この記事を読み終えると、ケーブル工事の問題文を見たときに、支持点間・機械的防護・施工場所・接続・金属部分の接地を、それぞれどの条件で判断するのかを切り分けられるようになります。
ケーブル工事は、シースがあるから「管なしでどこへでも施工できる」工事ではありません。ケーブルの種類、使用電圧、場所、機械的防護、支持方法、接続、金属部分の接地を組にして判断します。最初に押さえる数値は、一般のケーブルが2m以下、接触防護措置を施した場所で垂直に取り付ける場合が6m以下、キャブタイヤケーブルが1m以下です。ただしこれは支持点間の上限であって、ケーブル選定や防護の条件を省略できる意味ではありません。
完成状態だけでなく施工中も保護する
ケーブルを固定するときは、ステープル等でシースをつぶしたり、釘・ビスを貫通させたりしないことが前提です。既設回路の増設・接続・貫通は、停電と無電圧を確認し、必要な資格を持つ人が、設計図書、現場条件、ケーブル・接続器の施工要領に従って行ってください。
この記事の範囲|低圧屋内配線のケーブル工事
中心となる根拠は、現行「電気設備の技術基準の解釈」第164条です。同条は低圧屋内配線のケーブル工事について、使用できる電線、機械的防護、支持、金属部分の接地、コンクリート直埋め、パイプシャフト内の垂直ちょう架を規定しています。
屋側・屋外配線は第166条等の追加条件を確認します。屋内用として設計されたVVFを、屋外露出や地中へ名称だけで選ぶことはできません。耐候性、耐水性、紫外線、機械的防護、使用温度、施設方法を製品仕様と設計条件で照合します。ケーブルの構造と定格は電線・ケーブルの種類と用途|IV・VVF・CVTの見分け方で確認してください。
支持点間は「何を」「どう取り付けるか」で3つに分かれる
条文は、支持点間をひとつの数値で決めていません。電線の種類と取り付け方の組合せで枝分かれします。
図1:支持点間は「何を」「どう取り付けるか」で3つに分かれる
取り付け向きは問わない
2m以下
① 接触防護措置を施した場所
② 垂直に取り付ける
6m以下
一般のケーブルとは別の値
1m以下
図1で条件が2段に積まれているのは、緑の「6m以下」の枠だけです。①「接触防護措置を施した場所」と②「垂直に取り付ける」はAND条件で、どちらか一方でも欠けると青い「2m以下」の枠へ戻ります。「垂直だから6m」という覚え方が誤りになるのは、図1の緑の枠から①を抜き取った状態にあたるからです。
オレンジの「1m以下」の枠は電線そのものが違います。キャブタイヤケーブルは一般のケーブルと数値が分かれているので、青い枠の2mを持ち込めません。そして図1の下端にある破線の帯は、3つすべてに掛かります。支持点間が上限内でも、被覆を損傷する取り付けは適合しません。ステープルの打ち込みすぎで平形ケーブルがつぶれていれば、間隔をいくら詰めても不適合です。
| 電線・取り付け方 | 支持点間 | 条件の読み方 |
|---|---|---|
| ケーブルを造営材の下面又は側面に沿わせる | 2m以下 | 一般の基本値。被覆を損傷しないよう堅ろうに取り付ける |
| 接触防護措置を施した場所で垂直に取り付けるケーブル | 6m以下 | 「垂直」だけでは6mにできない |
| キャブタイヤケーブルを下面又は側面に沿わせる | 1m以下 | 一般のケーブルの2mと分ける |
2026年度上期(2026年5月24日実施)の第二種学科試験では、この規定が条文の文章から2つの数値を抜いた空欄補充の形で出題され、正答は2mと6mの組合せでした。選択肢には6mと2mを入れ替えたものが並んでいます。図1の青い枠と緑の枠を取り違えるとそのまま失点するので、数値を単独で暗記せず、条件とセットで覚えてください。
シースは装甲ではない|機械的防護は支持とは別に決める
絶縁電線は導体を絶縁体で覆い、一般的な多心ケーブルはさらにシースでまとめて保護します。しかし、シースは釘や重量物、著しい衝撃を無条件に受け止める装甲ではありません。
第164条は、重量物の圧力又は著しい機械的衝撃を受けるおそれがある箇所の電線に、適当な防護装置を設けるよう求めています。床面に近い露出部、搬入経路、鋭い端部の近くなどでは、場所と想定外力に合う管・カバー等を選びます。ここで重要なのは、これが支持点間とは別の判断だという点です。図1の帯は「被覆を損傷しない取り付け」までしか担保しません。支持間隔を半分にしても、防護装置を設けたことにはなりません。
施工できる場所は「電線 → 電圧 → 場所」の順で表へ戻す
ケーブル工事を「展開した場所と点検できる隠ぺい場所だけ」と覚えていると、第164条の164-1表を読み違えます。同表は、一般のケーブルを「使用電圧300V以下で展開した場所又は点検できる隠ぺい場所」と「その他の場合」の両方に掲げているからです。判定は、表のどの行に当たるかを決める作業になります。
図2:場所の可否は「電線 → 電圧 → 場所」の順にだけ通す
一般のケーブルか、キャブタイヤケーブル(種類ごとに範囲が違う)か
300V以下か、300Vを超えるか
展開した場所/点検できる隠ぺい場所/点検できない隠ぺい場所
- 重量物・著しい衝撃への防護
- 被覆を損傷しない支持
- 湿気・水気・腐食・温度への適合
- 弱電流電線・水管・ガス管との離隔
- 金属部分の接地
- 屋側・屋外・地中・防火区画の別規定
図2の①→②→③は、上から下へ一度だけ通る順序です。②の使用電圧を飛ばして③の場所から入るのが、「展開・隠ぺいだけで決める」誤りの正体です。①でキャブタイヤケーブルを選んだ場合は、種類ごとに使用できる電圧と場所の範囲が変わるため、一般のケーブルの行をそのまま流用できません。
さらに、図2の赤い枠に並ぶ条件は、③に着いた後も別に残ります。行が特定できた時点で判定が終わるのではありません。「ケーブルならすべての場所で同じ施工」も「点検できない隠ぺい場所はすべて不可」も、どちらも図2の途中で止まった読み方です。問題文に出てくる電線種類・使用電圧・場所を、この順に拾い直してください。
曲げ半径を6倍・8倍へ固定しない
ケーブルを急に曲げると、導体、絶縁体、シース、遮へい層等へ無理な力が加わります。ただし、すべての多心ケーブルは外径6倍、すべての単心ケーブルは8倍という一律の説明は不正確です。電技解釈第164条自体は、全ケーブル共通の6倍・8倍表を置いていません。
必要な曲げ半径は、ケーブルの種類、導体形状、遮へい・がい装、布設時か固定後か、規格、メーカーの施工要領で確認します。学科問題でケーブル種類と曲げ半径条件が示されたときは、その条件を使います。見た目の「握りこぶし程度」で合否を決めないでください。
接続は第12条が求める性能で判定する
「ケーブルの接続は例外なくジョイントボックス内」という説明は広すぎます。現行第12条は、接続部について主に次を求めています。
| 確認項目 | 要点 | 住宅のVVFでの例 |
|---|---|---|
| 導通 | 接続部分の電気抵抗を増加させない | 適用する接続器と指定工具を使う |
| 機械的強度 | 電線の引張強さを著しく減少させない | 挿入長、圧着マーク、心線本数・太さを確認 |
| 絶縁 | 元の絶縁物と同等以上の絶縁効力 | 導体露出をなくし、適合する絶縁処理を行う |
| 器具・接続箱 | ケーブル相互は接続器・接続箱等を使うのが原則。条文の例外も条件付き | 分岐・終端接続を適切なボックス内へ収める |
この表で「増加させない」「著しく減少させない」と書き分けている点が、そのまま出題の分かれ目になります。試験センターが公開している施工方法の公式例題では、接続部分の電気抵抗が増加した施工は不適切とされ、その解説の中で引張強さの15%減少は解釈の規定の制限内であると説明されています。つまり導通は「増やさない」が判定線で、機械的強度には許される減少幅がある、という非対称な条件です。
一般的な住宅のVVF分岐接続では、ボックス内でリングスリーブ又は適合する差込形コネクタを正しく使うのが基本です。差込形コネクタ自体が必要な絶縁性能を持ち、指定どおりに接続されていれば、追加のビニルテープは必須ではありません。2026年度上期の学科試験でも、この絶縁処理が問われています。技能の圧着はリングスリーブの圧着|電線本数・刻印・欠陥対策、施工後の欠陥確認は第二種技能試験の欠陥判断基準|完成後5分の点検順で分けて練習してください。
接地は300Vで分け、省略条件の主語を取り違えない
ケーブル工事で接地の対象になる金属部分は3つあります。そして、よく問われる「4m・8mだから省略できる」という条件は、そのうち1つにしか掛かりません。
図3:接地の対象は3つ、長さによる省略条件があるのは①だけ
管、カバー、レースウェイ等の金属部
長さ4m・8m等の省略条件あり
金属製プルボックス、金属製アウトレットボックス等
長さによる省略条件は無い
ケーブルの金属被覆・金属遮へい等
長さによる省略条件は無い
図3で緑の枠が付いているのは①だけです。①の防護装置の金属製部分にだけは、長さや場所の状態を条件にした省略の道が用意されていますが、②の金属製電線接続箱と③の金属被覆には、長さによる省略条件そのものがありません。ここを取り違えると、200V回路の金属製プルボックスを「4m以下だから省略」と判断してしまいます。プルボックスの寸法は数十cmであって、4mという条件は最初から適用対象ではありません。
省略できるかどうかを考える前に、まず図3のどの箱の話をしているのかを確認するのが順序です。そのうえで、①であれば場所(乾燥しているか)、対地電圧、接触防護措置の有無といった条件を条文で確かめます。
| 使用電圧 | 対象金属部分の原則 | 例外の読み方 |
|---|---|---|
| 300V以下 | D種接地工事 | 長さ4m・8mの省略は図3の①だけ。場所・対地電圧等の条件も必要 |
| 300V超 | C種接地工事 | 所定の接触防護措置を施す場合はD種にできる |
たとえば200V回路の金属製電線接続箱で省略条件がなければ、原則D種接地工事です。接地抵抗値や、別の省略・緩和条件は接地工事(アース)とは?A・B・C・D種の違い【第二種】で確認できます。
コンクリート直埋めとメタルラス貫通は専用条件で読む
コンクリートへ直接埋め込む場合
ケーブルというだけで、一般的なVVFをコンクリートへ直接埋め込めるわけではありません。第164条第2項は、MIケーブル、コンクリート直埋用ケーブル、又は所定性能のがい装を持つケーブルを対象とします。コンクリート内は原則として接続点を設けず、例外は接続部にケーブルと同等以上の絶縁性能・機械的保護機能を持たせる場合です。埋め込んだ後は目視も交換もできないため、条件が厳しくなっていると理解すると迷いません。
メタルラス等の木造造営材を貫通する場合
メタルラス・ワイヤラス・金属板張りの木造造営物をケーブルが貫通する場合は、第145条の条件も確認します。金属部を十分に切り開き、貫通部のケーブルへ耐久性のある絶縁管をはめる、又は耐久性のある絶縁テープを巻くなどして、金属部と電気的に接続しないように施設します。金属板が意図せず充電されることを避けるための規定です。
防火区画の貫通処理は別の防火要件です。耐火パテを詰めるだけと一律化せず、区画・貫通材・開口・工法について、認定仕様や設計図書を確認します。
現場でも問題文でも使う5つの質問
- 何を使うか:VVF・CV等のケーブルか、キャブタイヤケーブルか(図2の①)
- どこへ施設するか:屋内・屋側・屋外、展開・隠ぺい、湿気・外力・特殊場所(図2の②③)
- どう支持するか:下面・側面、垂直、接触防護、被覆損傷の有無(図1)
- どこで接続するか:接続器・ボックス・絶縁・導体露出・点検性
- 金属部があるか:使用電圧、接触防護、接地種別、省略条件の主語(図3)
この5つを順に当てるだけで、条文のどこへ戻ればよいかが決まります。支持・防護・接地を10問で確認するなら【10問】ケーブル工事ミニテスト|第二種へ進んでください。
自己チェック
解説は最初から表示しています。選んだ理由と解説がずれていたら、対応する図へ戻ってください。
問1:事務所の壁面に、VVFケーブルを造営材の側面に沿わせて垂直に取り付けます。人が容易に触れる場所で、接触防護措置は施していません。守るべき支持点間の上限はどれですか。
- 1m以下
- 1.5m以下
- 2m以下
- 6m以下
解答:3(2m以下)
6m以下にできるのは「接触防護措置を施した場所」で「垂直に取り付ける」の両方が成立する場合です。ここは垂直の条件しか満たしていないので、基本の2m以下へ戻ります。1mはキャブタイヤケーブルの値、1.5mは合成樹脂管を支持するときの値で、いずれもこの条件の答えではありません。
問2:工場で、移動して使う機器へ2種キャブタイヤケーブルを造営材の側面に沿わせて配線します。支持点間の上限はどれですか。
- 0.5m以下
- 1m以下
- 2m以下
- 6m以下
解答:2(1m以下)
キャブタイヤケーブルは一般のケーブルと値が分かれており、下面又は側面に沿わせる場合は1m以下です。図1のオレンジの「1m以下」の枠にあたります。なお、キャブタイヤケーブルは種類によって使用できる電圧と場所の範囲そのものが違うので、支持点間だけを覚えても選定の可否は判断できません。
問3:倉庫で、フォークリフトが行き来する通路沿いの低い位置に、VVFケーブルを露出で配線します。支持点間は2m以下を守りました。この施工で足りますか。
- 足りる。支持点間の規定を守っているため
- 足りない。支持点間を1m以下へ詰めれば適合する
- 足りない。その箇所の電線に適当な防護装置を設ける
- 足りない。難燃性の高いケーブルへ交換すれば適合する
解答:3(適当な防護装置を設ける)
重量物の圧力や著しい機械的衝撃を受けるおそれがある箇所では、支持とは別に防護装置が求められます。支持点間を詰めても、ケーブルが踏まれたり衝突されたりする力は減りません。難燃性は燃焼特性の話で、外力に対する保護ではありません。
問4:「ケーブル工事は展開した場所と点検できる隠ぺい場所でしか使えない」と説明されました。この説明の評価として適切なものはどれですか。
- 正しい。ケーブル工事は点検できない隠ぺい場所では使えない
- 誤り。第164条の表は一般のケーブルを「その他の場合」にも掲げている
- 誤り。場所の制限はいっさい無く、電線種類だけで決まる
- 正しい。ただし使用電圧が300V以下の場合に限る
解答:2(表は「その他の場合」にも掲げている)
一般のケーブルは、300V以下で展開した場所・点検できる隠ぺい場所だけでなく、その他の場合にも表へ掲げられています。ただし4のように「場所の制限が無い」わけでもありません。図2のとおり、電線・電圧・場所で行を特定したうえで、防護・支持・接地・特殊場所の条件が別に残ります。
問5:使用電圧200V、乾燥した場所で、金属製の電線接続箱(金属製プルボックス)を1台使います。人が触れられる位置にあり、他に緩和条件はありません。接地の扱いとして適切なものはどれですか。
- 乾燥した場所なので接地を省略できる
- 箱の寸法が4m以下なので接地を省略できる
- 省略できない。原則としてD種接地工事を施す
- 300V以下なので接地の対象そのものにならない
解答:3(省略できない。原則D種接地工事)
長さ4m・8mという省略条件は、図3の左にある防護装置の金属製部分を主語にした例外です。金属製の電線接続箱には、この長さの条件が用意されていません。300V以下は「接地が不要」ではなく「D種接地工事の対象」です。
問6:住宅のジョイントボックス内で、VVFの終端接続を差込形コネクタで行い、その上にビニルテープを巻きませんでした。この絶縁処理の評価はどれですか。
- 適切。コネクタ自体が所定の絶縁性能を持つため追加の絶縁処理は要らない
- 不適切。ビニルテープを半幅以上重ねて2回以上巻く必要がある
- 不適切。自己融着性絶縁テープを巻き、その上へ保護テープを巻く必要がある
- 不適切。差込形コネクタは終端接続には使用できない
解答:1(適切)
差込形コネクタは、正しく挿し込まれていればコネクタ自体が必要な絶縁性能を受け持ちます。2と3は、リングスリーブで接続したときに絶縁物と同等以上の絶縁効力を確保するための処理で、コネクタ接続の要件ではありません。2026年度上期の学科試験でも、この差込形コネクタの絶縁処理が適切な選択肢として扱われました。
公式資料・一次情報
編集日:2026年9月9日。図1〜図3、例題、自己チェックはすべて当サイトが学習用に作成したものです。条文の適用条件は2026年7月28日に令和7年11月20日改正の電技解釈(第12・145・164・166・167条)と照合し、2026年度上期の学科試験問題・解答は2026年9月9日に再取得して内容を確認しました。
- 電気技術者試験センター:第二種電気工事士の学科試験のポイント
- 電気技術者試験センター:電気工事の施工方法・公式例題
- 電気技術者試験センター:2026年度上期 学科試験問題
- 電気技術者試験センター:2026年度上期 学科試験解答
- e-Gov法令検索:電気設備に関する技術基準を定める省令
- 経済産業省:電気設備の技術基準の解釈(令和7年11月20日改正)
- 日本電気技術者協会:令和7年11月20日付 電技解釈改正情報
次に読む記事
次は金属管・PF管・CD管工事|支持1.5m・接続・接地の判断へ進み、同じ判断を管工事の支持間隔と接地で置き換えてください。接地の種別と抵抗値を先に固めたい人は接地工事(アース)とは?A・B・C・D種の違い【第二種】、学科全体の順番へ戻る人は第二種電気工事士の独学ロードマップ|勉強順・12週間計画・試験当日の持ち物が次の1本です。
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