受変電設備の実務

【10問】高圧進相コンデンサ|点検・高調波・力率管理ミニテスト

「役割→異常兆候→記録」をつなぐ進相コンデンサ10問

高圧進相コンデンサの点検」に対応する、当サイト独自のミニテストです。SC・SR・放電装置の役割だけでなく、高調波、過進相、外観異常、更新推奨時期、点検記録をどう判断するか確認します。

最初に「力率が良ければ設備も正常」とは限らないと確認する

進相コンデンサ(SC)は、誘導性負荷が必要とする遅れ無効電力を補償します。同じ有効電力・電圧を送る条件では、力率改善により電源側電流、損失、電圧降下を抑えやすくなります。しかし、力率表示が良好でも、ケースの膨らみ、漏れ、異常音、温度上昇、相電流の変化を見落としてよいわけではありません。

また、軽負荷時まで同じ容量を投入すると進み側へ寄る場合があります。力率は一日の平均値だけでなく、進み・遅れの別、時間帯、負荷、投入段数と一緒に読みます。電気料金への影響は契約・計量条件で異なるため、このテストでは「設置すれば必ず一定額安くなる」という答えを正解にしません。

コンデンサ設備を4層で読む

①役割 SC・SR・放電装置 → ②状態 外観・音・温度・電流 → ③系統 負荷・力率・高調波 → ④判断 保護・製造年・更新計画

機器・記録 主な役割・見方 固定しない条件
SC 遅れ無効電力を補償 必要容量・投入段数
SR 高調波、突入電流、異常電圧への対策 リアクタンス・許容電流種別
放電装置 開放後の残留電荷を低減 放電時間・確認手順
点検記録 前回値・銘板・機種別基準と比較 電流・温度の判定値

JEMAは、進相コンデンサへ直列リアクトルを取り付けて使用することを原則とし、6%または13%を示しています。ただし、どの組合せを採用するかは、系統の高調波、既設機器、定格、許容電流種別等で検討します。「6%」だけを覚えて、どの設備にも同じ機器を組み合わせる問題にはしません。このページに公式の合格点はありません。

解く前に4つの誤答パターンを外す

第一は、SC・SR・放電装置を一つの役割として覚える誤りです。力率補償はSC、直列リアクトルは高調波や突入電流等への対策、放電装置は残留電荷の低減を担います。略号より先に、何を変える機器かを言葉にします。

第二は、力率100%へ近づけるほど常に良いと考える誤りです。軽負荷時に容量が余れば、進み力率や電圧上昇につながる場合があります。負荷変動が大きい設備は、時間帯別の無効電力と投入段数を見ます。

第三は、異常音を経年劣化だけで決める誤りです。JEMAは、コンデンサや直列リアクトルの異常音の多くに高調波電流の流入が関係すると説明しています。どの負荷が動くと変わるか、電流・温度・高調波・組合せを確認し、外観異常の有無も分けて記録します。

第四は、更新推奨時期15年を保証寿命や故障期限と読む誤りです。15年は計画更新を検討する目安です。製造年に、外観、電流、温度、高調波、保護、部品供給、負荷変更を重ねて優先順位を決めます。

問題1:進相コンデンサの役割

誘導性負荷が多い設備で、SCを設置する主な役割はどれですか。

ア.有効電力そのものを発生させる
イ.遅れ無効電力を補償して力率を改善する
ウ.短絡電流を遮断する
エ.雷サージを大地へ分流する

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正解:イ
SCは進み無効電力を供給し、負荷側の遅れ無効電力を補償します。短絡遮断はVCB等、雷サージの分流はLA等の役割です。電力・無効電力・力率の関係は「電気応用の基礎」でも確認できます。

問題2:SC・SR・放電装置の役割分担

3機器の役割の組合せとして最も適切なものはどれですか。

ア.SC=力率補償、SR=高調波等への対策、放電装置=残留電荷の低減
イ.SC=短絡遮断、SR=計量、放電装置=避雷
ウ.SC=地絡方向判定、SR=電圧変成、放電装置=力率補償
エ.3機器はすべて同じ役割を持つ

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正解:ア
役割を分けることが基本です。放電装置があっても直ちに安全と自己判断せず、実設備では固有の待ち時間、検電、接地等を資格者が手順に従って行います。

問題3:力率改善と電源側電流

有効電力と線間電圧が同じ三相負荷で、遅れ力率を0.70から0.90へ改善しました。電源側電流の変化として適切なものはどれですか。

ア.一般に小さくなる
イ.必ず2倍になる
ウ.有効電力が同じなら必ずゼロになる
エ.力率と電流は無関係である

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正解:ア
平衡三相の有効電力をP=√3VIcosφで考えると、PとVが同じ条件ではcosφが大きいほど必要電流Iは小さくなります。ただしSCの容量選定は、実測負荷と目標力率、負荷変動を用いて行います。

問題4:軽負荷時の過進相

操業終了後に負荷が大きく減ったのに、同じSC容量が投入されたままです。最初に確認する内容はどれですか。

ア.力率の進み・遅れ、無効電力、投入段数、電圧の時間変化
イ.力率表示を見ずにSCを追加する
ウ.必ず手動で全段を頻繁に開閉する
エ.平均力率だけ良ければ何も確認しない

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正解:ア
負荷に対して容量が余ると過進相となり、電圧上昇等につながる場合があります。表示値だけで操作せず、制御方式、再投入条件、開閉器定格を含めて電気主任技術者等が確認します。

問題5:直列リアクトルの選び方

直列リアクトル(SR)について最も適切な説明はどれですか。

ア.どの系統でも6%品なら銘板を見ずに組み合わせられる
イ.高調波、突入電流、異常電圧等への対策を担い、組合せは定格・系統条件で確認する
ウ.SCの残留電荷を人が触れて確認するための機器である
エ.有効電力を発電する機器である

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正解:イ
JEMAは6%または13%のSRを示しますが、許容電流種別、高調波、SCの定格、旧JIS・現JISの組合せ等を確認します。数値だけで互換性を決めません。

問題6:異常音と高調波

SCまたはSRから普段と違う大きな音がします。適切な考え方はどれですか。

ア.音だけで必ず経年劣化と断定する
イ.近づいて外箱へ手を当て、温度を確かめる
ウ.安全距離を保って報告し、負荷・高調波・電流・温度・外観を専門者が調べる
エ.高調波は音や温度と関係しない

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正解:ウ
JEMAは、異常音の多くにコンデンサ回路へ流入する高調波電流が関係すると説明しています。原因は音だけで断定せず、いつ・どの負荷で変わるかも記録します。異常設備へ接近・接触しません。

問題7:ケースの膨らみ・漏れ

巡視中、SCのケースに膨らみと漏れらしい跡を見つけました。設備管理者の初動として適切なのはどれですか。

ア.扉を開けて布で拭き取る
イ.外箱を押して硬さを確かめる
ウ.近づかず、位置・時刻・警報等を安全な範囲で記録して緊急連絡手順で報告する
エ.力率が良いので次回点検まで放置する

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正解:ウ
膨らみ、油・ガス漏れ、亀裂、焦げ臭、煙、強い異常音等は、状態確認のために触れる対象ではありません。「キュービクル巡視の記録方法」に従い、電気主任技術者・保守会社へ報告します。

問題8:更新推奨時期15年の意味

JEMAが示す高圧進相コンデンサ設備の更新推奨時期15年について、正しい理解はどれですか。

ア.15年間は無点検でよい保証期間
イ.15年になった日に必ず故障する期限
ウ.使用環境・点検結果・製造年等と合わせて計画更新を検討する目安
エ.SCだけを見てSRや開閉・保護機器を確認しない基準

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正解:ウ
15年は保証寿命でも一律の故障期限でもありません。SC、SR、放電装置、開閉・保護機器を一つの設備として、異常兆候、部品供給、停電計画を含めて更新を検討します。

問題9:SCとSRの組合せ変更

SRに組み合わされた複数のSCの一部だけを外す案が出ました。適切な対応はどれですか。

ア.力率が高ければ自由に外してよい
イ.SRの%リアクタンス等が変わるため、銘板・組合せ・メーカー資料を専門者が再確認する
ウ.SRはSC容量と無関係なので確認不要
エ.旧JIS品と現JIS品は常に同じ定格なので自由に交換できる

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正解:イ
JEMAは、SRに接続されたSCの一部を取り外すと%リアクタンスが低下して危険と注意しています。容量変更や一部交換は、SCとSRの組合せ、規格年、定格をそろえて検討します。

問題10:点検報告書の読み方

今年の力率は良好でした。更新判断のため、次に確認する組合せとして最も適切なものはどれですか。

ア.力率の平均値だけ
イ.製造年、外観、各相電流、温度、高調波、SR・保護、前回値、負荷変更
ウ.設備名称だけ
エ.購入価格だけ

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正解:イ
力率は一つの運転記録にすぎません。点検記録は、機器番号と銘板を「単線結線図」へ対応させ、前回から何が変わったかを読みます。保護装置との関係は「保護継電器の整定と点検記録」も参照してください。

誤答別の復習と点検記録の読み順

問題 復習軸 復習先
1〜4 無効電力・力率・過進相 電気応用ミニテスト
5〜7 SR・高調波・異常兆候 高圧進相コンデンサの点検
8〜10 更新・組合せ・記録 単線結線図の実務読解

記録は、盤・機器番号→SC/SR/放電装置の銘板→製造年→外観→電流・温度→力率・無効電力→負荷と高調波→保護・更新履歴の順に並べると、単年度の正常・異常だけでなく変化を追えます。受電設備全体での位置は「高圧受電設備の仕組み」で確認してください。

安全上の注意

このテストは設備の役割と点検記録を学ぶページで、開閉、放電、検電、接地、測定、容量変更の手順ではありません。高圧進相コンデンサは回路から切り離した後も電荷が残る危険があります。異常時は近づかず、実設備は電気主任技術者・保守会社が保安規程、メーカー手順、系統条件に基づいて扱います。

公式確認先

受電設備の図面上の位置は「高圧受電設備の単線結線図」、日常・月次・年次の記録は「キュービクルの点検項目」、保護とのつながりは「保護継電器ミニテスト」へ進むと整理できます。

広告・編集方針

問題はすべて当サイト作成のオリジナルです。コンデンサ、測定器、保守サービスのアフィリエイトリンクは掲載していません。2026年8月8日にJEMA、経済産業省、メーカー公式資料へ照合しました。

資格太郎

この記事を書いた人:資格太郎電気工事士の独学合格を目指して学習中。実務経験を据えず、業界団体・行政・メーカーの一次資料から設備の役割と安全な判断境界を整理しています。運営者情報を詳しく見る


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