この記事でわかること
- 第一種電気工事士の作業範囲と第二種との違い
- 試験の年間日程・受験手数料・合格率の推移
- 学科試験・技能試験それぞれの出題傾向と対策
- 免状取得に必要な実務経験の要件
- 第一種を取るメリットとキャリアアップ効果
結論から言います。第一種電気工事士は、ビル・工場・大型商業施設などの最大電力500kW未満の自家用電気工作物(じかようでんきこうさくぶつ)の電気工事ができる国家資格です。第二種電気工事士の上位資格にあたり、扱える範囲が大幅に広がることでキャリアアップ・年収アップに直結します。
この記事では、第一種電気工事士の試験概要・日程・合格率を徹底解説します。「第二種は持っているけど第一種はどうなの?」「いきなり第一種を受けてもいいの?」という疑問にもお答えします。
※この記事は2026年3月時点の情報をもとに作成しています。最新の試験日程・受験手数料などは一般財団法人 電気技術者試験センター(ECEE)の公式サイトで必ずご確認ください。
第一種電気工事士とは?
扱える電気工事の範囲
第一種電気工事士は、次の電気工事を行うことができます。
ポイントは、第二種の作業範囲もすべてカバーしているということ。つまり、第一種を持っていれば住宅のコンセント工事も、ビルの高圧受電設備の工事もできるわけです。
身近な例で考えてみましょう。あなたの自宅の電気工事は第二種電気工事士でOKですが、あなたが勤める会社のオフィスビルや近所のショッピングモール、工場の電気工事には第一種電気工事士が必要になることが多いのです。
第二種との違いをざっくり比較
| 比較項目 | 第二種 | 第一種 |
|---|---|---|
| 作業範囲 | 一般用電気工作物 | +自家用(500kW未満) |
| 試験回数 | 年2回(上期・下期) | 年1回 |
| 免状交付 | 合格→即交付 | 実務経験3年以上が必要 |
より詳しい比較は「第一種と第二種電気工事士の違いは?どちらを先に取るべきか徹底比較」で解説しています。
「上位資格」としてのキャリアアップ価値
第一種電気工事士を取得すると、以下のようなメリットがあります。
- 対応できる現場が増える → 求人の選択肢が大幅に広がる
- 資格手当がつく会社が多い → 月額5,000〜15,000円程度の手当
- 独立開業の幅が広がる → ビル・工場の案件も受注可能
- 認定電気工事従事者の資格取得が容易になる
電気工事士の年収やキャリアパスについては「電気工事士の仕事内容・年収・就職先|資格を取った後のリアルな話」もぜひ参考にしてください。
受験資格 — 誰でも受けられます
意外に思われるかもしれませんが、第一種電気工事士の受験に年齢・学歴・実務経験などの制限はありません。高校生でも、電気と関係のない仕事をしている人でも、誰でも受験できます。
ただし、ここが大事なポイントです。
注意:試験に合格しても、すぐには免状がもらえない
第一種電気工事士は免状の交付に実務経験が必要です(詳細は後述)。試験に合格すること自体は誰でもできますが、免状を手にするには電気工事の実務経験が求められます。
「じゃあ実務経験がない人は受けても意味がないの?」と思うかもしれませんが、そんなことはありません。合格実績は一生有効なので、先に合格しておいて、後から実務経験を積んで免状を申請するという流れが一般的です。
試験の概要
学科試験
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 出題数 | 50問 |
| 試験時間 | 140分(2時間20分) |
| 出題形式 | 四肢択一(マークシート) |
| 受験方式 | 筆記方式 または CBT方式(コンピュータ試験)を選択可能 |
| 合格基準 | 60%以上(50問中30問以上の正解が目安) |
CBT方式とは、テストセンターのパソコンで受験する方式です。従来のマークシート(筆記方式)と同じ内容・難易度で、受験日時の選択肢が広がるメリットがあります。
技能試験
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 試験時間 | 60分 |
| 出題形式 | 候補問題10問のうち1問が出題される |
| 試験内容 | 配線図に基づいた施工作業を行い、完成品を提出 |
| 合格基準 | 欠陥がないこと(欠陥が1つでもあれば不合格) |
技能試験の候補問題は事前に公表されます。10問すべてを練習しておけば、当日どの問題が出ても対応できます。
受験手数料
| 申込方法 | 受験手数料(税込) |
|---|---|
| インターネット申込 | 10,900円程度 |
| 郵送申込 | 11,300円程度 |
※受験手数料は改定される場合があります。必ず公式サイトで最新情報を確認してください。
第二種(インターネット申込9,300円程度)と比べると、やや高めです。また、第一種は年1回しか受験チャンスがないので、不合格の場合は翌年まで待つ必要があります。受験料を無駄にしないためにも、しっかり準備してから臨みましょう。
試験範囲 — 第二種との違い
第一種の学科試験は、第二種の内容をベースに高圧・特別高圧の分野が追加されます。「第二種の延長」と考えるとイメージしやすいでしょう。
第一種で追加される主な科目
第二種で出題される「基礎理論」「配電理論」「電気機器」「施工方法」「検査」「配線図」「法令」も、第一種ではより深い知識が問われます。
技能試験の違い
技能試験にも大きな違いがあります。
- 候補問題数:第二種は13問 → 第一種は10問
- KIP電線(高圧絶縁電線)の加工が追加
- 高圧部分の施工(端子台への結線など)が追加
- 全体的に回路が複雑になり、時間管理がよりシビア
第二種の技能試験を経験した方なら基本作業は身についているはずですが、高圧部分の施工は新しいスキルとして練習が必要です。
合格率データ
第一種電気工事士の合格率は、過去のデータを見ると以下のような傾向です。
学科試験の合格率
| 項目 | 合格率の目安 |
|---|---|
| 第一種 学科試験 | 約50〜60% |
| (参考)第二種 学科試験 | 約55〜65% |
技能試験の合格率
| 項目 | 合格率の目安 |
|---|---|
| 第一種 技能試験 | 約60〜65% |
| (参考)第二種 技能試験 | 約65〜75% |
※上記は過去実績をもとにした参考値です。年度により変動します。
合格率から見る難易度
合格率だけを見ると「第二種とそこまで変わらないのでは?」と思うかもしれませんが、注意点があります。
- 受験者の層が違う:第一種の受験者は電気業界で働いている人が多く、ある程度の知識・経験がある
- 試験範囲が広い:高圧・特別高圧の分野が加わる分、学習量が増える
- 年1回しかない:受験者が「しっかり準備してから受ける」傾向がある
つまり、合格率は同じくらいでも、受験者のレベルが高い分、実質的な難易度は第一種のほうが上です。とはいえ、きちんと対策すれば独学でも十分合格可能な試験です。
第二種の合格率・難易度について詳しくは「第二種電気工事士の合格率と難易度|過去データから見る攻略ポイント」をご覧ください。
年間スケジュール
第一種電気工事士の試験は年1回です。第二種が年2回(上期・下期)実施されるのに対し、チャンスが少ないため計画的な受験が非常に重要です。
おおまかなスケジュール
インターネット申込がおすすめ。申込期間は約2週間と短いので注意!
筆記方式 or CBT方式を選択。CBTは試験期間中の好きな日時に受験可能
学科試験の合格者(または免除者)のみ受験可能
Webで確認可能。合格通知書が届く
※上記は例年のおおまかなスケジュールです。正確な日程はその年の試験案内で発表されます。
年1回だからこそ、早めの準備を!
第二種は年2回あるので「上期がダメなら下期で」という考えができますが、第一種はそうはいきません。不合格になると次のチャンスは1年後。申込時期(7月頃)から逆算して、遅くとも4〜5月には学習を始めるのがおすすめです。
第二種の試験日程について知りたい方は「第二種電気工事士試験の日程・申込方法・受験料まとめ|合格への第一歩」をご確認ください。
免状交付の条件 — 合格しただけでは終わらない
第一種電気工事士は、第二種と違って試験に合格しただけでは免状(免許証)がもらえません。ここが最大の注意点です。
免状交付に必要な実務経験
| 条件 | 必要な実務経験 |
|---|---|
| 原則 | 3年以上 |
| 大学・高専等の電気系卒業者 | 短縮される場合あり |
以前は実務経験5年以上が必要でしたが、2021年の電気工事士法施行規則の改正により3年以上に短縮されました。これは大きな変更で、以前より免状取得のハードルが下がっています。
第二種との比較
- 第二種:試験に合格 → すぐに免状交付の申請ができる(実務経験不要)
- 第一種:試験に合格 → 実務経験3年以上を積む → 免状交付の申請
実務経験の証明方法
免状の交付申請時には、実務経験証明書を提出します。具体的には以下のような内容を記載します。
- 勤務先の会社名・所在地
- 従事した電気工事の内容
- 従事期間
- 事業主(代表者)の証明印
実務経験として認められるのは、電気工事士法に定められた電気工事の作業です。単に電気関係の会社に勤めているだけではなく、実際に電気工事の施工に携わっていることが求められます。
合格実績は一生有効!
「今は実務経験がないから受けても無駄」と思う必要はありません。第一種電気工事士の試験合格の実績に有効期限はありません。今のうちに合格しておき、就職して実務経験を積んだ後に免状を申請する——という計画は大いにアリです。
第一種を目指すべき人
「自分は第一種まで取るべきなのか?」と迷っている方に向けて、第一種が特におすすめな人を紹介します。
ビル管理・工場勤務を目指す人
ビルメンテナンス(ビルメン)や工場の設備管理では、高圧受電設備を扱う場面が日常的にあります。第二種だけでは対応できない作業が多いため、第一種は事実上の必須資格という職場も珍しくありません。
年収アップ・キャリアアップしたい人
電気工事会社では、第一種を持っているとより高度な現場を任されるようになります。大規模な新築工事や、商業施設のリニューアル工事など、単価の高い仕事に携われるチャンスが増えます。資格手当も第二種より高く設定されている会社がほとんどです。
独立開業を視野に入れている人
将来的に独立開業を考えているなら、第一種はほぼ必須です。ビルや工場の案件も受注できるようになるため、仕事の幅と売上の両方が大きく広がります。
電気工事士としてのキャリアプランについて、さらに詳しく知りたい方は「電気工事士の仕事内容・年収・就職先|資格を取った後のリアルな話」をご参照ください。
第一種の対策 ― 通信講座で効率的に
第一種は年1回しかチャンスがないため、確実に合格したい方には通信講座がおすすめです。高圧受電設備や発電送電など、第二種にはない分野もわかりやすく解説してくれます。
- SAT 第一種電気工事士講座
― 動画講義で高圧分野もわかりやすく - JTEX 電気工事士講座
― テキスト中心でじっくり学べる
まだ第二種を取得していない方は、第二種の学習ロードマップから始めましょう。
まとめ
第一種電気工事士のポイントを整理しましょう。
- 対象:最大電力500kW未満の自家用電気工作物+一般用電気工作物
- 受験資格:なし(誰でも受験可能)
- 学科試験:50問/140分、四肢択一、CBT方式も選択可
- 技能試験:60分、候補問題10問から1問出題
- 試験回数:年1回(学科10月頃、技能12月頃)
- 合格率:学科 約50〜60%、技能 約60〜65%
- 免状交付:実務経験3年以上が必要(2021年改正で5年→3年に短縮)
第二種を取得済みの方はもちろん、これから電気工事の世界に入ろうとしている方も、第一種を視野に入れて計画を立てておくことをおすすめします。年1回しかないからこそ、早めの情報収集と計画的な学習が合格のカギです。第一種の学習順序は第一種 学習ロードマップをご覧ください。
まだ第二種を取得していない方は、まず「第二種電気工事士とは?」から読んでみてください。独学での勉強法や学習ロードマップも参考になります。
理解度チェック! まとめ問題
記事の内容が頭に入っているか、4問のクイズで確認してみましょう。
Q1. 第一種電気工事士が扱える電気工作物の範囲は?
(A)一般用電気工作物のみ
(B)最大電力500kW未満の自家用電気工作物のみ
(C)最大電力500kW未満の自家用電気工作物+一般用電気工作物
(D)すべての電気工作物
Q2. 第一種電気工事士の免状交付に必要な実務経験は何年以上?
(A)1年以上
(B)2年以上
(C)3年以上
(D)5年以上
Q3. 第一種電気工事士の学科試験で、第二種にはない出題範囲はどれ?
(A)オームの法則と合成抵抗
(B)高圧受電設備の構成と保護継電器
(C)ケーブル工事の施工方法
(D)絶縁抵抗の測定
Q4. 第一種電気工事士の試験について、正しい記述はどれ?
(A)試験は年2回(上期・下期)実施される
(B)技能試験の候補問題は13問である
(C)受験には電気系の学歴が必須である
(D)学科試験はCBT方式(コンピュータ試験)も選択できる
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よくある質問
Q. 第一種電気工事士の合格率は?
A. 学科試験の合格率は約50〜60%、技能試験は約60〜65%です。第二種と比べてやや難易度が高くなります。
Q. 第一種電気工事士の試験科目は?
A. 学科試験は第二種の範囲に加えて、高圧受電設備、発電・送電・変電、電気応用などが出題されます。技能試験は候補問題10問から1問が出題されます。
Q. 第一種電気工事士は独学で合格できる?
A. 独学でも合格は可能ですが、高圧受電設備や計算問題は難易度が高いため、第二種よりも学習時間を多めに見積もる必要があります。
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