受変電設備の実務

変圧器の%Zと高圧配電線路の計算|短絡電流・電圧降下・基準容量換算

この記事では、試験成績書の%Zを読み、Ωへ換算し、電源から故障点までを同じ基準へそろえて合成し、短絡電流・電圧降下・電圧変動率を計算できるようになります。判断軸は2つです。①いま求めているのは定常時(電圧降下・損失)か事故時(短絡電流)か、②その計算の基準容量・基準電圧・故障点はどこか。この2つを先に固定すると、%Zを見つけた順に足していく誤りを避けられます。

%Zは、定格電流を流したときに変圧器内部のインピーダンスで生じる電圧降下を、定格電圧に対する百分率で表した値です。%Zが小さいほど変圧器直下の短絡電流は大きくなり、%Zが大きいほど負荷時の電圧変動が大きくなりやすいため、「小さいほど高性能」とは決められません。

計算例は実設備の採用値ではない

短絡計算は、遮断器・母線・ケーブル・CT・保護整定の安全性へ直結します。この記事の計算例は考え方を示すもので、実設備の設計値や投入可否を決めるものではありません。電力会社から示される短絡容量、運転系統、機器の試験成績書、回転機寄与、遮断時間を、電気主任技術者・設計者・製造者が照合してください。

最初に6つの言葉を分ける

用語 意味 混同しやすい点
短絡インピーダンス%Z 定格電流時の内部電圧降下を百分率表示 効率や励磁インピーダンスではない
インピーダンス電圧 短絡試験で定格電流を流すのに必要な電圧 V表示と%表示を区別する
%R 巻線抵抗による抵抗電圧の百分率 負荷損・基準温度と関係する
%X 漏れリアクタンスによる電圧の百分率 %Zの大部分を占めることが多い
電圧変動率 負荷変化による二次端子電圧の変化率 %Zと同じ値ではない
励磁インピーダンス 鉄心を励磁する無負荷枝の性質 短絡インピーダンスとは別

求める量を4つに分けてから式を選ぶ

求める量 主に使う条件 結果を何へ使うか
電圧降下 負荷電流、力率、線路R・X、こう長 負荷端電圧、電圧調整、電線選定
電力損失 線電流、1線の全抵抗 効率、温度、損失低減
短絡電流 故障点、電源、全経路のインピーダンス 遮断能力、耐電流、保護協調
地絡電流 接地方式、対地静電容量、零相回路など GR・DGR、地絡保護

この記事の短絡計算は、3相を対称に扱える三相対称短絡です。1線地絡や線間短絡では故障回路が異なり、同じ式だけでは求められません。

%Zは短絡試験で何を測っているか

三菱電機のFAQは、片側巻線を短絡し、もう一方から定格周波数の電圧を加え、定格電流が流れたときの印加電圧を定格電圧に対する百分率で表すと説明しています。ダイヘンは、指定された基準巻線温度へ補正して示す点も明記しています。

%Z=5%なら、「定格電圧の5%に相当する電圧で、短絡状態の巻線へ定格電流が流れる内部インピーダンス」と読めます。定格一次電圧6,600Vを基準にすればインピーダンス電圧は330Vです。ただし、実際の短絡試験を現場で再現する話ではありません。銘板、試験成績書、メーカー資料の保証値を使います。

%Z = インピーダンス電圧 ÷ 定格電圧 × 100

%ZをΩへ換算する

三相回路で線間電圧V、三相定格容量Sを使うと、基準インピーダンスはV²/Sです。%Zを100で割った単位法値を掛ければ、その電圧側へ換算したインピーダンスの大きさが求まります。

Zbase = V² ÷ S

|Z| =(%Z ÷ 100)× V² ÷ S

三相1,000kVA・420V・%Z=5.0%なら、Zbase=420²÷1,000,000=0.1764Ω、|Z|=0.05×0.1764=0.00882Ωです。同じ変圧器を一次6,600V側へ換算すると、|Z|=0.05×6,600²÷1,000,000=2.178Ωになります。

一次側と二次側でΩ値は変わりますが、対応する電圧・容量ベースで表した%Zは同じです。一次側のΩ値と二次側の電流を混ぜる、線間電圧と相容量を混ぜる、といった基準の混同を避けます。

変圧器直下の短絡電流を計算する

上位電源を無限大母線とし、変圧器以外のインピーダンスと電動機寄与を無視する単純モデルでは、定格電流に100/%Zを掛けます。三菱電機の遮断器FAQも、この条件の近似式を示しています。

In = S ÷(√3 × V)

Isc ≒ In × 100 ÷ %Z

1,000kVA・420Vでは、In=1,000,000÷(√3×420)=約1,374.6Aです。%Z=5.0%なら、Isc≒1,374.6×20=約27,492A、つまり約27.5kAです。

同じ容量・電圧で%Z=4.0%なら約34.4kA、6.0%なら約22.9kAです。わずか1ポイントの違いでも、遮断器、低圧母線、ケーブル、保護装置が見る事故電流は大きく変わります。

この近似値を実設備の短絡電流と断定しない

変圧器単独近似は、上位電源が十分に強く、変圧器端子で三相対称短絡し、二次ケーブル等を無視した値です。実際の事故点では、次の条件を含めます。

  • 電力会社から示される受電点の短絡容量・電源インピーダンス。
  • 受電ケーブル、変圧器、低圧母線、幹線ケーブルのRとX。
  • 変圧器の単独・並列、母線連絡、非常用発電機の運転状態。
  • 誘導電動機・同期機から短時間流れ込む事故電流。
  • 三相短絡、線間短絡、地絡など故障の種類と接地方式。
  • 温度補正、周波数、タップ、製造許容差、計算規格。

変圧器の%Zだけを使う値は、下流ケーブルのインピーダンスを無視するため大きめになる場合があります。一方で、並列変圧器や大容量電動機の寄与を落とすと小さめになる場合があります。「必ず安全側」とは決めず、事故点と運転状態を固定して総合計算します。

%Rと%Xへ分ける理由

%Zは抵抗分とリアクタンス分を合わせた大きさです。直列機器を正確に合成するときや、電圧変動を計算するときは、%Rと%Xを分けます。

%Z = √(%R² + %X²)

%X = √(%Z² − %R²)

基準温度へ補正された定格負荷損Pkを使える条件では、%Rは概ねPk÷定格容量×100で求められます。例えば1,000kVA、負荷損10kW、%Z=5.0%なら、%R=1.0%、%X=√(5.0²−1.0²)=約4.90%です。

ここで、カタログの「負荷損」がどの温度・タップ・周波数の保証値かを確認します。現場測定した損失と銘板%Zを無条件に組み合わせません。

%Zは「基準に対するZの大きさ」なので基準をそろえる

基準容量Sbase、基準線間電圧Vbaseの三相回路では、基準インピーダンスと%インピーダンスを次のように表せます。

Zbase=Vbase2/Sbase 、 %Z=|Z|/Zbase×100

変圧器の短絡インピーダンスは、二次側を短絡し、定格周波数で定格電流を流すため一次側へ加える電圧を、一次定格電圧に対する百分率で表した値です。効率や力率ではなく、電源から事故点までの電流を制限する内部インピーダンスの尺度です。

基準容量換算

同じ基準電圧で容量だけを変えるとき、%Zは基準容量に比例します。

基準容量だけを変える換算

%Znew=%Zold×Snew/Sold

たとえば25MVA基準で15%なら、10MVA基準では15×10/25=6%です。2026年度上期の公式出題例も、異なる基準容量を10MVAへそろえ、R/X比が同じという指定条件の下で合成する問題です。

基準電圧も変える一般式は、%Znew=%Zold×(Snew/Sold)×(Vold/Vnew)²です。変圧器の一次側と二次側をまたぐときは、変圧比と選んだ電圧基準を対応させます。

%Zの大きさを常に足してはいけない

直列経路でも、%Zの大きさを単純加算できるのは、同一基準でR/X比が同じ、または問題がリアクタンスだけを扱うなどの条件がある場合です。一般には%Rと%Xを別々に合成し、次のように大きさへ戻します。

%Ztotal=√(%Rtotal2+%Xtotal2

並列経路は直列の足し算ではなく、並列インピーダンスとして合成します。まず単線結線図で、故障点へ電流を供給する経路を拾うことが先です。

自己容量ベースの%Zを共通基準へ移す

電源、変圧器、ケーブルを%法で合成するには、基準容量と基準電圧をそろえます。同じ基準電圧で容量だけを変える場合は次式です。

%Znew = %Zold × Snew ÷ Sold

1,000kVA自己容量ベースで%Z=5.0%の変圧器を、10MVA基準へ換算すると5.0×10,000÷1,000=50%です。数字が大きくなっても、変圧器の物理的インピーダンスが変化したわけではありません。

また、%Zの「大きさ」をいつでも足せるわけではありません。一般には%Rを直列合成し、%Xを直列合成してから、√(%Rtotal²+%Xtotal²)へ戻します。電源・線路・変圧器を通した合成手順はこの記事の「合成%Zから短絡容量・短絡電流を求める」で確認してください。

合成%Zから短絡容量・短絡電流を求める

段階 単位・条件
短絡容量 Ssc=Sbase×100/%Ztotal MVA同士など、容量単位をそろえる
三相短絡電流 Isc=Ssc/(√3V) MVA÷kVならkA、Vは故障点の線間電圧
変圧器単独近似 Isc≒In×100/%Z 上位・線路を無視した端子三相短絡

計算例:10MVA基準、合成%Z=8%、6.6kV

  1. 短絡容量:Ssc=10×100/8=125MVA
  2. 三相短絡電流:Isc=125/(√3×6.6)≒10.94kA

%Zが小さいほど短絡容量・短絡電流は大きくなります。故障点までに直列ケーブルのインピーダンスを加えれば、一般に短絡電流は小さくなります。一方、変圧器を並列運転したり、発電機・運転中モーターから事故電流が供給されたりすると、大きくなる場合があります。

図1:電源から故障点までを一列に並べ、同じ基準で合成する

① 電力会社の電源
受電点の短絡容量から電源側%Zを求める。基準容量Sbaseをここで決める
② 受電ケーブル・配電線
R・Xを長さから求め、選んだSbase・Vbaseの%R・%Xへ換算する
③ 変圧器
試験成績書の%Zを自己容量ベースからSbaseベースへ換算する
④ 故障点
②③を%Rどうし・%Xどうしで直列合成し、√(%R²+%X²)で%Ztotalへ戻す

図1が示すのは、足し算ができるのは同じ基準へそろえた後だけという点です。①は受電点、③は自己容量と、もともとの基準が違います。また④で分かるとおり、直列でも「%Zの大きさ」をそのまま加算できるのはR/X比が同じなどの条件があるときだけで、一般には%Rと%Xを別々に足します。故障点が③より下流のケーブル端なら、そのケーブル分も②と同じ方法で加えます。

高圧配電線路の電圧降下は√3I(R cosφ+X sinφ)で見る

平衡三相3線式で、受電端電圧と送電端電圧の位相差が小さいとする近似では、遅れ力率負荷の線間電圧降下は次式で表せます。

遅れ力率の三相電圧降下

ΔV≒√3I(R cosφ+X sinφ)[V]

Iは線電流、RとXは電源から負荷までの電線1線当たりの全抵抗・全リアクタンスです。r[Ω/km]、x[Ω/km]、こう長L[km]で与えられたら、R=rL、X=xLとしてから代入します。

進み力率負荷では、同じ電圧・電流の向きを基準にした近似式のリアクタンス項がR cosφ-X sinφになります。条件によって電圧降下が小さくなり、負の値なら受電端側の電圧が上昇することを示します。「Rにはcos、Xにはsin」だけでなく、遅れ・進みの符号も確認します。

計算例:6.6kV、50A、2km、遅れ力率0.8

1線当たりr=0.3Ω/km、x=0.4Ω/kmなら、R=0.6Ω、X=0.8Ωです。cosφ=0.8、sinφ=0.6として計算します。

  1. インピーダンス成分:0.6×0.8+0.8×0.6=0.96Ω
  2. 電圧降下:ΔV≒√3×50×0.96≒83.1V
  3. 6,600Vを基準にした割合:83.1/6,600×100≒1.26%

電圧降下率の分母は、問題が指定する送電端・受電端・公称電圧のどれかを確認します。この記事の1.26%は、指定した6,600Vを基準にした比較値です。すべての高圧線路に一律の許容率を当てはめるものではありません。

電力損失はリアクタンス項ではなくI²R

平衡三相3線式で、電線1線当たりの全抵抗をRとすると、3線合計の銅損は次のとおりです。

三相線路の抵抗損

Ploss=3I2R[W]

上の例では3×50²×0.6=4,500Wです。リアクタンスXは電圧降下や無効電力に関係しますが、それ自体を3I²Xとして有効電力損失へ加えません。

同じ有効電力と力率を送る条件なら、電圧を2倍にすると電流は2分の1となり、同じ抵抗の線路損失は4分の1になります。ただし、実際の電線選定は損失だけでなく、絶縁、許容電流、短絡時熱強度、電圧降下、機械強度、施設条件を合わせて行います。

%Zと電圧変動率は同じではない

短絡インピーダンスが大きいほど、負荷電流による内部電圧降下も大きくなりやすくなります。ただし電圧変動率は、%R、%X、負荷率、力率で変わります。遅れ力率負荷の近似では次の形で考えます。

電圧変動率 ≒ 負荷率 ×(%R cosφ + %X sinφ)

先ほどの%R=1.0%、%X=4.90%で、負荷率100%、力率0.8遅れならsinφ=0.6なので、近似値は1.0×0.8+4.90×0.6=約3.74%です。%Zの5.0%と同じではありません。

進み力率ではリアクタンス分の符号が逆になり、電圧上昇方向になることがあります。進相コンデンサの過補償、軽負荷時の電圧、タップ設定を分けて確認します。

%Zは小さすぎても大きすぎても困る

%Zが小さい
負荷時の内部電圧降下は小さくなりやすい一方、短絡電流が大きくなり、遮断器・母線・ケーブルの必要耐量が増えます。
%Zが大きい
短絡電流は抑えやすい一方、負荷時の電圧変動、電動機始動時の電圧低下、並列時の負荷分担へ影響します。

ダイヘンと三菱電機の解説も、この相反関係を示しています。したがって、変圧器更新時に旧機より低い%Zの高効率機を「電圧降下が小さいから有利」とだけ評価したり、高い%Zを「短絡電流が小さいから安全」とだけ評価したりしません。

図2:%Zを動かすと、短絡電流と電圧変動が逆へ振れる

%Z 4%短絡電流は大きい ← → 負荷時の電圧降下は小さい1,000kVA・420Vで約34.4kA
%Z 5%基準にした例同条件で約27.5kA
%Z 6%短絡電流は小さい ← → 負荷時の電圧降下は大きい同条件で約22.9kA

図2の3行は同じ容量・同じ二次電圧です。%Zを1ポイント動かすだけで、遮断器・低圧母線・ケーブル・保護装置が見る事故電流が数kA変わります。右列の値はIsc≒In×100÷%Zで計算しています(In≒1,374.6A)。どちらの端が有利かは、遮断器の定格遮断電流に余裕があるか、電動機始動時の電圧低下が許容できるかで決まります。

カタログの%Zは固定値ではなく範囲の場合がある

メーカーの特性表では、容量・相数・二次電圧・製品系列ごとに短絡インピーダンスが異なり、保証範囲で示されることがあります。日立産機システムの公開特性表でも、容量ごとに短絡インピーダンスの範囲が掲載されています。

概算段階ではカタログ範囲を使えますが、最終計算では対象製造番号の試験成績書・保証値を使います。短絡電流の最大を求める場面では低い側の%Z、電圧変動を厳しく見る場面では高い側の%Zが支配する可能性があります。計算目的に合わせて製造者と採用値を決めます。

タップと基準温度を落とさない

短絡インピーダンスは、指定タップと基準巻線温度に対応する値です。試験成績書に複数タップの値がある場合、現在のタップと将来運用を照合します。異なる基準温度の%Rや負荷損を混ぜると、R/X分離や電圧変動の結果がずれます。

銘板写真だけでは、測定タップ、基準温度、保証範囲、%R・%X、試験年月が分からないことがあります。更新設計では、銘板と試験成績書を同じ製造番号でひも付けます。

並列運転では%ZとR/Xが負荷分担を決める

電圧比と位相が一致し、循環電流を無視できる場合、並列変圧器の負荷分担は内部インピーダンスに反比例します。同容量500kVAの2台が%Z=4%と6%なら、分担比は1/4:1/6=3:2です。

合計1,000kVAを供給しようとすると、4%側は約600kVA、6%側は約400kVAとなり、4%側が先に定格を超えます。さらにR/X比が違えば、有効電力と無効電力の分担も偏ります。並列可否は%Z一項目では決めず、変圧器の並列運転条件の電圧比、極性・角変位、循環電流、温度上昇まで確認します。

変圧器更新時は既設遮断器まで再計算する

同じ1,000kVAでも、既設%Z=6%から新設%Z=4%へ変わると、変圧器単独近似の短絡電流は約22.9kAから約34.4kAへ増えます。容量と二次電圧が同じだから「同等品」とは限りません。

低圧主遮断器の定格遮断電流、母線の短時間耐電流、幹線ケーブルの短絡耐量、CT、OCR・瞬時要素、選択協調を再確認します。VCB側の考え方はVCBの遮断容量、母線側は高圧母線・ブスバーの選び方、保護時間は保護協調曲線の見方が対応します。

計算値は定格電流ではなく定格遮断電流へ照合する

短絡電流を求める目的は、数字を出すことではなく、設備が事故電流を安全に遮断・通過できるか確認することです。

確認項目 意味 混同しない点
定格電流 通常運転で連続して流せる電流の尺度 事故電流を切れる値ではない
定格遮断電流 規定条件で遮断できる短絡電流の尺度 設置点の電圧・推定短絡電流と照合
耐電流・保護協調 母線・CT・ケーブル等が遮断まで耐え、必要区間を選択遮断する 遮断器1台のkA値だけで完了しない

CB形の基本では、CTが電流を検出用に変成し、過電流継電器OCRが判定し、VCBが回路を開きます。実際の選定では、交流分の実効値だけでなく非対称分、投入電流、遮断時間、短時間耐電流、規格上の動作責務、上下流の時限協調などを設計資料で確認します。機器の役割は高圧受電設備の仕組み、動作試験は高圧受電設備の検査方法につなげて確認してください。

励磁突入電流と短絡電流を混同しない

短絡インピーダンスは短絡電流の計算に使いますが、投入直後の励磁突入電流は、投入位相、残留磁束、鉄心飽和、電源インピーダンスなどに左右されます。短絡電流の100/%Zを、そのまま励磁突入電流倍率として使いません。

一方で、電源と変圧器のインピーダンスは投入時の波形にも関わるため、メーカーの突入電流データと保護協調を別に確認します。詳しくは変圧器の励磁突入電流を参照してください。

計算の順番を6段階で固定する

  1. 定常か事故かを分ける:電圧降下・損失か、短絡電流か。
  2. 計算点を決める:負荷端または故障点を単線結線図へ印す。
  3. 経路を拾う:電源から計算点までのR・X、または各%Zを並べる。
  4. 基準をそろえる:容量、電圧、一次・二次側、Ω・%・kAの単位を統一する。
  5. 条件に沿って合成する:遅れ/進み、直列/並列、R/X比の指定を確認する。
  6. 設備へ戻す:電圧、損失、遮断能力、耐電流、保護協調の可否を確認する。

自己チェック|基準・故障点・係数を取り違えない

問1:三相1,000kVA・420V・%Z=5.0%。変圧器以外のインピーダンスと電動機寄与を無視した直下三相短絡電流は?

解答・解説:定格電流In=1,000,000VA÷(√3×420V)≒1,374.6A。Isc≒In×100÷%Z=1,374.6A×100÷5.0≒27,492A、約27.5kAです。100÷%Zを掛けるのは、%Zが「定格電流を流すのに必要な電圧の割合」だからで、定格電圧をかければその逆数倍の電流が流れると読めます。

問2:自己容量1,000kVAで%Z=5.0%の変圧器を、同じ電圧の10MVA基準へ換算すると何%ですか。

解答・解説:%Znew=%Zold×Snew÷Sold=5.0%×10,000kVA÷1,000kVA=50%です。数字が10倍になっても、変圧器の物理的なΩ値は変わっていません。基準が変わっただけです。

問3:同じ基準電圧で、25MVA基準の%Zが15%です。10MVA基準では何%ですか。

解答・解説:%Znew=15%×10MVA÷25MVA=6%です。基準容量の違う%Zをそろえずに合成すると、短絡電流が数倍ずれます。

問4:平衡三相3線式で、I=100A、1線当たりR=0.4Ω、X=0.3Ω、遅れ力率0.8。電圧降下の近似値は?

解答・解説:cosφ=0.8ならsinφ=0.6です。ΔV≒√3×100A×(0.4Ω×0.8+0.3Ω×0.6)=√3×100A×0.5Ω≒86.6Vです。遅れ力率ではR cosφとX sinφを足します。進み力率の近似ではリアクタンス項の符号が逆になります。

問5:10MVA基準で合成%Z=8%、故障点の線間電圧6.6kV。短絡容量と三相短絡電流は?

解答・解説:Ssc=Sbase×100÷%Ztotal=10MVA×100÷8=125MVA。Isc=Ssc÷(√3×V)=125MVA÷(√3×6.6kV)≒10.94kAです。MVA÷kVでkAになるよう単位をそろえてから割ります。

問6:同容量500kVAの変圧器A(%Z=4%)とB(%Z=6%)を並列運転し、合計1,000kVAを供給します。分担はどうなりますか。

解答・解説:負荷分担は内部インピーダンスに反比例するので、1/4:1/6=3:2です。Aが約600kVA、Bが約400kVAとなり、%Zの小さいA側が先に定格を超えます。容量比だけでは決まりません。

メーカー・技術者団体・試験センターの一次資料

編集日:2026年9月8日。図解・例題・自己チェックは当サイト独自の学習用です。メーカー資料と技術者団体の解説は2026年8月17日、試験センターの第一種学科出題例は2026年7月の照合記録を引き継ぎ、リンク先の所在を2026年9月8日に確認しました。メーカーごとの保証値・基準温度・適用規格を一律化せず、変圧器単独近似と実設備の総合短絡計算を分けています。

次に読む記事

次は変圧器の並列運転条件で循環電流と異容量機の分担へ進み、盤側の定格はVCBの遮断容量の選び方、ケーブルの候補サイズは高圧ケーブルのサイズ選定で確認してください。

この記事を書いた人:資格太郎

電気工事士の独学合格を目指して学習中。公式資料と法令を確かめ、学習で説明できる範囲と実設備の作業を区別して編集しています。

運営者情報と編集方針

※当サイトの画像にはAI生成のものが含まれており、実際の機器・器具とは外観が異なる場合があります。問題・解答の内容には細心の注意を払っておりますが、誤りが含まれる可能性があります。学習の参考としてご活用いただき、最終的な確認は公式テキスト・法令等で行ってください。当サイトの情報に基づく判断によって生じた損害について、一切の責任を負いかねます。

内容の誤りやお気づきの点がございましたら、お問い合わせフォームよりご連絡いただけますと幸いです。正確な情報をお届けできるよう、随時修正してまいります。

-受変電設備の実務

戻る