受変電設備の基礎

PAS・UGS・SOGの違い|受電点の区分開閉器と波及事故を防ぐしくみ

この記事を読み終えると、受電点の責任分界点にPASやUGSを置く理由と、SOGが地絡と短絡で違う動きをする理由を、図の順に説明できるようになります。

第一種電気工事士の学科では、引込柱や高圧キャビネットの図を示して、「地絡継電装置付高圧交流負荷開閉器」についての記述の正誤を問う問題が繰り返し出ています。長い名前ですが、中身は「負荷開閉器」「地絡を見つける装置」「短絡のときに待つしくみ」の3つです。

受電点には責任分界点があり、そこに区分開閉器を置く

高圧で受電する設備には、電力会社(一般送配電事業者)の配電線と、需要家の構内の設備がつながる点があります。ここを境に、電源側は電力会社、負荷側は需要家が設備の保安を受け持ちます。この境目が責任分界点です。

図1 受電点の2つの形と、責任分界点

左は電柱から引き込む架空引込、右は地面の下から引き込む地中引込です。

架空引込(PAS)
電力会社の引込線①PAS②受電設備へSOG③需要家の引込柱

①責任分界点。電力会社の引込線と、需要家の設備がつながる点。
②PAS。引込柱の上に取り付ける区分開閉器。
③SOG制御装置。制御ケーブルでPASとつながる。

地中引込(UGS)
UGS④⑤電力会社の配電線受電設備へ高圧キャビネット

④高圧キャビネット(電力会社の供給用配電箱)。
⑤UGS。キャビネットの中に取り付ける区分開閉器。責任分界点は、UGSの電源側の接続点になる。

図1で押さえるところ:②と⑤は、どちらも責任分界点のすぐ負荷側にあります。構内の事故を、電力会社の配電線へ出ていく手前で切り離すための位置です。

架空引込では、図1の①が責任分界点で、すぐ負荷側の引込柱の上に図1の②のPASを取り付けます。地中引込では、図1の④の高圧キャビネットの中に図1の⑤のUGSを取り付けます。責任分界点に設けるこれらの開閉器を、区分開閉器と呼びます。試験でも「GR付PASは、保安上の責任分界点に設ける区分開閉器として用いられる」が正しい記述として出ています。

責任分界点の細かい位置は、電力会社との取り決めで決まります。東京電力パワーグリッドの資料では、架空引込の場合、需要家が設けた引込線取付点での接続点としています。

PASとUGSの違いは、引込みが架空か地中か

比べる点 PAS UGS
名前 Pole Air Switch(柱上の気中負荷開閉器) Underground Gas Switch(地中線用のガス負荷開閉器)
取り付ける場所 架空引込の引込柱の上 地中引込の高圧キャビネットの中
接点のまわり 空気 SF6ガス(空気のものはUASと呼ぶ)
SOG制御装置との組み合わせ あり あり
短絡電流の遮断 できない できない

どちらを使うかは引込みの形で決まり、働きは同じです。電柱から引き込むならPAS、地中から引き込むならUGSです。地中線用で、接点のまわりがガスではなく空気のものはUASと呼びます。

地中引込の責任分界点には、モールドジスコン(MDS)が使われている設備もあります。MDSは断路器の一種で、地絡と短絡の保護機能を持ちません。UGSとの違いは、事故のときに自動で開くかどうかです。

区分開閉器の中身は、開閉器・零相変流器・SOG制御装置の組

図2 区分開閉器は「開閉器・零相変流器・SOG制御装置」の組

破線の枠の中が、柱の上やキャビネットの中にある本体です。

配電線から①②開閉器の本体受電設備へSOG制御装置③零相電流の信号開く合図④
図2の読み方:電流を入り切りするのは②、事故を見つけるのは①と③です。「GR付PAS」のGRは地絡継電装置のことで、③の中に入っています。

図2の②の負荷開閉器だけでは、事故が起きても開きません。図2の①の零相変流器(ZCT)が、地絡のときにだけ現れる零相電流を取り出し、図2の③のSOG制御装置が「地絡が起きた」と判定して、図2の④の合図で開閉器を開きます。短絡のときの過電流を検出してロックするしくみも、この組の中に入っています。制御装置を動かす電源は、開閉器に内蔵した計器用変圧器(VT)から取る形があります。

SOGは Storage Over current Ground の略で、SOは過電流を覚えておいて後で開く動き、Gは地絡で開く動きを表します。試験では「過電流蓄勢トリップ付地絡トリップ形」と書かれます。

SOGは、地絡ならすぐ開き、短絡なら待ってから開く

図3 SOGの2つの動き(地絡のときと、短絡のとき)

左は地絡、右は短絡が構内で起きた場合です。開閉器が開くタイミングが違います。

G動作(地絡のとき)
①構内で地絡が起きる

②零相変流器が零相電流を取り出し、地絡継電装置が判定する

③開閉器がすぐに開く。配電線は停電しない
SO動作(短絡のとき)
④構内で短絡が起きる

⑤過電流を検出し、開閉器を開かないようにロックする

⑥電力会社側の遮断器が動作し、配電線が停電する

⑦電圧も電流もない間に、開閉器が自動で開く

⑧配電線の送電が再開しても、事故のある構内には電気が届かない
図3で取り違えやすいところ:図3の地絡側は、過電流ロックが働かない地絡を示しています。短絡などでロック電流以上の過電流を検出すると、配電線が停電してから開きます。地絡と過電流が重なった場合も、ロックが優先されます。

過電流ロックが働かない地絡では、設定された地絡動作時間を経て、図3の①から図3の③へ進みます。構内の地絡を、電力会社の配電線を止めることなく切り離すので、ほかの需要家は気づきません。

短絡のときは、図3の⑤で開閉器をいったんロックします。図3の⑥で電力会社側の遮断器が短絡電流を遮断して配電線が停電すると、図3の⑦で、電気が来ていない間に開閉器が自動で開きます。試験の言葉では「負荷開閉器を一旦ロックし、一般送配電事業者側の遮断装置の動作後、無充電の状態で自動的に負荷開閉器を開路する」です。この文の「短絡事故」を「地絡事故」に入れ替えた記述が、誤りの選択肢として出ます。

短絡のときに待つのは、負荷開閉器が短絡電流を遮断できないから

PASもUGSも負荷開閉器で、開閉できるのは負荷電流までです。短絡電流を遮断する能力を持たないので、短絡電流が流れている最中に開くわけにはいきません。そこで、過電流を検出したら開かないようにロックする機能が要ります。

遮断しない代わりに、短絡電流が流れている間は壊れずに耐えなければなりません。この能力を表すのが定格短時間耐電流で、系統(受電点)の短絡電流以上のものを使います。試験では、UGSについて「短絡事故を遮断する能力を有する必要がある」が不適切な記述、「定格短時間耐電流は、系統(受電点)の短絡電流以上のものを選定する」が適切な記述として出ています。

なお、受電設備の主遮断装置より負荷側の短絡は、主遮断装置のVCBや限流ヒューズが遮断します。開閉器ごとの切れる電流の違いは、VCB・DS・LBS・PASの違いで比べています。

波及事故は、1軒の事故で配電線ごと停電すること

波及事故とは、ある需要家の設備の事故が原因で、その地域一帯を停電させるなど、電力の供給に支障を出す事故のことです。

図4 波及事故と、区分開閉器の役目

1本の配電線に、需要家A・B・Cがつながっています。小さな四角が、それぞれの区分開閉器です。

区分開閉器が働かないと
配電用変電所切A 事故B 停電C 停電①②③配電線

①需要家Aの構内で事故が起きる。
②変電所の遮断器が開き、配電線が止まる。
③事故のないB・Cも停電する(波及事故)。

区分開閉器が働くと
配電用変電所入A 事故B 受電C 受電④⑤配電線

④Aの区分開閉器が開き、Aだけを切り離す。
⑤B・Cは受電を続けられる。

図4の意味:区分開閉器は、自分の設備を守るというより、同じ配電線につながるほかの需要家を停電させないための装置です。

図4の①の事故を構内で切り離せないと、図4の②のとおり配電線の元にある遮断器が開き、図4の③のように関係のない需要家まで停電します。区分開閉器があれば、図4の④で事故の構内だけを切り離せます。地絡ならそのまま図4の⑤の状態になり、短絡なら配電線がいったん止まった後に、事故の構内を除いて送電を再開できます。

地絡継電装置は電力会社側と協調させ、ケーブルが長ければ方向性にする

区分開閉器の地絡継電装置は、電力会社側の地絡保護より先に動作しなければ意味がありません。先に配電線の側が止まると、図4の③と同じことが起きるからです。そのため、動作する電流と時間を、電力会社側の保護装置と協調させます。試験でも「波及事故を防止するため、一般送配電事業者側との保護協調が必要である」が適切な記述です。

もう1つ問われるのが、よその事故で開いてしまう不必要動作です。構内の高圧ケーブルが長いと、対地静電容量が大きくなり、ほかの需要家の地絡事故のときにも自分の零相変流器に電流が流れます。電流の大きさだけを見る地絡継電装置は、これを構内の事故と取り違えます。このような設備には、電流の向きも見る地絡方向継電装置を使います。「地絡過電圧継電器」と書いた選択肢は誤りです。零相電流と零相電圧を取り出すしくみは、ZCT・ZPD・EVTの違いで扱っています。

高圧の受電は1回線が基本。回線を増やす方式もある

ここまでの図は、電力会社から1本の回線で受電する形でした。受電の方式は、回線の数とつなぎ方で分けられます。

図5 受電の回線方式

電力会社から何本の回線で受電するかの違いです。青い線が、ふだん電気が流れている回線です。

①1回線受電
電力会社の配電線受電設備

1本の回線で受電する。高圧受電の基本の形。

②本線予備線受電
電力会社の配電線本線切予備線受電設備

2本の回線を引き、ふだんは本線で受電する。本線が止まったら予備線へ切り替える。

③スポットネットワーク受電
特別高圧の配電線ネットワーク母線負荷

特別高圧の回線ごとに変圧器を置き、二次側を1つの母線でつなぐ。

図5の見方:①は回線が止まれば停電し、②は切り替えるまでの間だけ停電します。③は、1回線が止まっても残りの回線で受電を続けられます。

高圧の受電は、図5の①の1回線受電か、図5の②のような2回線(本線と予備線)の受電です。2回線にしても、ふだん受電しているのは本線だけです。

特別高圧では、このほかに環線(ループ)受電と、図5の③のスポットネットワーク受電があります。スポットネットワーク受電は、22kVまたは33kVの配電線の2〜4回線から同時に受電し、変圧器の二次側を1つの母線でつなぐ方式で、1回線が止まっても支障なく受電を続けられます。

自己チェック|事故の種類から、区分開閉器の動きを答える

解説は最初から表示しています。図3を見ないで、地絡と短絡の動きを言い分けられるかを試してください。

問1:SOG機能付きのPASを設けた需要家の構内で、高圧ケーブルに地絡事故が起きました。過電流ロックが働かず、地絡保護が正常に動作する場合のPASの動きとして正しいものはどれですか。

  1. PASをいったんロックし、配電線が停電してから開く
  2. 配電線を停電させることなく、すぐに開く
  3. 地絡では開かず、受電設備の主遮断装置が開くのを待つ
  4. 電力会社側の遮断器と同時に開く

解答:2(配電線を停電させることなく、すぐに開く)
図3の①〜③のG動作です。図3の④〜⑦は、短絡などで過電流ロックが働く場合の動きです。選択肢の「すぐに」は配電線の停電を待たないという意味で、設定された地絡動作時間はあります。

問2:同じ需要家の構内で、今度は短絡事故が起きました。PASがすぐに開かない理由として正しいものはどれですか。

  1. PASは負荷開閉器で、短絡電流を遮断する能力がないから
  2. SOG制御装置は地絡しか検出できないから
  3. 短絡電流は零相変流器を通らないから
  4. 短絡事故は構内の主遮断装置だけで処理する決まりだから

解答:1(短絡電流を遮断する能力がないから)
PASは負荷電流までしか開閉できません。そこで図3の⑤のとおりロックし、図3の⑥で配電線が止まって電流が流れなくなってから、図3の⑦で開きます。SOG制御装置は過電流も検出しています。

問3:地中引込の受電点に設けるUGSに求められる性能として、正しいものはどれですか。

  1. 短絡電流を遮断できること
  2. 地絡事故のときは、配電線が停電するまでロックすること
  3. 定格短時間耐電流が、受電点の短絡電流以上であること
  4. 定格遮断電流が、受電点の短絡電流以上であること

解答:3(定格短時間耐電流が、受電点の短絡電流以上)
UGSも負荷開閉器なので、短絡電流の遮断はしません。配電線が止まるまで短絡電流が流れても壊れないように、定格短時間耐電流を受電点の短絡電流以上にします。定格遮断電流は遮断器の定格です。

問4:架空引込の高圧受電設備で、保安上の責任分界点に設ける区分開閉器として使われるものはどれですか。

  1. 受電室のDS(断路器)
  2. 主遮断装置のVCB
  3. 変圧器の一次側のPF付LBS
  4. 引込柱のGR付PAS

解答:4(引込柱のGR付PAS)
図1の②の位置です。DSは点検のために電路を切り離す機器で、区分開閉器ではありません。VCBとPF付LBSは、責任分界点より負荷側の受電設備の中にあります。

問5:構内の高圧ケーブルが長い需要家で、ほかの需要家の地絡事故のときに自分のPASが開いてしまうのを防ぐには、何を使いますか。

  1. 地絡過電圧継電器
  2. 過電流継電器
  3. 地絡方向継電装置
  4. 不足電圧継電器

解答:3(地絡方向継電装置)
ケーブルが長いと対地静電容量が大きく、よその地絡でも自分の零相変流器に電流が流れます。地絡方向継電装置は電流の向きを見て、構内の地絡のときだけ動作します。

問6:本線予備線受電の設備で、本線が停電しました。受電の状態として正しいものはどれですか。

  1. 何もしなくても、停電せずに受電を続けられる
  2. 予備線へ切り替えるまでの間は停電する
  3. 予備線にも同時に電気が流れているので、負荷が半分になる
  4. 電力会社が本線を直すまで受電できない

解答:2(予備線へ切り替えるまでの間は停電する)
図5の②のとおり、ふだん電気が流れているのは本線だけです。1回線が止まっても停電しないのは、図5の③のスポットネットワーク受電です。

受電点の決まりと、試験での問われ方の出どころ

更新履歴:2026年10月25日 地絡と過電流が重なる場合のロック優先と、地絡動作時間の前提を補足しました。 戸上電機製作所:GR付PASのSOG動作を照合しました。

2026年10月1日に、次の資料の記載内容を確認して、本文の責任分界点・SOGの動作・受電の方式と図を照合しました。

更新履歴:2026年10月1日 図1〜図5と自己チェックを加え、責任分界点・SOGの動作・受電の方式を順に追う構成に改めた

次に読む記事

次はPF・S形とCB形の違いへ進んでください。受電点の次に電気が通る、受電設備の主遮断装置を扱います。

地絡を見つけるしくみは、ZCT・ZPD・EVTの違いで確かめられます。

開閉器どうしの違いに戻るなら、VCB・DS・LBS・PASの違いです。

資格太郎

この記事を書いた人:資格太郎電気工事士の独学合格を目指して学習中。試験センターの問題と、電力会社・メーカーの公開資料を照合し、受電点のしくみを図にして整理しています。運営者情報と編集方針

※当サイトの図は学習用に自作した模式図で、実際の機器・器具とは外観や寸法が異なる場合があります。問題・解答の内容には細心の注意を払っておりますが、誤りが含まれる可能性があります。学習の参考としてご活用いただき、最終的な確認は公式テキスト・法令等で行ってください。当サイトの情報に基づく判断によって生じた損害について、一切の責任を負いかねます。

内容の誤りやお気づきの点がございましたら、お問い合わせフォームよりご連絡いただけますと幸いです。正確な情報をお届けできるよう、随時修正してまいります。

-受変電設備の基礎

← 戻る