1種 候補問題

第一種電気工事士 技能候補問題No.8|電磁開閉器と自己保持回路

この記事を読み終えると、候補問題No.8の電磁開閉器代用端子台の12個のねじに、どの電線が何本来るかを自分で描けるようになり、ジョイントボックスの6組の刻印まで迷わず決められるようになります。

No.8で手が止まるのは、自己保持の理屈そのものより、その理屈を端子台のねじへ写す段階です。端子台は上下2段に12個のねじが並び、補助接点・コイル・熱動継電器・主接点が混ざっています。さらに電流計がv相の途中に入るため、ボックスの中の組み方も変わります。先に端子台とボックスを図にしてから、組み立てに入ります。

令和8年度上期No.8の問題で決まっていること

候補図だけでは、端子の並びも色も決まりません。令和8年度上期(2026年7月4日)の技能試験で出題された候補No.8の問題と公式解答では、回路は次の1本道です。3φ3W 6,600Vから三相変圧器(3P端子台で代用)で200Vを作り、VVR 2.0-3Cでジョイントボックスへ入れ、VVF 1.6-3Cで電磁開閉器(6P端子台で代用)の電源側へ送ります。負荷側から電動機(施工省略)へ出し、押しボタン(1a・1b、既設配線付き)はCVV 2-3Cでつなぎます。

施工条件のうち、作品の形を左右するのは次の7項目です。

施工条件 指定の中身 作品で見る場所
5 電流計は変圧器二次側のv相 ボックスでv相の白が2組に分かれる(図3)
6 変圧器の接地線はv端子 緑のIV 5.5mm2をv端子へ
7② 接地側電線は、電流計の回路を除きすべて白 電流計の往復だけ色が自由
7④ 電磁開閉器の端子相互間は黄色 14-A2・A1-95・96-S(図1の②)
7⑥ ランプレセプタクルの受金ねじ部は白 表示灯の白(図3の⑤)
9 打抜き済みの穴だけをすべて使う ケーブル5本に穴5か所
10 押しボタンの既設配線は変えない 赤・白・黒の3本だけを結ぶ

電磁開閉器の端子台は、上と下の2つで1部品

図1 端子台の12個のねじに、どの線が何本来るか

端子台は令和8年度上期No.8の説明図と同じ並びです。線が交わっている場所のうち、ねじの丸に入っているものだけが結線です。

スマートフォンでは図を横にスクロールできます。

線の色=電線の色。黄は電磁開閉器の端子どうしを結ぶわたり線CVV 2-3C(押しボタンから)VVF 1.6-3C(ジョイントボックスから)押しボタン13A195RST補助a接点コイル熱動b接点主接点(3極)14A296UVWRボックス経由運転表示灯VVF 1.6-3C(電動機へ・施工省略)①②③④⑤
1つのねじに3本集まる端子はありません。2本になるのは図1の③のRとS、図1の④のVとW、そして黄色と押しボタンの黒が重なる14だけです。数えて3本になったら、どこかで線を1本多く引いています。

最初に図1の⑤を見てください。上段は13・A1・95・R・S・T、下段は14・A2・96・U・V・Wで、縦に並んだ2つが同じ部品の両端です。13と14は補助a接点、A1とA2はコイル、95と96は熱動継電器のb接点、RとU・SとV・TとWは主接点です。問題の図3(端子台説明図)に描かれた内部結線は、この縦の対応だけを表しています。

外から来る線は3種類です。図1の①は押しボタンからのCVVで、赤がR、白が13、黒が14。図1の③のR・S・Tには、ジョイントボックスからのVVF 1.6-3Cが赤・白・黒で入ります。下段のU・V・Wからは電動機へ向かうVVF 1.6-3Cが出て、図1の④のVとWからは運転表示灯への線も出ます。

残るのが図1の②の黄色3本です。下段の14とA2、上段のA1と95、そして下段の96と上段のS。最後の1本だけが上下をまたぐので、ここは「96とT」や「96とA1」と取り違えやすい場所です。

押しボタン3本と黄色3本で、1本の道になる

図2 押しボタンの3本と黄色の3本で、R端子からS端子まで1本の道になる

図1の線を、電気が通る順番に縦へ並べ直した図です。ここに描いた接点の形は、どれも押しボタンを押していない状態です。

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押しボタン(中の配線は触らない)電磁開閉器の中CVV 赤R端子(電源側)CVV 白CVV 黒13補助a接点14黄A2電磁コイルA1黄95熱動継電器b接点96黄S端子(電源側)R–S間 200V①②③④⑤
図2の②と③は、13と14の間に並んだ2本の橋です。押している間は②が、離したあとは③が道をつなぎます。どちらの橋を渡っても、その先の④と⑤は同じ1本道です。

図2は図1の線を、電気が通る順番に並べ直したものです。R端子を出た赤は押しボタンに入り、図2の①のb接点(PBOFF)を通ります。その先で白が13へ、始動用のa接点である図2の②を通った黒が14へ向かいます。13と14の間には電磁開閉器の中の図2の③もあるので、②と③は並列です。14から先は黄色でA2、図2の④のコイル、A1、黄色で95、図2の⑤のb接点、96、黄色でSへ戻ります。コイルにかかるのはR相とS相の間の200Vです。

操作 電気が通る道(図2) 結果
PBONを押す ①→②→④→⑤ コイルが働き、主接点と③が閉じる
PBONを離す ①→③→④→⑤ ②が開いても③が道をつなぎ、運転が続く
PBOFFを押す ①が開く コイルが止まり、主接点も③も開く
過負荷になる ⑤が開く 同じくコイルが止まり、自己保持も外れる

押しボタンを離しても止まらないのは、図2の③が②の代わりに道をつないでいるからです。平常時から過負荷までの状態の変化や、停電のあとに勝手に動き出さない理由は第一種電気工事士 制御回路の複線図|自己保持と接点の読み方で詳しく追っています。

電流計は、v相の白の途中に割り込ませる

施工条件5は「電流計は、変圧器二次側のv相に接続すること」です。v相は変圧器から来るVVR 2.0-3Cの白なので、その白をボックスでいったん受け止め、電流計へ行って戻ってきた線を開閉器のSへ送ります。電流計そのものは施工省略側にあり、作品ではボックスから出すVVF 1.6-2Cの2本が往復の道になります。

電流計を直列に入れるのは、そこを流れる電流を測る計器だからです。電流計は内部の抵抗がごく小さいので、2本の線の間に並列につなぐと、測るどころか大きな電流が流れてしまいます。往復の2本は条件7②の「電流計の回路を除き」に当たり、白に限られません。

運転表示灯を負荷側のV相とW相から取る理由

運転表示灯は、主接点が閉じて電動機へ電気を送っている間だけ点く灯です。だから主接点の先にある図1の④のV相とW相の間から取ります。V相の白とW相の黒をVVF 1.6-2Cでいったんボックスへ上げ、別のVVF 1.6-2Cでランプレセプタクルへ送ります。受金ねじ部の端子には白を結びます(条件7⑥)。

同じ「表示灯」でも、電源側から取ると意味が変わります。開閉器の手前と先で役目が分かれる形は候補問題No.5の電源表示灯と運転表示灯で並べて見られます。

ボックスの6組は「小」3つと「○」3つ

図3 v相の白は電流計で2組に分かれ、「○」が3つになる

青い線は電流計の回路です。施工条件7②の白の指定から外れ、公式解答でも色別を問わない線で描かれています。スリーブはすべて小で、刻印だけが「小」と「○」に分かれます。

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ボックスの中の組集まる電線(太線は2.0mm)スリーブ刻印内訳①u相(赤)VVR 赤Rへ 赤小2.0×1+1.6×1②v相の行き(白)VVR 白電流計へ小2.0×1+1.6×1③v相の帰り電流計からSへ 白○1.6×2④w相(黒)VVR 黒Tへ 黒小2.0×1+1.6×1⑤表示灯(白)Vから 白受金へ 白○1.6×2⑥表示灯(黒)Wから 黒表示灯へ 黒○1.6×2A電流計(施工省略)入るケーブルは5本、打抜き済みの穴も5か所(19mm 2・25mm 3)
6組とも2本ずつなのに、刻印が2種類に分かれます。違いは2.0mmが混ざるかどうかだけです。図3の①②④は変圧器から来る2.0mmを含むので「小」、図3の③⑤⑥は1.6mmの2本なので「○」になります。

ボックスに入るケーブルはVVR 2.0-3Cが1本、VVF 1.6-3Cが1本、VVF 1.6-2Cが3本の計5本で、打抜き済みの穴も19mmが2か所・25mmが3か所の5か所です。穴と本数が一致するので、1つの穴に2本通す必要はありません。

図3の①と④は変圧器の赤と黒がそのまま開閉器のRとTへ行く組です。図3の②と③がこの課題の特徴で、同じv相の白が電流計をはさんで2組に分かれます。変圧器側の②は2.0mmを含むので「小」、開閉器側の③は1.6mmの2本なので「○」です。図3の⑤と⑥は表示灯の往復で、どちらも「○」になります。支給のリングスリーブは小が9個(予備を含む)で、使うのは6個です。

変圧器まわりは、3本と接地線1本

変圧器代用の3P端子台はねじが6個で、左の列が一次側(上からW・V・U)、右の列が二次側(上からw・v・u)です。一次側へKIP 8mm2を3本、二次側からVVR 2.0-3Cをu相に赤・v相に白・w相に黒で出します(条件7③)。緑のIV 5.5mm2はv端子に結ぶので、v端子だけ2本になります。上下の並びがuから始まらない点は、課題ごとに違う端子台の読み方として第一種の複線図の書き方で比べています。

No.8を60分で組むときの順番

  1. 端子台2つに名前を書く。変圧器は左列が一次、電磁開閉器は上段と下段の縦の対を確かめます。
  2. 黄色のわたり線3本を先に付ける。14-A2・A1-95・96-Sです。ほかの線が入る前なら、ねじを締めやすくなります。
  3. 押しボタンの3本を結ぶ。既設配線はそのままにし、CVVの赤をR、白を13、黒を14へ。
  4. 変圧器を仕上げる。KIP 3本、VVRの赤・白・黒、緑をv端子へ。
  5. 開閉器からVVFを出す。電源側R・S・Tへ1.6-3C、負荷側U・V・Wから電動機側へ1.6-3C、VとWから表示灯用の1.6-2C。
  6. ボックスで6組を数えてから圧着する。v相の白が2組に分かれていることを確かめ、「小」3つと「○」3つにします。

作品を見直すときの食い違いと戻る場所

見直しで気づく食い違い 原因 戻る場所
14のねじに黄色が入っていない わたり線を13とA2で結んだ 図1の②。黄色は14から出る
Tのねじに2本入っている 96からのわたり線をTへ結んだ 図2の最後はS端子
刻印が小4・○2になる 電流計の往復を1組にまとめた 図3の②③を別の組に分ける
緑の線がSの近くに来る 接地線を開閉器側へ付けた 条件6。変圧器のv端子へ
表示灯の線が電源側から出ている S・Tから取った 図1の④。V・Wから取る

自己チェック(6問)

解説は最初から表示しています。図を見ないで答えられるかを試してください。

問1:始動用の押しボタン(PBON)と並列になっている接点はどれですか。

  1. 13-14の補助a接点
  2. 95-96の熱動継電器b接点
  3. R-Uの主接点
  4. PBOFFのb接点

解答:1(13-14の補助a接点)
図2の②と③が、13端子と14端子の間に並んだ2本の橋です。コイルに電流が流れると③が閉じるので、押しボタンから指を離しても道が切れません。これが自己保持です。4のPBOFFは直列に入っています。

問2:押しボタンから来る制御用ケーブルの黒は、どの端子に結びますか。

  1. R
  2. 13
  3. 14
  4. A2

解答:3(14)
図4の制御回路図は、赤をR、白を13、黒を14に指定しています(図1の①)。14にはA2へ向かう黄色のわたり線も入るので、ここは2本になります。4のA2には黄色だけが来ます。

問3:電磁開閉器の端子どうしを結ぶ黄色の電線は、何本作りますか。

  1. 1本
  2. 2本
  3. 3本
  4. 4本

解答:3(3本)
14とA2、A1と95、96とSの3本です(図1の②)。施工条件7④が「電磁開閉器の端子相互間の配線に使用する電線は、黄色」と指定しています。支給は黄色のIV 2mm2が約500mm 1本なので、これを3本に切り分けます。

問4:電流計を入れる相と、その往復の電線の色について正しいものはどれですか。

  1. u相で、赤を使う
  2. v相で、色の指定はない
  3. w相で、黒を使う
  4. v相で、2本とも白を使う

解答:2(v相で、色の指定はない)
施工条件5が「電流計は、変圧器二次側のv相に接続すること」と指定しています。色は条件7②が「接地側電線は、電流計の回路を除きすべて白色」としているので、往復のVVF 1.6-2Cは白に限られません。公式の複線図でも色別を問わない線で描かれています。

問5:ジョイントボックスの中で「○」の刻印になる接続点は何か所ですか。

  1. 1か所
  2. 2か所
  3. 3か所
  4. 6か所

解答:3(3か所)
図3の③⑤⑥の3か所です。どれも1.6mmの2本だけなので、小スリーブを丸ダイスで圧着します。図3の②と③は同じv相ですが、電流計をはさんで別の組になります。まとめて1組にすると刻印の数が合わなくなります。

問6:運転表示灯を、開閉器の電源側S相とT相の間に結んでしまいました。どうなりますか。

  1. 始動しても点かない
  2. 停止中も点いたままになる
  3. 過負荷のときだけ点く
  4. 動作は変わらない

解答:2(停止中も点いたままになる)
電源側は主接点の手前なので、押しボタンで止めても電圧が残ります。運転表示灯は負荷側のV相とW相の間(図1の④)から取るので、主接点が閉じている間だけ点きます。「運転中」を表す灯として意味をなさなくなります。

No.8の照合に使った公式資料(2026年9月15日確認)

本文の端子記号・電線色・わたり線の位置・電流計と表示灯の接続・接続点の刻印は、次の資料と1つずつ照合しました。図1〜図3は当サイトが描いたもので、公式図の複製ではありません。

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資格太郎

この記事を書いた人:資格太郎電気工事士の独学合格を目指して学習中。公表済みの候補問題と実際に出題された問題・公式解答を分けて照合し、当日の施工条件で確定する部分と、年度が変わっても動かない考え方を区別して編集しています。運営者情報と編集方針

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