 特徴
CVケーブル(架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル) 架橋ポリエチレン 現在の主流。許容温度90℃。軽量で施工しやすい
CVTケーブル 架橋ポリエチレン CVの3心をより合わせた三相用。曲げやすい
CVQケーブル 架橋ポリエチレン 4心(三相+接地線)

以前はOFケーブル(油入ケーブル)が使われていましたが、油漏れのリスクや保守の手間から、現在はCVケーブルに置き換えが進んでいます。

高圧ケーブルの構造

CVケーブルは、内側から順に次の層で構成されています。

CVケーブルの断面構造(内→外)
導体(銅またはアルミ)

内部半導電層(電界を均一にする)

架橋ポリエチレン絶縁体(主絶縁)

外部半導電層(電界を均一にする)

遮へい層(銅テープ)(接地して感電防止)

ビニルシース(外装・保護)

遮へい層(しゃへいそう)は、ケーブルの外側を銅テープで覆った層で、必ず接地します。この接地により、万が一絶縁が破壊されても、漏れ電流が大地に流れて感電事故を防ぎます。

高圧ケーブルの施工方法

ケーブルの端末処理

高圧ケーブルの端末(機器に接続する部分)には、終端接続部(ターミネーション)を施工します。これは、ケーブルの切断面から絶縁が劣化するのを防ぐためです。

種類 用途
屋内用終端接続部 キュービクル内部、配電盤内など
屋外用終端接続部(がい管形) 架空引込線との接続部(雨がかかる場所)

現在はストレスコーンを省略できるゴムモールド形の終端処理が主流で、施工が大幅に簡略化されています。

ケーブルの接続

高圧ケーブル同士を接続する場合は、中間接続部(ジョイント)を使います。直線接続の他に、異なる種類のケーブルを接続する場合もあります。

⚠ 高圧ケーブル工事の重要ルール
・ケーブルの遮へい層(銅テープ)は必ずA種接地を施す
・ケーブルの曲げ半径は、ケーブル外径の8倍以上(単心)/ 6倍以上(多心)
・ケーブルを管路に収める場合、ケーブルの断面積は管の内断面積の32%以下(3条以下)
・支持点間の距離は2m以下(垂直部分は6m以下)

ケーブルの布設方式

方式 内容
管路式 地中にFEP管やヒューム管を埋設し、その中にケーブルを通す。最も一般的
直接埋設式 ケーブルを直接地中に埋設。埋設深さ1.2m以上(車両通過なし:0.6m以上)
暗渠(あんきょ)式 トンネル状の溝(洞道)にケーブルを敷設。大規模施設向け
ケーブルラック はしご状の金属フレームにケーブルを載せる。工場・ビル内で多用

特殊場所の工事

可燃性のガスや粉じんがある場所、水気のある場所など、通常より厳しい施工基準が適用される場所があります。

危険場所の分類

可燃性ガス危険場所
ガソリンスタンド
石油化学プラント
塗装工場
LPガス充填所
粉じん危険場所
小麦粉工場
石炭粉砕施設
アルミ粉末工場
製薬工場

可燃性ガスが存在する場所は、危険度に応じて3つのゾーンに分類されます。

ゾーン 定義 危険度
ゾーン0 爆発性ガスが常時、または長時間存在する場所 最も高い
ゾーン1 通常の状態で爆発性ガスが生成される可能性がある場所 高い
ゾーン2 異常な状態でのみ爆発性ガスが生成される場所 比較的低い

防爆電気機器の種類

危険場所では、電気火花や高温部分が可燃性ガスに引火しないよう、防爆構造の電気機器を使います。

防爆構造 記号 原理
耐圧防爆 d 容器内で爆発しても外部に火炎が出ない構造
内圧防爆 f 容器内に保護ガスを送り込み、ガスの侵入を防ぐ
油入防爆 o 電気部品を油に浸して火花の発生を防ぐ
安全増防爆 e 火花が発生しない構造にして安全度を増す
本質安全防爆 i 点火能力のない微弱な電流で動作させる

耐圧防爆が最も広く使われています。「万が一容器内で爆発しても、頑丈な容器が火炎を閉じ込めて外部に影響を与えない」という考え方です。

危険場所での施工規定

⚠ 可燃性ガス危険場所での施工ルール
・電気機器は防爆構造のものを使用する
・配線は金属管工事(厚鋼電線管)またはケーブル工事
・金属管の接続は5山以上ねじ込む
・管とボックスの接続にはシーリングフィッチング(コンパウンドで封じる)を使う
・可とう電線管工事や合成樹脂管工事は使用不可

シーリングフィッチング

シーリングフィッチングは、金属管の中をガスが流れて危険区域から非危険区域にガスが移動するのを防ぐための封止器具です。管の内部をコンパウンド(封止剤)で完全に密封します。

設置が必要な場所:

  • 危険場所と非危険場所の境界部分
  • 防爆機器の接続口から45cm以内
  • 管路が2サイズ以上大きくなる部分

その他の特殊場所の施工

湿気の多い場所・水気のある場所

場所 施工上の注意
湿気の多い場所 防湿装置を施す。がいし引き工事・ケーブル工事等
水気のある場所 ケーブル工事、1種金属製可とう電線管工事、金属管工事のいずれか

腐食性ガスのある場所

化学工場など腐食性ガスがある場所では、耐食性のある材料(合成樹脂管、ビニル被覆金属管など)を使用します。金属管を使う場合は耐食処理を施します。

粉じん危険場所

小麦粉やアルミ粉末などの可燃性粉じんが浮遊する場所では、粉じんが機器内部に入って爆発しないよう、粉じん防爆構造の機器を使います。配線は金属管工事またはケーブル工事とし、粉じんの侵入を防ぐ構造のボックスを使用します。

高圧機器の施工で使う工具と材料

工具・材料 用途
油圧式圧着工具 高圧ケーブルの端末に圧着端子を取り付ける
ケーブルカッター 太いCVケーブルを切断する
ケーブルストリッパー(高圧用) 絶縁体・遮へい層を段むきする
ストレスコーン ケーブル端末部の電界集中を緩和する部材
高圧検電器 高圧回路の充電・停電を確認する

施工数値 早見表

試験で問われる数値を1枚にまとめました。「何が何倍・何m」を正確に覚えることが得点に直結します。

高圧ケーブル工事 数値早見表
【曲げ半径】
 単心ケーブル:外径の 8倍以上
 多心ケーブル:外径の 6倍以上
 ※ 単心の方が太く硬い→曲げ半径は大きい
【管路内のケーブル】
 ケーブル断面積の合計 ≦ 管内断面積の 32%
【支持間隔】
 水平部分:2m以下 / 垂直部分:6m以下
【直接埋設の深さ】
 車両通過あり:1.2m以上
 車両通過なし:0.6m以上
【シーリングフィッチング】
 防爆機器の接続口から 45cm以内
 金属管の接続は 5山以上 ねじ込み

防爆構造 5種の覚え方

防爆構造は「何を使って爆発を防ぐか」で分類すると覚えやすくなります。

防爆構造を「守り方」で整理
d 耐圧防爆 →「爆発しても耐える」頑丈な容器で火炎を閉じ込める【最も普及】
f 内圧防爆 →「ガスを入れない」保護ガス(窒素・空気)で内部を陽圧に保つ
o 油入防爆 →「油に沈める」電気部品を絶縁油に浸けて火花を封じる
e 安全増防爆 →「そもそも火花を出さない」接点や端子の安全度を上げた構造
i 本質安全防爆 →「着火できないほど弱い電流」計測器・センサー向け

覚え方:d丈夫(耐える)、f吹き込む(保護ガス)、ooileextra safei微弱電流

よくある試験の引っかけ 3選

この3つで落とさない — 紛らわしいポイントを整理

引っかけ1:遮へい層の接地種別
高圧ケーブルの遮へい層はA種接地です。「ケーブルだからD種では?」と迷わせる選択肢が出ますが、遮へい層は高圧部分を覆う金属体なのでA種です。D種は300V以下の低圧機器の外箱に適用されます。

引っかけ2:曲げ半径の単心/多心
単心の方が太く硬いので、曲げ半径は単心8倍 > 多心6倍です。「単心の方が細いから小さくて済む」と思わせる問題に注意。1本の太い芯 vs 複数の細い芯をより合わせた構造、と考えれば自然です。

引っかけ3:直接埋設の深さ
車両通過なし=0.6m、車両通過あり=1.2m。数字を逆にした選択肢が出ます。「車が通るなら深く埋める(1.2m)」と覚えましょう。

まとめ

この記事のポイント
✔ 高圧ケーブルはCVケーブル(架橋ポリエチレン絶縁)が主流
✔ 遮へい層は必ずA種接地を施す
✔ 曲げ半径は外径の8倍以上(単心)/ 6倍以上(多心)
✔ 危険場所はゾーン0・1・2に分類
✔ 防爆構造:耐圧(d)・内圧(f)・油入(o)・安全増(e)・本質安全(i)
✔ 危険場所の配線は金属管工事またはケーブル工事
✔ シーリングフィッチングでガスの流通を防止

確認問題

【問題1】 高圧受電設備のCVTケーブルについて、正しい記述はどれか。

イ.絶縁体に絶縁油を使用している
ロ.遮へい層にはD種接地工事を施す
ハ.架橋ポリエチレンで絶縁された3心をより合わせたケーブルである
ニ.最高許容温度は60℃である

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正解:ハ
CVTケーブルは、CV(架橋ポリエチレン絶縁ビニルシース)ケーブルの単心3本をより合わせた三相用ケーブルです。最高許容温度は90℃、遮へい層にはA種接地工事を施します。油入ケーブルはOFケーブルです。

【問題2】 可燃性ガスが存在する危険場所で、金属管と防爆機器の接続部にガスの流通を防ぐために設置する器具はどれか。

イ.ユニバーサルボックス
ロ.シーリングフィッチング
ハ.ノーマルベンド
ニ.カップリング

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正解:ロ
シーリングフィッチングは、金属管内部をコンパウンド(封止剤)で密封して、管内を通ってガスが非危険区域に流入するのを防ぐための器具です。危険場所と非危険場所の境界部分や、防爆機器の接続口から45cm以内に設置します。

【問題3】 可燃性ガスが存在する危険場所において、万が一容器内部で爆発が起きても外部に火炎が伝わらない構造の防爆方式はどれか。

イ.内圧防爆構造
ロ.安全増防爆構造
ハ.耐圧防爆構造
ニ.本質安全防爆構造

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正解:ハ
耐圧防爆構造(記号:d)は、容器を頑丈に作り、万が一内部で爆発しても容器が耐え、外部に火炎が漏れない構造です。最も広く使われている防爆方式です。内圧防爆(f)は保護ガスでガスの侵入を防ぐ方式、本質安全防爆(i)は微弱な電流で動作させる方式です。

【問題4】 高圧ケーブルを地中に直接埋設する場合、車両その他の重量物の圧力を受けるおそれがない場所における最小埋設深さとして、正しいものはどれか。

イ.0.3m
ロ.0.6m
ハ.1.0m
ニ.1.2m

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正解:ロ
高圧ケーブルの直接埋設式における最小埋設深さは、車両等の重量物の圧力を受ける場所では1.2m以上、受けるおそれがない場所では0.6m以上です。管路式の場合も同様の基準が適用されます。

第二種のケーブル工事は「ケーブル工事の施工方法をわかりやすく解説」で復習できます。高圧受電設備の構成は「高圧受電設備の仕組みと構成機器|キュービクルの単線結線図を読もう」で、受電設備の検査は「高圧受電設備の検査方法|耐圧試験・保護継電器試験をわかりやすく解説」で詳しく解説しています。接地工事の基礎は「接地工事(アース)をわかりやすく解説!A種〜D種の違い」を参照してください。

第一種の学科対策に

施工方法は暗記事項が多い科目です。テキストで体系的に整理しながら、問題集で数値を定着させましょう。

独学に不安がある方は、通信講座でプロの解説を受けるのも効果的です。

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