受変電設備の実務

GR・DGR・OVGRの違い|Io・Vo・方向性と地絡保護回路

結論:地絡保護はIo・Vo・方向判定・制御電源・遮断先を一つの連鎖で確認する

GRは主に零相電流Ioの大きさ、DGRはIoと零相電圧Voの位相関係を含む方向、OVGRはVoの大きさを使う代表的な継電器です。略号だけで選ばず、事故点→検出→判定→時限→出力→開放→事故表示まで一周させます。

この記事では、保護継電器の種類と整定の総論を繰り返さず、地絡保護回路に固有のIo・Vo、構外地絡、ZCT・ZPD・EVT、極性、遮断範囲を扱います。図面、銘板、整定、試験、事故記録を同じ保護回路番号で照合できる状態を目標にします。

整定値・極性・試験端子を記事から実機へ転記しないでください

地絡保護回路の誤配線、誤整定、制御電源消失、試験端子の誤操作は、不要停電、感電・火災事故、保護不動作につながります。Io・Voの極性と整定は、系統方式、対地静電容量、保護範囲、電力会社との協調、対象機種で決まります。承認図、整定計算書、メーカー資料、保安規程を優先し、電気主任技術者等の管理下で扱ってください。

保護を7層に分ける|事故点から記録まで一周させる

地絡を検出した時点では設備はまだ開放されていません。検出器の入力、継電器の方向・時限判定、出力接点、制御電源、トリップコイル、主接点、事故表示を層に分けます。どこまで試験したかも同じ層で示します。

たとえばDGR単体が正しく動作しても、DC電源、補助リレー、52a/52b、VCBトリップコイルのどこかが断線していれば事故回路は開放されません。反対に誤った極性や遮断先は健全回路を停電させます。

確認する事実 完了の根拠
事故・範囲 構内/構外、母線/フィーダ、停電影響 単線図・保護範囲図
検出 ZCTのIo、ZPD/EVTのVo、極性 銘板・接続図・入力試験
判定 GR/DGR/OVGR、方向、整定、時限 整定表・単体試験
出力 接点、補助リレー、警報、トリップ 展開図・回路試験
エネルギー 直流/交流制御電源、ヒューズ、監視 電源測定・警報試験
開放 PAS/UGS/VCB、対象主接点 連動開放試験
後処理 事故表示、ログ、復旧条件、承認 時刻付き記録・操作票

GR・DGR・OVGR|入力・方向・用途を一表で分ける

GR、DGR、OVGRは、どれも地絡に関係しますが、入力する零相量と判断できる範囲が違います。製品によって複合要素や名称は異なるため、略号と機能コードだけでなく端子図と仕様を確認します。

OCRは相電流の過電流・短絡を扱うのが基本で、地絡保護のIoとは入力の作り方が違います。同じVCBを開放しても、どのセンサ・継電器が起点かを事故表示に残します。

継電器 主な入力・判定 代表的な確認
GR Ioの大きさ 感度、時限、外部地絡時の充電電流
DGR Io・Voと位相による方向 ZCT/ZPDの組合せ、極性、動作方向
OVGR Voの大きさ 母線地絡監視、検出範囲、遮断先
OCR 相電流の大きさ・時限 CT相、短絡・過電流、保護協調

Io・Voと極性|大きさだけで方向は決まらない

Ioは零相電流、Voは零相電圧です。製品資料では3Io・3Voと表記する場合があり、定義、入力定格、表示倍率を確認します。ZCTは各相電流の差を、ZPDやEVTは地絡時の零相電圧を検出する代表機器です。詳しくはZCT・ZPD・EVTの違いで確認できます。

DGRはIoとVoの位相関係から事故方向を判定します。ZCTのK/L、ZPD・EVTの端子、継電器入力の極性が一つでも逆なら、構内事故と構外事故の向きが入れ替わるおそれがあります。電流・電圧の大きさが出ているだけでは方向要素の成立を証明できません。

記録には、検出器型式、製造番号、設置位置、K/L方向、端子番号、組合せ継電器、Io/Vo入力値、位相、試験方向を同じ行へ残します。交換時は単品の互換性だけでなく、指定された組合せと極性を再確認します。

構外地絡と方向判定|充電電流の流出入を事故点別に読む

非接地系統では、他需要家や他フィーダの地絡時にも自設備の対地静電容量を通じて充電電流が流れます。GRはIoの大きさだけで判定するため、この流出電流が整定を超えると不要動作する可能性があります。DGRはIoとVoの方向関係を使い、保護方向外の事故を区別します。

ただし、DGRなら構外地絡で必ず不動作という意味ではありません。極性誤り、組合せ違い、整定不良、回路断線、系統条件変更があれば期待動作は崩れます。事故点ごとに検出量、方向、主保護、後備、開放範囲を並べます。

事故位置 期待する判定 記録する確認
構内・保護方向 Io/Voが動作方向、対象機器を開放 検出値、位相、時限、開放時刻
構外・逆方向 DGRは方向外として抑制 逆方向試験、極性、不要動作なし
他フィーダ 事故フィーダを先に選択遮断 主保護・後備時間、健全回路影響
母線・受電点 受電保護または上位保護が動作 範囲、全停電、電力会社協調

検出器の組合せ|ZCT・ZPD・EVTを銘板単位で管理する

方向性地絡継電器は、専用または指定されたZCT・ZPD等との組合せを前提とする製品があります。入力定格が同じに見えても、特性、位相、端子、試験方式が一致するとは限りません。既設品の一部交換では組合せ表と現行仕様を確認します。

ZCTへは保護対象の全相導体を所定方向に通します。接地線やシールド接地の通し方は地絡電流の検出に影響するため、一般図だけでなくケーブル処理と設置要領を確認します。ZPD・EVTはVoの取り出し点と接地方式を単線図で確定します。

管理対象 一行に残す項目 不一致時の扱い
ZCT 型式、貫通回路、K/L、接地線、二次端子 方向・感度未確認として保留
ZPD/ZVT 型式、接続相、端子、接地、組合せ Vo入力と位相を確定しない
EVT 一次結線、開放デルタ、負担、接地 母線範囲とVo倍率を再確認
GR/DGR/OVGR 型式、入力、整定、時限、出力接点 互換性と整定根拠を再承認

出力と制御電源|検出できても遮断できない経路を探す

継電器出力は、直接または補助リレーを介してPAS・UGS・VCB等の開放回路へ入ります。設備によっては警報だけ、フィーダ開放、受電全体開放など出力範囲が違います。開放機器の主接点がどの回路を停電させるか、PAS・UGS・SOGの違いと単線図で確認します。

DGRが入力を検出しても、制御電源ヒューズ断、蓄電池劣化、配線断線、補助接点不良、トリップコイル不良があれば遮断できません。制御電源の常時監視、電圧、ヒューズ、警報、負荷時の電圧降下を別記録にします。引外しの続きはVCBの引外し回路へ進みます。

経路 確認する状態 試験の境界
継電器接点 動作/復帰、接点番号、自己保持 単体出力試験
補助回路 補助リレー、52a/52b、断線監視 回路導通・模擬動作
制御電源 方式、電圧、ヒューズ、蓄電池 無負荷/負荷時、警報
開放機器 トリップコイル、主接点、開極表示 連動開放・全遮断
事故表示 継電器表示、盤警報、監視ログ 時刻・起点・復帰

整定と保護協調|感度・方向・時限を別々に根拠化する

地絡保護の整定は、想定地絡電流、対地静電容量、検出器特性、構外事故時の充電電流、上位・下位保護の時限から決めます。記事の数値例や別設備の整定票を転記しません。地絡電流の計算境界は高圧地絡電流の計算で確認できます。

感度は保護方向の最小事故を検出できるか、方向は逆方向を抑制できるか、時限は下位側を先に開放し後備を残せるかを別々に確認します。OCRとの協調、VCBやPASの開放時間、電力会社側保護も含めます。曲線の管理は保護協調曲線の見方へ進みます。

整定表には、対象回路、継電器型式、Io/Vo整定、動作角または方向条件、時限、出力先、根拠資料番号、計算版、承認日を残します。設定値だけの写真では根拠と変更履歴が分かりません。

試験を4段階に分ける|単体・方向・回路・連動開放

試験器から継電器へIo・Voを与えて動作したことと、実設備の検出器・二次配線・制御電源・遮断器まで成立したことは別です。試験範囲を段階で分け、未実施を合格と同じ空欄にしません。

方向試験では動作方向と逆方向の両方を確認し、注入極性と位相条件を記録します。連動試験では継電器の動作時刻、出力接点、補助リレー、トリップコイル、主接点開放、事故表示、復旧までを同じ時計で残します。詳細は保護継電器試験で確認できます。

段階 確認できる範囲 残る未確認
単体試験 継電器のIo/Vo・時限・出力 検出器、二次配線、遮断器
方向試験 正方向動作・逆方向抑制 実系統の極性・設置方向
回路試験 端子から警報・トリップ出力まで 主接点の実開放
連動開放 検出起点から対象主回路開放まで 事故点選択性は別シナリオ
復旧確認 試験端子、表示、制御電源、操作可否 運用承認・記録配布

事故記録と復旧|検出値・遮断時刻・健全性を分ける

事故後は「DGR動作」で終わらせず、発生時刻、Io・Vo、方向表示、動作要素、開放機器、主接点開放時刻、上位保護、停電範囲、現地状況を一件の事故番号へ結びます。監視装置、継電器、遮断器、電力会社の時刻基準が違う場合は、その差も残します。

復旧状態は、事故点確認中、事故区間分離済み、健全区間試験済み、再送電承認済み、復旧操作済みへ分けます。継電器表示をリセットしたことは、事故原因の解消や再送電許可を意味しません。VCBの健全性はVCBの点検方法、絶縁・機器の切り分けはキュービクル故障診断と照合します。

事故後に極性や整定を推測で変更すると、原因調査の証拠と次の保護性能を同時に失います。現状保存、暫定安全措置、変更承認、再試験を別の記録にします。

変更レビュー|系統・ケーブル・継電器更新を再照合する

受電方式、ケーブル長、フィーダ増設、接地方式、ZCT/ZPD、継電器、開放機器、制御電源の変更は、Io・Vo、方向、時限、停電範囲の前提を変えます。変更前の整定が動作するという理由だけで流用しません。

順照合では事故点からセンサ、継電器、出力、開放機器、事故表示へ進みます。逆照合ではPAS・VCBのトリップコイルから起点となる継電器と検出器へ戻ります。両方向が同じ保護範囲へ着くか、高圧受電設備の単線結線図と図記号と展開図で確認します。

変更記録には、対象保護回路、変更理由、前後型式、組合せ可否、極性、整定根拠、試験範囲、図面改訂、復旧承認を残します。未確認事項には確認先と閉じる条件を付け、口頭確認だけで「異常なし」にしません。

公式資料・一次情報

内容確認日:2026年8月30日。対象設備の承認図、現行取扱説明書、契約・運用基準を優先してください。

目的から選ぶ関連記事

目的 次に読む記事 確認できる境界
継電器総論 保護継電器の種類と整定 入力・整定・出力
受電点保護 PAS・UGS・SOGの違い SOG入力と開放範囲
零相検出 ZCT・ZPD・EVTの違い Io・Vo・極性・組合せ
遮断回路 VCBの引外し回路 制御電源から主接点開放
協調計算 保護協調曲線の見方地絡電流計算 感度・時限・事故電流
試験・復旧 保護継電器試験故障診断 単体・方向・連動・事故後
資格太郎

この記事を書いた人:資格太郎電気工事士の独学合格を目指して学習中。メーカー、電気技術者協会、産業保安監督部の一次資料を照合し、地絡検出だけでなく、方向判定、制御電源、開放、事故記録、復旧状態までつながるよう編集しています。運営者情報と編集方針

広告・検証方針

この記事内に継電器、試験器、開閉器、工事・点検のアフィリエイトリンクは掲載していません。2026年8月30日にメーカー、電気技術者協会、産業保安監督部の公開資料へ再照合しました。事故時系列、試験段階、復旧状態の管理方法は当サイトのオリジナルで、実設備の整定票や操作手順書ではありません。

※当サイトの画像にはAI生成のものが含まれており、実際の機器・器具とは外観が異なる場合があります。問題・解答の内容には細心の注意を払っておりますが、誤りが含まれる可能性があります。学習の参考としてご活用いただき、最終的な確認は公式テキスト・法令等で行ってください。当サイトの情報に基づく判断によって生じた損害について、一切の責任を負いかねます。

内容の誤りやお気づきの点がございましたら、お問い合わせフォームよりご連絡いただけますと幸いです。正確な情報をお届けできるよう、随時修正してまいります。

-受変電設備の実務

戻る