この記事でわかること
- 配線図(単線図)の読み方と図記号から実物をイメージする方法
- 単線図と複線図の違いと変換が必要な理由
- 単線図→複線図の変換4ステップ(接地側→非接地側→スイッチ→色)
- 3路スイッチや4路スイッチを含む複線図の書き方
結論から言います
配線図(はいせんず)とは、建物のどこに何をどう配線するかを示した電気の設計図です。第二種電気工事士の学科試験では、この配線図から「図記号の意味」「使う材料の数」「複線図への変換」などが出題され、全50問中おおよそ20問(約40%)を占めます。
そして配線図問題を攻略するうえで最も重要なスキルが、単線図(たんせんず)を複線図(ふくせんず)に変換する力です。
変換のルールはたった4ステップ。このルールさえ覚えれば、学科試験の配線図問題だけでなく、技能試験の複線図もスラスラ描けるようになります。
この記事では、単線図と複線図の違いから、変換手順、具体的な変換例、さらに3路スイッチの複線図まで、まるっと解説していきます。
そもそも配線図とは?
配線図とは、建物の間取り図の上に、電気配線のルート・使用する器具・スイッチ・コンセントなどを図記号で描いた図面のことです。
現場の電気工事士さんは、この配線図を見て「どこに照明をつけるか」「スイッチはどこに置くか」「どの電線を何本通すか」を判断して施工します。
つまり配線図は、電気工事の「作業指示書」のようなものですね。

配線図で使われる図記号(ずきごう)については、こちらの記事で一覧にまとめています。
→ 配線図の図記号一覧|これだけ覚えれば得点源!|第二種電気工事士
単線図と複線図の違い
配線図には大きく分けて「単線図」と「複線図」の2種類があります。この2つの違いをしっかり理解することが、配線図問題攻略の第一歩です。
なぜ2種類の図があるの?
単線図は「全体の配置をパッと把握する」のに向いていて、複線図は「実際にどう結線するかを正確に示す」のに向いています。
たとえば家の設計段階では、単線図で「リビングにコンセント4つ、照明2つ、スイッチ2つ」とざっくり決めます。でも、実際にケーブルをつなぐ段階になったら「白線をここへ、黒線をここへ」と具体的に把握しないと正しく施工できません。そこで複線図が必要になるわけです。
学科試験では単線図を見て答える問題が出ますが、選択肢の中身を正しく判断するには頭の中で(あるいは紙の上で)複線図に変換する力が必要です。技能試験では実際に複線図を描いて結線作業を行いますから、どちらの試験にもこのスキルは欠かせません。
複線図への変換手順【4ステップ】
単線図を複線図に変換する手順は、以下の4ステップに集約できます。この順番を守れば、どんな回路でも複線図が描けるようになります。

なぜこの順番なの?
この順番には、ちゃんとした理由があります。
まず接地側(白線)から描くのは、白線は「負荷に直接つなぐ」というルールが明確で迷いが少ないからです。白線は必ず負荷とコンセントに行くので、最初に確定させてしまいます。
次に非接地側(黒線)はスイッチとコンセントへ。スイッチには必ず非接地側(電圧がかかっている側)をつなぎます。これは安全上のルールでもあります。もし接地側をスイッチにつないでしまうと、スイッチをOFFにしても照明器具の端子に電圧が残ってしまい、ランプ交換時などに感電する危険があるんです。
3番目にスイッチと負荷をつなげば、回路が完成します。最後にアースがあれば追加して完了です。
接地工事について詳しく知りたい方はこちらをどうぞ。
→ 接地工事(アース)をわかりやすく解説!A種〜D種の違い|第二種電気工事士
具体例で練習しよう
ルールがわかったところで、実際に単線図を複線図に変換してみましょう。
例1:スイッチ1つ+照明1つの基本回路
一番シンプルな回路です。部屋の入口にスイッチがあって、天井の照明を点けたり消したりする、あのおなじみのパターンですね。
単線図の構成
※ 単線図では1本の線で描かれている
複線図への変換手順
Step 1:接地側(白線)を照明器具に接続
電源のN(接地側)から白線を照明器具へ直接つなぎます。
Step 2:非接地側(黒線)をスイッチに接続
電源のL(非接地側)から黒線をスイッチへつなぎます。コンセントがないので、スイッチだけでOKです。
Step 3:スイッチと照明器具を接続
スイッチ(イ)の反対側から照明器具(イ)へ線をつなぎます。同じ記号「イ」同士を結ぶのがポイントです。
Step 4:接地線は今回なし
アースが必要な器具はないので、これで完成です。
電源 L(非接地側)──黒線── スイッチ(イ)──── 照明器具(イ)
白線は電源Nから照明へ直接、黒線は電源Lからスイッチを経由して照明へ
これが複線図のもっとも基本的な形です。白線は負荷に直接、黒線はスイッチ経由で負荷へ。この感覚をまず体に染み込ませましょう。
例2:2口コンセント+スイッチ+照明の回路
今度は少し複雑になります。キッチンなどでよくある、コンセントもスイッチも同じ場所にあるパターンです。
単線図の構成
└─ スイッチ(イ)── 照明器具(イ)
※ ジョイントボックスで分岐しているイメージ
複線図への変換手順
Step 1:接地側(白線)を負荷とコンセントに接続
電源Nから白線を照明器具と2口コンセントの両方につなぎます。ジョイントボックス内で分岐させるイメージです。
Step 2:非接地側(黒線)をスイッチとコンセントに接続
電源Lから黒線をスイッチ(イ)と2口コンセントの両方につなぎます。ここがポイント!コンセントには白線も黒線も両方つながります。「コンセントは常に電気が来ている状態」なので、電源の両方の線が必要なんです。
Step 3:スイッチと照明器具を接続
スイッチ(イ)から照明器具(イ)へ線をつなぎます。
Step 4:接地線は今回なし
接地端子付きコンセントではないので、アースは不要です。
└── 2口コンセント
電源 L ──黒線─┬── スイッチ(イ)──── 照明器具(イ)
└── 2口コンセント
コンセントには白線・黒線の両方が接続される点に注目
ここで覚えておきたいポイント
- コンセントは「小さな電源」と考えるとわかりやすい。電源の接地側(白)も非接地側(黒)も両方つなぐ
- スイッチは「黒線の通り道」。非接地側(黒線)をスイッチで切ったりつないだりして、負荷をON/OFFする
- 照明器具は「白線+スイッチからの線」で回路が完成する
3路スイッチの複線図
3路(さんろ)スイッチとは、2か所から同じ照明を点けたり消したりできるスイッチのことです。階段の上と下、長い廊下の両端などでよく使われますね。
3路スイッチの仕組み
普通のスイッチ(片切スイッチ)は端子が2つですが、3路スイッチは端子が3つあります。「0番」「1番」「3番」と呼ばれることが多いです。
- 0番端子:共通端子(コモン)。電源側またはランプ側につなぐ
- 1番端子:もう一方の3路スイッチの1番とつなぐ
- 3番端子:もう一方の3路スイッチの3番とつなぐ
3路スイッチの複線図変換
基本の4ステップに加えて、3路スイッチ同士をつなぐという作業が入ります。
- 接地側(白線)を照明器具へ接続
- 非接地側(黒線)を片方の3路スイッチの0番端子へ接続
- もう片方の3路スイッチの0番端子から照明器具へ接続
- 2つの3路スイッチの1番同士と3番同士をそれぞれ接続(これを「渡り線」と呼びます)
電源 L ──黒── 3路SW①の0番 3路SW②の0番 ── 照明器具
3路SW①の1番 ════ 3路SW②の1番
3路SW①の3番 ════ 3路SW②の3番
2つの3路スイッチの1番同士・3番同士をつなぐのがポイント
3路スイッチはどちらのスイッチを切り替えても照明のON/OFFが変わります。仕組みとしては、2つのスイッチが「1番ルート」か「3番ルート」のどちらかで電気の通り道を切り替えていて、両方のスイッチが同じルートを選んでいるときだけ回路がつながるというわけです。
3路スイッチの複線図は技能試験でも頻出なので、実際に何度も手を動かして描く練習をしておきましょう。
配線図問題の攻略ポイント
配線図問題を確実に得点するために、押さえておきたいポイントをまとめます。
図記号がわからないと、そもそも配線図が読めません。まずは頻出の図記号を暗記しましょう。
白→黒→スイッチと負荷→アースの順番。何度も手を動かして練習してください。
複線図が描ければ、電線の本数は数えるだけ。ジョイントボックス間の線を1本ずつ数えましょう。
リングスリーブか差込形コネクタか、サイズは何か。接続する電線の本数と太さで決まります。
配線図に描かれている器具・工具の名称や用途を問う問題も多い。鑑別知識とあわせて学ぶと効率的です。
鑑別については、こちらの記事で網羅的にまとめています。
→ 鑑別問題対策|工具・材料・器具の名称と用途を完全網羅
電線・ケーブルの種類と使い分けはこちらです。
→ 電線・ケーブルの種類と用途を徹底解説
よくある間違いと注意点
複線図を描くとき、初学者がやりがちなミスをまとめておきます。
| よくある間違い | 正しい考え方 |
|---|---|
| スイッチに白線をつないでしまう | スイッチには必ず非接地側(黒線)をつなぐ。安全上の理由あり。 |
| コンセントに黒線しかつながない | コンセントは白線・黒線の両方が必要。常に電気が来ている状態にする。 |
| スイッチ記号の「イ」「ロ」を無視する | 同じ記号同士がペア。イのスイッチはイの照明につなぐ。 |
| 接地線(緑)を忘れる | 接地端子付きコンセントやEET付き器具には緑線を忘れずに追加。 |
まとめ
配線図の読み方と複線図への変換について解説しました。ポイントを整理しておきましょう。
- 配線図は電気工事の「作業指示書」。学科試験の約40%を占める最重要分野
- 単線図は設計用(1本線で表す)、複線図は施工用(実際の本数を描く)
- 複線図変換は4ステップ:①白線→負荷・コンセント ②黒線→スイッチ・コンセント ③スイッチ→負荷 ④アース
- スイッチには必ず非接地側(黒線)をつなぐ(感電防止の安全ルール)
- 3路スイッチは0番端子が電源側・負荷側、1番同士・3番同士をつなぐ
何よりも大切なのは、手を動かして何回も描くことです。最初はこの記事を見ながらでOK。何度も描いているうちに、自然と手が覚えてくれますよ。
関連記事
- 図記号一覧 → 「配線図の図記号一覧」
- 材料の拾い出し → 「材料の拾い出し」
- 複線図のルール → 「複線図の基本ルールと書き方」
- 3路・4路スイッチ → 「3路・4路スイッチの複線図」
理解度チェック!まとめ問題
【問題1】
ある住宅のリビングで、天井に照明器具1つとスイッチ1つがある回路を複線図に描くとき、スイッチに接続する電源側の線は次のうちどれか。
イ.接地側電線(白線)
ロ.非接地側電線(黒線)
ハ.接地線(緑線)
ニ.どの線でもよい
【問題2】
洗面所にスイッチ(イ)1つ、照明器具(イ)1つ、2口コンセント1つがある回路がある。この回路を複線図に変換したとき、電源の接地側(白線)が直接つながる器具の組み合わせとして正しいものはどれか。
イ.照明器具とスイッチ
ロ.スイッチとコンセント
ハ.照明器具とコンセント
ニ.照明器具のみ
【問題3】
マンションの廊下に3路スイッチが2つ(①と②)と照明器具1つがある。電源の非接地側(黒線)を3路スイッチ①のある端子に接続する。この端子として正しいものはどれか。
イ.1番端子
ロ.3番端子
ハ.0番端子(共通端子)
ニ.1番端子と3番端子の両方
テキストで配線図の実例を何度も見ると定着が早いです。
配線図は学科50問中20問を占める最大の得点源。過去問の反復で確実に取りましょう。
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