受変電設備の基礎

VCBの引外し回路とインターロック|OCR・52a・引外し方式の違い

この記事を読み終えると、過電流継電器(OCR)の合図でVCBが開くまでの道すじを図で追い、電圧引外し・コンデンサ引外し・過電流引外しの違いと、DSやVCBのインターロックの役目を説明できるようになります。

第一種電気工事士の学科で出る単線結線図では、過電流継電器からVCBへ、破線が1本引かれています。この破線の中身が引外し回路です。回路そのものが細かく問われることは多くありませんが、ここを知っていると「VCBはなぜ自分で判断しないのか」「DSをなぜ先に開いてはいけないのか」がつながります。この記事は試験の学習用で、実際の設備の結線や操作の手順を示すものではありません。

VCBは自分では判断しない。開く合図は保護継電器から届く

VCB(真空遮断器)は短絡電流まで遮断できますが、電流が大きすぎるかどうかを自分では判断しません。事故の電流を測る変流器(CT)、判定する保護継電器、そして動かすための電源がそろって、はじめて事故のときに開きます。

図1 事故を見つけてからVCBが開くまでの道すじ

左の太い線が主回路です。単線結線図では、②から④へ破線が1本引かれているだけです。

電源側負荷側二次電流OCR引外しコイル①CT②③④VCB
図1の読み方:①が測り、②が判定し、③が合図を力に変え、④が遮断します。引外し回路とは、②から③までの電気の通り道のことです。

図1の①のCTが主回路の電流を小さな電流に変え、図1の②の過電流継電器(OCR)がその大きさを見ます。決められた大きさを超えると、OCRは図1の③の引外しコイルに電気を流します。コイルが働くと、図1の④のVCBが開きます。この動きを引外し(トリップ)といいます。

試験でも、高圧受電設備の短絡保護装置の組み合わせは「過電流継電器と高圧真空遮断器」です。制御器具番号では、遮断器が52、過電流継電器が51、断路器が89です。

引外し方式は、コイルを動かす電気の出どころで分かれる

引外しコイルを動かすには、電気が要ります。その電気をどこから取るかで、引外し方式が分かれます。

引外し方式 引外しコイルを動かす電気 合図の出し方
電圧引外し(直流) 充電しておいたバッテリ 継電器の接点が閉じて、コイルに電圧を加える
コンデンサ引外し 交流の電源で充電しておいたコンデンサ 継電器の接点が閉じて、ためた電気をコイルへ放つ
過電流引外し 事故のときのCTの二次電流 継電器のb接点が開いて、二次電流がコイルへ流れる
不足電圧引外し ふだんからコイルに加えている電圧 その電圧が下がると、引外す

コイルの呼び名は、電圧引外しコイルがSTC、過電流引外しコイルがOTC、不足電圧引外しコイルがUVCです。コンデンサ引外しに使う電源装置は、CTDと呼ばれます。

VCBを動かす交流の電源は、操作用の変圧器や計器用変圧器(VT)から取ります。ただしVTは、取り出せる電力(定格負担)が小さい機器です。試験では、VTについての「遮断器の操作電源の他、所内の照明電源としても使用することができる」が、誤りの記述として出ています。

電圧引外しは、継電器の接点が閉じてコイルに電圧を加える

図2 電圧引外しの回路(VCBが入っている状態)

上下の横線が制御電源です。その間に、接点2つと引外しコイルが縦に1列に並びます。

ふだん
制御電源(+)制御電源(−)引外しコイルOCRの接点52a①②③④

①制御電源。
②OCRの接点。ふだんは開いている。
③52a。VCBが入っている間は閉じている。
④引外しコイル。電流は流れていない。

事故を見つけたとき
制御電源(+)制御電源(−)引外しコイルOCRの接点52a⑤⑥

⑤OCRの接点が閉じる。
⑥引外しコイルに電流が流れ、VCBが開く。

図2で押さえるところ:電圧引外しは、OCRの接点が「閉じる」ことで合図を出します。コイルを動かす電気は、OCRではなく①の制御電源から来ます。

図2の①は制御電源、図2の②は過電流継電器の接点、図2の③は52aという接点、図2の④は引外しコイルです。4つが1本の道に直列に並んでいます。ふだんは図2の②が開いているので、コイルに電流は流れません。

過電流継電器が事故を見つけると、図2の⑤のとおり接点が閉じ、電源からコイルまでの道がつながります。図2の⑥でコイルに電流が流れ、VCBが開きます。直流の電圧引外しでは、制御電源はバッテリです。事故で主回路の電圧が下がっても、バッテリの電気でコイルを動かせます。

52aは、VCBが開いたらコイルの電流を切る

52aは、VCBの主接点と一緒に動く補助接点です。aの付く接点は、VCBが入っているときに閉じ、切れているときに開きます。逆の動きをするのが52bで、VCBが切れているときに閉じます。

図3 52aと52bは、VCBの主接点と一緒に動く

52は遮断器の番号です。aとbは、主接点と同じ向きに動くか、逆に動くかを表します。

VCBが入っているとき
主接点52a52b①②③

①主接点は閉じている。
②52aも閉じている。
③52bは開いている。

VCBが切れているとき
主接点52a52b④⑤⑥

④主接点は開いている。
⑤52aも開いている。
⑥52bは閉じている。

図3の覚え方:52aは主接点と「同じ」、52bは主接点と「逆」です。

VCBが入っているときは、図3の①の主接点と同じく、図3の②の52aも閉じています。図3の③の52bは開いています。VCBが切れると、図3の④から図3の⑥までの状態に入れ替わります。

引外し回路に52aを入れておくと、VCBが開いた瞬間に52aも開き、コイルの電流が切れます。電流が流れ続けると、コイルが焼けるおそれがあるからです。52aは、仕事を終えたコイルを電源から切り離す役目をしています。

52bは、VCBが開いていることを知らせる信号として使えます。後で出てくるインターロックでは、「VCBが開いている」という条件が大事になります。

コンデンサ引外しは、ためておいた電気で開く

バッテリを持たず、交流の電源しかない設備もあります。交流の電源は、停電すると使えません。そこで、ふだんからコンデンサに電気をためておき、合図が来たらその電気を引外しコイルへ放ちます。これがコンデンサ引外しです。回路の形は図2と同じで、制御電源のところがコンデンサに替わります。メーカーの資料では、充電にかかる時間は1〜2秒ほどで、停電の後30秒たっても引外しができるとされています。

ためた電気は、いつまでも残るわけではありません。長く停電した後に電気が戻った直後は、コンデンサがまだ充電されていません。このときVCBが入ったままだと、万一の短絡でVCBが開かないことがあります。日本電機工業会の資料は、停電のときに遮断器を開いておくことで、これを避けられるとしています。

不足電圧引外しは、考え方が逆です。コイルにふだんから電圧を加えておき、その電圧が下がったら引外します。電圧がなくなること自体が合図になる方式で、ほかの引外し方式と組み合わせて使われます。

過電流引外しは、CTの二次電流をそのままコイルへ流す

過電流引外しは、別の電源を使いません。事故のときに流れる大きな電流そのものを、CTを通して引外しコイルへ流します。

図4 過電流引外しの回路

CTの二次電流が通る道を、太い線で描いています。引外しコイルは、OCRのb接点と並列につながっています。

ふだん
コイルCTOCROCRのb接点①②③

①CTの二次電流が、OCRを通って流れる。
②閉じているb接点を通って、CTへ戻る。
③引外しコイルには、ほとんど流れない。

事故を見つけたとき
コイルCTOCROCRのb接点④⑤

④OCRのb接点が開く。
⑤二次電流が引外しコイルを通り、VCBが開く。

図4で押さえるところ:過電流引外しは、OCRの接点が「開く」ことで合図を出します。コイルを動かす電気は、事故の電流から生まれたCTの二次電流です。

ふだんは、図4の①のCTの二次電流が、図4の②のb接点(ふだん閉じている接点)を通ってCTへ戻ります。図4の③の引外しコイルは、閉じた接点と並列なので、電流はほとんど流れません。

過電流継電器が事故を見つけると、図4の④のとおりb接点が開きます。通り道を失った二次電流は、図4の⑤のとおり引外しコイルを通り、VCBを開かせます。電圧引外しは接点が「閉じて」合図を出し、過電流引外しは接点が「開いて」合図を出す、と対にして覚えます。

CTの二次側は、電流が流れている間に開いてはいけません。過電流引外しの回路では、b接点が開いても引外しコイルを通る道が残るので、二次側が開いたままにはなりません。

インターロックは、してはいけない操作をできなくするしくみ

引外し回路は、事故のときにVCBを開くための回路でした。VCBのまわりには、もう1つ、人が間違った順番で操作できないようにするしくみがあります。これがインターロックです。

代表は、DS(断路器)とVCBの間のインターロックです。DSは負荷電流を開閉できません。そこで、関連する遮断器が開いているときに限って、DSを開閉できるようにします。国土交通省の公共建築工事標準仕様書も、キュービクル式配電盤の断路器にこのインターロックを施すと定めています(避雷器用の断路器は省略できます)。

図5 DSを開く順番と、インターロックが止める操作

引込柱のPAS、受電設備のDSとVCBを開いて、設備を停電させる場合です。

電流を切ってから、DSを開く
①VCBを開く。負荷電流はここで切れる

②DSを開く。もう電流は流れていない

③PASを開く
DSを最初に開く(最も不適切)
④VCBを入れたまま、DSを開こうとする。負荷電流が流れている

⑤インターロックがあると、VCBが入っている間はDSが動かない
図5の意味:インターロックは、①と②の順番を、人の注意ではなく機械のしくみで守らせるものです。

図5の①から図5の③までは、VCBで電流を切ってからDSを開く順番です。図5の④のように、VCBを入れたままDSを先に開こうとするのが、最も避けるべき操作です。インターロックがあれば、図5の⑤のとおり、VCBが入っている間はDSが動きません。

試験では、PAS・DS・VCBの3つを開く順番が問われ、DSを最初に開く順番が最も不適切とされています。PASとVCBは負荷電流を切れるので、どちらを先に開いても、DSを開く時点で電流が止まっていれば筋が通ります。DSについては「負荷電流が流れている時、誤って開路しないようにする」が正しい記述です。断路器を「故障時に電路を自動遮断するもの」とした記述は、誤りとして出ています。DSとVCBを入れるときの順番は、VCB・DS・LBS・PASの違いの図4にまとめています。

労働安全衛生規則 第340条も、負荷電流を遮断するためのものでない開閉器を開くときは、電路が無負荷であることを確かめさせるよう定めています。無負荷でなければ開けない緊錠装置を設けた場合は、この確認が要りません。緊錠装置は、ここでいうインターロックにあたります。

動かしたい機器 動かせる条件 防いでいること
DS(断路器) 関連する遮断器が開いている 負荷電流が流れたまま、DSを開閉する
引出形のVCB(盤から引き出す) VCBが開いている 電流が流れたまま、主回路から抜き差しする
接地開閉器(入れる) 電路が切り離され、電圧がない 電圧がかかった電路を接地する
VCB(投入する) 接地開閉器が開いている 接地したままの電路へ電気を送る

接地開閉器は、電気が来ていない電路にだけ入れる

接地開閉器(ES、Earthing Switch)は、切り離した電路を大地へつなぐための開閉器です。電路を開いて作業するときは、検電器具で停電を確かめ、短絡接地器具を使って確実に短絡接地することが、労働安全衛生規則 第339条で定められています。誤って電気が送られたり、ほかの電路から電圧が誘導されたりしても、作業する人が感電しないようにするためです。接地開閉器は、電路を大地へつなぐ操作を、盤に組み込んだ開閉器でできるようにしたものです。公共建築工事標準仕様書では、特別高圧のスイッチギヤの機器として出てきます。

接地開閉器には、2つの向きのインターロックがあります。電圧がかかった電路を接地すれば、地絡や短絡の事故になります。接地したままの電路へVCBを投入しても、同じことが起きます。そこで、上の表の3行目と4行目のとおり、接地開閉器は電路が切り離されているときにだけ入れられ、VCBは接地開閉器が開いているときにだけ投入できるようにします。同じ第339条の第2項も、電路に通電する前に、短絡接地器具を取り外したことを確かめるよう定めています。

自己チェック|合図の道すじと、操作を止めるしくみを答える

解説は最初から表示しています。図2と図4を見ないで、接点が閉じるのか開くのかを言い分けられるかを試してください。

問1:過電流継電器が「事故だ」と判定しました。このあと電気が流れて、VCBを開かせる部品はどれですか。

  1. 52b
  2. 引外しコイル
  3. 零相変流器
  4. 断路器

解答:2(引外しコイル)
図1の③です。過電流継電器が引外しコイルへ電気を流し、コイルが図1の④のVCBを開かせます。52bはVCBが切れていることを知らせる補助接点で、零相変流器は地絡の電流を取り出す機器です。

問2:電圧引外しの回路で、引外しコイルと直列に52aを入れる理由として、正しいものはどれですか。

  1. VCBが切れている間も、コイルに電流を流し続けるため
  2. 過電流継電器の代わりに、事故かどうかを判定するため
  3. CTの二次側が開かないように、短絡しておくため
  4. VCBが開いた後に、コイルの電流を切るため

解答:4(VCBが開いた後に、コイルの電流を切るため)
図3の⑤のとおり、VCBが開くと52aも開きます。図2の③の位置に52aがあるので、コイルの電流はここで切れ、コイルが焼けるのを防げます。事故かどうかを判定するのは過電流継電器です。

問3:過電流引外しで、事故を見つけたときの動きとして、正しいものはどれですか。

  1. 継電器のb接点が開き、CTの二次電流が引外しコイルへ流れる
  2. 継電器の接点が閉じ、バッテリの電圧が引外しコイルに加わる
  3. 継電器の接点が閉じ、コンデンサにためた電気が引外しコイルへ放たれる
  4. 引外しコイルに加えていた電圧が下がり、VCBが開く

解答:1(b接点が開き、CTの二次電流がコイルへ流れる)
図4の④と図4の⑤です。2番目は電圧引外し、3番目はコンデンサ引外し、4番目は不足電圧引外しの動きです。

問4:コンデンサ引外しの設備が長く停電した後、電気が戻りました。その直後に起こり得ることとして、正しいものはどれですか。

  1. コンデンサに電気が残りすぎていて、VCBがひとりでに開く
  2. 52aが閉じたまま戻らなくなる
  3. コンデンサがまだ充電されておらず、短絡が起きてもVCBが開かないことがある
  4. CTの二次電流が流れなくなる

解答:3(充電されておらず、VCBが開かないことがある)
コンデンサ引外しは、ためておいた電気でコイルを動かします。VCBが入ったまま電気が戻ると、充電が済む前の短絡ではコイルを動かせません。停電のときにVCBを開いておけば、この状態を避けられます。

問5:引込柱のPAS、受電設備のDSとVCBを開いて、設備を停電させます。ここではDSとVCBのインターロックを設けていない回路で、通常の負荷電流を遮断する能力だけを比べます。開く順番として最も不適切なものはどれですか。

  1. VCB → DS → PAS
  2. PAS → DS → VCB
  3. DS → PAS → VCB
  4. VCB → PAS → DS

解答:3(DS → PAS → VCB)
図5の④と同じで、負荷電流が流れている状態でDSを開くことになります。PASとVCBは負荷電流を切れるので、ほかの3つは、DSを開く時点で電流が止まっています。

問6:関連する遮断器が入っている間は、DSを操作できないようにしてあります。このインターロックが防いでいることはどれですか。

  1. 負荷電流が流れたまま、DSを開閉してしまうこと
  2. VCBが短絡電流を遮断できなくなること
  3. 過電流継電器が動作しなくなること
  4. 引外しコイルが焼けること

解答:1(負荷電流が流れたまま、DSを開閉してしまうこと)
DSは負荷電流を開閉できない機器です。図5の⑤のとおり、VCBが開いていなければDSが動かないようにして、操作の順番を守らせます。コイルが焼けるのを防ぐのは52aの役目です。

問7:接地開閉器が入っている間は、VCBを投入できないようにしてあります。このインターロックが防いでいることはどれですか。

  1. VCBの引外しコイルに電流が流れなくなること
  2. 接地したままの電路へ電気を送り、地絡や短絡の事故にすること
  3. CTの二次側が開いたままになること
  4. コンデンサ引外しのコンデンサが放電してしまうこと

解答:2(接地したままの電路へ電気を送ること)
接地開閉器は、切り離した電路を大地へつなぐ開閉器です。入れたまま送電すると、電気が大地へ流れて事故になります。作業のための接地は、通電する前に外したことを確かめる決まりです。

引外し方式の解説と、インターロックを定めた文書

更新履歴:2026年10月25日 操作順の設問に、インターロックがなく負荷電流の遮断能力を比較するという条件を加えました。

2026年10月3日に、次の資料の記載内容を確認して、本文の引外し方式・補助接点・インターロックの説明と図を照合しました。

更新履歴:2026年10月3日 図1〜図5と自己チェックを加え、合図の道すじを順に追う構成に改めた。DS・VCB・接地開閉器のインターロックの説明を加えた

次に読む記事

次はCT・VT・VCT・ZCTの違いへ進んでください。図1の①のCTをはじめ、主回路の電流や電圧を取り出す機器を扱います。

VCBを主遮断装置にする形と、ヒューズを使う形の違いは、PF・S形とCB形の違いで比べられます。

DSやVCBが切れる電流の違いに戻るなら、VCB・DS・LBS・PASの違いです。

資格太郎

この記事を書いた人:資格太郎電気工事士の独学合格を目指して学習中。試験センターの問題、メーカーの公開資料、国の仕様書と法令を照合し、VCBが開くまでの回路を図にして整理しています。運営者情報と編集方針

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