受変電設備の基礎

ZCT・ZPD・EVTの違い|地絡保護のしくみとGR・DGR、地絡電流の計算

この記事を読み終えると、ZCT・ZPD・EVTが何を取り出す機器かを言い分け、GRとDGRの違いを地絡電流の流れる向きから説明し、対地静電容量から地絡電流を計算できるようになります。

第一種電気工事士の学科では、PASの中の機器が「零相電流を検出する」のか「零相電圧を検出する」のかを選ぶ問題と、構内のケーブルが長い施設に設ける継電装置を選ぶ問題が、繰り返し出ています。どちらも、地絡電流がどこを通って戻るかを図でつかむと、答えの理由まで言えます。この記事は試験の学習用で、実際の設備の結線や作業の手順を示すものではありません。

高圧の配電線は非接地。地絡電流は対地静電容量を通って戻る

6,600Vの高圧配電線は、中性点を大地につながない非接地方式です。試験でも、「高圧配電線路は一般に中性点接地方式であり、変電所内で大地に直接接地されている」が誤りの記述として出ています。

大地につながっていないのに地絡電流が流れるのは、電線と大地の間に静電容量(対地静電容量)があるからです。電線と大地は、間に絶縁物をはさんだコンデンサと同じ形になっていて、交流ではここを電流が通ります。

図1 構内で地絡したとき、地絡電流はほかの線路の対地静電容量を通って戻る

コンデンサの記号は電線と大地の間の静電容量、赤い矢印は地絡電流の道です。

自分の構内配電用変電所の母線ほかの線路3ZCT大地①②③④⑤
図1の読み方:地絡電流は、大地→ほかの線路の対地静電容量→母線→自分のZCT→事故点と一回りします。

図1の①で地絡が起きると、電流は大地へ流れ込みます。図1の②のように大地を通った電流は、図1の③のほかの線路の対地静電容量を通って電線へ戻り、母線を経て、図1の④の自分のZCTを電源側から構内へ向かって通り、事故点へ帰ります。図1の⑤の構内の対地静電容量を通った分は、ZCTを通らずに事故点へ戻ります。図では省きましたが、配電用変電所の接地形計器用変圧器(EVT)の中性点にも一部が流れ込みます。

こうして流れる地絡電流は数A程度と小さく、短絡電流のように過電流継電器やヒューズで見つけることはできません。そこで、地絡のときにだけ現れる「零相電流」と「零相電圧」を取り出す専用の機器を使います。

3つの機器は、取り出すものと使う場所で見分ける

ZCT・ZPD・EVTを見分ける軸は、「零相電流と零相電圧のどちらを取り出すか」と「需要家と配電用変電所のどちらで使うか」の2つです。

機器 取り出すもの 使う場所
ZCT(零相変流器) 零相電流 需要家の受電点(PASの中など)、配電用変電所
ZPD(コンデンサ形の零相電圧検出器) 零相電圧 需要家の受電設備
EVT(接地形計器用変圧器) 零相電圧 配電用変電所(需要家では使えない)

ZPDは、コンデンサで零相電圧を取り出す検出器で、メーカーの資料ではZVT(コンデンサ接地形零相電圧検出器)とも書かれます。試験の単線結線図では、PASの中に「コンデンサの記号と変成器の記号を破線で囲んだ機器」として描かれ、正解は「零相電圧を検出する」です。丸の中に斜めの線と「3」がある記号はZCTで、正解は「零相電流を検出する」です。

ZCTは3本の電流の合計を見て、ずれた分を零相電流として出す

図2 ZCTは3本の合計を見る。遮へい層の接地線は輪をくぐらせる

縦の線が電線、紫の輪がZCTです。③の太い線はケーブルの導体、灰色の破線は遮へい層、緑の線は接地線です。

ふだん
RST合計は0ZCT

①3本の電流を足すと0。二次側には何も出ない。

負荷側で地絡
RSTZCT合計がずれる

②大地へ抜けた分だけ合計がずれ、零相電流として出る。

遮へい層の接地線
電源側ZCT負荷側

③負荷側の端から取り出した接地線を、輪にくぐらせてから接地する。

図2で押さえるところ:ZCTが見ているのは1本ずつの電流ではなく、輪の中を通る電流の合計です。

ZCTは、三相の3本の電線をまとめて輪の中に通す変流器です。図2の①のように、ふだんは3本の電流を足すと0になるので、二次側には何も出ません。短絡のときも、電流は電線の間を行き来するだけなので、合計は0のままです。

図2の②のように輪より負荷側で地絡が起きると、電流の一部が大地へ抜けて、輪を通って戻ってこなくなります。3本の合計が0からずれ、そのずれが零相電流として二次側に出ます。ZCTは、大きな負荷電流には反応せず、このわずかなずれだけを取り出す機器です。

ケーブルの遮へい層の接地線は、ZCTの輪をくぐらせてから接地する

高圧ケーブルには、導体の外側に銅の遮へい層があり、端で接地します。ケーブルにZCTをかぶせて使うと、この遮へい層に流れる電流も、ZCTの輪の中を通ってしまいます。

そこで図2の③のように、ケーブルの負荷側の端で遮へい層から取り出した接地線を、ZCTの輪にもう一度くぐらせてから接地します。遮へい層を流れる電流は、ケーブルの中で1回、接地線で逆向きに1回輪を通るので、打ち消し合ってZCTには現れません。この形で地絡を見つける範囲は、ZCTより負荷側です。くぐらせずに負荷側の端で接地すると、ZCTより電源側のケーブルの地絡も見つける範囲に入ります。接地線の通し方を誤ると、接地線に流れる電流で地絡継電器が不必要に動作することがある、と解説されています。

1線が完全に地絡すると、零相電圧は約3,810Vになる

零相電圧は、3つの相の対地電圧を足して3で割った値です。ふだんは3相がそろっているので、足すと0になります。

図3 1線が完全に地絡すると、残りの2相の対地電圧は6,600Vに上がる

矢印は大地から見た各相の電圧(対地電圧)で、長さが大きさです。

ふだん
abc大地3相とも 3,810V

①中性点と大地が同じ電位。対地電圧は3相とも約3,810V。

a相が完全地絡
大地bc2相が 6,600V

②a相が大地の電位になる。③b相・c相の対地電圧は6,600V。④破線の分だけ中性点が浮き上がる。これが零相電圧で約3,810V。

図3で押さえるところ:完全地絡のときの零相電圧は、相電圧と同じ約3,810Vです。

図3の①がふだんの状態で、中性点と大地の電位が同じなので、3つの相の対地電圧はどれも約3,810V(6,600V÷√3)です。図3の②のa相が完全に地絡すると、その相の対地電圧は0になり、図3の③のとおり残りの2相の対地電圧は線間電圧の6,600Vまで上がります。このとき中性点が大地から浮き上がった大きさが、図3の④の零相電圧で、約3,810Vです。

抵抗を通して地絡した場合は、零相電圧はこれより小さくなります。完全地絡の3,810Vを100%として表すと、10%の地絡では381Vです。

ZPDはコンデンサで、EVTは変圧器で零相電圧を取り出す

図4 ZPDはコンデンサで、EVTは変圧器で零相電圧を取り出す

左はコンデンサ、右は変圧器の巻線(橙の四角)で、R・S・Tの3相を受けています。

ZPD(需要家の受電設備)
RSTDGRへ①②③

①各相にコンデンサをつないで1点にまとめる。②もう1つのコンデンサを通して接地する。③②にかかる電圧を変圧器で取り出す。

EVT(配電用変電所)
RST継電器へ二次側開放三角結線一次側④⑤

④一次側は星形につなぎ、中性点を接地する。⑤二次側は三角形の1か所を開いた形。開いた端に、地絡のときだけ電圧が出る。

図4の見分け方:大地とのあいだにコンデンサが入るのがZPD、巻線で直接つながるのがEVTです。

需要家の受電設備で使うのはZPDです。図4の①のように、3つの相にそれぞれコンデンサをつないで1点にまとめ、図4の②のもう1つのコンデンサを通して接地します。地絡で零相電圧が生じると、図4の②のコンデンサに零相電圧に比例した小さな電圧がかかり、図4の③の変圧器を通して地絡方向継電器へ渡されます。

配電用変電所で使うのはEVTです。図4の④の一次側は星形につないで中性点を接地し、図4の⑤の二次側は三角形の1か所を開いた形(開放三角結線)にします。開いた端には、地絡のときにだけ電圧が出ます。

需要家がEVTを使えないのは、需要家ごとにEVTを置くと、配電線が何か所でも接地された状態になるからです。保護の働きに影響し、配電用変電所の側で配電線の絶縁抵抗を測って事故点を探すことも難しくなります。ZPDのコンデンサは直流を通さないので、この問題が起きません。

GRは電流の大きさだけ、DGRは電流の向きも見る

ZCTと組み合わせる継電器には、地絡継電器(GR)と地絡方向継電器(DGR)があります。違いは、構内の地絡とよその地絡で比べると分かります。

図5 構内の地絡と、よその地絡で、ZCTを通る電流の向きが逆になる

矢印は、自分のZCTを通る零相電流の向きです。

構内で地絡
電源側3ZCT構内の対地静電容量①②

①電源側から構内へ向かって通る。②は事故点。
GRは動作DGRも動作

よその需要家で地絡
電源側3ZCT構内の対地静電容量よそで地絡③④

③構内の対地静電容量を通る電流が、④構内から電源側へ向かって通る。
GRは動作するおそれDGRは動作しない

図5で押さえるところ:よその地絡でもZCTに電流は流れます。違うのは向きです。

構内で地絡が起きると、図5の①のように、零相電流は電源側から構内へ向かってZCTを通ります。図5の②が事故点です。よその需要家で地絡が起きたときも、図5の③のように構内の対地静電容量を通る電流が流れ、図5の④のとおり、構内から電源側へ向かってZCTを通ります。

GRは電流の大きさだけで動作するので、図5の④の電流が感度より大きければ、よその地絡でも動作してしまいます。これが不必要動作(もらい動作)です。構内のケーブルが長いほど対地静電容量が大きく、図5の④の電流も大きくなります。DGRは電流の向きも見るので、構内から出ていく向きの電流では動作しません。

試験では、構内のケーブルが長い施設には「地絡方向継電装置を設置することが望ましい」が正しい記述、「地絡過電圧継電器を設置することが望ましい」が誤りの記述として出ています。地絡過電圧継電器は零相電圧だけを見る継電器で、電流の向きは見分けません。継電器の図記号と番号は、保護継電器の種類と保護協調の図2で確かめられます。

DGRは、零相電圧を基準にした零相電流の位相で向きを決める

電流の向きは、交流では位相の違いとして現れます。DGRは、ZPDから受け取った零相電圧を基準にして、ZCTから受け取った零相電流の位相を比べます。日本電気技術者協会の解説では、構内の地絡では零相電流が零相電圧より0〜90度進み、よその地絡では電流が逆向きになるので、位相も反対側へ回ります。DGRは、この位相が決まった範囲に入ったときだけ動作します。

零相電圧がなければ向きを判定できないので、DGRはZCTとZPDの両方とつながります。試験の単線結線図で、PASの中のZCTと零相電圧の検出器の両方から、地絡方向継電器へ線が伸びているのはこのためです。

対地静電容量から、よその地絡でZCTを通る電流を求める(例題3問)

よその需要家で完全地絡が起きたとき、自分のZCTを通る電流(図5の④)は、構内の対地静電容量から計算できます。地絡した相の対地電圧は0になり、残りの2相には6,600Vがかかります(図3の③)。2相の対地静電容量に流れる電流は、向きが60度ずれているので、足し合わせると1相分の√3倍になります。6,600V=√3×3,810Vなので、まとめると 電流 = 2πf × 3C × E です。Cは1線あたりの対地静電容量、Eは相電圧(約3,810V)、fは周波数です。

例題1 周波数50Hzで、1線あたりの対地静電容量が0.45μF/kmのケーブルを、構内で200m使っています。よその地絡のときにZCTを通る電流を求めます。

C = 0.45μF/km × 0.2km = 0.09μF
電流 = 2π × 50Hz × 3 × 0.09×10⁻⁶F × 3,810V ≒ 0.32A

例題2 同じケーブルが50mなら、電流はいくらになりますか。

C = 0.45μF/km × 0.05km = 0.0225μF
電流 = 2π × 50Hz × 3 × 0.0225×10⁻⁶F × 3,810V ≒ 0.081A

例題3 例題1の設備が、周波数60Hzの地域にあったらどうなりますか。

電流 = 2π × 60Hz × 3 × 0.09×10⁻⁶F × 3,810V ≒ 0.39A(周波数の比60÷50=1.2倍)

0.45μF/kmは、日本電気技術者協会の解説にある6kVのCVTケーブル100mm²の値です。GRが動作する電流(感度電流)は一般に0.2Aで、例題1の0.32Aはこれを超えるので、GRではよその地絡で不必要動作するおそれがあります。例題2の0.081Aなら超えません。同じ解説では、構内の電流がGRの感度電流の半分以上になるならDGRを採るのがよいとされ、このケーブルで0.2Aになる長さは約124mです。「構内のケーブルが長いとDGR」という試験の記述は、この計算の結果を言葉にしたものです。

結局どれを使うか。電流ならZCT、電圧ならZPD、向きまで見るならDGR

取り出すのが零相電流ならZCT、零相電圧なら需要家ではZPD、配電用変電所ではEVTです。継電器は、構内のケーブルが短く、よその地絡で流れる電流が感度より十分小さければGR、長ければ向きも見るDGRです。

自己チェック|よその地絡でZCTに流れる電流の向きは

解説は最初から表示しています。図5を見ないで、よその地絡のときにZCTを通る電流の向きを言えるかを試してください。

問1:需要家の受電設備で、零相電流と零相電圧を取り出す機器の組み合わせとして、正しいものはどれですか。

  1. 零相電流はZCT、零相電圧はEVT
  2. 零相電流はCT、零相電圧はVT
  3. 零相電流はZPD、零相電圧はZCT
  4. 零相電流はZCT、零相電圧はZPD

解答:4(零相電流はZCT、零相電圧はZPD)
EVTは配電用変電所で使います(図4)。CTとVTは、ふだんの電流と電圧を取り出す機器です。

問2:6,600Vの高圧配電線で1線地絡が起きたときの地絡電流について、正しいものはどれですか。

  1. 中性点が変電所で直接接地されているので、短絡電流と同じくらい大きな電流が流れる
  2. 中性点が接地されていないので、地絡電流は流れない
  3. 中性点が接地されていないので、電流は対地静電容量を通って戻り、数A程度と小さい
  4. 電流は配電線を通らず、事故点の近くの接地だけを通って戻る

解答:3(対地静電容量を通って戻り、数A程度と小さい)
図1の②から③を通って電線へ戻ります。非接地なので1番目は誤り、対地静電容量があるので2番目のように0にはなりません。

問3:ケーブルにZCTをかぶせ、負荷側の端で遮へい層から取り出した接地線を、ZCTの輪にくぐらせてから接地しました。遮へい層を流れる電流は、ZCTにどう現れますか。

  1. ケーブルの中と接地線で、逆向きに1回ずつ輪を通るので、打ち消し合って現れない
  2. 2回輪を通るので、2倍の大きさで現れる
  3. 接地線を通る電流は、零相電圧として現れる
  4. ZCTより電源側のケーブルで起きた地絡だけが現れる

解答:1(逆向きに1回ずつ通るので、打ち消し合う)
図2の③です。向きが逆なので足し合わされません。この形で見つける範囲は、ZCTより負荷側です。

問4:6,600Vの非接地の高圧配電線で、1線が完全に地絡しました。零相電圧はおよそ何Vですか。

  1. 6,600V
  2. 3,810V
  3. 11,430V
  4. 2,200V

解答:2(3,810V)
6,600V ÷ √3 ≒ 3,810V で、図3の④です。6,600Vは図3の③の健全相の対地電圧で、零相電圧ではありません。11,430Vは√3で割らずに掛けた値、2,200Vは√3ではなく3で割った値です。

問5:よその需要家で地絡が起きたとき、自分のZCTを通る電流について、正しいものはどれですか。

  1. ZCTには電流が流れないので、GRもDGRも動作しない
  2. 構内の地絡のときと同じ向きに流れるので、DGRも動作する
  3. 構内の対地静電容量が小さいほど、大きくなる
  4. 構内から電源側へ向かって流れるので、向きを見るDGRは動作しない

解答:4(構内から電源側へ向かって流れ、DGRは動作しない)
図5の④です。電流は流れるので、GRは動作するおそれがあります。対地静電容量が大きいほど電流も大きくなります。

問6:周波数50Hzの6,600V配電線から受電する構内で、1線あたりの対地静電容量の合計が0.05μFです。よその需要家で完全地絡が起きたとき、自分のZCTを通る電流はおよそ何Aですか。相電圧は3,810Vとします。

  1. 0.060A
  2. 0.31A
  3. 0.18A
  4. 0.22A

解答:3(0.18A)
2π × 50Hz × 3 × 0.05×10⁻⁶F × 3,810V ≒ 0.18A です。0.060Aは3を掛け忘れた値、0.31Aは相電圧ではなく線間電圧6,600Vを使った値、0.22Aは周波数を60Hzにした値です。

問7:需要家の受電設備で、零相電圧を取り出すのにEVTではなくZPDを使う理由として、正しいものはどれですか。

  1. EVTは零相電流しか取り出せないから
  2. 需要家ごとにEVTを置くと配電線が何か所でも接地され、保護の働きや、絶縁抵抗の測定で事故点を探すことに支障が出るから
  3. EVTは、地絡のときに二次側へ電圧を出さないから
  4. ZPDのほうが、継電器へ大きな電圧を渡せるから

解答:2(配電線が何か所でも接地され、保護や事故点の探索に支障が出る)
EVTは図4の④のように巻線で大地とつながります。ZPDは図4の②のコンデンサが直流を通しません。EVTも図4の⑤の開いた端に、地絡のときは電圧を出します。

地絡電流の流れ方と、零相電圧の値の根拠

2026年10月3日に、次の資料の記載内容を確認して、本文の地絡電流の流れ・検出器の働き・継電器の違い・計算の式と図を照合しました。

更新履歴:2026年10月3日 図1〜図5、地絡電流の例題、自己チェックを加え、地絡電流の流れから検出器と継電器を説明する構成に改めた

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資格太郎

この記事を書いた人:資格太郎電気工事士の独学合格を目指して学習中。試験センターの問題と公開資料を照合し、地絡電流の流れを図にして整理しています。運営者情報と編集方針

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