受験ガイド

第一種と第二種電気工事士の違い|工事範囲・試験・取得順を比較

この記事を読み終えると、第一種と第二種の違いを「工事の範囲・試験の中身・免状までの条件・取った後の義務」の4つの軸で説明でき、自分がどちらから受けるかを決められるようになります。

どちらも経済産業省が定める国家資格で、試験は電気技術者試験センターが上期と下期に行います。名前が似ているので「第一種は第二種の上位資格」と一言でまとめられがちですが、試験に受かった後の手続きと、作業できる設備の区分がはっきり違います。

違いは4つの軸で比べる

  1. 工事の範囲:どの区分の設備の工事ができるか(図1)
  2. 試験の中身:学科の科目・配線図の題材・技能の候補問題(比較の表)
  3. 免状までの条件:合格した後に実務経験が要るか(図2)
  4. 取った後の義務:定期講習があるか

どちらから受けるかは、4つの軸を見たうえで図3の3つの問いで決めます。先に結論だけ言うと、電気を初めて学ぶ人と住宅の工事に早く就きたい人は第二種から、高圧で受電する設備の工事に就く予定があって回路計算の土台がある人は第一種からでも構いません。

工事の範囲は「電気工作物の区分」で決まる

電気工事士法は、作業できる範囲を建物の名前ではなく、電気工作物の区分で決めています。第二種は一般用電気工作物等、第一種はそれに加えて最大電力500kW未満の自家用電気工作物です(電気工事士法第3条)。

図1 電気工作物の区分と、それぞれの工事ができる資格

外側の枠から順に①〜⑤と読みます。塗りの札は作業できる資格、取り消し線の札はできない資格です。

①一般用電気工作物等

住宅・小規模な店舗や事務所など、600V以下で受電する設備(一般用電気工作物)と、出力10kW以上50kW未満の太陽電池・20kW未満の風力などの発電設備(小規模事業用電気工作物)。

第二種第一種

②自家用電気工作物(最大電力500kW未満の需要設備)

高圧(おおむね6,600V)で受電する中小のビル・工場など。

第一種第二種

③②のうち600V以下で使用する部分(簡易電気工事)

高圧を変圧器で下げた後の100V・200Vの配線や負荷設備。

第一種認定電気工事従事者第二種

④②のうちネオン設備・非常用予備発電装置(特殊電気工事)

工事の種類ごとの認定証が要る。

特種電気工事資格者第一種

⑤最大電力500kW以上の需要設備、発電所・変電所、電力会社の設備

電気工事士法の資格区分の外。電気主任技術者の監督の下で工事を行う。

電気工事士法の対象外
図1で読み違えないところ:第二種と第一種の差は②の枠です。③は200Vの配線でも②の中にあるので、第二種では作業できません。境目は電圧ではなく、その設備がどの区分に属するかで決まります。

図1の①の一般用電気工作物等は、第二種と第一種のどちらでも作業できます。図1の②の自家用電気工作物は第一種だけの範囲で、ここが両者のいちばん大きな差です。図1の④のネオン設備と非常用予備発電装置は、第一種でも作業できず、特種電気工事資格者の認定証が要ります。図1の⑤は電気工事士法の資格区分の外で、第一種の範囲でもありません。

200Vの配線でも、第二種では作業できない場所がある

「第二種は600V以下の工事ならできる」という覚え方は誤りです。図1の①の600Vは「どの電圧で受電しているか」の境目で、工事する線の電圧ではありません。高圧で受電するビルの変圧器から先の200V配線は、電圧だけ見れば住宅と同じ低圧ですが、設備全体が図1の②に属するので、第二種では作業できません。自家用の中で600V以下で使用する部分は、図1の③の簡易電気工事として別に扱われます。

この部分を作業できるのは第一種電気工事士と、認定電気工事従事者の認定証を持つ人です。建物を見たら、まず「どこで、何ボルトで受電しているか」を確かめると区分を判定できます。

太陽光発電の工事は、出力で区分が変わる

電気工事士法の「一般用電気工作物等」には、住宅などの一般用電気工作物に加えて、小規模事業用電気工作物が入っています(第2条)。電気事業法施行規則第48条によると、太陽電池発電設備は出力10kW未満なら一般用、10kW以上50kW未満なら小規模事業用で、どちらも図1の①に入ります。風力発電設備は出力20kW未満が小規模事業用です。

そのため、低圧で受電する建物に設ける50kW未満の太陽電池発電設備の工事は、第二種の範囲です。出力の数字は区分の境目なので、試験でも「何kWなら誰が作業できるか」の形で問われます。

学科試験は、配線図の題材と科目の広さが違う

学科はどちらも四肢択一の50問ですが、内訳が違います。第二種は住宅の平面図を読む配線図が20問あり、第一種は配線図が10問で、題材は高圧受電設備の単線結線図です。第一種は一般問題が40問に増え、電気応用(照明・電熱・電動機の計算)、受電設備、発電・送電・変電の構造が科目に加わります。

比べる項目 第二種 第一種
学科の科目 7科目 9科目(電気応用、受電設備、発電・送電・変電の構造が加わる)
学科の問題の内訳 一般問題30・配線図20(配線図は住宅の平面図) 一般問題40・配線図10(配線図は高圧受電設備の単線結線図)
学科の試験時間 120分 140分
学科の免除 電気工学の課程を修めた卒業者などは申請で免除 学校の卒業による免除はない
技能試験 候補13問・40分 候補10問・60分
受験手数料 インターネット11,100円・書面12,500円 インターネット13,000円・書面14,400円

試験時間・候補問題の数・手数料は、令和8年度下期の受験案内と試験センターの案内ページで2026年9月30日に確かめた値です。年度で変わることがあるので、申し込む前に当該期の案内を見てください。令和8年度の第一種は、上期の学科が筆記方式なしのCBT方式だけで、下期は筆記方式とCBT方式から選べます。

第二種の免状を持っていても、第一種の学科は免除されません。第二種の範囲は第一種の一般問題の土台になりますが、試験としては別に受け直します。

技能試験は、使う材料と作業時間が違う

第二種の技能は、VVFケーブルで住宅の照明・コンセント回路を組む問題が中心です。第一種の技能は、高圧受電設備の変圧器や遮断器を端子台で模して、KIP線(高圧機器内の配線用の電線)・CVVケーブル(制御用ケーブル)を使う問題が加わり、候補は10問、作業時間は60分です。第一種の候補問題の読み方は第一種電気工事士 学習ロードマップと第一種電気工事士 複線図の書き方で順に確かめられます。

合格から免状まで、第一種だけ実務経験3年が要る

図2 試験の申込みから免状、その後の義務まで

左が第二種、右が第一種です。番号の付いた段が、両者で違うところです。

第二種
学科試験(電気工学の課程を修めた卒業者などは申請で免除)

技能試験(公表された候補13問から1問)

合格

①住所地の都道府県知事へ免状を申請。実務経験は要らない

免状の交付。定期講習の義務はない
第一種
学科試験(学校の卒業による免除はない)

技能試験(公表された候補10問から1問)

合格

②対象となる電気工事の実務経験3年以上(合格の前後を通算できる)

③経験を積む間は、産業保安監督部へ申請すれば認定電気工事従事者認定証(図1の③の範囲)を受けられる

住所地の都道府県知事へ免状を申請 → 交付

④交付日から5年以内、その後も受講日から5年以内ごとに定期講習
図2の③は免状ではありません。第一種の試験に合格しただけでは「第一種電気工事士」ではなく、図1の①の住宅の配線もできません。認定証で作業できるのは図1の③だけです。

図2の①のとおり、第二種は合格すれば住所地の都道府県へ申請するだけで免状を受けられます。第一種は図2の②の実務経験3年以上が交付の条件で、試験の合格だけでは第一種電気工事士になれません(電気工事士法第4条第3項、同施行規則第2条の4)。3年は合格前の経験も通算できますが、数えられるのは、その時点で必要な資格を持って行った工事だけです。

図2の③の認定電気工事従事者認定証は、第一種の合格者が産業保安監督部へ申請して受けるもので、自動では交付されません。経験の数え方と証明書の準備は第一種電気工事士の免状申請|実務経験3年・証明書の確認手順で確かめられます。

免状を取った後の義務と、開業との関係

図2の④の定期講習は第一種だけの義務で、自家用電気工作物の保安に関する講習を、交付日から5年以内、その後も受講日から5年以内ごとに受けます(電気工事士法第4条の3)。作業中に免状を携帯する義務は両方にあります(第5条第2項)。

比べる項目 第二種 第一種
試験合格者が免状を受ける条件 申請だけ 対象工事の実務経験3年以上
試験以外で免状を受ける道 指定された養成施設の課程を修了 電気主任技術者免状の交付後、実務5年以上など(都道府県知事の認定)
免状の申請先 住所地の都道府県知事 住所地の都道府県知事
定期講習 なし 交付日から5年以内、その後も受講日から5年以内ごと

免状は作業するための資格で、電気工事業を営むには別に電気工事業法の登録や通知が要ります。手続きの違いは電気工事業法の登録・通知と主任電気工事士にまとめています。

結局どちらから受けるか

図3 どちらから受けるかを決める3つの問い

①から順に答えます。第二種に決まった段で終わり、第一種を選んだ人は③まで進みます。

①住宅や店舗の電気工事に早く就きたい、または電気を初めて学ぶ?
はい 第二種から。合格すれば申請だけで免状が出て、図1の①で作業できる
いいえ ②へ進む

②高圧で受電するビル・工場(図1の②)の工事に就く予定があり、直流・交流回路の計算を学んだことがある?
はい 第一種から、または同じ年度に両方。第二種の免状は受験の条件ではない。③へ進む
いいえ 第二種から。第一種の科目は第二種の範囲を土台にしている

③第一種から受ける場合、3年の実務経験を、どの資格で作業して積むか決まっている?
はい そのまま第一種の学習へ
いいえ 第二種の免状か、第一種合格後の認定証を先に用意する。無資格の作業は経験に数えない
図3の③が見落とされやすい問いです。第一種の免状に要る3年は、その時点で必要な資格を持って行った工事の年数です。第一種の合格より先に第二種の免状があると、合格前から図1の①の工事を経験として積めます。

図3の①で「はい」になる人は第二種からです。第二種の免状は申請だけで出るので、合格した年から図1の①の工事に就けます。図3の②で「はい」になる人は第一種から受けても構いませんが、図3の③のとおり、3年の経験をどの資格で積むかを先に決めておきます。第一種の合格より先に第二種の免状があれば、その日から住宅や店舗の工事を経験として数えられます。

迷ったら第二種からが無難です。第二種の学科で学ぶ回路計算・配線図・施工方法は第一種の一般問題の土台で、第二種を終えてから第一種へ進んでも学習が無駄になりません。

自己チェック|設備の区分と、免状までの条件を判定する

解説は最初から表示しています。図1と図2を見ないで答えられるかを試してください。

問1:高圧6,600Vで受電する最大電力300kWの事務所ビルで、変圧器の二次側から分電盤までの200Vの配線を新しく引きます。この作業ができる人の組み合わせはどれですか。

  1. 第一種電気工事士と認定電気工事従事者
  2. 第一種・第二種電気工事士と認定電気工事従事者
  3. 第一種電気工事士だけ
  4. 電気工事士の資格は要らない

解答:1(第一種電気工事士と認定電気工事従事者)
このビルは図1の②(500kW未満の自家用電気工作物)で、200Vの配線は②のうち600V以下で使用する部分(図1の③)です。電圧が200Vでも②の中なので、第二種では作業できません。

問2:低圧で受電している倉庫の屋根に、出力30kWの太陽電池発電設備を設ける工事は、どの区分の工事ですか。

  1. 一般用電気工作物等の工事なので、第二種でも作業できる
  2. 自家用電気工作物の工事なので、第一種が要る
  3. 簡易電気工事なので、認定電気工事従事者が要る
  4. 発電設備なので、電気工事士法の対象外

解答:1(一般用電気工作物等)
太陽電池は出力10kW以上50kW未満なら小規模事業用電気工作物で、電気工事士法では一般用電気工作物と合わせて「一般用電気工作物等」と呼びます(図1の①)。10kW未満なら一般用電気工作物で、どちらも第二種の範囲です。

問3:第一種の試験に合格しましたが、実務経験はまだなく、第二種の免状も持っていません。この人ができることはどれですか。

  1. 産業保安監督部へ申請して認定を受ければ、自家用電気工作物の600V以下の簡易電気工事ができる
  2. 合格通知を持っていれば、住宅の屋内配線工事ができる
  3. 500kW未満の自家用電気工作物の高圧部分の工事ができる
  4. 第二種の免状が自動で交付される

解答:1(認定を受ければ簡易電気工事)
第一種の試験合格者は認定電気工事従事者の認定を申請できます(図2の③)。作業できるのは図1の③だけで、住宅の配線(図1の①)には第二種か第一種の免状が要ります。第二種の免状が自動で出る仕組みはありません。

問4:学科試験の配線図の問題について、正しい組み合わせはどれですか。

  1. 第一種は配線図10問で、題材は高圧受電設備の単線結線図
  2. 第一種は配線図20問で、題材は住宅の平面図
  3. 第二種は配線図10問で、題材は高圧受電設備の単線結線図
  4. 第二種は配線図30問で、題材は住宅の平面図

解答:1(第一種は10問・単線結線図)
第二種は一般問題30・配線図20で住宅の平面図、第一種は一般問題40・配線図10で高圧受電設備の単線結線図です。第一種は配線図の問数が少ないぶん、一般問題で受電設備や発変電の知識を多く問われます。

問5:高校で電気工学の課程を修めて卒業した人が、学科試験の免除を申請できるのはどれですか。

  1. 第二種だけ
  2. 第一種だけ
  3. 第一種と第二種の両方
  4. どちらもできない

解答:1(第二種だけ)
第二種は電気工学の課程を修めた卒業者などが申請で学科を免除されます。第一種は学校の卒業による免除がなく、学科免除の対象は前回・前々回の学科合格者や電気主任技術者免状を持つ人などです。

問6:2027年4月に第一種の免状の交付を受け、2031年3月に定期講習を受けました。次の定期講習の期限はいつまでですか。

  1. 2036年3月(前回の受講日から5年以内)
  2. 2032年4月(免状の交付日から5年ごと)
  3. 2032年3月(受講した年度の終わりから5年)
  4. 一度受ければ、その後の講習はない

解答:1(2036年3月まで)
最初の講習は交付日から5年以内、2回目以降は前回の受講日から5年以内です(電気工事士法第4条の3)。早めに受講すると、次の期限もその日から数え直します。

資格の範囲と試験制度を照合した資料

2026年9月30日に、次の資料の記載内容を確認して、本文の資格の範囲・小規模事業用電気工作物の出力・免状の条件・定期講習・学科の問題の内訳・試験時間・手数料を照合しました。

更新履歴:2026年7月28日 2026年度の試験案内に合わせて改訂/2026年9月30日 図1〜図3と自己チェックを加え、4つの軸で比べてから取得順を決める構成に改めた

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資格太郎

この記事を書いた人:資格太郎電気工事士の独学合格を目指して学習中。電気工事士法の条文と、経済産業省・試験センターの一次資料を照合し、資格の範囲と試験制度を図にして整理しています。運営者情報と編集方針

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