受変電設備の基礎

PF・S形とCB形の違い|主遮断装置の構成と限流ヒューズの働き

この記事を読み終えると、高圧受電設備の「CB形」と「PF・S形」を主遮断装置の構成と受電設備容量から言い分け、限流ヒューズが短絡電流を遮断するしくみを図で説明できるようになります。

第一種電気工事士の学科では、「受電設備容量400kV·AにPF・S形は適切か」「PF・S形の主遮断装置として必要でないものはどれか」のように、2つの形の違いが問われます。違いの中心にあるのは、高圧限流ヒューズ(PF、Power Fuse)です。この記事は試験の学習用で、実際の設備をどちらの形にするかを決めるためのものではありません。

見分ける軸は「短絡電流を何で遮断するか」の1つ

高圧受電設備には、構内で事故が起きたときに、受けた電気を元で止める装置があります。これが主遮断装置です。主遮断装置に何を使うかで、受電設備は2つの形に分かれます。

  • CB形:主遮断装置に高圧交流遮断器(CB、Circuit Breaker)を使う形。遮断器には、真空遮断器(VCB)が多く使われます。
  • PF・S形:主遮断装置に、高圧限流ヒューズ(PF)と高圧交流負荷開閉器(S)を組み合わせて使う形。

図1 主遮断装置が違う、2つの形

上が電源側、下が負荷側です。計量の装置や地絡の検出装置などは省いています。

CB形
電源側OCR①DS②VCB③CT④母線変圧器

①DS(断路器)。
②VCB(遮断器)。これが主遮断装置。
③CT(変流器)。電流を測る。
④OCR(過電流継電器)。破線はVCBを開かせる合図。

PF・S形
電源側⑤LBS⑥PFCT・OCRは無い母線変圧器

⑤LBS(高圧交流負荷開閉器)。
⑥PF(高圧限流ヒューズ)。⑤と⑥の組が主遮断装置。

図1で比べるところ:CB形は「測る③・判定する④・遮断する②」が別々の機器です。PF・S形は、この3つを⑥のヒューズだけで受け持ちます。

図1の②のVCBは、自分では電流の大きさを判断しません。図1の③のCTが電流を測り、図1の④の過電流継電器(OCR)が「大きすぎる」と判定して、VCBを開かせます。図1の①のDSは、VCBを電源側から切り離すための断路器です。

図1のPF・S形は、短絡保護用のCTと過電流継電器を使わず、PF付LBSで保護する例です。計量などのために設けるCTとは区別してください。図1の⑤の負荷開閉器がふだんの開閉を受け持ち、図1の⑥の限流ヒューズが短絡電流を遮断します。

CB形は3つの機器で、PF・S形はヒューズだけで短絡を止める

回路を短絡から守るには、ふつう「電流を測る変流器」「判定する保護継電器」「遮断する遮断器」の3つが要ります。CB形は、この3つをそのまま並べた形です。試験でも、高圧受電設備の短絡保護装置の組み合わせは「過電流継電器と高圧真空遮断器」です。

ヒューズは、この3つの役目を1台でこなします。大きな電流が流れると、中のエレメント(溶ける部分)が自分の熱で溶けて、電流を遮断するからです。PF・S形は、計器用変成器と保護継電器を省いて、設備を簡素にした形です。

比べる点 CB形 PF・S形
主遮断装置 高圧交流遮断器(VCBなど) 限流ヒューズ付高圧交流負荷開閉器(PF付LBS)
短絡を見つけるもの CTと過電流継電器 限流ヒューズ自身
短絡電流を遮断するもの 遮断器 限流ヒューズ
受電設備容量(キュービクル式) 4,000kV·A以下 300kV·A以下
動作した後 遮断器を入れ直せる 溶けたヒューズを取り替える

CB形で、過電流継電器の合図がVCBへ伝わる回路は、VCBの引外し回路で扱っています。

PF・S形にできるのは、受電設備容量300kV·A以下

キュービクル式高圧受電設備(JIS C 4620)では、形ごとに受電設備容量の上限が決まっています。CB形は4,000kV·A以下、PF・S形は300kV·A以下です。受電設備容量は、変圧器の容量の合計で数えます。

図2 受電設備容量と、使える形

キュービクル式高圧受電設備の場合です。塗りの札は使える形、取り消し線の札は使えない形です。

①200kV·A 300kV·A以下

CB形PF・S形

どちらの形も使える。

②300kV·A ちょうど上限

CB形PF・S形

PF・S形は300kV·Aまで。CB形も使える。

③400kV·A 300kV·Aを超える

CB形PF・S形

PF・S形は使えない。CB形にする。

④500kV·A 300kV·Aを超える

CB形PF・S形

CB形は4,000kV·Aまで使える。

図2の覚え方:線を引くのは300kV·Aの1か所だけです。「以下ならどちらも、超えたらCB形」と覚えます。

図2の①と図2の②の容量なら、どちらの形も使えます。図2の③と図2の④のように300kV·Aを超えると、PF・S形は使えません。CB形に下限はないので、図2の②の300kV·AにCB形を使うのは適切です。試験では、受電設備容量400kV·Aの高圧受電設備にPF・S形を使う組み合わせが、不適切なものとして出ています。

PF・S形の主遮断装置に要るものも問われます。必要なのは、高圧限流ヒューズ、ストライカによる引外し装置、相間と側面の絶縁バリヤの3つです。過電流継電器は必要ありません。ストライカは、ヒューズが1本だけ溶けたときに、負荷開閉器を3相とも開かせる装置です。その動きはVCB・DS・LBS・PASの違いの図5で説明しています。

事故の種類ごとに、見つける機器と切る機器を追う

図3 事故を見つける機器と、電路を切る機器

受電設備の中で短絡や地絡が起きたときに、どの機器が働くかを形ごとに並べました。

CB形|短絡・過負荷
①CTが、大きくなった電流を測る

②過電流継電器が判定して、合図を出す

③遮断器が開いて遮断する
CB形|地絡
④零相変流器と地絡継電器が見つけ、同じ遮断器を開かせる
PF・S形|短絡
⑤限流ヒューズが溶けて遮断する

⑥ストライカが、負荷開閉器を3相とも開かせる
PF・S形|地絡
⑦零相変流器と地絡継電器が見つけ、負荷開閉器を開かせる
図3で取り違えやすいところ:PF・S形にも地絡継電器は付きます。付かないのは過電流継電器で、その役目はヒューズが受け持ちます。

CB形は、短絡でも過負荷でも、図3の①から図3の③までの同じ道すじです。地絡のときは、図3の④のとおり零相変流器(ZCT)と地絡継電器(GR)が見つけて、同じ遮断器を開かせます。事故の種類が違っても、電路を切るのは遮断器1台です。

PF・S形は、事故の種類で切る機器が変わります。短絡は、図3の⑤で限流ヒューズが遮断し、図3の⑥でストライカが負荷開閉器を開かせます。地絡の電流は小さいので、ヒューズは溶けません。そこで図3の⑦のとおり、地絡継電器の合図で負荷開閉器を開かせます。負荷開閉器は短絡電流を遮断できませんが、地絡の小さな電流なら開けます。

限流ヒューズは、短絡電流が大きくなりきる前に遮断する

限流ヒューズの筒の中には、細いエレメントとけい砂が入っています。大きな短絡電流が流れると、エレメントはごく短い時間で溶け、そこにアークが出ます。このアークの抵抗が、流れようとする電流を抑えます。

図4 限流ヒューズが短絡電流を抑えるようす

横が時間、縦が電流です。短絡が起きた直後の、交流の半波だけを描いています。

時間電流①②③④ヒューズがない場合限流ヒューズあり
図4で押さえるところ:限流ヒューズは「早く切る」だけでなく、流れる電流の大きさそのものを②まで抑えます。

図4の④は、ヒューズがなかった場合に短絡電流が達する波高値です。限流ヒューズは、電流がそこまで増える前の図4の①で溶け、電流を図4の②の大きさで抑えます。そのまま、図4の③で遮断を終えます。

流れる電流が小さく、時間も短くなるので、短絡のときに電線や機器が受ける熱と力が小さくなります。これが「限流」の効き目です。限流ヒューズは小形ですが、遮断できる電流は大きく、高圧用では定格遮断電流40kAのものが一般的です。受電用の遮断器の12.5kAより大きな値です。

ヒューズの3つの特性と、励磁突入電流で溶けない理由

ヒューズは「電流が大きいほど早く溶ける」性質を持ちます。電流の大きさと時間の関係は、3本の線で表されます。

図5 限流ヒューズの3つの特性と、励磁突入電流の位置

横が電流、縦が時間です。3本とも右下がりで、電流が大きいほど短い時間で起きることを表します。

電流(右ほど大きい)時間②③④①励磁突入⑤短絡電流
図5の読み方:点が②より左下なら「何も起きない」、③を越えたら「溶ける」、④を越えたら「電流が切れる」です。①は②に届かないので、ヒューズは溶けません。
  • 許容特性(図5の②):この線より左下なら、電流が流れてもエレメントが傷まない。
  • 溶断特性(図5の③):電流が流れ始めてから、エレメントが溶けるまでの時間。
  • 遮断特性(図5の④):過電流が流れ始めてから、溶断し、アークが消えて電流が切れるまでの時間と電流の関係。遮断時間は溶断時間とアーク時間の和です。この電流と遮断時間の関係を、動作特性ともいいます。

変圧器を電路へ投入した瞬間には、定格電流の何倍もの電流が、ごく短い時間だけ流れます。これが励磁突入電流です。事故ではないので、ここでヒューズが溶けては困ります。

そこで変圧器の回路には、励磁突入電流を「定格電流の10倍が0.1秒」と見込んで、その点が許容特性より左下に来る大きさのヒューズが使われます。図5の①は図5の②の線に届かないので、エレメントは溶けず、傷みもしません。短絡のときは、図5の⑤のように桁違いに大きい電流が流れ、図5の③と図5の④の線をすぐに越えます。

例題1 三相300kV·A、一次電圧6.6kVの変圧器の定格一次電流を求めます。

三相の皮相電力は「√3 × 線間電圧 × 線電流」です。この式になるのは、線電流を求めるには容量を「√3 × 線間電圧」で割ればよいからです。

定格一次電流 = 300kV·A ÷(√3 × 6.6kV)= 300 ÷(1.732 × 6.6)≒ 26.2A

例題2 例題1の変圧器で、励磁突入電流を定格の10倍とみた大きさと、受電点の短絡電流が12.5kAのときに短絡電流が定格の何倍になるかを比べます。

励磁突入電流 = 26.2A × 10 = 262A(続く時間は0.1秒ほど)

短絡電流 ÷ 定格一次電流 = 12,500A ÷ 26.2A ≒ 477倍

10倍と約477倍では、桁が違います。ヒューズは、この差を「溶けるまでの時間」の差として受け取ります。励磁突入電流では溶けず、短絡電流ではすぐに溶けるのは、このためです。

小さい過電流は苦手で、溶けたら入れ直せない

限流ヒューズには、苦手なこともあります。1つめは、小さい過電流です。電流が小さいと溶けるまでに時間がかかり、溶けた後のアークをうまく消せない範囲があります。確実に遮断できる下限の電流を、最小遮断電流といいます。図5の④の線が、時間の長い側で途中までしか無いのは、このためです。限流ヒューズは短絡の保護に使い、わずかな過負荷の保護は受け持たせません。変圧器の二次側(低圧側)で起きた過電流は、低圧側の遮断器が遮断します。

2つめは、一度溶けたら使えないことです。遮断器は入れ直せますが、ヒューズは新しいものに取り替えなければなりません。溶けたヒューズは、端から表示棒が飛び出して、動作したことを知らせます。

3つめは、相ごとに溶けることです。1本だけ溶けると欠相になるので、PF・S形では、ストライカで負荷開閉器を3相とも開かせます。

限流ヒューズは、変圧器・コンデンサ・VTの手前にも使われる

限流ヒューズが使われるのは、PF・S形の主遮断装置だけではありません。CB形の設備でも、機器ごとの短絡保護に使われています。

  • 変圧器や高圧進相コンデンサの一次側:負荷開閉器と組み合わせたPF付LBSとして付きます。図1のCB形の、母線の下にある開閉器がこれです。試験では、100kvarの高圧進相コンデンサの手前に設置できる機器として「限流ヒューズ付高圧交流負荷開閉器」が正解になっています。
  • 計器用変圧器(VT)の電源側:十分な定格遮断電流を持つ限流ヒューズを取り付けます。目的は、VTの内部で短絡が起きたときに、事故を主回路へ広げないことです。

一方、避雷器の電源側に設けるのは断路器です。ここに限流ヒューズを入れるのは、不適切とされています。

結局どちらの形か|主遮断装置・容量・付いている機器の順に確かめる

  1. 主遮断装置を見る:×印の遮断器ならCB形、ヒューズの付いた負荷開閉器ならPF・S形(図1)。
  2. 容量を見る:300kV·Aを超えていれば、CB形しかない。300kV·A以下なら、どちらもあり得る(図2)。
  3. 付いている機器で確かめる:CTと過電流継電器があればCB形。PF・S形の主遮断装置に、過電流継電器は付かない(図3)。

迷ったときは「PF・S形は、限流ヒューズが短絡を見つけて遮断する形」に戻ると、要る機器と要らない機器を言い分けられます。

自己チェック|形・容量・ヒューズの働きを答える

解説は最初から表示しています。図2と図5を見ないで答えられるかを試してください。

問1:CB形の高圧受電設備で、短絡が起きてから電流が遮断されるまでに働く機器の順番として、正しいものはどれですか。

  1. ZCT → 地絡継電器 → DS
  2. CT → VCB → 過電流継電器
  3. CT → 過電流継電器 → VCB
  4. VT → 過電流継電器 → LBS

解答:3(CT → 過電流継電器 → VCB)
図3の①〜③の順です。CTが測った電流を過電流継電器が判定し、VCBを開かせます。ZCTと地絡継電器が働くのは地絡のときで、DSやLBSは短絡電流を遮断できません。

問2:キュービクル式高圧受電設備の受電設備容量が400kV·Aのとき、主遮断装置の形として使えるものはどれですか。

  1. CB形だけ
  2. PF・S形だけ
  3. CB形とPF・S形のどちらも
  4. どちらも使えない

解答:1(CB形だけ)
図2の③のとおり、PF・S形が使えるのは300kV·A以下です。CB形は4,000kV·A以下まで使えます。

問3:限流ヒューズの「限流」とは、どのような働きですか。

  1. 負荷電流が定格電流を超えないように、ふだんから絞る
  2. 短絡電流が波高値に達する前に溶け、電流を小さく抑えたまま遮断する
  3. 短絡電流を大地へ逃がして、電路の電流を減らす
  4. 溶けた後に自動で元へ戻り、電流を一定の大きさに保つ

解答:2(波高値に達する前に溶け、電流を小さく抑えたまま遮断する)
図4の①で溶け、図4の②の大きさで抑えたまま、図4の③で遮断を終えます。ふだんの負荷電流には何もしません。溶けたヒューズは元へ戻らず、取り替えが要ります。

問4:変圧器を電路へ投入した瞬間、定格電流の約10倍の電流が0.1秒ほど流れました。正常な限流ヒューズが溶けない理由として、正しいものはどれですか。

  1. 励磁突入電流はヒューズを通らずに変圧器へ流れるから
  2. ストライカがヒューズの代わりに電流を引き受けるから
  3. 限流ヒューズは、短絡電流でなければ決して溶けないから
  4. その電流と時間が、ヒューズの許容特性より小さい側にあるから

解答:4(許容特性より小さい側にあるから)
図5の①の点は、図5の②の許容特性の線より左下にあります。励磁突入電流もヒューズを通ります。ヒューズは短絡でなくても、許容特性と溶断特性を越える電流が続けば溶けます。

問5:三相500kV·A、一次電圧6.6kVの変圧器の定格一次電流は、およそ何Aですか。

  1. 25.3A
  2. 43.7A
  3. 75.8A
  4. 131A

解答:2(43.7A)
500kV·A ÷(√3 × 6.6kV)≒ 43.7A です。75.8Aは√3で割り忘れた値、25.3Aは√3ではなく3で割った値、131Aは√3で割らずに掛けた値です。

問6:計器用変圧器(VT)の電源側に限流ヒューズを取り付ける主な目的はどれですか。

  1. VTの二次側の電圧を一定に保つ
  2. 主回路の負荷電流の大きさを測る
  3. VTの内部で短絡が起きたときに、事故を主回路へ広げない
  4. VTを雷の過電圧から守る

解答:3(VTの内部の短絡を、主回路へ広げない)
VTの中で短絡が起きると、主回路の短絡事故になります。限流ヒューズが溶けて、VTだけを切り離します。雷の過電圧を抑えるのは避雷器、電流を測るのはCTの役目です。

問7:PF・S形の受電設備の中で地絡が起きました。電路を開く動きとして正しいものはどれですか。

  1. 地絡継電器の合図で、負荷開閉器が開く
  2. 限流ヒューズが地絡電流で溶ける
  3. 過電流継電器の合図で、遮断器が開く
  4. 断路器が自動で開く

解答:1(地絡継電器の合図で、負荷開閉器が開く)
図3の⑦です。地絡の電流は小さく、限流ヒューズは溶けません。PF・S形の主遮断装置に過電流継電器と遮断器は無く、断路器は自動では開きません。

形の区分と、限流ヒューズの特性の根拠

更新履歴:2026年10月25日 遮断時間を溶断時間とアーク時間の和へ訂正し、PF・S形のCTについて短絡保護用と計量用を区別しました。 大東通信機:ヒューズ用語(溶断時間・アーク時間・遮断時間)を照合しました。

2026年10月3日に、次の資料の記載内容を確認して、本文の形の区分・受電設備容量・限流ヒューズの働きと図を照合しました。

更新履歴:2026年10月3日 図1〜図5と自己チェックを加え、主遮断装置の違いから2つの形を比べる構成に改めた。限流ヒューズの働きと励磁突入電流の説明を加えた

次に読む記事

次はVCBの引外し回路とインターロックへ進んでください。図1の④の過電流継電器の合図が、どのようにVCBを開かせるかを扱います。

LBSとストライカの動きは、VCB・DS・LBS・PASの違いで確かめられます。

2つの形を単線結線図の全体で見比べるなら、高圧受電設備・キュービクルの単線結線図へ戻ります。

資格太郎

この記事を書いた人:資格太郎電気工事士の独学合格を目指して学習中。試験センターの問題と、専門団体・メーカーの公開資料を照合し、受電設備の形と限流ヒューズの働きを図にして整理しています。運営者情報と編集方針

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