この記事を読み終えると、候補問題No.1の単線図を100V・200V・接地の3つの系統に切り分けたうえで、3路スイッチ2個の渡り線がどのボックスを通るのかを自分で追えるようになります。複線図を1本ずつ眺めて迷う状態から抜け出すのが目的です。
No.1は第一種の候補問題の1問目ですが、第二種の課題と比べていきなり要素が増えます。高圧の電源、端子台で代用する変圧器、100Vと200Vの2系統、そして2種類の接地です。ただし増えているのは枝の数であって、1本の枝の描き方は第二種と変わりません。まず枝を分けます。
No.1は変圧器の二次側で3つに分かれる
電気技術者試験センターが公表した令和8年度の候補問題No.1は、電源1φ2W 6,600Vを単相変圧器で受け、二次側から1φ2W 100Vと1φ2W 200Vの2回路を取り出す構成です。ここに接地の枝が加わります。
図1 No.1は、変圧器の二次側から3つの系統に分かれる
候補図を1本の線としてたどらず、電圧と役割ごとに枝を分けてから複線図に落とします。
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図1の①が100Vの枝で、3路スイッチ2個・コンセント・ランプレセプタクルが属します。図1の②が200Vの枝で、2極スイッチ「ロ」と接地極付250Vコンセント「ロ」が属します。図1の③が接地の枝です。
器具の記号「イ」「ロ」は、同じ文字どうしが1つの制御グループであることを示します。図1の④の3路スイッチ2個とランプレセプタクルはすべて「イ」なので、この2個のスイッチが同じ照明を操作します。図1の⑤の2極スイッチと250Vコンセントはどちらも「ロ」で、200V側だけの組です。「イ」の器具と「ロ」の器具を同じ接続点でまとめることはありません。
100V回路:3路スイッチは共通端子と渡り線でできている
照明を2か所から操作する回路が3路スイッチです。3路スイッチには0・1・3の3端子があり、0が共通端子です。
図2 3路スイッチは「共通端子0」と「渡り線2本」でできている
太い青が電気の来ている経路、細い灰色が来ていない経路です。②の渡り線2本は、ジョイントボックスAとアウトレットボックスBの両方を通ります。
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図2の①が共通端子0です。変圧器に近い側では0に非接地側電源が入り、遠い側では0からランプレセプタクルへ出ます。図2の②が渡り線で、端子1どうし・端子3どうしを結ぶ2本です。
点灯側の状態では、電源→3路①の0→端子1→渡り線→3路②の端子1→0→ランプの順に電流の道ができています。消灯側の状態では、3路②だけを端子3へ倒したため、道が途中で切れます。どちらのスイッチを操作しても状態が入れ替わるのは、渡り線2本のどちらを使うかが切り替わるためです。
渡り線はボックスを2つまたぐ
第一種のNo.1で第二種の3路回路と違うのは、この渡り線2本がジョイントボックスAとアウトレットボックスBの両方を通ることです。図2の②の途中に描いた四角と丸が、その2つのボックスです。
複線図では、ボックスの中で線を「組」にします。組を決めるときは、次の順で数えます。
- 接地側どうし:電源の接地側と、ランプレセプタクルの受金ねじ部、コンセントのW端子へ向かう線を1組にします。
- 非接地側どうし:電源の非接地側と、3路スイッチ①の0、コンセントへ向かう線を1組にします。
- 渡り線:3路①の端子1と3路②の端子1で1組、端子3どうしで1組。ここは合計2組になります。
- 点滅線:3路②の0とランプレセプタクルの非接地側で1組にします。
組が決まると、その組に集まる電線の太さと本数から、リングスリーブの大きさと刻印が決まります。刻印を暗記するのではなく、組に何本集まったかを数えて決めます。令和8年度上期の実問題では、渡り線の組は1.6mmが2本で刻印「○」、電源の組は2.0mmと1.6mmが混ざって「小」でした。
200V回路:2極スイッチは2本とも切る
200V側は、変圧器二次の指定された2端子から2極スイッチへ入り、接地極付250Vコンセントへ向かいます。
図3 200V回路は両極を切り、接地は2か所から取る
2極スイッチの2つの接点は連動します。接地は、どこから取るかで役割が変わります。
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図3の①が2極スイッチの内部です。2つの接点が連動して同時に動くので、電源側2本・負荷側2本の合計4本を描きます。200Vの2本はどちらも電圧を持つため、片方だけを開閉する回路にしてはいけません。
接地は2か所から取る
No.1には接地が2つ出てきます。役割も出発点も違います。
| 記号 | どこから取るか | 何を防ぐか |
|---|---|---|
| EB | 変圧器二次側の中性点(o端子) | 高圧と低圧が混ざったときに低圧側の電位が上がること |
| ED | 250VコンセントのE端子 | 器具の金属部が充電したときの感電 |
図3の②が変圧器二次のo端子から出るEB、図3の③が250VコンセントのE端子から出るEDです。EBを変圧器の外箱から引くのは誤りです。どちらも施工省略になることがありますが、複線図では出どころを描き分けます。
色だけで線の役割を決めない
令和8年度上期の実問題の公式複線図では、100V回路が黒(u相)と白(N相)、200V回路が黒(u相)と白(v相)でした。同じ白でも、100V側は接地側の中性線、200V側は電圧のかかる相です。
「白は接地側」と覚えたまま200V回路を描くと、白をランプレセプタクルの受金ねじ部側の組へ入れてしまいます。色は施工条件の指定であって、役割の証明ではありません。端子の記号と行き先で追ってください。
候補図で決まること、当日決まること
候補問題の公表文には、配線図・施工条件等の詳細は試験問題に明記すると書かれています。あわせて、電源・機器・器具の配置は変更する場合があり、機器・器具を端子台で代用することがある、とも書かれています。
| いま練習できること | 当日まで確定しないこと |
|---|---|
| 100V・200V・接地の3系統に分ける手順(図1) | 電線の種類・太さ・長さと寸法 |
| 3路スイッチの0と渡り線の描き方(図2) | 端子台の端子記号と、どの線をどこへつなぐか |
| 2極スイッチと2種類の接地の区別(図3) | 接続点ごとの接続方法と電線色の指定 |
令和8年度上期(2026年7月4日)の技能試験では候補No.1〜No.10のすべてが出題され、問題と解答が公表されています。No.1の複線図は令和7年度上期のものと同じ内容でした。それでも前年の正解を今年の指定として丸暗記しないことが、この課題でいちばん危ない落とし穴です。同じ候補番号でも、材料や施工条件は年度で変わり得ます。
自己チェック(6問)
解説は最初から表示しています。図を見ないで答えられるかを試してください。
問1:3路スイッチ2個でランプを操作するとき、共通端子0につなぐものの組合せはどれですか。
- 両方の0を非接地側電源につなぐ
- 一方の0を非接地側電源へ、他方の0をランプへつなぐ
- 両方の0をランプへつなぐ
- 一方の0を接地側電源へ、他方の0をランプへつなぐ
解答:2(一方の0を非接地側電源へ、他方の0をランプへつなぐ)
図2のとおり、0は回路の入口と出口です。1のように両方を電源につなぐと、渡り線がどちらに倒れても電流の行き先がランプになりません。4の接地側を0へ入れる形にすると、スイッチが接地側を開閉する回路になり、照明が消えていても器具に電圧が残ります。
問2:No.1で、3路スイッチ①と②を結ぶ渡り線は何本必要ですか。
- 1本
- 2本
- 3本
- 4本
解答:2(2本)
図2の②のとおり、端子1どうし・端子3どうしを結ぶので2本です。ここに共通端子0の線は入りません。令和8年度上期の実問題では、この2本が3心ケーブルの中を通り、残る1心が別の役割を持ちました。心数は当日の材料表で確認します。
問3:200V回路の2極スイッチについて、正しい説明はどれですか。
- 接地側の1本だけを開閉する
- 非接地側の1本だけを開閉する
- 2本を同時に開閉する
- 3本を順番に開閉する
解答:3(2本を同時に開閉する)
図3の①のとおり、2つの接点が連動して同時に開閉します。200Vの2本はどちらも対地電圧を持つため、片方だけ切っても切れたことになりません。複線図では、電源側2本と負荷側2本の合計4本を2極スイッチへ描きます。
問4:EB接地線を取り出す場所はどこですか。
- 変圧器の外箱
- 変圧器二次側の中性点(o端子)
- 250VコンセントのE端子
- ジョイントボックスの金属部
解答:2(変圧器二次側の中性点(o端子))
図3の②のとおりです。高圧と低圧が混ざったときに低圧側の電位が上がるのを抑えるための接地なので、出発点は二次側の中性点です。3のE端子から取る接地はEDで、器具の金属部の感電を防ぐ別の接地です。
問5:令和8年度上期No.1の複線図では、200V回路の2本の色はどう指定されていましたか。
- 両方とも黒
- 黒(u相)と白(v相)
- 黒と緑
- 赤と白
解答:2(黒(u相)と白(v相))
100V回路の白がN相(中性線)だったのに対し、200V回路では白がv相という電圧のかかる線でした。「白は必ず接地側」と覚えていると、200V側で白を接地側の組へ入れてしまいます。色ではなく端子の記号で追ってください。
問6:2026年度の公表候補図から、練習前に確定できるものはどれですか。
- 使用する電線の種類・太さ・長さ
- 各接続点の接続方法とリングスリーブの刻印
- 端子台のどの番号へどの線をつなぐか
- 100V系統と200V系統がある回路構成
解答:4(100V系統と200V系統がある回路構成)
候補問題の公表文には、配線図・施工条件等の詳細は試験問題に明記すると書かれています。1〜3は当日の材料表・施工条件・端子台説明図で確定します。練習で身につけるのは、図1のように系統を分けて追う手順のほうです。
この記事で確認した資料と確認日
2026年9月9日に、次の資料の記載内容を確認して本文の回路構成・端子記号・色の指定を照合しました。
- 電気技術者試験センター:第一種電気工事士の技能試験の候補問題
- 電気技術者試験センター:令和8年度第一種電気工事士技能試験候補問題の公表について(PDF)
- 電気技術者試験センター:第一種電気工事士試験の問題と解答
- 電気技術者試験センター:令和8年度上期技能試験 候補No.1の問題(PDF)
- 電気技術者試験センター:同 解答(概念図と複線図)(PDF)
- 電気技術者試験センター:電気工事士技能試験(第一種・第二種)欠陥の判断基準(PDF)
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