受変電設備の実務

CT・VT二次回路の結線図|AS・VS・電流計・電圧計の読み方

結論:CTは閉回路、VTは並列回路として、端子から戻り道まで追う

CT・VT二次回路は、記号だけでなく一次入力→二次端子→試験端子→切換器→計器・継電器→戻り線・接地点を一周させて読みます。CTでは開放を作らないこと、VTでは短絡を作らないことが出発点です。ASとVSは外観が似ていても、守るべき回路条件が反対です。

単線結線図でCTやVTを見つけても、AS・VS、電流計、電圧計、電力計、OCRまでの二次配線を追わなければ、計測と保護がどこで分かれるかは分かりません。この記事では、CT・VT・VCT・ZCTの違いの機器比較から一歩進み、図面、銘板、端子、試験結果を同じ回路番号で照合する方法を整理します。

この記事は実機の短絡・開放・切換操作手順ではありません

一次通電中のCT二次開放、VT二次短絡、接地線や試験端子の誤操作は、感電、焼損、誤計測、保護不動作、不要動作につながります。端子記号と接点順序は機種ごとに異なります。承認図、メーカー接続図、試験端子の取扱説明書、保安規程を優先し、電気主任技術者等の管理下で作業してください。

回路を5層に分ける|一次・変成・選択・使用・帰路

CT・VT二次回路を一枚の線の集まりとして見ると、同じ端子台へ集まる計測線と保護線を取り違えやすくなります。最初に回路を五つの層へ分けます。

同じCTから電流計とOCRへ信号を渡していても、別コアなら別回路です。逆に同じコアを共用するなら、片方の保守がもう片方を開放しない構成が必要です。回路名は「CT回路」だけで終わらせず、CT-R計測、CT-R保護のように用途まで付けます。

確認する対象 成立条件
一次 相線式、CT設置相、VT接続線間 単線図と現物の相名が一致
変成 比率、極性、コア、定格負担 銘板と設計値が一致
選択 AS・VS、試験端子、ヒューズ 切換中も禁止状態を作らない
使用 計器、電力計、OCR、電圧継電器 入力定格・相・用途が一致
帰路 CT戻り線、VT共通線、一点接地 閉回路または基準点まで連続

CT閉回路|kからlへ電流の輪を一周させる

CTは一次回路の大電流を、計器や継電器が扱える二次電流へ変成します。三相3線式ではR相とT相へ2台のCTを置く代表構成があります。二次側は、CTのk端子から試験端子、AS、電流計やOCRを経てl端子へ戻る閉回路として追います。

一次電流が流れているときに二次回路を開くと、二次側に高電圧が発生し、絶縁劣化や焼損のおそれがあります。「計器を外しただけ」でもCTから見れば開放です。計器交換では承認済みの試験端子で短絡状態を確認してから対象回路を分離します。

CT 200/5Aなら変流比は40です。ただし盤用電流計が一次値を直接表示する場合、指示値をさらに40倍してはいけません。CT銘板、計器目盛、デジタル計器の設定を照合します。事故電流域の精度はCTの飽和・精度階級・負担で別に確認します。

記録欄 記録する事実 照合先
回路・相 受電CT-R、計測コア1 単線図・展開図
二次経路 k→端子→試験端子→AS→A→l 端子台図・線番
定格・負担 200/5A、計器・配線VA CT・計器銘板
保守状態 使用中/短絡済み/試験中/復旧済み 作業票・試験記録

ASと2CT|選択相と短絡状態を同時に読む

ASは電流計切換スイッチです。1台の電流計でR・S・T相を選ぶだけでなく、選択していないCT二次を所定の経路で処理し、切換途中にも開放を作らない接点構成を持ちます。一般のロータリースイッチと同じだと考えてはいけません。

三相3線式2CTの代表回路ではR相とT相の二次電流を取り出し、S相はベクトル関係を利用して表示します。三相4線式、零相監視、計量・保護仕様では3CTや別センサを使うため、相線式とAS接続図を一組で保存します。

点検ではAS位置、各相指示、CT一次換算値、別計器との同時刻比較を残します。R・Tは妥当でSだけ異常なら、S位置の合成経路、AS接点、共通線を優先して追えます。全相0なら負荷停止だけでなく、AS位置、開路、計器電源、設定値を候補にします。

VT並列回路|u-v間から用途別の枝を分ける

VTは一次電圧を一定比率の二次電圧へ変成し、電圧計、電力計、OVR・UVR等へ信号を渡します。二次側は電圧源に対する並列分岐として読み、各枝のヒューズ、端子、負担、共通線を分けます。VT二次短絡は過大電流と焼損につながります。

VT 6,600/110Vなら変圧比は60です。指示値が合わないときは、一次電圧、二次実測、計器表示、設定値を同一時刻で並べます。VTの選定条件はVTの選び方で確認できます。

分岐 主な用途 不一致時に見る点
VS・電圧計 線間電圧の選択表示 VS位置、接点、電圧計入力
電力・力率計 CT電流との組合せ演算 相順、極性、CTとの対応
電圧継電器 過電圧・不足電圧等の判定 ヒューズ、制御電源、入力
制御・監視 表示、記録、同期確認 計測点、相名、入力定格

VSと2VT・V結線|線間名と極性を一組にする

三相3線式の代表例では、R-S間とS-T間へ2台のVTを接続し、V結線からR-S、S-T、T-Rの線間電圧をVSで選択します。第三の線間電圧は二つの二次電圧のベクトル差で得るため、相順や極性を誤ると正しく合成できません。

VSは異なる線間電圧を1台の電圧計へ切り換えます。ASがCT回路を開かない接点を必要とするのに対し、VSは異電位間を短絡しない接点構成が必要です。外観、ノブ表示、端子数が似ていても代用できません。

R-SとS-Tは正常でT-Rだけ異常なら、V結線の極性、共通線、VSのT-R接点、線番を確認します。指示計器が正常でも別枝の継電器入力が正常とは限りません。電圧継電器はOVR・UVR・OFR・UFRの違いへ分けて読みます。

銘板と負担|比率・定格・配線VAを同じ基準へそろえる

CT・VTの定格負担は、接続機器だけでなく往復配線と端子の負担を含めて評価します。計器を追加しただけでも総負担は変わります。CTでは負担増加が比誤差や飽和へ、VTでは電圧降下や確度へ影響するため、「動いたから適合」とは判断できません。

電力・力率・方向性保護はCTとVTの両方を使います。大きさが妥当でも相対応や極性が逆なら演算結果は誤ります。略号は保護継電器の機器番号・英語略号、全体は保護協調曲線の見方と照合します。

試験端子と接地|短絡片・ヒューズ・一点接地を分ける

試験端子は、計器や継電器を試験するときに危険な回路状態を作らず、対象を分離・注入・復旧するための境界です。CT側の短絡機構とVT側の開放・ヒューズ分離は目的が異なります。端子の見た目だけで操作順を決めません。

一点接地は二次回路の基準電位を定めます。無計画な多点接地や接地線の置き忘れは、循環電流、誤差、保護への影響を招きます。接地経路は高圧受電設備の接地系統図で、対象・導体・端子・接地極まで追います。

対象 守る条件 復旧確認
CT試験端子 CT側短絡後に試験側を分離 短絡解除、閉回路、線番
VTヒューズ・端子 異電位間短絡を作らず分離 定格、相、導通、二次電圧
二次側接地 設計された一点を維持 接地点、導体、端子、接地極
試験用注入 実回路と試験器の境界を明示 試験器撤去、端子原状、表示

不一致の切り分け|0表示・相差・演算異常を分ける

表示異常は、一次量、変成器、切換器、計器、設定、通信のどこでも起こります。0表示を無電流・無電圧の証明にせず、症状ごとに候補を狭めます。停電作業の安全確認は盤面表示へ依存せず、設備固有の検電・接地手順に従います。

同一時刻の一次換算値、二次実測、盤面表示、継電器入力、上位監視値を並べると、不一致が始まる境界が分かります。技能試験の端子台例は第一種技能候補問題No.7第一種技能候補問題No.10で学べますが、実設備へ端子番号を転用しません。

症状 先に確認 次に照合
全相0 一次状態、AS/VS位置、計器電源 CT閉回路、VTヒューズ、共通線
一相だけ異常 相名、切換接点、線番 端子、極性、当該VT/CT
倍率が異常 CT/VT比設定、目盛 銘板、交換履歴、設定
電力・力率だけ異常 CT・VTの相対応、極性 相順、演算設定、通信符号
計器正常・継電器異常 分岐点、専用コア、ヒューズ 試験端子、入力値、制御電源

回路照合表|図面・銘板・端子・試験を一回路一行にする

「CT・VT異常なし」だけでは、どの回路の何が確認済みか残りません。回路番号を主キーにし、図面、銘板、端子、試験、使用状態を一行へ結びます。単体試験合格と、AS/VS・計器・継電器を含む回路成立は別の状態です。

保護回路は入力の成立だけで完了ではありません。OCR等の判定後はVCBの引外し回路、試験は保護継電器試験まで連動させます。取引用回路は所有・封印・検定があるため、VCT・MOFと取引用電力量計と混同しません。

状態 完了根拠 次の確認
未照合 図番・機器番号のみ確保 銘板・端子の現物確認
図面・銘板照合済み 比率・定格・極性・用途一致 線番・帰路・接地点
単体試験済み 試験条件・結果・判定者 AS/VS・計器・継電器入力
回路照合済み 各位置・各相の表示と入力一致 警報・引外し連動
復旧確認済み 短絡片・ヒューズ・接地を原状確認 承認、図面・設定更新

変更とレビュー|順照合・逆照合で未反映を閉じる

計器更新、OCR更新、監視変換器追加では、端子が収まっても入力定格、CT/VT比設定、総負担、相対応、極性、通信符号、警報出力が変わります。対象回路、変更前後形式、図面改訂番号、設定ファイル、試験、復旧、承認を同じ変更番号で結びます。

順照合では単線図のCT・VTから使用機器と帰路まで追い、逆照合では盤面計器・継電器から線番を戻って元のコア・分岐へ着くか確認します。未照合、対象外、不一致、是正済みを空欄と分け、証拠の図番、銘板写真、成績書へ参照番号を付けます。

零相量を扱うZCT・ZPD・EVTは通常のCT・VT回路と入力量が異なります。地絡回路へ進む場合はZCT・ZPD・EVTの違い、作図と版管理は高圧受電設備の単線結線図の書き方で確認します。設備全体の位置関係は高圧受電設備の単線結線図と図記号へ戻ります。

レビューの完了日は、図面確認日ではなく、現物・試験・復旧・承認のうち今回の対象範囲が閉じた日として記録します。

公式資料・一次情報

内容確認日:2026年8月30日。対象設備の承認図、現行取扱説明書、契約・運用基準を優先してください。

目的から選ぶ関連記事

目的 次に読む記事 確認できる境界
機器の役割 CT・VT・VCT・ZCTの違い 入力量・用途・二次安全
図面全体 単線結線図と図記号 主回路と二次回路の位置
保護判定 保護継電器の種類と整定 入力・整定・出力
遮断連動 VCBの引外し回路 判定から主回路開放
試験 保護継電器試験 単体・回路・連動・復旧
技能配線 候補問題No.7候補問題No.10 端子台での計器回路
資格太郎

この記事を書いた人:資格太郎電気工事士の独学合格を目指して学習中。メーカーと試験センターの一次資料を照合し、計測値だけでなく、図面・銘板・端子・試験・復旧状態が一回路でつながるよう編集しています。運営者情報と編集方針

広告・検証方針

この記事内に計器用変成器、計器、継電器、試験器、工事・点検のアフィリエイトリンクは掲載していません。2026年8月30日に三菱電機と電気技術者試験センターの公開資料へ再照合しました。回路照合表と使用状態の分け方は当サイトのオリジナルで、実設備の操作手順書ではありません。

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