受変電設備の実務

VCBの引外し回路|OCR・52a/52b・制御電源の読み方

結論:VCB引外しは、指令・エネルギー・機械動作・後処理の一周で成立する

OCRが動作しても、VCBが必ず開くとは限りません。CT等の検出、継電器判定、接点出力、制御電源またはCT二次電流、引外しコイル、ラッチ・主接点、52aによる電流遮断、表示・警報を同じ回路IDで照合します。

単線結線図は主回路上のVCB・CT・OCRの関係を示しますが、端子間の接点論理や制御電源までは表しません。引外し方式を読むときは、単線図、展開接続図、端子図、機器結線図、整定表、試験成績書を順に結びます。

この記事は端子結線・強制引外し手順ではありません

CT二次回路の開放、制御回路への直接加圧、インターロック解除、VCB操作、事故後の再送電には重大な危険があります。実設備では採用機器の承認図・取扱説明書、試験要領、保安規程、電気主任技術者等の指揮を優先してください。

引外しを7層で読む|検出から表示まで一つも飛ばさない

「OCR良」「VCB良」という部品単位の判定だけでは、自動遮断の連鎖を証明できません。事故入力が主接点開放と表示へ届くまでを7層に分け、各層の入力、出力、電源、確認方法を記録します。試験していない層は、隣の層が合格しても未確認のままです。

主な要素 成立の証拠
1 検出 CT、ZCT、ZPD、VT 比・極性・入力値
2 判定 OCR、DGR、UVR等 整定、動作値・時間
3 指令 a/b接点、86、補助継電器 接点状態、端子電圧
4 エネルギー 直流、CTD、CT二次 電圧・電流、ヒューズ
5 引外し STC、OTC、UVC、ラッチ コイル動作、機構時間
6 主回路 主接点、真空バルブ 開極・全遮断時間
7 後処理 52a/52b、表示、警報 接点切替、ログ一致

4方式比較|電圧・コンデンサ・電流・不足電圧を分ける

引外し方式は、何がコイルを動かすエネルギーになるかで分けます。名称が同じでも回路構成、接点論理、保持時間は機種ごとに異なるため、採用VCB・OCR・補助装置の組合せ図で確定します。

方式 動作の中心 停止時の確認
直流電圧 直流母線からSTCへ加圧 蓄電池、充電器、制御ヒューズ
コンデンサ CTDの蓄積電荷でSTC動作 充電、保持、復電直後
過電流 事故時CT二次電流をOTCへ導く 転流回路、CT負担、OCR接点
不足電圧 UVC励磁消失等でラッチ解放 電圧源、遅延、再投入条件

不足電圧引外しは電圧喪失に対する機能であり、過電流・地絡事故をすべて置き換えるものではありません。また、コンデンサ引外しは停電後に無期限・無制限で動作できる電源ではなく、充電状態、保持時間、温度、経年、放電回数を採用機種の仕様で確認します。

元資料台帳|単線図・展開図・端子図・試験を同じ版で結ぶ

回路が読めない原因の多くは、異なる改訂版の資料を混ぜることです。主回路の単線図、接点論理の展開図、端子番号の端子図、機器固有の内部結線、整定表、試験成績書を一つの回路IDへ結びます。現物線番が図面と違う場合は、その場で推測修正せず、影響回路と承認経路を残します。

資料 読み取ること 版管理
単線結線図 事故点、CT、継電器、VCB、停電範囲 図番、改訂、承認
展開接続図 接点、電源、TC、52a/52b、警報 回路番号、シート
端子・機器図 端子番号、内部接続、接点定格 形式、製番、版
試験記録 入力、動作、全遮断、表示、復旧 日付、条件、確認者

主回路の読み方は高圧単線結線図の実務読解、CT・VT・ZCT等の二次回路は計器用変成器の違い、機器番号は保護継電器の機器番号・略号で確認できます。

電圧・コンデンサ引外し|電源からSTCまでを往復で追う

直流電圧引外しでは、直流母線の正側から制御保護、継電器接点、必要な補助接点、STCを通り、負側へ戻る経路を追います。事故中でも回路電圧が維持され、接点定格とコイル定格が適合し、VCB開放後に52a等でコイル電流を切れることが必要です。直流電源の保全は直流制御電源と蓄電池へ分けます。

コンデンサ引外しでは、平常時にCTDを充電し、継電器動作時に蓄積電荷をSTCへ放出します。交流電源喪失後の一回の引外しを支える構成でも、停電後の経過時間、CTD経年、復電直後の未充電時間、繰返し操作を無視できません。電源表示だけでなく、採用機種の点検方法に基づく出力・保持の確認が必要です。

過電流・不足電圧引外し|接点論理と動作目的を分ける

代表的な過電流引外し回路では、事故時のCT二次電流をエネルギーとして使います。OCRのb接点が開くことで電流の経路がOTC側へ移り、引外しを行う構成があります。これは、保守者がCT二次を開放してよいという意味ではありません。CT二次開放は危険であり、回路はメーカー図と試験要領で確認します。

不足電圧引外しは、平常時にUVCを励磁してラッチを保持し、電圧低下・喪失時に解放する構成などがあります。瞬時電圧低下で不要動作しない遅延、電源の取り出し位置、停電復旧時の投入禁止条件を確認します。過電流保護や方向性地絡保護とは入力・判定目的が異なります。

OCR・DGRの種類と入力は保護継電器の種類と役割、地絡検出から遮断までの経路はGR・DGR・OVGRの地絡保護が対応します。

52a・52bと機構|主接点位置・コイル・表示を混ぜない

52aは一般にVCB主接点が閉のとき閉じ、主接点が開くと開く補助接点です。引外しコイルと直列に用いる回路では、VCB開放後にコイル電流を切る役割を持ちます。52bは主接点が開のとき閉じ、投入回路、開表示、インターロックなどに用いられます。実際の接点用途とタイミングは機器図で確定します。

要素 主な役割 不一致時に見ること
52a 閉位置条件、TC電流遮断、閉表示 接点切替、ワイプ、線番
52b 開位置条件、投入許可、開表示 主接点との連動、接点定格
トリップフリー 投入指令中でも引外しを優先 機械・制御論理
アンチポンピング 投入指令継続中の反復投入防止 保持継電器、指令解除

52a・52bが切り替わっても、主接点が規定時間内に開極しアークを消弧した証明とは限りません。機械表示、補助接点、遠方表示、主回路試験の時刻を照合します。VCB機構・真空バルブの状態はVCBの点検方法で確認します。

動作時系列|入力・接点・コイル・開極を同じ時計で残す

保護試験では「OCR動作」「VCB開」を別々の手書き記録にせず、同じ試験入力と同じ時刻基準で一事象一行にします。継電器動作時間、補助回路、VCB開極・全遮断のどこに時間を含めた値かを明記し、設計曲線と比較します。

時点 記録する値・状態 照合先
t0 入力 相、一次/二次値、位相、印加開始 試験条件、CT比
t1 判定 継電器動作・接点出力 整定、許容差
t2 引外し TC電流、ラッチ解放、主接点開極 VCB仕様、回路図
t3 後処理 52a/52b、表示、警報、復帰 展開図、監視ログ

OCR・VCB・PFの時間関係は保護協調曲線の見方、試験成績書の読み方は保護継電器試験へつながります。機器単体の許容差と、回路全体の遮断時間を一つの合否欄へ押し込まないことが重要です。

不動作の切分け|最後に成立した層と最初に失敗した層を残す

「OCR表示あり・VCB閉」の場合、OCR故障と断定せず、接点出力、補助継電器、制御ヒューズ、CTD、配線、STC/OTC、52a、ラッチ・機構を順に確認します。「VCB開・OCR表示なし」なら、別保護要素、手動・遠方指令、制御電源喪失、表示リセット、補助接点不一致を分けます。

切分け記録には、確認日時、設備状態、最後に確認できた入力、最初に確認できなかった出力、使用図面の版、仮復旧の有無、恒久是正、再試験条件を残します。事故原因が残る状態で再投入を試す手順ではありません。原因調査中、事故区間分離済み、設備健全性確認済み、操作許可済みを別状態にします。

警報と設備復帰の違いはキュービクル警報回路、許可条件と誤操作防止は高圧インターロックで確認できます。

点検・更新|単体・回路・連動・復旧を別状態で管理する

継電器単体試験は入力と判定を確認しますが、制御電源、配線、引外しコイル、VCB機構の健全性までは保証しません。VCB手動開閉も、事故検出から自動遮断までの成立を保証しません。停止範囲と安全を確立したうえで、メーカー要領に従い単体、回路、遮断連動、表示・警報、復旧を分けて記録します。

状態 合格の範囲 閉じない範囲
単体合格 継電器またはVCB単体 盤内配線、相互連動
回路合格 接点・電源・TC・補助接点 実保護入力、全遮断
連動合格 試験入力から主接点開放・表示 事故原因除去、送電許可
復旧合格 整定、回路、表示、図面の原状 未確認事故条件

更新では、電流引外し/電圧引外し、端子、接点論理・定格、制御電圧、CT比・負担、補助装置、取付・操作機構を照合します。同等品という名称だけで互換性を決めません。機器別の更新優先度はキュービクルの更新時期、VCBの遮断責務はVCBの遮断容量で確認します。

レビュー状態|図面・現物・試験・運用を別々に閉じる

最終記録は「資料収集中」「図面間照合済み」「現物端子照合済み」「単体試験済み」「連動・主接点開放確認済み」「復旧・運用承認済み」に分けます。図面の線がつながっているだけ、または昨年の成績書があるだけで現在の回路を合格にしません。

改修時は、変更前後の回路図、線番、OCR整定、制御ヒューズ、CTD・蓄電池、52a/52b用途、警報・遠方信号、試験結果、操作票を同じ変更番号で束ねます。暫定ジャンパ、試験プラグ、バイパスが残っていないことを復旧状態に含め、旧版図面は誤使用できない保管状態へ移します。

CB形全体の位置付けはPF・S形とCB形の違い、受電設備全体では高圧受電設備の仕組みへ戻って、主回路・保護・制御・警報の境界を確認してください。

公式資料・一次情報

内容確認日:2026年8月30日。採用VCB・OCR・DGR・CTDの最新取扱説明書、承認図、JEC/JIS、高圧受電設備規程、保安規程、一般送配電事業者との保護協調条件を優先してください。

目的から選ぶ関連記事

目的 関連記事 確認する層
主回路 単線図記号
高圧開閉器
VCB位置・能力
検出・判定 CT・VT・ZCT
保護継電器
入力・整定・出力
地絡 GR・DGR・OVGR
PAS・UGS・SOG
Io・Vo・方向・遮断
時間・整定 保護協調曲線
OCR整定
動作から全遮断
電源・許可 直流制御電源
インターロック
エネルギー・操作条件
試験・点検 継電器試験
VCB点検
単体・回路・連動
方式・更新 PF・S形とCB形
更新時期
編集方針
構成・変更状態
資格太郎

この記事を書いた人:資格太郎電気工事士の独学合格を目指して学習中。メーカーのVCB引外し方式・OCR実回路解説、JEMAの停電復電時注意資料、更新資料を照合し、危険な端子操作ではなく信号・エネルギー・機械動作・状態管理の順に編集しています。運営者情報と編集方針

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