この記事でわかること
- 電気工事士の6つの仕事内容(新築・リフォーム・エアコンなど)
- 年収の目安と経験年数による変化(350万〜700万円以上)
- 就職先の種類と選び方(電気工事会社・ビルメン・独立開業)
- 電気工事士の将来性と需要が高い理由
結論から言います
電気工事士は、建物の電気設備を設計・施工・保守する専門職です。住宅のコンセント取り付けからビルの高圧受電設備の管理まで、活躍の場は非常に幅広く、年収は経験や働き方によって350万〜700万円以上まで大きく変わります。
「資格を取ったら、実際にどんな仕事をするの?」「年収はどれくらい?」「どんな会社に就職できるの?」
この記事では、電気工事士の具体的な仕事内容・年収データ・就職先の種類・将来性まで、資格を取った後のリアルな話をまとめて解説します。
電気工事士がどんな資格なのかを知りたい方は、まず「第二種電気工事士とは?資格の概要・できること・将来性を徹底解説」をご覧ください。
電気工事士の主な仕事内容
電気工事士の仕事は、大きく分けると次の6つに分類できます。
1. 建築電気工事(新築の配線・コンセント・照明設備)
新しく建てる住宅やビルに、電気配線を一から通す仕事です。具体的には次のような作業を行います。
- 壁の中や天井裏にケーブルを配線する
- コンセント・スイッチの取り付け
- 照明器具の設置
- 分電盤(ブレーカー)の取り付けと結線
新築工事は電気工事士の仕事の中でも最も基本的な業務です。家を建てるとき、大工さんが骨組みを作った後に電気屋さんが配線を通す――この「電気屋さん」がまさに電気工事士です。
2. リフォーム・リニューアル工事
既存の建物の電気設備を改修・増設する仕事です。
- コンセントの増設(タコ足配線を解消したい!という依頼)
- 照明のLED化
- 古い配線の張り替え
- 分電盤の交換
築年数の古い建物が増えている今、リフォーム工事の需要はどんどん高まっています。
3. エアコン取り付け工事
家庭用エアコンの取り付け・取り外しは、電気工事士の代表的な仕事のひとつです。特に夏前の繁忙期は大忙しです。
- 室内機・室外機の設置
- 冷媒配管の接続
- 専用コンセント・専用回路の増設
200Vのエアコンを設置する場合、コンセントの電圧切り替えや専用回路の新設が必要になるため、電気工事士の資格が必須です。
4. 太陽光発電・蓄電池の設置
近年急速に需要が伸びている分野です。
- 太陽光パネルの電気配線
- パワーコンディショナ(太陽光で作った直流電力を交流に変換する装置)の設置
- 蓄電池システムの接続工事
- 売電メーター(電力会社に電気を売るための計量器)の取り付け
脱炭素の流れもあり、今後さらに伸びる分野として注目されています。
5. ビル・工場の電気設備保守
ビルや工場に常駐し、電気設備の点検・修理・更新を行う仕事です。いわゆる「ビルメンテナンス(ビルメン)」と呼ばれる仕事の中核を担います。
- 照明・空調設備の定期点検
- 受電設備(キュービクル)の保守管理
- 故障時の原因調査と修理
- 省エネ対策のための設備更新
6. 高圧受電設備の管理(第一種電気工事士の領域)
第一種電気工事士の資格を持つと、500kW未満の自家用電気工作物(ビル・工場など)の電気工事も担当できます。
- 高圧ケーブルの敷設
- 変圧器・遮断器の設置と保守
- 高圧受電設備(キュービクル)の点検
第一種と第二種の違いについて詳しくは「第一種と第二種電気工事士の違いは?どちらを先に取るべきか徹底比較」で解説しています。
1日の仕事の流れ(典型的なスケジュール例)
「実際の1日ってどんな感じ?」という疑問に答えるために、建築電気工事を行う電気工事士の典型的な1日を紹介します。
| 7:30 | 会社 or 現場に集合、朝礼・KY活動(危険予知活動) |
| 8:00 | 午前の作業開始(配線・配管・器具取付など) |
| 10:00 | 休憩(10〜15分) |
| 10:15 | 午前の作業再開 |
| 12:00 | 昼休憩(1時間) |
| 13:00 | 午後の作業開始 |
| 15:00 | 休憩(10〜15分) |
| 15:15 | 午後の作業再開 |
| 17:00 | 作業終了、片付け・清掃、翌日の段取り確認 |
| 17:30 | 退社 |
もちろん、現場の状況や会社によってスケジュールは変わります。繁忙期(引っ越しシーズンや夏のエアコン工事など)は残業が発生することもありますが、基本的には朝型で規則正しい生活リズムの仕事です。
ビルメンテナンスの場合は、常駐勤務でシフト制(日勤・夜勤)になることもあります。
電気工事士の年収データ
気になる年収について見ていきましょう。厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」などの公的データを参考に、一般的な年収帯を紹介します。
| 見習い(1〜2年目) | 約280万〜350万円 |
| 若手(3〜5年目) | 約350万〜420万円 |
| 中堅(5〜10年目) | 約420万〜530万円 |
| ベテラン(10年以上) | 約500万〜700万円以上 |
※ 上記は厚生労働省「賃金構造基本統計調査」等の公的データを参考にした目安です。地域・企業規模・保有資格・経験によって大きく異なります。
資格を増やすほど任される仕事の幅が広がり、年収アップにつながります。
年収を左右する要因
- 保有資格:第一種電気工事士、1級電気工事施工管理技士などの上位資格を持つと資格手当が付き、年収アップにつながります
- 勤務先の規模:大手ゼネコン系列の電気工事会社は福利厚生・給与水準が高い傾向があります
- 地域:東京・大阪などの大都市圏は地方より年収が高い傾向があります
- 経験年数:現場経験を積むほど、任される仕事の範囲が広がり収入もアップします
独立すれば高収入も可能
電気工事士として経験を積んだ後、独立開業する人も多くいます。独立した場合、年収1,000万円以上を稼ぐ人も珍しくありません。
もちろん独立にはリスクもあります。営業活動、経理、材料の仕入れ、従業員の管理など、工事以外の業務もこなす必要があります。しかし、電気工事は需要が安定しているため、技術力と信頼があれば十分やっていける業界です。
なお、独立して電気工事業を営むには、電気工事士法をわかりやすく解説|第二種電気工事士 法令で解説している法的な要件も理解しておく必要があります。
主な就職先
電気工事士の資格を取ったら、どんな会社で働けるのでしょうか?主な就職先を紹介します。
1. 電気工事会社
最も一般的な就職先です。住宅・ビル・工場などの電気工事を請け負う会社で、規模は個人経営の小さな会社から、関電工・きんでんなどの大手企業まで幅広くあります。
- 新築工事、リフォーム工事、保守点検がメイン業務
- 未経験から入社して技術を学べる会社が多い
- 求人数が最も多い
2. ビルメンテナンス会社
オフィスビル・商業施設・病院などの設備を管理する会社です。
- 電気設備の日常点検・故障対応がメイン業務
- シフト制で夜勤がある場合もあるが、体力的な負担は少なめ
- 電気工事士に加えてボイラー技士や冷凍機械責任者などの資格も取るとキャリアアップに有利
3. ハウスメーカー・工務店
住宅を建てる会社の電気工事部門や、下請けとして仕事を受ける形です。
- 新築住宅の電気配線工事が中心
- お客さんと直接コミュニケーションを取る機会もある
- スマートハウス関連の知識があると重宝される
4. 鉄道会社・通信会社
意外に思うかもしれませんが、鉄道会社や通信会社でも電気工事士は活躍しています。
- 鉄道会社:駅構内の電気設備、信号機器の保守
- 通信会社:通信機器の設置、データセンターの電源設備管理
- 安定した待遇が魅力
5. 自治体・公共施設
公共施設(学校・市役所・公民館など)の電気設備を管理する技術職員として働くケースもあります。
- 公務員として安定した待遇
- 施設の維持管理が中心で、新規工事は少ない
- 技術系の公務員試験に合格する必要がある場合もある
6. 独立開業
前述のとおり、経験を積んだ後に独立する道もあります。
- 自分で仕事を選べる自由度
- 努力次第で高収入を目指せる
- エアコン取り付けや太陽光発電に特化するなど、専門分野を持つ人も多い
| 就職先 | 特徴 |
| 電気工事会社 | 求人数最多、未経験OK多い |
| ビルメンテナンス | 体力負担少、安定勤務 |
| ハウスメーカー | 住宅配線が中心 |
| 鉄道・通信会社 | 安定待遇、専門性高い |
| 自治体・公共施設 | 公務員、安定最重視 |
| 独立開業 | 高収入の可能性、自由度大 |
電気工事士の将来性・需要
「電気工事士を取って本当に仕事があるの?」と思う方もいるかもしれません。結論から言うと、電気工事士の需要は今後も伸び続ける見込みです。それどころか、世界規模で電気工事士の争奪戦が始まっています。
2026年3月、米Fortune誌が衝撃的な記事を報じました。AIデータセンターの建設ラッシュにより、世界中で電気工事士が圧倒的に足りないというのです。
McKinseyの試算では、今後10年で30万人以上の電気工事士が新たに必要。データセンター1施設あたりの建設ピーク時には約1,500人もの作業員が必要で、その建設コストの45〜70%が電気工事です。
Microsoftの副会長は電気工事士不足を「アメリカの最重要課題」と発言。Googleは電気工事士の育成に1,500万ドル(約22億円)を投資しています。
出典:Fortune "The AI data center boom is creating a dire electrician shortage"(2026年3月2日)
では、具体的にどんな要因が電気工事士の需要を押し上げているのか、詳しく見ていきましょう。
1. AIデータセンターの建設ラッシュ(世界規模の需要爆発)
いま、電気工事士の需要を最も大きく押し上げているのがAIデータセンターの建設ラッシュです。
ChatGPTをはじめとする生成AIは、膨大な計算処理を行うために巨大なデータセンターを必要とします。Google・Microsoft・Oracle・Amazonといったテック大手が世界中でデータセンターの建設を進めており、その建設には大量の電気工事士が必要です。
Fortune誌(2026年3月)の報道によると、その状況は驚くべきものです。
- 今後10年で30万人以上の電気工事士が新たに必要(McKinsey推定)
- 2030年までのデータセンター関連の累積投資額は6.7兆ドル(約1,000兆円)
- データセンター建設コストの45〜70%が電気工事関連
- Microsoftは120km先からも電気工事士を通勤させている状態
- Oracleは人手不足でデータセンターの完成を1年延期
しかも待遇面も破格です。アメリカでは、データセンター関連の電気工事は通常の建設現場より30%高い給与が支払われ、一人前の電気工事士の年収は約12万ドル(約1,800万円)、残業込みでは20万ドル(約3,000万円)近くに達するケースもあります。
この流れは日本にも波及しています。国内でも大型データセンターの建設計画が相次いでおり、電気工事士の需要はますます高まっています。「AIの時代だから電気工事士は不要」ではなく、「AIの時代だからこそ電気工事士が必要」――これが今の現実です。
2. EV(電気自動車)充電設備の普及
電気自動車の普及に伴い、自宅や商業施設にEV充電設備を設置する工事が急増しています。充電設備の設置は電気工事士の資格が必要であり、今後さらに需要が拡大する分野です。
3. 太陽光発電・蓄電池の設置拡大
政府の脱炭素政策もあり、住宅・企業への太陽光パネルや蓄電池の導入が進んでいます。設置工事には電気工事士の資格が必須です。
4. スマートハウスの普及
IoT機器(スマートスピーカー、自動制御の照明・空調など)を組み込んだ「スマートハウス」が増えています。これらの設備を電気的に接続するために電気工事士が必要です。
5. 老朽化した電気設備の更新需要
高度経済成長期に建てられたビルや住宅の電気設備が更新時期を迎えています。古い配線を放置すると漏電や火災のリスクがあるため、設備更新の需要は着実に増加しています。
6. 人手不足による需要増
電気工事業界は慢性的な人手不足です。ベテラン技術者の引退が進む一方、若手の入職者が少ないため、資格を持った技術者の価値は年々高まっています(合格率と難易度のデータはこちら)。つまり、今から資格を取る人にとっては就職・転職に有利な状況が続くということです。
まずは第二種電気工事士から始めよう
電気工事士のキャリアは、まず第二種電気工事士の取得からスタートするのが王道です。
第二種を取得すれば、住宅や小規模店舗の電気工事(一般用電気工作物の工事)ができるようになります。おすすめの参考書はこちらで紹介しています。実務経験を積みながら第一種電気工事士や電気工事施工管理技士にステップアップしていけば、仕事の幅も収入もどんどん広がります。合格後の免状申請の手続きも忘れずに。
試験の日程や申込方法はこちらの記事で解説しています。独学での勉強法については「第二種電気工事士は独学で合格できる!勉強法とスケジュールを完全ガイド」で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
資格取得への第一歩 ― まずは第二種電気工事士から
電気工事士のキャリアは第二種から始まります。学習ロードマップで全体像を把握し、独学での勉強法を参考に学習を始めましょう。
通信講座で効率よく学びたいなら:
- JTEX 電気工事士講座
― 職業訓練法人が運営する老舗講座 - SAT 第二種電気工事士講座
― 動画講義でスキマ学習
資格取得の第一歩 ― 定番テキスト
「仕事内容はわかった、じゃあ取ろう!」と思ったら、まずは1冊のテキストから。選び方の詳細はおすすめ参考書ガイドをどうぞ。
まとめ
- 電気工事士の仕事は、住宅の配線工事からビルの設備保守まで幅広い
- 年収は経験により350万〜700万円以上(独立すれば1,000万円超も可能)
- 就職先は電気工事会社・ビルメンテナンス・ハウスメーカー・鉄道会社・公務員・独立など多様
- AIデータセンターの建設ラッシュで、世界中で電気工事士が足りない(今後10年で30万人以上必要)
- EV充電・太陽光・スマートハウス・設備更新・人手不足と合わせて、需要はますます拡大
- まずは第二種電気工事士の取得からキャリアをスタートしよう
理解度チェック問題
記事の内容を振り返って、理解度をチェックしましょう。
【問題1】
新築マンションの各部屋にコンセントやスイッチを取り付ける工事を行いたい。この工事を行うために最低限必要な資格として、正しいものはどれか。
イ. 第一種電気工事士
ロ. 第二種電気工事士
ハ. 電気工事施工管理技士
ニ. 電気主任技術者
【問題2】
電気工事士の就職先として、建物の電気設備や空調設備などの日常点検・故障対応を行う会社は、一般的に何と呼ばれるか。
イ. ゼネコン
ロ. ハウスメーカー
ハ. ビルメンテナンス会社
ニ. 設計事務所
【問題3】
電気工事士の将来性に関する記述として、誤っているものはどれか。
イ. EV(電気自動車)充電設備の設置工事は、今後需要が増える見込みである
ロ. 太陽光パネルの設置工事には電気工事士の資格が不要である
ハ. ベテラン技術者の引退と若手不足により、資格保有者の価値は高まっている
ニ. 老朽化した建物の電気設備更新による需要が増加している
【問題4】
AIデータセンターの建設において、電気工事が建設コスト全体に占める割合として最も近いものはどれか。
イ. 10〜20%
ロ. 20〜30%
ハ. 45〜70%
ニ. 80〜90%
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よくある質問
Q. 電気工事士の平均年収は?
A. 電気工事士の平均年収は約450〜500万円です。経験や資格の種類、勤務先によって300万円〜700万円以上と幅があります。
Q. 電気工事士は未経験でも就職できる?
A. 就職できます。電気工事業界は人手不足が続いており、資格を持っていれば未経験でも採用されやすい状況です。
Q. 電気工事士の主な就職先は?
A. 電気工事会社、ビルメンテナンス会社、ハウスメーカー、鉄道会社、工場の設備管理部門などが主な就職先です。
※当サイトの画像にはAI生成のものが含まれており、実際の機器・器具とは外観が異なる場合があります。問題・解答の内容には細心の注意を払っておりますが、誤りが含まれる可能性があります。学習の参考としてご活用いただき、最終的な確認は公式テキスト・法令等で行ってください。当サイトの情報に基づく判断によって生じた損害について、一切の責任を負いかねます。
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