この記事では、配線図の基本形と傍記から器具の役割を説明し、照明の仕様・操作箇所・接地機能を組み合わせて選べるようになります。最初に「何を操作するか」「どの接続機能が必要か」を判断軸にし、H/LやE/ETを確認します。
配線図問題は「記号名」だけを問う科目ではない
電気技術者試験センターによると、第二種の学科試験は50問のうち一般問題30問程度、配線図問題20問程度です。配線図では、記号の名称に加えて、用途、器具の外観、電線本数、材料、施工方法なども問われます。
2026年度上期の問題も、図記号の種類、コンセントの極配置、傍記表示、器具写真、最少心線数などを組み合わせています。「図記号20個を覚えれば20点分」という意味ではない点に注意してください。
試験で使う基準
試験センターは、図記号を原則としてJIS C 0617-1〜13とJIS C 0303:2000に基づいて使用すると案内しています。教材独自の似た絵ではなく、最新の公式問題に印刷された形を基準にしてください。
図記号を読む4ステップ
天井隠ぺい、床隠ぺい、露出など、線の描き方を確認する。
スイッチ、コンセント、照明、遮断器など器具の大分類を決める。
3・4・H・L・E・ET・WP・LK・定格値などを基本形と一体で読む。
省略事項、回路電圧、電線種類、漏電遮断器の条件まで確認する。
傍記だけを単独で見ないことが大切です。同じ英字でも、記号の基本形や図面の種類が違えば意味が変わる場合があります。この記事の「●H」などの表記は傍記を覚えるための略記です。実際の線や器具形状は公式問題で確認してください。

図1では、H/LとE/ET/EETを、文字の丸暗記ではなく器具の役割で比較しました。Hは負荷が切のときに表示灯が点いてスイッチ位置を知らせ、Lは負荷が入のときに表示灯が点いて動作を知らせます。コンセントは、Eがプラグの接地極を受ける極、ETが接地線を接続する端子、EETがその両方です。
器具の模式図は役割を比べるためのもので、製品外観をそのまま描いたものではありません。また、E・ET・EETの図記号から読めるのは器具が備える機能です。接地線が正しく施工され、必要な接地抵抗を満たすことまで図記号だけで断定はできません。
スイッチの傍記|3・4・H・L・A
| 略記 | 名称 | 判断の要点 |
|---|---|---|
| ●3 | 3路スイッチ | 2か所から一つの負荷を点滅する回路の両端 |
| ●4 | 4路スイッチ | 3か所以上で点滅するとき、3路間に入る |
| ●H | 位置表示灯内蔵スイッチ | 「切」で点灯し、暗所でスイッチ位置を示す |
| ●L | 確認表示灯内蔵スイッチ | 「入」で点灯し、負荷の動作を確認する |
| ●A | 自動点滅器 | 周囲の明るさで屋外灯などを自動点滅。容量の傍記も読む |
HとLは「点灯するタイミング」で区別
Hは位置表示灯で、一般に「ほたるスイッチ」と結び付けると覚えやすい記号です。負荷が切れている暗い時間に表示灯が点灯し、スイッチの場所を示します。Lは確認表示灯で、負荷を入れたときに表示灯が点灯します。
「トイレなら必ずL」「廊下なら必ずH」と場所だけで決めないでください。問題文が求めるのは、スイッチの位置を示す機能か、負荷が入っていることを確認する機能かです。
3H・3Lのように組み合わさる
数字と英字が並ぶ場合は、どちらか一方を選ぶのではなく両方を読みます。たとえば「3H」は、3路スイッチであり、位置表示灯も内蔵するという意味です。数字を器具数と誤読しないようにします。
片切・3路・4路は操作箇所数から選ぶ
片切スイッチ1個
3路―3路
3路―4路…―3路
3路スイッチは、2か所から同じ負荷を点滅する基本構成で両端に使います。4路スイッチは「4か所操作用」という意味ではなく、3か所以上で操作するときに両端の3路スイッチの間へ入れる中間器具です。4か所操作なら中間の4路を2個にします。
単相2線式100Vの一般的な照明回路では、片切スイッチを非接地側電線へ入れます。OFF時に負荷側を電源から切り離すためです。詳しい複線図は3路・4路スイッチの複線図の書き方|階段照明の配線を理解しよう|第二種電気工事士 技能試験で確認できます。
位置表示と確認表示の両方を持つ器具はHLと表示されることがあります。図1のHとLの二つの状態を一緒に読むことで、表示灯があるという外観だけで判断する誤りを防げます。
コンセントの傍記|E・ET・EET・WP・LK
| 傍記 | 名称 | 区別 |
|---|---|---|
| E | 接地極付コンセント | プラグの接地極を受ける極がある |
| ET | 接地端子付コンセント | 接地線を接続する端子がある |
| EET | 接地極付接地端子付コンセント | 接地極と接地端子の両方がある |
| WP | 防雨形コンセント | 屋外用。防水と無条件に言い換えない |
| LK | 抜け止め形コンセント | プラグを回して保持する形 |
EとETは役割が別です。Eを接地端子、ETを接地極と逆に覚えないでください。また、図記号から器具の種類は読めても、接地工事が適切に完了していることまでは証明できません。
数字と定格値も傍記
コンセント記号の「2」は口数、「250V」は器具の定格電圧を表します。回路の使用電圧と器具の定格表示は同じ言葉ではありません。たとえば単相200V回路で、定格250Vのコンセントを選ぶ問題があります。回路条件と器具表示を分けて読みます。
定格・WP・LKをまとめて読む
一般用コンセントは、極数・定格電流・定格電圧・口数と傍記を組にして読みます。15A・125V、20A・125V、15A・250V、20A・250Vなどでは刃受形状が異なります。「20A 250Vなら必ずエアコン用」のように用途だけへ固定せず、分岐回路、機器プラグ、定格を対応させます。
- WP:防雨形。屋外という言葉だけでなく、製品の使用状態・設置方向・カバー条件を確認
- LK:抜け止め形。プラグを差して回して保持する構造
- 引掛形:引掛形の刃と刃受で保持する。抜け止め形と同じ名称ではない
2026年度上期の公式問題でも、位置・確認表示灯、接地極・接地端子、コンセントの極配置、抜け止め形防雨コンセントの傍記が、同じ配線図内で別々に問われました。丸暗記ではなく、図記号・傍記・構造を照合する練習が有効です。
W表示は保護接地のE・ETとは別です。Wは電源の接地側電線をつなぐ端子の表示で、機器の接地線を接続する端子という意味ではありません。コンセントの接地極を備えることと、電路の接地側極を区別します。
照明・遮断器・計器の頻出傍記
| 傍記 | 名称 | 読むときの注意 |
|---|---|---|
| DL | ダウンライト | 照明器具の基本形と組み合わせて読む |
| B | 配線用遮断器 | 極数・素子数・定格電流は追加表示を確認 |
| BE | 漏電遮断器 | 感度電流や動作時間は問題条件を確認 |
| Wh | 電力量計 | 分電盤結線図では電源から負荷への位置関係も追う |
光源と照明器具を分ける
光源は光を発生する部分、照明器具は光源、電源装置、ソケット、反射板、カバー、内部配線などを含む器具全体です。LEDモジュールの定格寿命が長くても、器具全体の部品が同じ時間だけ安全に使えるとは限りません。
日本照明工業会は、照明器具の点検・交換時期の目安を8〜10年と案内しています。ただし、これは一律の寿命保証ではなく、周囲温度、点灯時間、電源電圧などで変わります。「LEDは40,000時間だから器具も必ず10年安全」と置き換えないでください。
照明の基本量|lm・lx・K・Ra・lm/W
| 量 | 単位 | 何を表すか |
|---|---|---|
| 光束 | lm(ルーメン) | 光源から出る光の量 |
| 照度 | lx(ルクス) | 面が受ける光束密度。1lx=1lm/m2 |
| 色温度 | K(ケルビン) | 光の色味の尺度。高いほど性能が高いという順位ではない |
| 演色性 | Raなど | 照らした物の色の見え方に関する光源の性質 |
| 発光効率 | lm/W | 光束を消費電力で割った値 |
定格光束1,600lm、消費電力16Wなら、発光効率は1,600lm÷16W=100lm/W(光束を電力で割るため)です。同じ光源名でも製品や点灯装置、測定条件が違えば仕様値は変わるため、LED・蛍光ランプ・白熱電球という名称だけで固定順位を作りません。
照度は距離だけでなく、光の配光、面の角度、反射、遮へいにも左右されます。点光源から面へ垂直に光が当たる等の条件が明示された問題では逆二乗則を使えますが、実際の室内照明を距離だけで決めることはできません。
例題:作業面が受ける照度。机上の2m²の面へ光束800lmが均一に届くと仮定します。照度は受ける光束を面積で割る量なので、E=800lm÷2m²=400lxです。光源から出た光がすべて机に届くとは限らないため、光源の定格光束を無条件にこの800lmへ置き換えません。
白熱・蛍光・HID・LEDの発光原理
| 光源 | 発光の原理 | 器具側で確認するもの |
|---|---|---|
| 白熱電球 | フィラメントを高温にして発光 | 口金、定格電圧・消費電力、器具の許容電力 |
| 蛍光ランプ | 放電で生じる紫外線を蛍光体で可視光へ変換 | ランプ形、点灯方式、安定器との適合 |
| HIDランプ | 金属蒸気中の高輝度放電 | ランプ種類、点灯装置、始動・再始動特性 |
| LED | 半導体の発光素子で電気を光へ変換 | 光束、消費電力、調光・密閉・断熱材・既設器具との適合 |
既設照明のLED化は、口金が合うだけでは判断できません。器具の経年劣化、安定器、調光器、密閉形・断熱材施工器具、ランプの放熱条件などを確認します。直管LEDへの交換で安定器を取り外すなど固定配線を変更する場合は電気工事です。
自動点滅器・人感センサー・タイマ・調光器
| 器具 | 判断軸 | 注意点 |
|---|---|---|
| 自動点滅器 | 周囲の明るさを検知 | 容量の傍記も読む |
| 熱線式自動スイッチ | 人の動き等による赤外線変化を検知 | 検知範囲・負荷条件を確認 |
| タイマ | 時刻・経過時間で制御 | 遅延動作と時刻制御も区別 |
| 調光器 | 光出力を調節 | 照明器具・ランプとの適合が必要 |
LEDには調光可能形と非調光形があり、調光可能形でも制御方式、最小負荷、接続台数等の条件があります。Panasonicも、照明器具とコントローラの双方について起動方式・適合を確認するよう案内しています。消費電力が小さいだけでは互換性を判断できません。
図記号だけでは決められないこと
- 電線本数:単線図では1本の線で回路を表し、心線数が省略されることがある
- 電線太さ・種類:傍記や問題冒頭の共通条件を確認する
- 器具の詳細仕様:極数、素子数、定格電流、感度電流などは追加表示が必要
- 施工の合否:図記号が正しくても、実際の接続・接地・支持方法が正しいとは限らない
2026年度上期問題には、直接関係しない電線本数や太さなどを省略・簡略化しているという注意書きがあります。図にない情報を勝手に補わず、問題文から確定できる範囲だけで答えます。
公式問題を使う3周学習法
- 1周目:図面だけを見て、基本形と傍記を声に出して読む
- 2周目:設問と選択肢を見て、名称・外観・用途のどれを問うか分類する
- 3周目:誤答を「形」「傍記」「条件」のどこで読み違えたか記録する
公式問題は問題用紙だけでなく解答も同時に確認します。過去問題を転載・改変して自作問題のように見せることはせず、この記事の確認問題はすべて当サイト独自の場面設定です。
自己チェック|記号から機能と仕様を説明する
問1:階段の上下2か所で同じ照明を操作し、消灯中に位置を示したい。3Hと3Lのどちら?
解答・解説:3Hです。2か所操作には両端の3路、消灯中の位置表示にはHを使います。3はスイッチの個数ではなく種類です。
問2:同じ照明を4か所から操作する。3路と4路はそれぞれ何個?
解答・解説:両端に3路2個、その間に4路2個です。4路という名称は操作箇所を4か所に固定する意味ではありません。
問3:EETと書かれたコンセントで確認できる接地機能は?
解答・解説:接地極と接地端子の両方です。図記号だけで接地線の施工結果や接地抵抗の適否までは判定できません。
問4:器具の定格が250Vなら、図面の回路電圧も必ず250V?
解答・解説:必ず250Vではありません。定格は器具が使用できる電圧の条件です。単相200V回路で定格250Vのコンセントを用いる例もあり、回路と器具表示を照合します。
問5:光束1,800lm、消費電力18Wの発光効率は?
解答・解説:光束を消費電力で割るため、1,800lm÷18W=100lm/Wです。照度lxは面に届く光束密度なので、この値と混同しません。
問6:口金が合うLEDランプなら、調光器付きの既設器具へ使える?
解答・解説:口金だけでは決まりません。ランプの調光対応、器具・コントローラの方式、密閉・断熱材施工と放熱条件、器具の劣化を確認します。
図記号と器具仕様の参照先
編集日:2026年9月7日。図解・数値例・自己チェックは当サイト独自の学習用です。図記号と器具仕様は下記の試験センター・メーカー・照明工業会資料へ2026年9月7日に照合しました。
- 試験センター:第二種学科試験のポイント
- 試験センター:配線図の公式例題と解説
- 試験センター:2026年度上期第二種学科試験問題
- 試験センター:2026年度上期第二種学科試験解答
- 試験センター:第二種試験の問題と解答
- Panasonic:スイッチ・コンセントの配線図記号
- 電気技術者試験センター:電気機器・配線器具・材料・工具の公式例題
- Panasonic:片切・3路・4路・表示灯付スイッチ
- Panasonic:コンセントと接地極・接地端子
- Panasonic:LED照明器具と調光・調色コントローラの選定
- 日本照明工業会:LED照明器具に関するQ&A
次に進む学習先
次は配線図の読み方・複線図への変換で線を追います。写真で見分ける練習は器具・材料の鑑別問題対策、接続の作図へ進む人は3路・4路スイッチの複線図へ進んでください。
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