受変電設備の実務

ZCT・ZPD・EVTの違い|零相電流・零相電圧と地絡検出回路

結論:ZCTはIo、ZPD・EVTはVoを作り、DGRは大きさと位相を事故方向へ結び付ける

零相検出回路は機器名の暗記では閉じません。主回路と接地線の通過経路、零相信号の変換、極性、継電器入力、動作方向、遮断対象、試験後の復旧を一つの保護回路として追います。同じ3Io・3Vo表記でも、一次値、二次出力、継電器表示値を混ぜないことが出発点です。

この記事はCT・VT・VCT・ZCTの機器比較GR・DGR・OVGRの役割比較の繰り返しではありません。事故点からZCT・ZPD・EVT、DGR、出力接点、遮断器、復旧記録までの信号経路を、図面・現物・試験成績書で一致させます。

この記事はZCT貫通線、接地線、EVT・ZPD回路を現地で変更する手順ではありません

零相回路の極性、接地、試験端子、制御電源を誤ると、構内事故の不検出、構外事故での不要動作、感電、設備損傷につながります。実設備では、電気主任技術者等の管理下で単線図、展開接続図、メーカー接続図、保護協調検討、保安規程、停電・検電・誤投入防止手順を優先してください。

回路を6層で読む|一次・検出・変換・判定・出力・復旧

地絡保護をZCTやDGR単体で見ると、どの事故を、どの信号で、どこまで切るのかが曖昧になります。主回路の事故点から始め、検出器、変換器、継電器、出力回路、遮断器、事故後状態まで六層へ分けます。

各層には別の電源と図面があります。ZCT二次が正しくてもDGRの制御電源が失われれば出力できません。反対に継電器表示が点灯していても、試験端子の復旧漏れで実事故電流が入力されない場合があります。

回路番号を主キーにし、単線図、展開接続図、端子台図、整定表、試験記録、事故記録を結びます。『地絡保護正常』ではなく、どの層まで確認したかを状態として残します。

区分 確認する事実 完了・判断の証拠
一次 事故点、系統接地方式、ケーブル・接地線 保護範囲を単線図へ表示
検出 ZCT、ZPD、EVT、3CT残留回路 形式・極性・一次接続
変換 二次出力、試験端子、専用変換器 入力定格と配線一致
判定 Io、Vo、位相、時限、方向 整定根拠と動作記録
出力 接点、制御電源、86・52回路 遮断対象まで連動
復旧 事故隔離、試験線撤去、原状確認 再投入条件と承認

信号を比較する|ZCT・ZPD・EVT・3CT残留回路

ZCTは三相導体を一括して通し、各相電流のベクトル和に対応する零相電流を検出します。ZPDは対地コンデンサ等の分圧回路から零相電圧信号を作り、EVTは接地形計器用変圧器の開放Δ等から地絡時の零相電圧を取り出します。

3CT残留回路は各相CT二次の和を作る方式です。相電流保護用CTの誤差や飽和も残留成分へ現れるため、専用ZCTと名前だけで置き換えません。ZPD、EVT、ZVT等も出力定格と組合せ継電器を確認します。

一次量のIo・Vo、三相合成量の3Io・3Vo、検出器二次のmA・V、継電器の百分率表示を同じ欄へ書かず、換算根拠を一行ごとに付けます。

区分 確認する事実 完了・判断の証拠
ZCT 三相導体・接地線の貫通、K/L極性 Io入力の大きさと位相
ZPD コンデンサ分圧、接地点、専用変換器 指定継電器へのVo出力
EVT 一次中性点、二次・三次、開放Δ 正常時と地絡時の3Vo
3CT残留 3相CT比・極性・負担・飽和 残留結線の和と誤差
DGR Io・Vo・位相・最大感度角 事故方向と出力時限

ZCT貫通と極性|三相導体・接地線を図面と現物で一致させる

正常な三相負荷電流はZCTの窓内でベクトル和がほぼ打ち消されます。地絡電流の往路と帰路の一部が窓の外を通ると残差が生じます。したがって、相線を全部通したという事実だけでは保護範囲は確定しません。

ケーブルシールドの接地線をZCTのどちら側で接地し、窓を通して戻すかは、事故電流の帰路と検出範囲で決まります。片端・両端接地、電源側・負荷側という言葉だけで一般化せず、メーカー結線図と接地系統図を照合します。

K・Lとk・lの極性は、DGRがIoとVoの位相関係から方向を判定するときに効きます。導通があることと、正しい方向へ動作することは別です。線番、端子、貫通方向、二次極性を写真と試験結果で残します。

ZPD分圧回路|専用継電器との組合せと接地を固定する

ZPDは高圧各相と大地間の容量性分圧等を利用し、三相の対地電圧変化から零相電圧に対応する低い信号を作ります。一般のVT二次110V回路と同じ入力源ではありません。

製品ごとに分圧器、変換器、継電器の組合せ、定格、端子、接地、試験方法が指定されています。旧品からの更新では外形や端子数だけで互換と判断せず、ZPDと継電器を一組の保護システムとして照合します。

盤の耐電圧試験や絶縁測定では、接続されたコンデンサと電子回路が試験結果や機器耐量へ影響する場合があります。切離し要否、切離し点、復旧確認は対象機種の説明書と試験要領に従います。

区分 確認する事実 完了・判断の証拠
組合せ ZPD・変換器・DGRの形式と版 メーカー適合表
一次 各相接続、定格電圧、分圧部 主回路図・銘板
二次 出力定格、極性、シールド 端子台図・線番
接地 指定接地点、接地導体、共用範囲 接地系統図・導通
試験 注入点、切離し、印加上限 要領書・復旧票

EVT開放Δ|正常時0と地絡時3Voをベクトルで読む

三相EVTの代表的な開放Δ回路では、三相が健全で対地電圧が平衡すると三次電圧のベクトル和はほぼ0になります。一線地絡で中性点が移動すると三相の和が現れ、3Voに対応する信号としてOVGRやDGRへ渡ります。

開放Δ端子に電圧が出たことだけでは事故方向は分かりません。EVTは零相電圧の発生を示し、構内・構外の選択にはZCTの零相電流と位相関係、保護範囲、系統条件が必要です。

EVTを追加・更新すると、一次側の対地静電容量、接地、盤内スペース、絶縁耐力、二次・三次負担へ影響します。既設図の110V表記だけで通常VTとEVTを同一視せず、巻線用途と端子を銘板で確認します。

DGR方向判定|Io・Vo・位相・時限を一件の試験にする

DGRはIoまたはVoが整定値を超えたという二つの独立条件だけで方向を決めるのではありません。両信号の位相関係を、製品が定める最大感度角と動作領域へ照合します。極性や相順が逆なら、大きさが正しくても動作方向が反転し得ます。

整定表にはIo、Vo、位相、時限、動作方向、遮断対象、復帰条件を同じ版で記録します。DGR本体のダイヤル値だけを写しても、ZCT比やZPD・EVT出力の基準が不明なら一次値へ戻せません。

方向試験では構内方向と反対方向の両方を確認します。正方向で動くことに加え、逆方向で不要動作しないこと、出力接点からVCB・PAS等まで所定時間で連動することを別結果として残します。

区分 確認する事実 完了・判断の証拠
Io 一次・二次基準、整定値、実測値 換算式と注入記録
Vo ZPD/EVT基準、整定値、実測値 端子電圧と換算
位相 最大感度角、正逆方向、極性 位相角別の動作域
時限 継電器時間、出力、遮断器時間 全動作時間
復帰 入力低下、接点、表示、ロック 再投入許可状態

保護範囲台帳|事故点ごとの信号と遮断対象を照合する

受電点、母線、変圧器一次、構内フィーダ、ケーブル終端では、同じ地絡でもZCTを通る電流とVoの見え方が変わります。事故点ごとに、検出器の位置、正方向、主保護、後備保護、遮断範囲を表へ置きます。

PAS・UGSのSOGと構内DGR、OVGRを重ねる場合は、波及事故防止と構内選択遮断の責務を分けます。受電点で全停電させる保護と、事故フィーダだけを切る保護を同じ時限へ置く根拠はありません。

系統変更、ケーブル増設、接地方式変更、変圧器更新では零相充電電流と方向条件が変わり得ます。単線図を改訂しただけで完了せず、保護範囲台帳と整定根拠を再承認します。

試験を4段階に分ける|単体・入力・方向・連動遮断

継電器単体試験の合格だけでは、現地保護回路の成立を証明できません。検出器からの入力、極性を含む方向、出力接点と遮断器までを段階的に確認します。各段階で試験器の接続点と実回路から切り離した範囲を記録します。

一次側から三相一括で電流・電圧を与える試験と、継電器端子へ直接注入する試験は、確認できる範囲が違います。試験結果には『良』だけでなく、入力値、位相、動作値、動作時間、接点、遮断器、警報、復帰を残します。

試験後は短絡片、試験プラグ、ヒューズ、接地線、端子カバー、整定ロック、制御電源を原状へ戻し、通常信号で監視値が成立することまで確認します。

区分 確認する事実 完了・判断の証拠
単体 継電器Io・Vo動作値、時限、復帰 校正値と判定
入力回路 ZCT/ZPD/EVTから端子まで 一次または回路注入
方向 正方向動作、逆方向不動作 位相角別結果
連動 接点、制御電源、遮断器、警報 全動作時間と表示
復旧 試験器撤去、短絡片、接地、設定 ダブルチェック

誤動作・不動作の切り分け|値・位相・配線・制御電源を分ける

地絡表示が出たら、まずイベント時刻、Io、Vo、位相、動作要素、出力接点、遮断器位置、上位・隣接回路の記録を保存します。リセットして再投入すると、原因の境界を示す情報が失われます。

Ioだけ高い場合は負荷側漏れ電流、シールド帰路、貫通導体、ノイズ等を、Voだけ高い場合は系統対地電圧、VT・ZPD・EVT回路、ヒューズ、接地等を候補にします。ただし一つの値だけで原因を断定せず、同時刻の三相量と系統状態を照合します。

値は妥当でも方向が逆なら極性、相対応、位相基準を、継電器は動作しても遮断しないなら制御電源、接点、86、52a/52b、トリップコイルを追います。原因修復と保護機能の復旧を別の完了条件にします。

変更と復旧を閉じる|短絡片・試験線・接地・設定を原状へ戻す

ZCT交換、ZPD・EVT更新、DGR更新、ケーブル更新では、形式、比率・出力、極性、端子、接地、負担、制御電源、整定、出力論理が連鎖して変わります。変更番号一件に旧新資料と試験結果をまとめます。

復旧は『遮断器を入れた』時点ではありません。主回路・検出器・二次回路・継電器・出力・警報・通信が通常状態へ戻り、試験用短絡や模擬信号が残らず、保護範囲と整定表が現物に一致した状態です。

順照合では事故点から遮断器まで信号を追い、逆照合では遮断器の各地絡入力が承認済みの検出器と整定へ戻るか確認します。未完了事項があれば、期限、運転制限、代替監視、責任者を明記します。

区分 確認する事実 完了・判断の証拠
機器 旧新形式、定格、組合せ 承認図・適合表
配線 貫通方向、極性、端子、シールド 端子台図・写真
接地 接地点、導体、共用範囲 接地系統図・導通
設定 Io、Vo、位相、時限、出力 整定表・設定ファイル
試験 単体、入力、方向、連動 成績書・判定者
引渡し 表示、通信、図面、未完了 再投入承認

公式資料・一次情報

内容確認日:2026年9月2日。対象設備の承認図、現行取扱説明書、契約・運用基準を優先してください。

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機器を比較 CT・VT・VCT・ZCTCT・VT二次回路 変成器、極性、端子
地絡保護 GR・DGR・OVGRPAS・UGS・SOG 方向、保護範囲、遮断
地絡計算 高圧地絡電流絶縁耐力試験 充電電流、試験電流
試験・出力 保護継電器試験VCB引外し回路 入力、接点、全動作
接地を追う 高圧受電設備の接地系統図絶縁監視Io・Ior・Igr 接地帰路、監視境界
図面を読む 高圧単線結線図機器番号・略号 信号層、67G、64
資格太郎

この記事を書いた人:資格太郎電気工事士の独学合格を目指して学習中。経済産業省、日本電気技術者協会、メーカーの一次資料を照合し、零相検出器の名称だけでなく、極性・方向・遮断・復旧までつながるよう編集しています。運営者情報と編集方針

広告・検証方針

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