この記事を読み終えると、公表された受験者数と合格者数から合格率を自分で計算できるようになり、「学科56%×技能72%=40%」という掛け算がなぜ成り立たないかを、人数の流れで説明できるようになります。
結論:年度合計なら学科56〜59%、技能70〜73%
2021〜2025年度の年度合計では、学科試験が56.0〜59.4%、技能試験が70.3〜72.8%でした。最新の2026年度上期は学科62.2%・技能73.4%で、学科は直近6回の上期でいちばん高い数字です。
ただし、この率はそのまま「あなたが受かる確率」ではありません。学科と技能では分母の集団が違い(図2)、同じ回の同じ問題でも地区で12.5pt動きます(表2)。合格率は試験の位置を知る数字で、自分の合格可能性は模擬問題の得点と作品の完成度で測ります。
2021〜2026年度の合格率はこう動いている
図1:第二種電気工事士の合格率の推移(2021〜2026年度)
試験センターの推移表の受験者数と合格者数から、当サイトが率を計算して作図した。
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上期のみ72.8%59.2%72.6%56.0%71.1%59.4%70.3%58.2%71.8%56.6%73.4%62.2%①学科試験②技能試験③
図1の①のとおり、学科試験の線は56〜59%の帯をほぼ横ばいで動き、図1の②の技能試験の線も70〜73%の帯で崩れていません。「年々難しくなっている」「今年は当たり年だった」と言えるほどの動きは、この6年の公表値にはありません。
| 年度 | 学科試験 | 技能試験 |
|---|---|---|
| 2021 (令和3) |
92,640 / 156,553 59.2% |
84,684 / 116,276 72.8% |
| 2022 (令和4) |
81,179 / 145,088 56.0% |
70,888 / 97,659 72.6% |
| 2023 (令和5) |
79,655 / 134,025 59.4% |
67,749 / 95,337 71.1% |
| 2024 (令和6) |
77,045 / 132,462 58.2% |
66,215 / 94,238 70.3% |
| 2025 (令和7) |
78,711 / 139,087 56.6% |
71,471 / 99,610 71.8% |
| 2026上期 (令和8) |
48,692 / 78,290 62.2% |
42,875 / 58,393 73.4% |
各セルは「合格者 / 受験者」と、そこから計算した合格率です。2026年度は上期だけの数字です。
率の出し方は1つだけです。2026年度上期の学科なら、合格者48,692人 ÷ 受験者78,290人 = 0.62194… で、小数第2位を四捨五入して62.2%。人 ÷ 人なので単位は付かず、100を掛けて%にします。
分母を受験者数にするのは、合格率が「受けた人のうち何人が受かったか」を表す数字だからです。分母を申込者にすれば別の率になり(問4)、その率にも意味があります。率を見たら、まず分母がどの集団かを確かめてください。
合格率の分母は「申し込んだ人」ではない
図2:2026年度上期の人数の流れ(合格率の分母はどこか)
棒の長さは人数に比例している。灰色は前の段から減った人数。
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図2の①が学科試験の申込者88,265人です。実際に受けたのは図2の②の78,290人で、9,975人(11.3%)は申し込んだのに受けていません。公表される62.2%は、この②を分母にした率です。
図2の③の合格者48,692人に、図2の④の学科免除者13,766人が合流して技能試験の申込者になります。③48,692 + ④13,766 = ⑤62,458で公表値とちょうど一致します。免除者は、前回の学科に合格した人や電気科の卒業などで条件を満たす人です。
技能でも欠席は出ます。図2の⑥のとおり受験したのは58,393人で、4,065人(6.5%)が受けていません。合格したのは図2の⑦の42,875人です。技能の合格率73.4%は、⑦ ÷ ⑥で計算した率です。
学科と技能の合格率は掛け算できない
「学科56.6% × 技能71.8% = 40.6%」という計算を見かけますが、個人の合格率としては使えません。図2の④のとおり、技能試験の分母には学科を受けていない人が22.0%含まれるからです。2つははじめから別の集団の率です。
では申込者を基準にそろえるとどうなるか。2026年度上期で計算すると、学科は48,692 ÷ 88,265 = 55.2%、技能は42,875 ÷ 62,458 = 68.6%です。掛けると37.9%。公表値どうしを掛けた40.6%より下がります。
ここが大事:37.9%も「1人が学科から技能まで通る率」ではありません。技能の68.6%には免除者が混ざったままで、公表統計から学科の受験者だけを追った率は計算できないからです。「記念受験者を除けば80〜90%」のような公式統計にない率も、難易度の根拠にはなりません。
上期と下期では、5年10回すべて上期が高い
図3:上期と下期で、合格率はどれだけ違うか(2021〜2025年度)
棒の長さは「上期の合格率-下期の合格率」。10本とも右へ伸びている。
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図3の①が学科、図3の②が技能です。10本とも右へ伸びています。5年間の10回すべてで上期の合格率が下期を上回りました。差は学科で1.0〜4.8pt、技能で0.6〜4.4ptです。
いちばん開いたのは図3の③の2022年度の学科で、上期58.2%に対して下期53.3%(+4.8pt)。いちばん小さいのは図3の④の2025年度の技能で、72.0%に対して71.4%(+0.6pt)です。
ただし「上期のほうが易しい」とは言えません。試験センターは難易度を期で変えるとは公表しておらず、差の理由も示していません。下期に再受験者が入るからという説明も、公表統計に再受験者の内訳がない以上、確かめようがありません。
判断の軸は合格率ではなく、準備に使える月数に置いてください。差は最大でも4.8ptですが、学習期間が2か月違えば得点はそれよりはるかに動きます。無理なく12週間を確保できるほうを選ぶのが実際的です。日程は年度で変わるので第二種電気工事士とは|工事範囲・2026年度の日程・免状申請・仕事内容で確認してください。
同じ問題でも、地区で12.5pt違う
合格率が集団で動くことは、同じ回の中でも確かめられます。2026年度上期の学科試験の地区別合格率は、最高が北陸の64.9%、最低が沖縄の52.4%でした。
| 地区 | 受験者 | 合格率 |
|---|---|---|
| 北陸 | 1,844人 | 64.9% |
| 関西 | 12,636人 | 64.0% |
| 中部 | 11,107人 | 63.1% |
| 四国 | 1,987人 | 63.0% |
| 中国 | 4,648人 | 62.8% |
| 九州 | 8,073人 | 62.4% |
| 関東 | 28,045人 | 61.7% |
| 東北 | 5,712人 | 60.2% |
| 北海道 | 3,074人 | 60.0% |
| 沖縄 | 1,164人 | 52.4% |
2026年度上期の学科試験。合計78,290人・48,692人・62.2%で、図2と同じ試験の内訳です。
この試験は全国一斉で、問題は共通、合格基準も「60点以上」の1つだけです。それでも12.5pt開きます。差を作っているのは問題ではなく、受験する人の顔ぶれです。実務で電気に触れている割合、初めて受ける人の割合、学習時間——そうしたものが率に出ます。だから全国の62.2%も、自分の合格可能性そのものではありません。
学科試験の難易度|120分50問のどこで落ちるか
公式の学科試験のポイントによると、試験時間120分、出題数50問(一般問題30問程度・配線図問題20問程度)の四肢択一です。2026年度上期の合格基準は60点以上でした。基準は回ごとに発表されるので、受験する回の発表を確認してください。
取り組みやすいのは、7科目の出題範囲と例題が公開されていて、満点ではなく基準超えを狙えばよいことです。受験方法も筆記方式とCBT方式から選べ、2026年度上期はCBT方式36,447人・筆記方式41,843人で受験者の46.6%がCBTでした。
難しいのは範囲の広さです。7科目がまたがるうえ、似た器具名や数値条件を用途と結び付けて区別する必要があります。暗記だけで臨むと、条件を変えた計算問題と配線図問題で失点します。
「筆記試験」から「学科試験」への名称変更は2023年度
試験センターは「令和5年度の電気工事士試験から、学科試験という名称に変わり、これまでの筆記方式に加えてCBT方式を導入しました」と案内しています。2023年度(令和5年度)からで、2024年度からではありません。出題形式は四肢択一のままです。
技能試験の難易度|時間内の完成と欠陥ゼロ
技能試験は、持参した工具で配線図の課題を支給材料から制限時間内に完成させます。知識を選ぶ学科と違い、切断・被覆剥ぎ・器具接続・圧着・確認まで手が動くかが問われます。
助かるのは、当年度の候補問題が事前に公表されることです。ただし公表されるのは候補で、本番の施工条件まで分かるわけではありません。
練習で見る基準は3つです。①制限時間内に未完成を残さない、②単線図から複線図へ正しく変換して電線色・接続先・極性を守る、③公式の欠陥の判断基準で点検する。時間内に完成しても、欠陥が1つあれば不合格です。完成時間だけを記録して満足しないでください。
合格率を自分の準備に置き換える手順
ここまでの数字を行動に変えます。学科はこの順番です。
- 公式の問題と解答、または当サイトの模擬試験を50問通して解く
- 誤答を「計算」「器具・材料」「施工・検査」「配線図」「法令」に分類する
- 失点がいちばん多い分野を本編記事で復習する
- 同じ分野の解説記事にある自己チェックを解き、選んだ理由まで説明できるか確かめる
- 再び50問を解き、35問以上を複数回取れるか見る
35問という目安は、合格基準の60点(30問相当)に読み違いの分を上乗せした学習上の目標で、合格保証ではありません。計算が苦手でも全部捨てる前に第二種電気工事士の計算問題は捨てる?10時間で4〜7問を拾う勉強法でどれを残すか決められます。学習順は第二種電気工事士の独学ロードマップ|勉強順・12週間計画・試験当日の持ち物にまとめました。
技能は1作品ごとに「完成 → 点検 → 修正」を回します。正確さを優先して1つ仕上げ、公式の欠陥の判断基準で自己点検し、直した内容をメモに残して同じ候補をもう一度施工します。全候補を一巡したら時間を測って通します。複線図は複線図の書き方|施工条件から接続点を決める7ステップ、完成後の確認は第二種技能試験の欠陥判断基準|完成後5分の点検順へ進んでください。
教材や講座を選ぶ前に、無料で確認できること
合格率を見て不安になっても、すぐ通信講座へ申し込む必要はありません。先に公式の問題と候補問題で「自分がどこで止まるか」を特定してください。独学を試しやすいのは、解説を読んで誤答理由を自分で整理できる人です。有料サポートが向くのは、期限管理が続かない人や作品を第三者に見てほしい人で、比べるのは料金より質問範囲・添削回数・教材の更新日です。テキストの選び方は第二種電気工事士のおすすめ参考書|買う前の選び方7項目、工具は第二種電気工事士 技能試験の工具一覧・選び方|2026年版で確認できます。
自己チェック|7問で統計の読み方を確かめる
解説はそのまま読めます。先に自分の答えを決めてから読み進めてください。数字はすべて本文と図1〜図3に出ています。
問1:2026年度上期の学科試験は、申込者88,265人・受験者78,290人・合格者48,692人でした。公表値の62.2%は、どの割り算から出た数字ですか。
- 48,692 ÷ 102,031(受験申込者の小計)
- 48,692 ÷ 88,265(学科の申込者)
- 48,692 ÷ 78,290(学科の受験者)
- 42,875 ÷ 58,393(技能の受験者)
解答:3(48,692 ÷ 78,290)
合格率は「受けた人のうち何人が受かったか」なので、分母は受験者数です。48,692 ÷ 78,290 = 0.62194… で、小数第2位を四捨五入して62.2%。1は47.7%、2は55.2%、4は同じ回の技能試験の73.4%で、どれも実在する割り算ですが公表値とは別の数字です。率を見たら、まず分母がどの集団かを確かめてください。
問2:同じ回の技能試験の申込者は62,458人でした。この人数の内訳はどれですか。
- 学科の合格者48,692人+学科の免除者13,766人
- 学科の受験者78,290人から不合格者を引いた人数
- 学科の合格者48,692人+前年度の技能不合格者
- 小計102,031人から学科の不合格者を引いた人数
解答:1(48,692+13,766=62,458)
図2の③と④の足し算が、⑤の公表値とちょうど一致します。2は48,692で学科合格者そのもの、4は72,433で合いません。3の技能不合格者は技能の免除にあたらず、学科から受け直します。
問3:「2025年度は学科56.6%・技能71.8%だから0.566×0.718=40.6%」という計算が個人の合格率として使えない、いちばんの理由はどれですか。
- 学科と技能で合格基準(点数と欠陥)が違うから
- 技能の分母に学科免除者が入っていて、2つの率が同じ集団を追っていないから
- 上期と下期で合格率が違うから
- 申し込んでも受験しない人がいるから
解答:2(分母の集団が違うから)
2026年度上期なら、技能の申込者62,458人のうち13,766人(22.0%)は学科を受けていません。2つははじめから別の集団の率です。4も率をずらす要因で、入れるとさらに下がります(問4)。1と3は事実ですが、掛け算が成り立たない理由ではありません。
問4:2026年度上期の学科試験を、受験者ではなく申込者88,265人を分母にすると、合格率はいくつになりますか。
- 47.7%
- 55.2%
- 62.2%
- 68.6%
解答:2(55.2%)
48,692 ÷ 88,265 = 0.5517… で55.2%。公表値より7.0pt低く、差の正体は申し込んで受けなかった9,975人(11.3%)です。4の68.6%は技能を申込者ベースにした率で、2つを掛けると37.9%です。
問5:図3の5年分から、公表データだけで言えることはどれですか。
- 上期のほうが試験問題が易しい
- 上期は学科の免除者が受験できない
- 学科・技能とも、5年10回すべてで上期の合格率が高い
- 下期のほうが受験者が多い
解答:3(10回とも上期が高い)
差は学科で1.0〜4.8pt、技能で0.6〜4.4pt。1は理由が公表されていないので言えません。2は誤りで、2026年度上期にも図2の④のとおり13,766人の免除者がいます。4も誤りで、2025年度の学科受験者は上期70,945人・下期68,142人でした。
問6:2026年度上期の学科試験は、地区別の合格率が最高64.9%(北陸)・最低52.4%(沖縄)でした。この12.5ptの差から言えることはどれですか。
- 地区によって問題や合格基準が違う
- 受験する地区を選べば合格しやすくなる
- 同じ問題・同じ基準でも、受験する集団が変われば率は10pt以上動く
- 沖縄は会場が少ないので不利になる
解答:3(集団が変われば率は動く)
問題は全国一斉で、合格基準も「60点以上」の1つだけです。それでも12.5pt動くのは、率が受験者の顔ぶれで変わるからです。全国の合格率も、自分の合格可能性そのものではありません。
問7:「筆記試験」が「学科試験」という名称になり、CBT方式が加わったのはいつからですか。
- 2021年度(令和3年度)
- 2022年度(令和4年度)
- 2023年度(令和5年度)
- 2024年度(令和6年度)
解答:3(2023年度=令和5年度)
試験センターの学科試験のポイントに「令和5年度の電気工事士試験から、学科試験という名称に変わり」と明記されています。推移表の注記も令和5年度以降にCBT方式を含むとしています。
参照した公表資料と確認日(2026年9月20日)
本文の人数・合格率・合格基準・地区別の数字は、次の資料と1つずつ照合しました。図1〜図3は公表値から当サイトが作図したもので、公式図の複製ではありません。
- 電気技術者試験センター:第二種電気工事士試験の試験結果と推移(更新:令和8年8月)
- 同:令和8年度第二種電気工事士上期学科試験の結果について(PDF・2026年6月22日発表。合格基準と地区別)
- 同:第二種電気工事士の学科試験のポイント
- 同:第二種電気工事士試験の問題と解答
- 同:第二種電気工事士の技能試験の候補問題
- 同:電気工事士技能試験の欠陥の判断基準
次に読む記事
次は第二種電気工事士の独学ロードマップ|勉強順・12週間計画・試験当日の持ち物へ進んでください。決めた受験時期から12週間の学習順に落とせます。
受験資格や当年度の日程から確かめたいときは第二種電気工事士とは|工事範囲・2026年度の日程・免状申請・仕事内容が対応します。
いまの実力を確かめるなら、オームの法則と合成抵抗・配線図の図記号・電気工事士法の各記事にある自己チェックから始められます。
※当サイトの図は学習用に自作した模式図で、実際の機器・器具とは外観や寸法が異なる場合があります。問題・解答の内容には細心の注意を払っておりますが、誤りが含まれる可能性があります。学習の参考としてご活用いただき、最終的な確認は公式テキスト・法令等で行ってください。当サイトの情報に基づく判断によって生じた損害について、一切の責任を負いかねます。
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