1種 複線図の書き方 第一種電気工事士

第一種電気工事士 制御回路の複線図|自己保持と接点の読み方

この記事を読み終えると、制御回路図の接点を「何もしていないときの形」から読み取り、押しボタン・補助接点・熱動継電器の接点が開くか閉じるかを場面ごとに追って、自己保持が続く理由と解ける理由を自分で説明できるようになります。

令和8年度の第一種の技能試験の候補で、押しボタンと電磁開閉器の制御回路を作るのはNo.8です。複線図は線の本数と色をそろえる道具ですが、制御回路はそれだけでは確かめきれません。接点がいつ開いていつ閉じるかを頭の中で動かせないと、つなぎ方が正しいかどうかを判断できないからです。作品の材料・色・端子は候補問題No.8の記事で扱い、この記事は回路の動きに絞ります。

制御回路図の接点は、何もしていないときの形で描く

a接点は、何もしていないときに開いていて、動かすと閉じる接点です(NO:Normally Open)。b接点はその逆で、何もしていないときに閉じていて、動かすと開きます(NC:Normally Closed)。「何もしていない」とは、押しボタンを押していない、コイルに電流が流れていない、熱動継電器が動作していない状態のことです。

図1 制御回路図の接点は「何もしていないとき」の形で描く

上の段が回路図に描かれる形、下の段が動かしたときの形です。a接点は動かすと閉じ、b接点は動かすと開きます。

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何もしていない動かしたとき①PBON押しボタンのa接点E開E閉押している間②PBOFF押しボタンのb接点E閉E開押している間③13-14電磁接触器の補助a接点開閉コイルが励磁中④95-96熱動継電器のb接点閉開過負荷で動作オレンジ=閉じていて電流が通れる 灰色=開いていて通れない
回路図の上で最初から閉じて描かれているのは、図1の②と④のb接点だけです。ほかの接点は、押す・コイルに電流が流れるといった「きっかけ」があって初めて閉じます。

図1の①の始動用押しボタン(PBON)と図1の③の補助接点13-14はa接点、図1の②の停止用押しボタン(PBOFF)と図1の④の熱動継電器の95-96はb接点です。回路図で開いた形に描かれている接点は、壊れているのではなく、きっかけがあれば閉じる接点だということです。

「ONはa、OFFはb」と名前で覚えると、補助接点や熱動継電器の接点で迷います。記号の形から、何もしていないときに開いているか閉じているかを読みます。

No.8の制御回路は、R端子からS端子までの1本の道

令和8年度上期No.8の問題の図4(制御回路図)では、電磁開閉器の電源側のR端子を出た電流が、PBOFF → PBONと13-14の並列 → 14 → A2 → 電磁コイル → A1 → 95-96 → S端子と進みます。制御回路の電源はR–S間で、配線図では3φ3W 200Vの回路です。道が2本に分かれるのはPBONと13-14の区間だけで、ほかはすべて直列です。

この道は、役目で3つの区間に分けると読みやすくなります。

  • 止める区間:PBOFF。並列の区間より上流にあるので、ここを開けば2本の枝をまとめて切れる
  • 始動と保持の区間:PBONと13-14の並列。どちらか一方が閉じていれば、コイルまで電流が届く
  • 動かす・守る区間:コイルと95-96。95-96が開けば、どちらの枝から来た電流も止まる

端子の色と、黄色のわたり線3本(14-A2・A1-95・96-S)の結び方は、第一種電気工事士 技能候補問題No.8|電磁開閉器と自己保持回路の図で1本ずつ確かめられます。

始動・保持・停止・過負荷を、4つの場面で追う

図2 同じ回路でも、場面ごとに電流の道が変わる

No.8の制御回路を、R端子からS端子までの1本の道として4回描きました。接点は、その場面での実際の開閉で描いています。

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① PBONを押すRPBOFFON13-14コイル95-96Sコイル励磁② PBONを離すRPBOFFON13-14コイル95-96Sコイル励磁(保持)③ PBOFFを押すRPBOFFON13-14コイル95-96Sコイル消磁④ 95-96が開くRPBOFFON13-14コイル95-96Sコイル消磁オレンジ=電流が流れる道 灰色=流れない道(R端子とS端子の間は200Vの回路)
図2の②と③の違いは、PBOFFが閉じているか開いているかだけです。PBOFFは並列の区間より上流にあるので、開けば2本の枝の両方が止まります。

図2の①は、PBONを押している場面です。PBOFF・PBON・95-96が閉じているので、コイルに電流が流れます。コイルが励磁されると、電磁接触器の主接点が閉じて電動機が回り、同じ電磁接触器の補助a接点13-14も閉じます。

図2の②は、PBONから手を離した場面です。PBONは開きますが、13-14がすでに閉じているので、電流はそちらの枝を通ってコイルに届き続けます。コイルの電流で閉じた自分の接点が、自分のコイルへの道を保つので「自己保持」と呼びます。

図2の③は、PBOFFを押した場面です。並列の区間より上流が開くので、2本の枝が両方とも切れ、コイルが消磁されます。すると13-14も開くので、PBOFFから手を離しても、PBONを押し直すまで動きません。図2の④は、運転中に熱動継電器が動作した場面で、95-96が開いてコイルが消磁され、主接点と13-14が開きます。

場面 閉じている接点 コイルと主接点
何もしていない PBOFF・95-96 消磁・開
PBONを押している PBOFF・PBON・13-14・95-96 励磁・閉
PBONを離した PBOFF・13-14・95-96 励磁・閉(保持)
PBOFFを押した 95-96 消磁・開
熱動継電器が動作した PBOFF 消磁・開

13-14がPBONと並列でなければならない理由

13-14をPBONと直列にすると、始動前は13-14が開いているので、PBONを押してもコイルに電流が届きません。13-14はコイルが励磁されて初めて閉じる接点なので、最初の一押しをPBONだけで通せる並列の形にしておきます。

反対に13-14を付けないと、PBONを押している間だけ動き、離すと止まる回路になります。押している間だけ動かす運転は寸動(インチング)と呼ばれ、自己保持とは別の使い方です。並列かどうかは、複線図で「同じ2つの点を結んでいるか」で確かめます。No.8では、PBONも補助接点も、13につながる分かれ目と14の間にあります。

PBOFFと95-96を、並列の区間の外に置く理由

PBOFFがPBONの枝にだけ入っていると、保持中は13-14の枝から電流が流れ続けるので、PBOFFを押しても止まりません。13-14の枝にだけ入っていると、今度はPBONを押している間は止まりません。止める接点は、2本に分かれていない区間に置く必要があります。No.8では、PBOFFが分かれる前の上流、95-96が合流した後の下流にあり、どちらが開いても図2の③④のように道全体が止まります。

停電すると、自己保持は解ける

運転中に停電すると、コイルが消磁されて主接点と13-14が開きます。電気が戻っても、PBONも13-14も開いたままなので、コイルへの道はありません。三菱電機のFAQも、自己保持は「OFF操作または停電等によって」解除されると説明しています。停電の後に電動機がひとりでに動き出さないのは、この回路の性質です。

95-96は、主回路を直接は切らない

熱動継電器は、電動機に過電流が流れ続けたときに、内蔵のバイメタル(熱で曲がる金属)が曲がって出力接点を動かし、電磁開閉器を開かせる機器です。No.8の問題の図3では、熱動継電器のヒーターが主接点とU・V・Wの間の主回路に入り、b接点95-96が制御回路のA1とS端子の間に入っています。

95-96が開くとコイルが消磁され、その結果として主接点が開きます。三相の主回路を切るのは主接点で、95-96はそのきっかけを作る接点です。停止の押しボタンと熱動継電器は、原因は違っても「コイルへの道を開く」という同じ仕事をしています。

補助接点の3つの使い方|自己保持・インターロック・状態表示

図3 補助接点は「どこに、どうつなぐか」で役目が変わる

オレンジが補助接点です。どれも主接点と連動して動く接点ですが、つなぐ場所で回路の目的が変わります。図3の②では自己保持の部分を省いています。

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①自己保持RPBONMCのa接点MCS自分のa接点を始動ボタンと並列に②インターロックR正転MC-Rのb接点MC-F逆転MC-Fのb接点MC-RS相手のb接点を自分のコイルと直列に③状態表示T赤緑VCBのa/bSa接点とb接点で別々の灯を点ける
見分け方は、補助接点が「押しボタンと並列」「相手のコイルと直列」「表示灯の手前」のどれにあるかです。接点の名前ではなく、つながっている相手を見ます。

図3の①の自己保持は、自分の電磁接触器のa接点を、始動の押しボタンと並列に入れます。図3の②のインターロックは、電動機の正転と逆転のように同時に入ってはいけない2つの電磁接触器で使い、相手のb接点を自分のコイルと直列に入れます。片方が入っている間は相手側のb接点が開いているので、もう片方は押しても入りません。図3の③の状態表示は、候補問題No.10のVCB補助接点のように、a接点とb接点で別々の表示灯を点けます。

運転表示灯が見ているのは、どこの電圧か

No.8の運転表示灯は、コイルと並列ではなく、電磁開閉器の負荷側のV–W間につながっています(問題の図4)。主接点が閉じて負荷側に電圧が出たときに点く灯なので、点灯が示すのは「主接点の先に電圧が来ている」ことで、電動機が回っていることまでは示しません。

表示灯の役目は、つなぐ場所で決まります。候補問題No.6の運転表示灯は開閉器の負荷側U–V間につなぎ、No.10の表示灯はVCBの補助接点で切り替えます。「運転表示灯だからコイルと並列」と名前で決めず、問題の図のつなぎ先をたどります。

制御回路の複線図を作る順番

  1. 主回路・制御回路・表示灯の回路を別の枠に分ける。同じ端子台に集まる線でも、役目が違えば最初は混ぜません。
  2. 制御回路の電源の2点を決める。No.8はR端子とS端子です。
  3. 片方の点から、止める区間 → 始動と保持の区間 → 動かす・守る区間の順に1本の道を描く。
  4. PBONと13-14が同じ2点を結んでいるかを確かめる。
  5. 図2の4つの場面を指でたどる。始動・保持・停止・過負荷の結果が表と合えば、道はつながっています。
  6. 最後に端子番号・電線の色・わたり線を施工条件と照合する。内部結線図の破線は連動の印で、電線ではありません。

複線図を見直すときの食い違いと戻る場所

複線図の食い違い 場面で追うと起きること 戻る場所
PBONと13-14が直列 始動前は13-14が開なので、コイルに電流が届かない 図2の①
PBOFFがPBONの枝にだけある 保持中は13-14の枝から電流が流れ続け、止まらない 図2の②③
A1からS端子へ直接戻している 95-96を通らないので、過負荷でもコイルが切れない 図2の④
内部結線図の破線を電線でなぞっている 連動の印を電線にしてしまい、不要な配線になる 端子台説明図
運転表示灯をコイルと並列にしている No.8の問題の図(負荷側のV–W間)と違う 問題の図4

複線図そのものは提出しませんが、作品は配線図と施工条件のとおりでなければ欠陥になります。変圧器や端子台の並びの読み方は第一種電気工事士 複線図の書き方|端子台・変圧器・三相回路で確かめられます。

自己チェック|接点の状態と、自己保持が続く・解ける条件

解説は最初から表示しています。図を見ないで答えられるかを試してください。

問1:No.8の制御回路図で、何もしていないときに閉じている接点の組み合わせはどれですか。

  1. PBOFFと95-96
  2. PBONと13-14
  3. PBONと95-96
  4. PBOFFと13-14

解答:1(PBOFFと95-96)
b接点は何もしていないときに閉じています。PBOFFと熱動継電器の95-96がb接点です(図1の②④)。13-14はa接点で、コイルが励磁されて初めて閉じます。

問2:複線図で、補助接点13-14をPBONと直列に結んでしまいました。PBONを押すとどうなりますか。

  1. コイルに電流が流れず、始動しない
  2. 始動し、離しても運転が続く
  3. 押している間だけ運転する
  4. 始動するが、PBOFFを押しても止まらない

解答:1(始動しない)
13-14はコイルが励磁されて初めて閉じるa接点です。直列にすると、始動前は13-14が開いているので、PBONを押してもコイルまで電流が届きません。PBONと並列にして、最初の一押しを通せる形にします。

問3:13-14への配線を忘れ、PBONだけでコイルへつないだ回路はどう動きますか。

  1. 押している間だけ運転し、離すと止まる
  2. 押しても始動しない
  3. 一度押すと、PBOFFを押しても止まらない
  4. 始動し、離しても運転が続く

解答:1(押している間だけ運転する)
保持する枝が無いので、PBONが開いた時点でコイルへの道が無くなります。押している間だけ動かす運転は寸動(インチング)と呼ばれ、自己保持とは別の回路です。

問4:自己保持で運転中に停電し、しばらくして電気が戻りました。電動機はどうなりますか。

  1. 止まったままで、PBONを押すまで動かない
  2. 停電前と同じように運転を再開する
  3. 13-14が閉じたまま残るので、コイルだけが励磁される
  4. 熱動継電器が動作して95-96が開いたままになる

解答:1(PBONを押すまで動かない)
停電でコイルが消磁されると、13-14も開きます。電気が戻っても、PBONと13-14がどちらも開いているので、コイルへの道がありません。停電や停止操作で自己保持が解けるのは、この回路の性質です。

問5:PBOFFを、並列の2本の枝のうちPBONの枝にだけ入れると、何が起きますか。

  1. 運転中(保持中)にPBOFFを押しても止まらない
  2. PBONを押しても始動しない
  3. 過負荷で95-96が開いても止まらない
  4. 何もしていなくてもコイルが励磁される

解答:1(保持中は止まらない)
保持中の電流は13-14の枝を通っているので、PBONの枝にあるPBOFFを開いても道は残ります(図2の②)。停止の接点は、2本に分かれる前の上流に置きます。95-96は合流した後の下流にあるので、3の過負荷では止まります。

問6:運転中に熱動継電器が動作したとき、三相の主回路を実際に切るのはどれですか。

  1. 電磁接触器の主接点
  2. 熱動継電器の95-96
  3. PBOFF
  4. 補助接点13-14

解答:1(電磁接触器の主接点)
95-96はコイルへの道を開く接点で、主回路の電流は通っていません(図2の④)。95-96が開く → コイルが消磁される → 主接点が開く、の順で主回路が切れます。

制御回路の読み方を照合した資料

2026年9月29日に、次の資料の記載内容を確認して、本文の接点の種類・制御回路の順番・運転表示灯の接続先・自己保持と熱動継電器の働きを照合しました。

更新履歴:2026年8月1日 令和8年度上期No.8の問題に合わせて改訂/2026年9月29日 図1〜図3と自己チェックを加え、場面ごとに電流の道を追う構成に改めた

次に読む記事

次は第一種電気工事士 技能候補問題No.8|電磁開閉器と自己保持回路へ進んでください。この記事で追った道を、端子台のねじと黄色のわたり線3本へ写す課題です。

補助接点で表示灯を切り替える回路は第一種電気工事士 技能候補問題No.10|VT・VCB開閉表示灯で練習できます。

組み上げた作品の点検は第一種電気工事士 技能試験の欠陥基準|KIP・CVV・端子台で行います。

資格太郎

この記事を書いた人:資格太郎電気工事士の独学合格を目指して学習中。公表済みの候補問題と実際に出題された問題・公式解答を照合し、当日の施工条件で決まる部分と、年度が変わっても使える考え方を分けて編集しています。運営者情報と編集方針

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