結論:RPRは逆方向、UPRは正方向電力の不足を、計測点と遮断目的ごとに判定する
RPR(逆電力継電器)は、定義した正方向と反対へ流れる有効電力を検出します。UPR(不足電力継電器)は、監視する正方向の有効電力が設定値を下回る領域を検出します。計測点→CT・VT入力→電力演算→動作領域→論理・時限→解列出力→復旧の七層に分け、逆潮流の可否と保護目的を結びます。
この記事はOVR・UVR・OFR・UFRの電圧・周波数判定や、保護継電器の機器番号・英語略号の一覧を繰り返しません。連系点の逆潮流防止、単独運転対策、発電機のモータリング保護を、計測点・正方向・遮断対象の違いから分離することが役割です。
記事中の動作領域や説明例を、整定値・試験位相・遮断論理へ流用しないでください
必要な保護要素、動作値、時限、ブロック、遮断先は、発電方式、逆潮流契約、連系電圧、系統条件、発電機メーカーの許容値、一般送配電事業者との技術協議で変わります。実設備では電気主任技術者等の管理下で、承認図、連系協議回答、現行取扱説明書、保護連動表、試験・復旧手順を優先してください。
信号を7層で読む|計測点・入力・演算・判定・論理・解列・復旧
RPR・UPRを略号と設定値だけで見ると、受電点と発電機端のどちらを測り、どの方向を正とし、どの遮断器を開く機能かが抜けます。図番と回路タグを主キーにして、七層を一つの経路にします。
同じRPRでも、逆潮流なしの連系点から系統への流出を検出する用途と、同期発電機が系統から電力を受けてモータリングする状態を検出する用途では、正方向と保護対象が異なります。名称の一致を同じ論理の証拠にしません。
保護の完了はリレーの動作表示ではありません。出力接点、連系用または発電機用遮断器、主回路電流の消滅、発電設備停止、再投入禁止、原因除去までを別々の状態として残します。
| 区分 | 確認する事実 | 完了・判断の証拠 |
|---|---|---|
| 計測点 | 受電点、発電機端、PCS出力端 | 単線図・計量境界・設備タグ |
| 入力 | CT・VTの相、比、極性、試験端子 | 展開図・銘板・端子台図 |
| 演算・判定 | 有効電力の符号、RPR/UPR領域、復帰 | 取扱説明書・整定表 |
| 論理・解列 | 時限、ブロック、出力接点、対象52 | 保護連動表・連動試験 |
| 復旧 | 電流消滅、原因隔離、設定・図面一致 | イベント・復旧承認記録 |
RPRとUPRの境界|逆方向電力と正方向電力の不足
有効電力の軸を、例えば系統から需要家への受電を正と定義します。正側で設定値より十分大きい領域、ゼロ付近を含む不足側、需要家から系統へ向かう逆側を分けると、UPRとRPRの違いを同じ軸で読めます。
RPRは単なる逆電流ではなく、CT電流とVT電圧から得る有効電力の向きを使います。UPRの不足対象も電圧や周波数ではなく有効電力です。UVRやUFRとは入力判定の物理量が異なります。
ゼロ付近では、負荷変動、発電出力制御、計測誤差、三相不平衡、復帰幅が効きます。境界を記号上のゼロだけで決めず、平常運転の分布と過渡記録へ重ねます。
| 区分 | 確認する事実 | 完了・判断の証拠 |
|---|---|---|
| 正方向の通常領域 | 平常受電または発電出力が所定範囲 | 最小・最大値と運転モード |
| UPR動作候補 | 監視する正方向電力が設定値未満 | 不足側の動作値・時限・復帰 |
| ゼロ近傍 | 発電と負荷の平衡、過渡、計測誤差 | 時系列値・不平衡・不要動作確認 |
| RPR動作候補 | 定義した正方向と反対の有効電力 | 逆方向値・継続時間・許可条件 |
有効電力の符号|CT・VT・相順・基準方向を一組にする
三相平衡時の有効電力は代表式P=√3VIcosφで表せますが、方向判定には大きさだけでなく、電圧と電流の位相関係が必要です。CTのK・L、VTの極性、相名、相順、入力割当のどれかが反転・入替になると、演算上の符号も変わり得ます。
盤面電力計、取引計器、監視装置、保護リレーが同じプラス・マイナス定義とは限りません。各装置の符号規約を取得し、実負荷または承認された試験条件で、どちらの方向が正表示になるかを記録します。
入力回路はCT・VT二次回路の結線図とCT・VT・VCT・ZCTの違いへ戻り、回路の開放・短絡を避けながら、銘板、端子、設定、表示を同じ相名で照合します。
連系点RPR|逆潮流なしの条件と単独運転を分ける
自家消費用発電設備で逆潮流を認めない場合、発電量が構内負荷を上回ると、受電点から系統側へ有効電力が流出します。連系点RPRは、この逆方向電力を解列論理へ使う代表的な用途があります。
一方、売電等で逆潮流が認められている設備では、需要家から系統への電力が正常運用として存在します。三菱電機の系統連系解説も、逆潮流が認められる場合は単独運転対策としてRPRを使用できないと説明しています。契約区分だけでなく、連系協議で承認された検出方式を確認します。
逆潮流は電力の流れの状態であり、故障名ではありません。一時的な流出、計画された売電、連系条件に反する流出、系統喪失後の単独運転を、同じ『RPR動作』へまとめません。
| 区分 | 確認する事実 | 完了・判断の証拠 |
|---|---|---|
| 逆潮流なし | 受電点から系統への流出を許容しない条件 | 連系協議回答・整定根拠 |
| 逆潮流あり | 売電・放電等の正常な逆方向電力 | 契約・運転計画・別の単独運転対策 |
| 一時的逆潮流 | 負荷急減、発電制御遅れ、系統変動 | 波形・継続時間・時限協調 |
| 単独運転 | 系統喪失後も発電設備が系統を充電 | 系統状態・解列時刻・複数要素 |
UPR|平常受電電力・最小負荷・不検出領域を照合する
逆潮流なしの分散型電源でも、平常は発電量より構内負荷を大きくし、系統から一定の有効電力を受ける運用があります。オムロンの技術解説では、単独運転によって取り込む電力が所定値を下回ることをUPRで検出する考え方が示されています。
UPRの整定候補を決めるには、季節、曜日、操業状態、発電出力、蓄電池、負荷制御を含む平常時の最小受電電力が必要です。瞬間値だけでなく、継続時間と復帰幅を含む分布を使います。
発電量と負荷が近い状態では、系統喪失前から受電電力が小さく、不要動作と不検出の余裕が狭くなります。UPR一要素の採否を記事の固定値で決めず、電圧・周波数、受動・能動方式、転送遮断等を含む協議済み構成で閉じます。
| 区分 | 確認する事実 | 完了・判断の証拠 |
|---|---|---|
| 平常受電 | 運転モード別の最小・変動幅・継続時間 | トレンド・負荷/発電台帳 |
| 不足判定 | 動作値、時限、復帰値、入力成立条件 | 整定表・取扱説明書 |
| 不要動作 | 負荷急減、発電急増、起動停止、時計ずれ | イベント・波形・運転記録 |
| 不検出域 | 発電と負荷の平衡、電圧・周波数変化小 | 保護方式一覧・連系協議 |
発電機RPR|原動機喪失とモータリングを連系点から分ける
同期発電機が系統と並列しているときに原動機入力を失うと、発電機が系統から有効電力を受け、同期電動機のように回されるモータリング状態になることがあります。発電機から母線への出力を正とすれば、これは逆電力です。
GE Vernovaはタービン駆動発電機のモータリング防止を方向電力リレーの用途として示し、SELの発電機保護リレーもreverse powerとlow forward powerを別の電力要素として扱っています。守る対象は連系条件だけでなく、原動機・発電機の許容運転です。
連系点RPRと発電機RPRは、同じ略号でも計測CT・VT、正方向、基準容量、起動ブロック、時限、遮断する52が異なります。非常用発電機とATSの単線結線図の非並列切替とも分け、並列中だけ成立する経路を確認します。
保護協調|電圧・周波数・単独運転・FRTを重ねる
RPR・UPRは、系統短絡・地絡・電圧・周波数異常のすべてを検出する装置ではありません。連系点の各事故に対し、どの要素が主検出、後備、ブロック、転送信号になるかを保護連動表で分けます。
現行の系統連系技術要件では、広範囲の瞬時電圧低下や周波数変化で発電設備が一斉解列しないよう、運転継続性能(FRT)が関係する場合があります。異常を早く切る要件と、所定範囲で運転を継続する要件を、OVR・UVR・OFR・UFRの違いと同じ時間軸で照合します。
単独運転はRPRまたはUPRだけで完結させず、受動的・能動的検出、転送遮断、再閉路との協調を連系区分ごとに確認します。古い図面の構成を現行設備へそのまま転用しません。
| 区分 | 確認する事実 | 完了・判断の証拠 |
|---|---|---|
| 系統短絡・地絡 | 方向短絡、地絡過電圧等と遮断範囲 | 保護連動表・系統条件 |
| 電圧・周波数 | OV/UV/OF/UF、FRT、入力成立 | 連系要件・整定曲線 |
| 単独運転 | RPR/UPR、受動・能動方式、転送遮断 | PCS認証・協議回答 |
| 再閉路・再連系 | 解列時間、再投入禁止、同期・復帰条件 | 運転手順・連動試験 |
動作値と時限|固定値を転載せず実設備の基準へ換算する
メーカー資料の動作値は、定格電圧・定格電流・定格電力に対する割合等で示されることがあります。一次kWへ換算するときは、CT比、VT比、結線、対象相、リレーが採用する定格基準をそろえます。異なる機種の%値を横並びにしません。
RPRは許容される一時的逆潮流と異常を、UPRは平常の最小受電と系統喪失を分ける必要があります。動作値だけでなく、時限、復帰値、ヒステリシス、起動・並列直後の不要動作ロック、遮断器位置によるブロックを一組にします。
整定根拠は『標準値』ではなく、連系協議の要求、メーカー許容値、実測トレンド、計測誤差、遮断器全遮断時間を同じ版で残します。変更後は保護継電器試験の見方に沿って単体と連動を分けて確認します。
試験・事故記録|正方向・逆方向・不足側を別結果で残す
電力要素の試験は、電流値だけを注入しても方向判定を確認できません。承認された試験要領に基づき、VT・CT入力の大きさ、相、位相、正方向定義を管理し、正方向不動作、逆方向動作、UPR不足側動作、復帰を別結果にします。
単体試験で接点が出ても、ブロック、出力マトリクス、制御電源、対象遮断器を含む解列経路の成立は別です。VCBの引外し・制御回路まで連動させ、試験線・強制出力・設定モードを原状へ戻します。
事故時は設定を触る前に、受電・発電有効電力、無効電力、三相電圧・電流、周波数、運転モード、要素ピックアップ、出力接点、52a/52b、主回路電流消滅を同じ時刻軸で保存します。
| 区分 | 確認する事実 | 完了・判断の証拠 |
|---|---|---|
| 待機 | 正方向、運転モード、整定群、ブロック | 事故前値・設定版 |
| 入力・演算 | 各相V/I、位相、有効/無効電力、符号 | 試験器値・計測値・波形 |
| ピックアップ | RPR/UPR要素、動作値、時刻、継続 | イベントログ・ターゲット |
| 出力・解列 | 論理、接点、52状態、電流消滅 | SOE・連動試験・波形 |
| 復旧 | 原因、設定、試験線、ブロック、再連系 | 復旧票・承認記録 |
変更と復旧|順照合・逆照合で計測点と遮断先を閉じる
発電機、PCS、蓄電池、負荷制御、受電方式、CT・VT、保護リレーを変更すると、平常電力の分布、正方向、動作余裕、出力先が変わります。容量変更だけでなく、逆潮流条件と連系協議の再確認を変更管理へ含めます。
順照合では計測点からCT・VT、RPR/UPR演算、論理、出力、遮断器へ進みます。逆照合では各解列用52のトリップ回路から、起動できる全要素、ブロック、入力へ戻ります。孤立した入力と未接続の出力を残しません。
復旧はリレー表示のリセットではありません。原因隔離、承認済み整定の実装、CT・VT入力、出力先、警報・通信、時刻同期、試験器撤去、図面・設定バックアップ、再連系条件を確認します。単線結線図の読み方と現物が不一致なら、運転制限と改訂責任者を記録します。
公式資料・一次情報
- 資源エネルギー庁:関係法令・系統連系ガイドライン等
- 資源エネルギー庁:電力品質確保に係る系統連系技術要件ガイドライン
- オムロン:保護継電器の技術解説
- オムロン:K2ZC-N 系統連系用複合継電器の定格・性能
- オムロン:K2ZC-N 系統連系用複合継電器の形式・種類
- 三菱電機FA:系統連系用継電器の選定
- 三菱電機FA:CPP1-A41D1 系統連系保護継電器の仕様
- 三菱電機FA:系統連系用複合保護継電器 CPPカタログ
- IEEE Standards Association:IEEE C37.2-2022
- Schweitzer Engineering Laboratories:SEL-700G Generator Protection Relay
- GE Vernova:GGP Power Directional Relay
内容確認日:2026年9月2日。対象設備の承認図、現行取扱説明書、契約・運用基準を優先してください。
目的から選ぶ関連記事
| 目的 | 次に読む記事 | 確認できる境界 |
|---|---|---|
| 入力と符号 | CT・VT・VCT・ZCTの違い/CT・VT二次回路 | 比、極性、相順、試験端子 |
| 保護要素 | OVR・UVR・OFR・UFR/機器番号・英語略号 | 物理量、機能番号、FRT、復帰 |
| 電源と連系 | 非常用発電機とATS/高圧・特別高圧の受電方式 | 非並列切替、連系点、逆電力 |
| 出力と試験 | VCB引外し回路/保護継電器試験 | 出力接点、全遮断、復旧 |
| 関連する保護 | 保護継電器の種類と整定/変圧器の保護方式 | 主保護、後備、遮断範囲 |
| 電力記録 | 30分デマンド監視/VCT・MOFと取引用電力量計 | 計測境界、時限、符号、取引値 |
広告・検証方針
この記事内に保護継電器、PCS、発電機、試験器、通信講座のアフィリエイトリンクは掲載していません。2026年9月2日に資源エネルギー庁の系統連系ガイドライン、メーカー仕様、IEEE公開情報へ再照合しました。七層照合、動作領域、試験・復旧状態の管理方法は当サイトの編集構成です。
※当サイトの画像にはAI生成のものが含まれており、実際の機器・器具とは外観が異なる場合があります。問題・解答の内容には細心の注意を払っておりますが、誤りが含まれる可能性があります。学習の参考としてご活用いただき、最終的な確認は公式テキスト・法令等で行ってください。当サイトの情報に基づく判断によって生じた損害について、一切の責任を負いかねます。
内容の誤りやお気づきの点がございましたら、お問い合わせフォームよりご連絡いただけますと幸いです。正確な情報をお届けできるよう、随時修正してまいります。