検査方法

高圧受電設備の検査方法|耐圧・接地・継電器試験

結論:検査は「外観→接地→絶縁→保護→総合動作」のつながりで覚える

高圧受電設備の検査は、測定器名や数値を単独で暗記するより、事故を防ぐ接地電気を漏らさない絶縁異常を検出して切り離す保護の3系統に分けると整理できます。試験結果は「法令値」「機器仕様」「保安規程・整定値」のどれと比べるのかまで確認します。

第一種電気工事士の学科試験で扱うのは、点検、導通試験、絶縁抵抗測定・絶縁耐力試験、接地抵抗測定、継電器試験、温度上昇試験、試験用器具の7分野です。この記事では、6.6kV受電設備を主な例に、完成時の検査を安全な順でたどります。

この記事は試験学習用です

高圧回路の停電操作、耐圧試験、保護継電器試験は、感電・アーク・誤送電・機器損傷の危険があります。実作業は電気主任技術者の保安監督、安全手順、設備図面、機器メーカーの手順に従い、必要な資格・教育を受けた者が行います。記事だけを手順書にして作業しないでください。

まず「完成時の検査」と「維持の点検」を分ける

完成時の検査は、施工した設備が図面・技術基準・機器仕様に適合し、安全に受電できるかを確認するものです。使用開始後は、保安規程に基づく巡視・点検・測定で劣化や異常を追います。

場面 主な目的 判断の基準
完成時 誤接続、施工不良、初期不良を受電前に見つける 設計図、技術基準、製品仕様、協議内容
使用中 汚損、緩み、絶縁低下、過熱、保護機能を監視する 保安規程、点検計画、管理値、過去値との傾向
事故・変更後 原因、損傷範囲、再送電の可否を確認する 事故状況、変更図面、メーカー判定、保安責任者の判断

「月次は必ず月1回」「年次はすべて同じ試験」とは限りません。選任形態、設備条件、監視装置、保安規程、外部委託承認の条件で内容や頻度が変わります。学科問題では、完成検査なのか維持点検なのかを先に読み取ります。

受電前検査の全体フロー

1 書類・外観
単線結線図、定格、相表示、端子、離隔、接地線、締付け
2 安全確保
電源分離、誤投入防止、検電、放電、短絡接地
3 無電圧試験
導通、接地抵抗、絶縁抵抗、必要な耐圧試験
4 保護試験
継電器単体、遮断器との連動、警報・表示
5 送電・記録
相順、電圧、異音・異臭・過熱、設定値と実測値

実際の順序は設備構成と試験計画で調整します。重要なのは、試験対象を図面で区切り、電子機器や避雷器など試験電圧を加えてはいけない機器を確認してから接続することです。

停電作業は「切ったつもり」で始めない

労働安全衛生規則は、停電作業で開路した後に、充電電路でないことの確認、誤通電防止、残留電荷の放電を求めています。開路前には、自家発電機、蓄電池・PCS、低圧側からの逆送、制御電源など、別電源も図面と現地で確認します。

  1. 作業範囲と全電源を単線結線図で特定する
  2. 開閉器を開き、施錠・表示などで誤投入を防ぐ
  3. 対象電圧に適合する検電器を使用前後に確認し、停電を確認する
  4. ケーブル・コンデンサ等の残留電荷を安全な方法で放電する
  5. 高圧・特別高圧だった電路は、誘導・混触・誤通電に備えて短絡接地する

「検電したから短絡接地は不要」ではありません。検電はその時点の停電確認、短絡接地は作業中の誤通電や誘導への対策で、役割が異なります。復電時は人員・工具・短絡接地器具の撤去を確認してから操作します。

絶縁抵抗測定と絶縁耐力試験は目的が違う

比較 絶縁抵抗測定 絶縁耐力試験
見るもの 直流電圧を加えたときの抵抗値 規定電圧・時間に絶縁が耐える性能
主な用途 回路の切り分け、吸湿・汚損・劣化の傾向確認 高圧電路等の絶縁性能を規定条件で確認
判定 法令値、機器仕様、社内管理値、過去値を区別 対象電路に適用される技術基準の条件

絶縁抵抗計は「高圧なら必ず1000V」と決めない

定格測定電圧は、電路電圧だけでなく、対象がケーブル・回転機・変圧器・制御回路のどれか、電子部品が接続されているか、メーカーがどの試験電圧と判定値を指定しているかで選びます。高電圧絶縁抵抗計には250Vから5kVまで選べる機種もあります。測定前に対象を切り分け、測定後は容量性負荷の電荷を放電します。

低圧電路の0.1MΩ・0.2MΩ・0.4MΩは、技術基準の解釈に示される回路の絶縁性能の判定値です。これを「125V・250V・500Vメガーを必ず使う法令」と読み替えないことが大切です。測定器の定格電圧は、対象機器を傷めず適切に評価できるよう別に選定します。

6.6kVケーブルの絶縁耐力試験

現行の電気設備技術基準の解釈では、最大使用電圧7,000V以下の交流電路について、最大使用電圧の1.5倍の交流電圧を、電路と大地との間に連続10分間加えて耐える性能を求めています。交流電路にケーブルを使用する場合は、その試験電圧の2倍の直流電圧を同じく10分間加える方法も規定されています。

最大使用電圧6,900Vの公式例題

交流:6,900×1.5=10,350V
ケーブルを直流で試験:6,900×1.5×2=20,700V
いずれも規定の試験箇所へ連続10分間です。

計算の出発点は公称電圧6,600Vではなく、問題で与えられた最大使用電圧6,900Vです。また、7,000Vを超える電路は、接地方式や電圧区分によって試験電圧が分かれます。「7,000V超はすべて1.25倍」と一括しません。

接地抵抗は種別・遮断条件・測定方法を確認する

接地抵抗値は、A種10Ω以下、C種10Ω以下、D種100Ω以下が基本です。ただしC種・D種には、低圧電路の地絡を0.5秒以内に自動遮断する装置がある場合の500Ω以下という条件付き規定があります。B種は1線地絡電流Igに対して150/Igが基本で、混触時に高圧側等を1秒超2秒以内で自動遮断する条件では300/Ig、1秒以内では600/Igです。

試験問題では、抵抗値だけでなく条件文まで照合します。高圧機器外箱を見て機械的に「A種」、変圧器中性点を見て機械的に「150/Ig」と決めず、どの接地工事が要求され、どの遮断条件が成立するかを確認します。

精密な接地抵抗測定で使う3電極法は、被測定接地極E、電位極P、電流極Cを配置します。補助接地極は直線上に十分離して設け、地電圧と補助接地抵抗も確認します。距離を一律「10mずつ」と決めるのではなく、使用する測定器の取扱説明書、接地極の規模、周囲の埋設物・接地網、測定値の安定性に従います。

保護継電器は「単体」と「遮断器まで」を分ける

OCR(過電流継電器)の単体試験では、整定値を確認し、試験装置から電流を入力して最小動作電流、限時・瞬時要素の動作時間を測ります。ただし、継電器だけが正しく動いても、遮断器が開かなければ事故区間を切り離せません。

試験 主に確認するもの 見落としやすい点
OCR 限時・瞬時の動作電流、動作時間 CT比、特性曲線、上下流との保護協調
GR・DGR 零相電流、DGRは零相電圧・位相方向も確認 ZCT・ZPDの極性、方向判定、非動作側
連動試験 継電器出力からVCB開放、警報、表示まで 制御電源、トリップ回路、補助接点、復帰

CT(変流器)の一次電流が流れている状態で二次回路を開放すると、二次側に高電圧を生じ、絶縁破壊や焼損の危険があります。CTTや試験プラグの構造と手順を確認し、必要な短絡を保ったまま試験回路へ切り替えます。OCR試験装置をつないだから安全、とは考えません。

CT比の読み替え

CT比200/5A、OCRの動作電流整定4Aなら、理想的な一次換算値は次のとおりです。

200×4/5=160A

これは整定値の換算です。実試験の合否は、使用している継電器の形式、特性、メーカー判定基準、試験回路、保護協調へ照合します。異なる形式へ一律の誤差率を当てはめません。

温度上昇と記録で「その後」を追えるようにする

送電後は、電圧・電流・相順、異音・異臭、油漏れ、放電痕、端子部や接続部の温度などを確認します。温度は負荷電流、周囲温度、風、測定距離、放射率に左右されるため、表面温度の1回値だけで良否を断定しません。同条件の相間比較、過去値、負荷率、メーカー許容値と合わせます。

検査記録には、回路名、機器形式、測定器名・管理番号、校正状態、天候・温湿度、試験条件、整定値、実測値、判定、試験者を残します。単に「良」だけでは、次回に劣化傾向を比較できません。

学科問題を解く5ステップ

  1. 対象を読む:低圧電路、高圧ケーブル、接地極、OCRのどれか
  2. 試験を選ぶ:導通、絶縁抵抗、耐圧、接地抵抗、継電器のどれか
  3. 条件を拾う:最大使用電圧、交流・直流、ケーブル、接地種別、遮断時間、CT比
  4. 基準を選ぶ:技術基準、機器仕様、整定値・保安規程を混ぜない
  5. 安全条件を見る:停電、放電、短絡接地、CT二次回路の状態を確認する

理解度チェック

問1:直流による絶縁耐力試験

最大使用電圧6,900Vの交流電路に使用するケーブルを、技術基準の解釈に示す直流電圧で試験します。試験電圧はどれですか。

ア.6,900V イ.10,350V
ウ.13,800V エ.20,700V

解答を見る

正解:エ。7,000V以下の交流試験電圧は6,900×1.5=10,350Vです。ケーブルを直流で試験する場合はその2倍なので20,700Vを連続10分間加えます。

問2:CTとOCRの試験

CT一次に電流が流れている可能性がある状態で、OCRを二次回路から外すときの考え方として適切なのはどれですか。

ア.CT二次を先に開放する
イ.CT二次の必要な短絡を確保する
ウ.CT一次を接地から切り離す
エ.タイムレバーを最大にすれば開放できる

解答を見る

正解:イ。CT二次開放は高電圧の発生、絶縁破壊、焼損につながります。設備の試験端子・試験プラグとメーカー手順に従い、必要な二次短絡を確保して切り替えます。

問3:OCR整定値の一次換算

CT比200/5A、OCRの動作電流整定4Aです。理想的な一次換算値はいくらですか。

ア.40A イ.80A
ウ.160A エ.200A

解答を見る

正解:ウ。200×4/5=160Aです。実際の判定は継電器の形式、動作特性、メーカー基準、保護協調も確認します。

絶縁抵抗から水トリー・部分放電の診断へ進む

高圧ケーブルの劣化診断|絶縁抵抗・水トリー・部分放電で、メガーの限界、停電・活線診断、シース・端末、精密診断と更新判断までを整理できます。

停電範囲から復電判定までを一つの計画にする

高圧受電設備の停電年次点検で、停電・充電・作業・負荷影響の範囲、停止負荷、役割分担、ホールドポイント、復電前確認を整理できます。

10,350Vの根拠と試験容量を一つの計画にする

高圧絶縁耐力試験の試験電圧・容量計算で、第15条の電路と機器の区分、交流10,350V・直流20,700V、充電電流2πfCV、監視・放電・記録を整理できます。

試験成績表を入力から遮断まで読む

保護継電器試験の見方で、OCRの動作値・入力倍数・時間、DGRのIo・Vo・位相、単体試験と遮断器連動試験、全遮断時間、記録24項目を確認できます。

公式資料・一次情報

計算・整定・遮断を、1枚の曲線でつなぐ

保護協調曲線の見方で、CT一次換算、OCRの限時・瞬時、VCB全遮断、PF特性、突入電流、機器耐量を同じ基準で比較できます。

関連記事

高圧受電設備の検査方法ミニテスト:10問で耐圧・接地・継電器試験を判定する

高圧受電設備の仕組み:PAS・CT・OCR・VCBの役割を確認する

高圧受電設備の単線結線図:試験範囲と保護回路を図から読む

高圧ケーブル工事と危険場所:耐圧試験前の施工条件を確認する

高圧配電線路の計算:短絡電流と遮断能力を整理する

接地工事と接地抵抗:A〜D種の条件へ戻る

第一種電気工事士 学習ロードマップ:学科9分野の学習順へ戻る

資格太郎

この記事を書いた人:資格太郎電気工事士の独学合格を目指して学習中。試験センターの現行出題範囲・例題、経済産業省の技術基準、厚生労働省の安全規則、測定器・継電器メーカー資料を照合し、法令値と機器別の管理値を分けて編集しています。運営者情報と編集方針

広告・検証方針

この記事内に通信講座、測定器、継電器、工具のアフィリエイトリンクは掲載していません。2026年7月31日に試験センターの現行科目・検査例題、経済産業省の現行技術基準解釈・解説、厚生労働省の停電作業規則、メーカーの接地・絶縁・OCR・CT資料を照合しました。旧稿の点検頻度、メガー電圧、補助極間隔、B種接地、7,000V超の耐圧倍率に関する一律表現を撤去し、数値例を再計算しています。確認問題は当サイトのオリジナルです。



※当サイトの画像にはAI生成のものが含まれており、実際の機器・器具とは外観が異なる場合があります。問題・解答の内容には細心の注意を払っておりますが、誤りが含まれる可能性があります。学習の参考としてご活用いただき、最終的な確認は公式テキスト・法令等で行ってください。当サイトの情報に基づく判断によって生じた損害について、一切の責任を負いかねます。

内容の誤りやお気づきの点がございましたら、お問い合わせフォームよりご連絡いただけますと幸いです。正確な情報をお届けできるよう、随時修正してまいります。

-検査方法

戻る