この記事でわかること
- 複線図の4ステップ(白→黒→スイッチ→アース)の書き方
- 単線図から複線図への変換手順を具体例で解説
- 接地側(白線)と非接地側(黒線)の接続ルール
- 候補問題13問すべてに使える共通テクニック
結論から言います
技能試験の複線図は、たった4つのステップを順番に踏むだけで、どんな問題でも正確に書けます。
Step 2:電源の非接地側(黒)を、コンセント・スイッチに接続
Step 3:スイッチと対応する負荷をつなぐ
Step 4:接地線(アース)があれば接続
この4ステップを毎回同じ順番で繰り返すのがコツです。順番を変えると混乱しやすくなるので、「白→黒→スイッチ→アース」の順を体に染み込ませましょう。
「なんだ、それだけ?」と思うかもしれませんが、候補問題13問すべてがこの手順で解けます。ここから詳しく見ていきましょう。
そもそも複線図とは?
技能試験では、問題用紙に「単線図」が印刷されています。単線図は回路の構成を1本の線でシンプルに表した図で、設計段階では便利ですが、実際に何本のケーブルをどこにつなぐかは分かりません。
そこで必要になるのが「複線図」です。複線図は、実際のケーブルの本数と色(白・黒・赤など)をすべて書き出した図です。
技能試験は制限時間40分。この短い時間で正確に配線するには、最初に複線図をしっかり書いてから作業に入るのが鉄則です。複線図なしで「なんとなく」配線すると、接続ミス=欠陥=不合格になります。
なお、学科試験での複線図の考え方は「配線図の読み方・複線図への変換|第二種電気工事士 配線図」で解説しています。本記事では技能試験で実際に手書きする際のルールに焦点を当てます。
複線図を書く前に知っておくこと
電源の2本の線
家庭に届く単相100Vの電源には、2本の線があります。
| 名称 | 色 | 意味 |
|---|---|---|
| 接地側(N) | 白 | 大地(アース)とつながっている側。電圧はほぼ0V |
| 非接地側(L) | 黒 | 100Vの電圧がかかっている「生きた線」。触ると感電する |
水道に例えると、非接地側(黒)が水圧のかかった水道管、接地側(白)が排水管のようなイメージです。蛇口(スイッチ)は必ず水圧がかかっている側に付けますよね。電気も同じで、スイッチは必ず非接地側(黒)に入れるのが大原則です。
もしスイッチを接地側(白)に入れてしまうと、スイッチをOFFにしても器具に100Vがかかったままになり、感電の危険があります。
ケーブルの色と芯数
技能試験で使うVVFケーブルの色は決まっています。
| ケーブル | 芯の色 |
|---|---|
| VVF 2芯(2C) | 白・黒 |
| VVF 3芯(3C) | 白・黒・赤 |
複線図では、この色を使って線を書き分けます。色鉛筆やボールペンを3色用意しておくと、試験本番でも素早く書けます。
色の割り当てルール
「どの線を何色にするか」には明確なルールがあります。
接地側は必ず白。これは絶対です。
非接地側は必ず黒。電源から出る黒線はスイッチへ。
残りの線は赤。3芯ケーブルの3本目は赤を使います。
スイッチ〜負荷の間の渡り線は、施工条件で指示がなければ黒か赤のどちらでもOKです。
4ステップ変換法を詳しく解説
それでは、単線図を複線図に変換する手順を1ステップずつ見ていきましょう。
ステップ0:器具を配置する
まず、単線図に書かれている器具(電源・スイッチ・照明・コンセント・ジョイントボックスなど)を、作業しやすい位置にざっくり配置します。このとき器具の位置関係を単線図と同じにしておくと、ケーブルの経路が分かりやすくなります。
ステップ1:接地側(白)→ コンセント・負荷
電源の接地側(白線、N)から出発して、コンセントの接地側とすべての負荷(照明器具など)に白線をつなぎます。
ポイント:負荷(ランプレセプタクル・引掛シーリング・照明など)には、スイッチを通さずに直接白線が入ります。スイッチには白線をつながないでください(※3路スイッチの場合を除く)。
ステップ2:非接地側(黒)→ コンセント・スイッチ
電源の非接地側(黒線、L)から出発して、コンセントの非接地側とすべてのスイッチに黒線をつなぎます。
ポイント:複数のスイッチがある場合、黒線はジョイントボックス内で分岐して各スイッチに向かいます。この分岐点が「接続点」になります。
ステップ3:スイッチ → 対応する負荷
各スイッチの反対側(出力側)と、そのスイッチが操作する負荷をつなぎます。このとき使う線の色は、ケーブルの残りの色(2芯なら白、3芯なら赤)になります。
ポイント:「スイッチ”イ”は照明”イ”に」「スイッチ”ロ”は照明”ロ”に」のように、同じ記号同士をペアにします。単線図に書かれた記号をよく確認しましょう。
ステップ4:接地線(アース)があれば接続
施工条件に「接地線を施設する」と書かれている場合(エアコン用コンセントなど)、接地端子付きコンセントの接地端子に緑色の線をつなぎます。
実例で練習しよう
例1:スイッチ1つ+照明1つ(最もシンプルなパターン)
単線図の条件:電源→ジョイントボックス→スイッチ「イ」で照明「イ」を点滅させる。ケーブルはVVF 2芯を使用。
完成した複線図の接続点を数えると:
- 白線の接続点(電源N+照明イ)→ 2本接続が1箇所
- 黒線の接続点(電源L+スイッチイ)→ 2本接続が1箇所
- 渡り線の接続点(スイッチイ+照明イ)→ 2本接続が1箇所
ジョイントボックスを経由する場合は、ここが圧着接続やコネクタ接続のポイントになります。
例2:スイッチ2つ+照明2つ+コンセント
単線図の条件:電源→ジョイントボックス→スイッチ「イ」で照明「イ」、スイッチ「ロ」で照明「ロ」を操作。コンセントも1つ接続。
──白── 照明ロ
──白── コンセント W
──黒── スイッチ ロ
──黒── コンセント L
スイッチ ロ ──── 照明 ロ
接続点を数えると:
- 白線の接続(電源N+照明イ+照明ロ+コンセントW)→ 4本接続が1箇所
- 黒線の接続(電源L+スイッチイ+スイッチロ+コンセントL)→ 4本接続が1箇所
- スイッチイ → 照明イの渡り線 → 2本接続が1箇所
- スイッチロ → 照明ロの渡り線 → 2本接続が1箇所
4本接続はリングスリーブ「中」、2本接続はリングスリーブ「小」(または差込形コネクタ)と、接続点の本数からスリーブのサイズも決まります(材料の拾い出しで詳しく解説)。リングスリーブの選び方は「リングスリーブの圧着接続をマスター|サイズ・刻印の選び方|第二種電気工事士 技能試験」で詳しく解説しています。
接続点の数え方とリングスリーブ・コネクタの選定
複線図が完成したら、ジョイントボックス内の接続点を数えましょう。ここが圧着やコネクタで接続する箇所です。
接続点の数え方の手順
- 複線図のジョイントボックス内で、同じ点に集まる線を色ごとにグループ分けする
- 各グループの線の本数を数える
- 施工条件で指定された接続方法(リングスリーブ or 差込形コネクタ)を確認する
リングスリーブのサイズ早見表
| 接続する電線 | スリーブサイズ | 圧着マーク |
|---|---|---|
| 1.6mm × 2本 | 小 | ○(極小) |
| 1.6mm × 3〜4本 | 小 | 小 |
| 1.6mm + 2.0mm 混合 | 小 or 中 | 小 or 中 |
| 2.0mm × 2本以上 or 計5本以上 | 中 | 中 |
正確な選び方は「リングスリーブの圧着接続をマスター」で解説しています。複線図を書けば接続本数が一目瞭然になるので、材料選定のミスも防げます。
よくある間違いと対策
間違い1:スイッチに白線を入れてしまう
スイッチの入力側は必ず非接地側(黒)です。白線をスイッチに入れると、スイッチOFFでも器具に100Vがかかり、安全上の問題になります。試験でも欠陥となります。
対策:Step 1で白線は負荷とコンセントだけに接続、Step 2で黒線をスイッチに接続、と手順を守る。
間違い2:接地側と非接地側の色を逆にする
「どっちが白でどっちが黒だっけ?」と混乱する人がいます。覚え方は「接地=白=N=Neutral(中立)」「非接地=黒=L=Live(活線)」です。黒は「危険な生きた線」→ 黒いイメージ、と連想すると忘れにくいです。
間違い3:渡り線の色を間違える
ジョイントボックスからスイッチと照明が同じケーブルで接続される場合、渡り線の色に迷うことがあります。ルールはシンプルです:
- 施工条件で色が指定されていれば、その色を使う
- 指定がなければ、接地側以外の色(黒 or 赤)を使えばOK
間違い4:コンセントにスイッチを通してしまう
コンセントはスイッチを経由しません。電源の黒(L)と白(N)がそのままコンセントに入ります。「コンセントはいつでも使えるように、電源直結」と覚えましょう。
複線図を素早く書くコツ
- 色ペンを用意する:白線=青ペン、黒線=黒ペン、赤線=赤ペンで書くと一目で分かる
- 器具の配置を単線図と同じにする:ケーブル経路が直感的に分かる
- 接続点に○印を付ける:圧着箇所が明確になる
- 4ステップを省略しない:慣れてもStep 1から順番に。飛ばすとミスの原因になる
- 練習は最低13回:候補問題13問を全部複線図に変換する練習をしておく
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- 時短テクニック → 「技能試験の時短テクニック」
まとめ
- 複線図は単線図を実際の配線に変換する図。技能試験の第一歩
- 4ステップ:①白→負荷 ②黒→スイッチ ③スイッチ→負荷 ④アース
- 接地側(白)は必ず負荷へ、非接地側(黒)は必ずスイッチへ
- コンセントはスイッチを通さず電源直結
- 接続点を数えれば、リングスリーブ・コネクタの材料も決まる
次の記事「3路・4路スイッチの複線図の書き方|第二種電気工事士 技能試験」では、階段照明などで使われる3路スイッチ・4路スイッチの複線図を解説します。
確認問題
【問題1】単相100Vの回路で、スイッチは電源のどちら側に接続するか。
(A)接地側(白)
(B)非接地側(黒)
(C)どちらでもよい
(D)接地線(緑)
【問題2】ある住宅のリビングで、スイッチ「イ」でシーリングライト、スイッチ「ロ」でダウンライトを操作し、コンセントも1つ設ける回路の複線図を考える。ジョイントボックス内で電源の接地側(白線)と一緒に接続される線は何本か。
(A)2本
(B)3本
(C)4本
(D)5本
【問題3】VVF 2芯ケーブルの芯線の色として正しい組み合わせはどれか。
(A)白・赤
(B)黒・赤
(C)白・黒
(D)白・緑
テキストで複線図のパターンを繰り返し練習しましょう。
差込形コネクタ・ランプレセプタクル・引掛シーリングの取り付け|第二種電気工事士 技能試験
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