結論:番号を機器名へ置換せず、入力から遮断・状態復帰まで同じタグで追う
27・50・51・52・59・67・81・86・87は、主に電力系統の機能を短く表す番号です。OCR・DGR・UVR・VCBは機器や継電器の英語略号で、必ずしも1対1ではありません。採用規格・凡例→入力変成器→機能→論理→出力→遮断器→状態復帰の七層に分け、現物・整定表・試験記録を結びます。
この記事は保護継電器の種類と整定の繰り返しではありません。単線結線図にある番号を、CT・VT二次回路、多機能リレーの有効要素、出力マトリクス、VCB引外し回路、事故後の復旧条件まで同じ回路タグで照合することが役割です。
番号表だけで整定変更、試験、86復帰、52投入を行わないでください
同じ番号でも、採用規格の版、接頭辞・接尾辞、入力演算、保護範囲、ブロック条件、出力先が異なります。実設備では電気主任技術者等の管理下で、承認図、図面凡例、保護連動表、現行取扱説明書、試験要領、復旧・再投入手順を優先してください。
番号を7層で読む|凡例・入力・機能・論理・出力・遮断・復帰
図面上の51を「OCR」と日本語化しただけでは、どのCTコアを使い、どの整定と論理を通り、どの52を開放するかが分かりません。図番・回路タグを主キーにし、七層すべてに証拠を置きます。
多機能リレーでは、1台の筐体に27、50、51、59、67、81等が入ります。ライセンスや設定により機能が無効な場合もあり、機能が「存在する」ことと「保護に使用中」であることは別です。
保護の完了は、継電器のTRIP LEDが点灯した状態ではありません。出力接点、制御電源、トリップコイル、主接点開放、電流消滅、事故隔離、再投入禁止までを一つの状態遷移として残します。
| 区分 | 確認する事実 | 完了・判断の証拠 |
|---|---|---|
| 凡例・規格 | 採用規格、版、図面凡例、個別注記 | 図面首頁・記号表 |
| 入力 | CT・VT・ZCT・ZPD、比、極性、対象相 | 単線図・端子台図 |
| 機能 | 27/50/51/59/67/81/87の有効・無効 | 設定一覧・版 |
| 論理 | AND/OR、時限、ブロック、インターロック | 論理図・出力マトリクス |
| 出力・遮断 | 86/94、接点、制御電源、52、対象範囲 | 展開図・連動試験 |
| 復帰 | 52a/52b、電流消滅、表示、ロック、再投入条件 | 事故・復旧記録 |
3種類の表記を分ける|機能番号・英語略号・設備タグ
機能番号は主に「何をする機能か」を示します。英語略号はOCR、DGR、UVR、VCBのように継電器名や機器方式を短く表し、設備タグはRLY-01、52-1、CB-3のように個体を識別します。
50と51を1台のOCRが兼ねる、52と表記された遮断器がVCBまたは別方式である、67相当の方向要素がDGRの一部で使われるなど、三者は別の軸です。表記を1対1の置換表にしません。
事故記録では「51動作」で終わらず、設備タグ、機能インスタンス、整定グループ、出力リレー、開放した52を分けます。同じ51でもフィーダ、変圧器、後備保護で別のインスタンスです。
| 区分 | 確認する事実 | 完了・判断の証拠 |
|---|---|---|
| 機能番号 | 51、67、87など。判定・制御機能 | 採用規格と凡例 |
| 英語略号 | OCR、DGR、UVR、VCBなど。機器・方式名 | メーカー資料と図面凡例 |
| 設備タグ | RLY-01、52-1、CB-3など。個体識別 | 機器リスト・現物銘板 |
| 機能インスタンス | 51P-1、51G-1等の設定された一要素 | 設定ファイル・出力先 |
採用規格と凡例|最新規格だけで既設図の意味を上書きしない
IEEE C37.2-2022は、電力系統の機能番号、略号、接点表記を扱う現行の活性規格です。一方、国内にはJEM 1090、JEM 1093等の制御器具番号に関する規格があり、設備所有者・設計者独自の凡例も併用されます。
したがって、2008年以前の図面や独自規程を、2022年版の表だけで再解釈しません。図面が採用した規格の名称・版、凡例、改訂履歴を先に固定し、不明な番号は承認図・メーカー図・旧版資料へ戻ります。
一つのプロジェクト内でも、単線図、展開図、シーケンス図、IED設定画面で表記が異なることがあります。文字列の一致ではなく、同じ入力・出力・保護範囲を指しているかでクロスリファレンス表を作ります。
代表番号を機能群で読む|27・50・51・52・59・67・81・86・87
番号一覧は記憶用ではなく、図面を読み始める索引です。27と59はVT系、50・51はCT系、67は電圧等の基準量と電流の位相関係、87は保護範囲両端の量など、必要な入力と比較方法が異なります。
52は交流遮断器の機能番号であり、保護継電器の一種ではありません。86や94も事故検出の入力要素とは異なり、検出後の保持・トリップ系で現れます。「番号はすべて継電器」とまとめません。
各機能の整定・波形・協調は保護協調曲線、OVR・UVR・OFR・UFR、変圧器保護等の専用記事で照合し、ここでは出入力経路を主題にします。
| 区分 | 確認する事実 | 完了・判断の証拠 |
|---|---|---|
| 27 / 59 / 81 | 不足電圧 / 過電圧 / 周波数 | VT入力、対象相、動作・復帰値 |
| 32 / 67 | 方向電力 / 交流方向過電流 | CT・VT/Voの相対応、極性、動作方向 |
| 49 / 50 / 51 | 熱、瞬時過電流、交流限時過電流 | 測温・熱モデル、CT、時限・曲線 |
| 52 | 交流遮断器 | トリップコイル、主接点、52a/52b |
| 86 / 94 | ロックアウト / トリップ系の補助機能 | 起動要素、保持範囲、出力接点、復帰条件 |
| 87 | 差動保護 | CT範囲、比・位相補正、安定化、遮断対象 |
接頭辞・接尾辞・接点表記|G・N・T・B・a・bを固定辞書にしない
51G、67N、87T、87B、81U等の表記は、機能を保護対象・入力・方向等で絞るために使われます。ただし、GとNの使い分け、U/OとL/Hの選択、Pの意味等は図面・メーカー・設備所有者で異なる場合があります。
52aは一般に52主接点が閉で閉じ、52bは主接点が開で閉じる状態復帰に使われます。しかし、その接点だけで台車試験/接続位置、スプリング蓄勢、トリップ回路健全性まで証明できるとは限りません。
接尾辞と盤番号・フィーダ番号を混ぜないよう、記号の構文を分解します。例えば51P-1は「機能51」「接尾辞P」「インスタンス1」なのか、プロジェクト凡例で項目ごとに分けます。
| 区分 | 確認する事実 | 完了・判断の証拠 |
|---|---|---|
| 51G / 51N | 地絡・中性点側過電流の候補 | ZCT/3CT残留/中性点CT、接地方式 |
| 67G / 67N | 方向性地絡・中性点方向要素の候補 | Io・Vo、極性、正逆方向 |
| 87T / 87B | 変圧器 / 母線差動の候補 | 境界CTと遮断対象で保護範囲を確定 |
| 81U / 81O | 不足 / 過周波数の候補 | 整定表、連系要件、メーカー記号 |
| 52a / 52b | 遮断器主接点の閉 / 開状態復帰 | 展開図の基準状態、引出位置、回路用途 |
多機能IEDを読む|有効機能・整定グループ・出力マトリクスを分ける
多機能保護リレーのカタログに機能番号が並んでいても、その設備ですべてが使われているとは限りません。ライセンス、ファームウェア、有効化、整定値、適用グループ、入力割当、出力割当を別に取得します。
例えば51Pと51Gが両方有効でも、異なるCT入力と整定を使い、一方は警報、一方は遅延トリップとして出力される場合があります。機能名だけでは論理を復元できません。
設定ファイルは作成日ではなく、装置から読み出した実装値、承認済み値、図面値の三者を比較します。差があれば、どれが正しいかを推測で上書きせず、運用制限と確認責任者を記録します。
4つの保護経路を照合する|過電流・電圧周波数・地絡方向・差動
番号の役割は、実際の入力から出力まで矢印で結ぶと分かります。過電流はCT→50/51→出力接点→52、電圧・周波数はVT→27/59/81→解列用52というように、検出量と遮断対象を同時に追います。
地絡方向はZCTのIoとZPD・EVT等のVo、差動は保護範囲両端のCTを必要とします。入力源が異なるため、同じリレー筐体内にあっても、試験と不具合切分けは別経路です。
短絡保護の整定はOCR整定計算、地絡保護の入力はZCT・ZPD・EVTとGR・DGR・OVGR、差動保護の境界は変圧器保護で詳細を照合します。
| 区分 | 確認する事実 | 完了・判断の証拠 |
|---|---|---|
| 過電流 | CT→50/51→論理・時限→52 | 動作値、全遮断時間、上下位協調 |
| 電圧・周波数 | VT→27/59/81→解列・発電停止 | 計測成立電圧、FRT、再連系条件 |
| 地絡方向 | ZCT+ZPD/EVT→67系要素→対象開放 | Io・Vo・位相、正逆方向、保護範囲 |
| 差動 | 境界両端CT→87→86・複数52 | 比・位相補正、安定化、全遮断対象 |
52・86・94の出力系|検出、保持、遮断、再投入禁止を分ける
87や51がピックアップしたこと、出力接点が動作したこと、86が保持したこと、52が開放したことは別の状態です。事故の原因要素、トリップ経路、実際の電流遮断を同じ時刻軸に置きます。
86は重大事故後に複数の遮断器をトリップし、手動または承認された条件まで再投入を防ぐ用途で使われます。しかし、86の保持範囲・復帰方式・電源は設備ごとに確認します。86を復帰したことは、事故原因が修復された証明ではありません。
94はトリップ系の補助リレー等として現れることがあります。番号だけでロックアウトの86と入れ替えず、入力接点、自己保持、出力先、トリップコイル、二重化、回路監視まで展開図で確定します。
試験と事故記録|ピックアップから電流消滅・復旧まで時系列で残す
継電器単体試験の「51良」だけでは、CT入力、極性、論理、出力接点、制御電源、遮断器を含む保護回路の成立を証明できません。保護継電器試験の単体、入力回路、方向・論理、連動遮断、復旧を別の結果にします。
事故時はリセットや再投入より先に、オシログラフ、イベントログ、保護要素、出力リレー、86、52a/52b、上位・隣接保護を保存します。装置間の時刻同期とタイムゾーンも記録します。
ピックアップと動作、トリップ出力と52開放、主接点開放と電流消滅を混ぜません。全遮断時間は、試験器の継電器動作時間だけでは閉じません。
| 区分 | 確認する事実 | 完了・判断の証拠 |
|---|---|---|
| 待機 | 有効機能、整定グループ、入力、制御電源 | 事故前値・設定版 |
| ピックアップ | 起動要素、入力値、位相、時刻 | イベントログ・波形 |
| 動作・出力 | 時限満了、論理成立、出力接点、86/94 | SOE・出力マトリクス |
| 遮断 | 52トリップ、52a/52b変化、電流消滅 | 展開図・波形・現地表示 |
| 復旧 | 原因隔離、試験線撤去、設定・図面・監視の一致 | 復旧承認・再投入条件 |
変更と復旧を閉じる|順照合・逆照合で孤立した機能と出力を残さない
継電器更新で機能番号が同じでも、入力定格、演算方式、整定範囲、時限曲線、出力接点の容量、制御電源、自己監視、通信・時刻同期が変わり得ます。新旧対応表を機能・入力・出力ごとに作ります。
順照合ではCT・VT・ZCTから機能、論理、出力、遮断器へ進みます。逆照合では各52のトリップコイルから、起動可能な全接点、機能、検出器へ戻ります。受変電設備の単線結線図と展開図の両方で保護範囲が一致するか確認します。
復旧は新設継電器が起動した時点ではありません。承認済み整定の実装、入力極性、全出力先、ブロックとインターロック、警報・通信、時刻同期、試験器撤去、図面・設定バックアップを確認し、未完了事項に運転制限と期限を付けます。
公式資料・一次情報
- IEEE Standards Association:IEEE C37.2-2022
- 日本電機工業会:JEM・JEM-TR規格一覧
- 日本電機工業会:JEM規格番号一覧
- 電気技術者試験センター:第一種配線図例題
- 電気技術者試験センター:第一種試験の問題と解答
- オムロン:保護継電器の技術解説
- オムロン:保護継電器テクニカルガイド
- 三菱電機FA:方向性地絡継電器の保護
- 三菱電機FA:過電流継電器の保護
- Schweitzer Engineering Laboratories:Protection Relays
内容確認日:2026年9月2日。対象設備の承認図、現行取扱説明書、契約・運用基準を優先してください。
目的から選ぶ関連記事
| 目的 | 次に読む記事 | 確認できる境界 |
|---|---|---|
| 図面の全体 | 単線結線図の読み方/受変電設備の図記号 | 保護範囲、機器タグ、凡例 |
| 入力回路 | CT・VT・VCT・ZCT/CT・VT二次回路 | 比、極性、端子、入力負担 |
| 電圧・地絡 | 27・59・81/GR・DGR・OVGR | 動作値、時限、Io・Vo・方向 |
| 電力・差動 | RPR・UPR/変圧器保護 | 32、67P、87T、86 |
| 過電流協調 | 保護協調曲線/OCR整定計算 | 50・51、CT一次換算、全遮断 |
| 出力・試験 | VCB引外し回路/保護継電器試験/警報回路 | 52a/52b、制御電源、連動・復旧 |
広告・検証方針
この記事内に保護継電器、試験器、配電盤、通信講座のアフィリエイトリンクは掲載していません。2026年9月2日にIEEE現行規格の公開情報、JEMA規格一覧、試験センター、メーカー公式資料へ再照合しました。七層照合、機能インスタンス、事故・復旧状態の管理方法は当サイトの編集構成です。
※当サイトの画像にはAI生成のものが含まれており、実際の機器・器具とは外観が異なる場合があります。問題・解答の内容には細心の注意を払っておりますが、誤りが含まれる可能性があります。学習の参考としてご活用いただき、最終的な確認は公式テキスト・法令等で行ってください。当サイトの情報に基づく判断によって生じた損害について、一切の責任を負いかねます。
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