結論:CTは電流、VTは電圧、VCTは取引用の電圧・電流、ZCTは地絡電流を取り出す
4つとも高圧の値をそのまま計器へ入れないための機器ですが、測る量と目的が違います。CTは負荷電流や過電流、VTは回路電圧、VCTは主に取引用電力量、ZCTは各相電流の差として現れる零相電流を扱います。単線結線図では、機器名だけでなく「何を入力し、どの計器・継電器へ渡すか」まで追うと混同しません。
キュービクルの単線結線図には、CT、VT、VCT、ZCTという似た略号が並びます。どれも小さな二次信号を作りますが、CTとZCTを同じ電流センサーだと思ったり、VCTを需要家の電圧計・電流計用VT+CTだと思ったりすると、計測と保護の流れを読み違えます。
この記事は実設備の結線・試験手順ではありません
通電中のCT二次回路の開放、VT二次回路の短絡、接地線の着脱、端子の差し替えは、感電・焼損・誤計量・保護不動作につながります。実設備では電気主任技術者等の管理下で、保安規程、承認図、試験端子の仕様、電力会社との協議、対象機器の取扱説明書に従ってください。
役割比較|入力・二次信号・行き先を一行で結ぶ
略号を覚える前に、主回路から何を取り出し、その信号を誰へ渡すかを一行で結びます。CT・VTは一次側と計器側を絶縁しながら電流・電圧を変成し、VCTとZCTは計量・地絡検出という固有の目的を持ちます。
| 機器・入力 | 二次信号・行き先 | 図面で閉じる確認 |
|---|---|---|
| CT 相電流 |
二次電流 電流計・電力計・OCR |
変流比、極性、負担、試験端子 |
| VT 回路電圧 |
二次電圧 電圧計・電力計・電圧継電器 |
変圧比、ヒューズ、負担、接地点 |
| VCT 電圧・電流 |
計量用信号 取引用電力量計 |
所有、封印、変成比、計器番号 |
| ZCT 各導体の電流差 |
零相電流Io GR・DGR |
全相貫通、K/L、接地線、組合せ |
同じ変成器でも、表示・記録、取引用計量、過電流保護、地絡保護では確認資料が違います。高圧受電設備の単線結線図と図記号から展開接続図、端子台図、機器表へ移り、二次側の行き先を確定します。
回路を4層に分ける|一次・二次・判定・出力
CTやZCTを見つけた時点では保護回路を読み終えていません。入力を作る変成器、信号を運ぶ二次回路、異常を判定する継電器、遮断・警報を行う出力先を分けます。
| 層 | 確認する事実 | 根拠資料 |
|---|---|---|
| 一次 | 回路名、相、設置位置、定格 | 単線図・機器表・銘板 |
| 二次 | 端子番号、極性、接地、ヒューズ、短絡片 | 展開図・端子台図・取扱説明書 |
| 判定 | 計器設定、OCR整定、Io・Vo、位相 | 整定表・試験成績書 |
| 出力 | 表示、記録、警報、VCB等の開放 | 制御回路図・連動試験記録 |
保護継電器の種類と役割では入力・整定・出力を、単線結線図の読み方・実務編では保護範囲と停電影響を扱います。本記事では、その前段にある変成器と二次回路の照合へ集中します。
CT回路|変流比だけでなく閉回路を確認する
CTは主回路へ直列に入るか、導体を鉄心へ貫通させて一次電流を取り込みます。200/5AのCTで一次120Aなら理想二次値は3Aですが、現場の表示を一次値へ戻すには計器倍率、CT比、相、配線、使用負担が一致していることが前提です。
一次電流が流れているCTの二次側は開放しません。開放すると二次端子に高電圧が生じ、絶縁破壊、過熱、焼損、感電につながるおそれがあります。計器を切り離す設計では試験端子や短絡機構を使いますが、短絡位置・操作順・復旧確認は設備固有です。一般記事を操作票に転用しないでください。
点検記録には回路名、一次/二次定格、使用端子、短絡機構の状態、接続先、前回との差を残します。保護用CTの過電流域と負担はCTの飽和・精度階級・負担で確認します。
VT回路|並列接続・ヒューズ・接地を一組で読む
VTは高圧回路へ並列に接続し、一次電圧に比例した二次電圧を電圧計、電力計、電圧継電器へ渡します。6,600/110Vという銘板だけで終わらず、一次・二次ヒューズ、分岐先、定格負担、開放端子の絶縁、二次接地点を同じ回路として追います。
VT二次側は短絡しません。VTは電圧源として働くため、短絡すると過大電流が流れ、巻線や配線の焼損につながります。CTの開放禁止とVTの短絡禁止を標語だけで覚えず、どの変成器の、どの端子を、何の目的で扱うかを先に識別します。
VTと操作用変圧器は、二次側が計器・継電器へ向かうか、遮断器操作や表示灯の制御電源へ向かうかで役割を分けます。仕様選定はVTの選び方へ進んでください。
VCT・ZCT|計量点と地絡検出点を分ける
VCTはVT要素とCT要素を組み合わせ、主に高圧受電の取引用電力量計へ信号を渡します。需要家の監視用CT・VTとは、目的、所有、封印、検定、変更時の協議を分けます。詳しくはVCT・MOFと取引用電力量計で確認できます。
ZCTは全相を同じ鉄心へ通し、健全時に打ち消し合う電流の差である零相電流Ioを取り出します。方向性地絡保護では、Ioに加えてZPD・EVT等が作る零相電圧Voと位相関係を使う方式があります。
| 確認点 | VCT | ZCT |
|---|---|---|
| 物理位置 | 取引用計量点 | 保護対象の全相貫通点 |
| 行き先 | 取引用電力量計 | GR・DGR |
| 固有確認 | 封印・所有・検定・乗率 | K/L・接地線・組合せ |
Io・Voを作る原理と極性はZCT・ZPD・EVTの違い、DGRから開放機器までの流れはGR・DGR・OVGRの違いで分けて確認します。
銘板台帳|変成比・負担・確度・極性を対応させる
変流比・変圧比だけでは、計測用か保護用か、接続負担が定格内か、極性が合うかを判断できません。接続する計器・継電器・配線の使用負担を合計し、機器の定格負担と対応させます。
| 銘板項目 | 照合先 | 不一致時の扱い |
|---|---|---|
| 一次/二次定格・比 | 単線図・計器倍率・整定表 | 換算値を確定せず差異を記録 |
| 定格負担・確度 | 接続機器VA・配線・用途 | 使用負担と要求精度を再確認 |
| 極性・端子 | 展開図・端子台図・方向要素 | 図面/現物差異として保留 |
| 型式・製造番号 | 機器台帳・成績書・更新履歴 | 対象記録の取り違えを解消 |
端子安全|短絡片・ヒューズ・一点接地を混ぜない
CT短絡片、VTヒューズ、二次側接地は、どれも二次端子周辺に描かれますが役割は別です。短絡機構はCT二次開放を避けるため、ヒューズはVT回路の異常を分離するため、二次側接地は一次・二次混触時の危険を抑えるために設けられます。
| 対象 | 確認する状態 | 混同しない事項 |
|---|---|---|
| CT試験端子 | 通常/試験位置、短絡箇所、復旧表示 | VT回路の開放端子 |
| VTヒューズ | 定格、相、断線表示、予備品型式 | CT二次の短絡機構 |
| 二次側接地 | 接地点、線番、接地先、重複有無 | 外箱・鉄心の保護接地 |
高圧計器用変成器の二次側電路と機器外箱等は対象が違います。「CTはD種」の一語ではなく、何のどの導体をどこへ接地するかを記録します。接地系統全体は高圧受電設備の接地系統図へ進んでください。
回路照合表|図面・銘板・端子・試験を一機器一行にする
図面の版と現物が違うと、正しい計器値でも誤ったCT比で一次換算するおそれがあります。一機器一行の照合表にして、確認済みの事実と未確認事項を混ぜずに引き継ぎます。
| 記録単位 | 確定する事実 | 未確認・閉じる条件 |
|---|---|---|
| 機器 盤/回路/符号 |
型式、製造番号、一次/二次定格、用途 | 銘板写真と機器表の一致 |
| 二次経路 端子/線番 |
計器・継電器、極性、接地、保護 | 展開図と端子台図の相互参照 |
| 試験 成績書番号 |
単体値、計器指示、継電器動作、連動先 | 条件・基準・復旧確認の署名 |
単線図から展開図へ進む順照合だけでなく、計器・継電器の端子から元の変成器へ戻る逆照合も行います。作図側の版管理は高圧受電設備の単線結線図の書き方、AS・VSを含む二次結線はCT・VT二次回路の結線図で確認できます。
試験・使用状態|単体合格と回路成立を分ける
変成比や絶縁の単体試験が合格しても、計器倍率、継電器設定、端子復旧、遮断出力が一致しなければ設備全体は成立しません。記録を「未照合」「図面照合済み」「単体試験済み」「回路・表示照合済み」「連動・復旧確認済み」に分け、試験範囲を明示します。
- 単体:対象機器、試験条件、測定値、判定基準を対応させる。
- 回路:二次端子から計器・継電器までの線番、極性、接地を照合する。
- 表示:一次換算、相表示、倍率、監視装置の値を同条件で比べる。
- 連動:継電器出力、警報、開放機器、事故表示を別々に記録する。
- 復旧:短絡片、ヒューズ、試験プラグ、カバー、図面の状態を確認する。
成績表の読み方は保護継電器試験の見方、検査全体は高圧受電設備の検査方法、指摘管理はキュービクルの点検項目を参照してください。
不一致管理|事実・影響・判断待ちを分ける
図面にCT比200/5A、銘板に300/5Aとある場合、どちらかを推測で正解にしません。図面記載、現物銘板、計器設定、試験成績書の事実を分け、表示倍率、OCR一次換算、保護協調、過去記録への影響を列挙します。そのうえで確認責任者、改訂対象、閉じる根拠を付けます。
ZCTのK/Lや接地線、VT二次の接地点、VCTの所有・封印のように停止や外部協議が必要な事項は、未確認のままでも状態を残せます。未確認を「異常なし」に混ぜないことが重要です。高圧受電設備の仕組みで全体との関係も確認してください。
指示値の不一致を見つけた場合も、すぐに変成器の故障と決めません。一次負荷の変化、対象相、計器倍率、通信換算、端子・ヒューズ、二次回路、変成器単体の順に、確認済みの事実を積み上げます。原因候補と確認結果を分ければ、別担当者が同じ前提から調査を再開できます。
まとめ|略号ではなく回路と確認状態で管理する
- CT:相電流を計器・OCRへ渡し、一次通電中の二次開放を避ける。
- VT:回路電圧を計器・継電器へ渡し、二次短絡を避ける。
- VCT:取引用計量点として所有・封印・検定まで追う。
- ZCT:Ioを取り出し、Vo・方向判定・開放先との組合せを追う。
- 記録:一次、二次、判定、出力、試験、復旧を一機器一行で結ぶ。
物理位置、銘板、二次端子、行き先、判定、出力、確認状態を同じ設備単位で照合して初めて、計測・計量・保護のどの回路なのかを説明できます。
公式資料・一次情報
- 三菱電機FA:計器用変成器の種類と用途
- 三菱電機FA eラーニング:VT・CTの構造と接続
- 三菱電機FA FAQ:計器用変成器の負担・確度・接地
- 三菱電機:計器用変成器カタログ・安全上の注意
- 経済産業省:電気事業法の告示・内規等
- 経済産業省:電気設備の技術基準の解釈の解説(令和7年11月20日改正)
- 東京電力パワーグリッド:高圧設備の計量器・VCT
- 電気技術者試験センター:第一種学科試験の配線図例題
目的から選ぶ関連記事
| 目的 | 次に読む記事 | 確認できること |
|---|---|---|
| 設備・図面 | 高圧受電設備の仕組み 単線結線図と図記号 |
設置位置と全体構成 |
| 二次回路 | CT・VT二次回路の結線図 候補問題No.7 CT回路 |
AS・VS、極性、端子台 |
| 保護・試験 | 保護継電器の種類と役割 保護継電器試験の見方 |
入力、整定、出力、連動 |
| 地絡・接地 | ZCT・ZPD・EVTの違い 高圧受電設備の接地系統図 |
Io・Voと接地経路 |
| 取引用計量 | VCT・MOFと取引用電力量計 | 乗率、検定、封印、更新 |
| 学習確認 | 構成機器ミニテスト 第一種 学習ロードマップ |
基礎知識と学習順 |
広告・検証方針
この記事内に参考書、工具、講座のアフィリエイトリンクは掲載していません。2026年8月29日に経済産業省の現行解釈、電気技術者試験センター、東京電力パワーグリッド、三菱電機の公開資料へ再照合しました。照合表と記録例は当サイトのオリジナルです。
※当サイトの画像にはAI生成のものが含まれており、実際の機器・器具とは外観が異なる場合があります。問題・解答の内容には細心の注意を払っておりますが、誤りが含まれる可能性があります。学習の参考としてご活用いただき、最終的な確認は公式テキスト・法令等で行ってください。当サイトの情報に基づく判断によって生じた損害について、一切の責任を負いかねます。
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