受変電設備の実務

PF・S形とCB形の違い|300kVA・保護・復旧を比較

結論:PF・S形とCB形は、検出・判定・遮断・復旧の分担で比べる

PF・S形はPFとLBSの組合せ、CB形はCT・OCR・引外し回路・VCBの連鎖で主回路を保護します。300kVAという数字だけで決めず、短絡・過負荷・地絡の保護範囲、励磁突入、遮断責務、事故後の復旧、将来増設を同じ系統条件で照合します。

単線結線図の記号を見分けるだけでは、事故時にどの要素が働き、どこまで停電し、何を交換・試験して復旧するかは分かりません。この記事では、形式名を設備固有の選定表、特性曲線、整定表、試験記録へつなぐ方法を整理します。

この記事は機器選定表・復電手順ではありません

高圧機器の選定、PF交換、VCB操作、保護整定、事故後の再送電には重大な危険があります。実設備では最新規格、一般送配電事業者との協議、採用メーカーの組合せ表、保安規程、電気主任技術者等の判断を優先してください。

比較を6ゲートで進める|容量境界だけで決めない

形式の候補は、容量だけでなく6つのゲートを順に通します。一つでも未確認なら「選定済み」とせず、必要資料と確認者を残します。既設設備では、銘板だけでなくPFリンク形式、LBSストライカ、CT比、OCR整定、VCB遮断容量を現物と照合します。

ゲート 判定すること 根拠
1 容量・規格 設備容量、適用範囲、供給条件 規格、協議回答
2 負荷 最大負荷、始動、高調波、増設 負荷表、実測
3 事故電流 最小・最大短絡、地絡方式 短絡計算、系統回答
4 保護協調 感度、選択、耐量、後備 特性曲線、整定表
5 復旧 交換品、試験、予備品、停止時間 保全計画、BCP
6 変更 将来容量、監視、遠方操作 更新計画、承認図

役割比較|PF・LBSとCT・OCR・VCBを混ぜない

PF・S形では、PFが大きな短絡電流を限流・遮断し、LBSが平常の負荷電流を開閉します。ストライカ付きの組合せでは、PF動作を受けてLBSを三相開放し、欠相継続を防ぎます。LBS単体へPFの短絡遮断責務を持たせるわけではありません。

CB形では、CTが電流を変成し、OCRが整定に基づいて判定し、接点出力と制御電源が引外しコイルを動かし、VCBが主回路を開きます。OCRが動作した時点と、VCBがアークを消弧して全遮断した時点を分けます。

機能 PF・S形 CB形
検出・判定 PFの時間電流特性 CT・OCR等の整定
短絡遮断 PFの限流・遮断 VCBの定格遮断
三相開放 ストライカ・LBSの組合せ VCB主接点
事故後 原因調査・原則全相PF交換 原因調査・VCB/回路試験

構成台帳|主回路・検出・引外し・復旧を一回路一行にする

方式名だけの設備台帳では、交換・増設時に組合せ条件を失います。変圧器バンクまたは受電回路ごとにIDを付け、主機器、保護要素、特性・整定、制御電源、予備品、最終試験を同じ行へ結びます。図面と銘板が違う場合は現物を勝手に正とせず、不一致の影響と承認先を記録します。

台帳層 PF・S形の欄 CB形の欄
主回路 LBS形式、定格、操作方式 VCB形式、遮断容量、操作方式
保護 PF形式、電流、特性、ストライカ CT比、OCR形式、限時・瞬時
補助 溶断表示、欠相対策、予備リンク 制御電源、TC、52a/52b、警報
状態 組合せ照合、交換日、全相確認 単体、回路、連動、復旧試験

主回路記号はキュービクルの単線結線図、開閉能力の違いはVCB・DS・LBS・PASの違いで確認できます。既設設備の銘板写真には撮影日と回路IDを付け、別バンクの写真を根拠にしないようにします。

PF・S形の事故時系列|溶断・アーク消弧・三相開放を分ける

短絡電流がPFの動作領域へ入ると、ヒューズエレメントが溶断し、内部で発生するアークを消弧して電流を遮断します。「溶けた瞬間=全相遮断完了」ではありません。特性資料では最小溶断、許容、全遮断、限流値などの意味を分け、変圧器励磁突入や下流保護器との協調を確認します。

段階 成立すること 事故後の確認
通過 負荷・突入を不要動作なく通す 負荷履歴、投入条件
PF動作 溶断後にアークを消弧・限流遮断 事故相、表示、外観
三相開放 ストライカがLBSを開放 連動、欠相、機構
復旧 原因除去、組合せ確認、全相交換 絶縁、負荷、交換記録

PFを電線のように交換して再送電するのではなく、下流短絡、変圧器内部異常、LBS・支持絶縁物の損傷を調べます。リンク選定は高圧限流ヒューズの選び方、LBSとの組合せと点検はLBSの選び方と点検へ分けます。

CB形の事故時系列|OCR動作とVCB全遮断を分ける

CB形は、事故電流をCTが二次電流へ変成し、OCRが限時・瞬時要素で判定し、引外し回路を通じてVCBを開放します。保護協調曲線で読むOCR動作時間に、出力接点、補助継電器、引外しコイル、VCB開極・消弧時間が加わって全遮断になります。

段階 信号・エネルギー 確認記録
検出 CT一次・二次電流、極性、負担 CT比、試験入力
判定 OCR限時・瞬時、接点出力 整定、動作時刻
引外し 制御電源、配線、TC、機構 電源、52a、開極
全遮断 主接点開、アーク消弧、事故電流零 全遮断時間、波形

引外し経路はVCBの引外し回路、整定計算はOCR整定計算、VCBの遮断責務はVCBの遮断容量が対応します。継電器単体合格と主接点開放までの連動合格を別状態で残します。

事故種類ごとの保護境界|短絡・過負荷・地絡を一括しない

PFは短絡保護の中心ですが、すべての過負荷を確実に保護する機器ではなく、小さな地絡電流の方向を判定する装置でもありません。CB形も、VCBを置くだけで三事故を自動的に保護できるわけではなく、CT・ZCT・ZPD、OCR・GR・DGR、整定と遮断先が必要です。

事故・現象 PF・S形の確認 CB形の確認
短絡 最小・定格遮断、限流、耐量 CT、OCR瞬時、VCB遮断容量
過負荷 変圧器・低圧側保護との分担 OCR限時、負荷・始動との協調
地絡 別の地絡検出・開放経路 ZCT/ZPD、GR/DGR、遮断先
励磁突入 PF許容特性を通過 OCR不要動作を回避

地絡保護はGR・DGR・OVGRの違い、励磁突入は変圧器の励磁突入電流で切り分けます。「主遮断装置がある」ことと、「想定事故を検出して選択遮断できる」ことは別の判定です。

300kVAと将来増設|適用範囲・選定条件・変更時点を分ける

公開資料で示されるPF・S形300kVA以下、CB形4,000kVA以下という範囲は、代表的なキュービクル形式の適用容量を理解する手掛かりです。しかし、300kVA以下なら必ずPF・S形、300kVAを1kVA超えれば直ちに危険という意味ではありません。一般送配電事業者条件、変圧器構成、短絡容量、保護協調、重要負荷、遠方操作、将来増設を含めて決めます。

増設では合計kVAだけでなく、同時運転、電動機始動、高調波、変圧器%Z、最小短絡電流、下流保護器を再計算します。変圧器容量の算定は需要率・負荷率を使う容量選定、%Zと短絡電流は変圧器の%インピーダンスへ分けます。

例えば変圧器を分割して合計300kVA以下に見えても、受電点の設備容量、各バンクの主遮断装置、母線連絡の有無、同時運転状態によって判定は変わります。反対に既設容量だけが大きくても、設備固有の承認条件を確認せず形式変更を決めることはできません。現在値、増設後、最大将来の3状態を並べ、形式を変更する容量・時期・協議条件を計画上のゲートとして明記します。

復旧と更新|交換状態・試験状態・送電許可を分ける

PF・S形の事故後は、故障原因、PF全相、LBSのストライカ・接点・絶縁、変圧器・ケーブルを確認します。CB形では、保護表示と波形、OCR接点、制御電源、TC、52a/52b、VCB機構・真空バルブ、事故遮断回数を確認します。どちらも、主機器を復帰できたことだけで送電許可にはしません。

更新時は「同じ定格電流だから互換」と判断せず、PFとLBSの組合せ、ストライカ、取付寸法、VCBの操作・引外し方式、OCR接点定格、CT負担、制御電圧を照合します。経年設備の優先順位はキュービクルの更新時期、VCBの状態判定はVCBの点検方法で確認します。

復旧記録には、事故前負荷、事故相、保護表示、遮断時刻、損傷範囲、交換部品、絶縁確認、単体試験、連動試験、整定復帰、送電許可者を残します。PF交換日だけ、またはVCBの開閉試験だけでは、事故原因が除かれ、保護経路が元の機能へ戻った証拠になりません。予備品を使用した場合は補充期限も記録し、次の事故時に同形式・同定格がない状態を放置しません。

選定・保護協調|通過領域と遮断領域を同じ基準へ換算する

PF特性、OCR特性、変圧器熱特性、励磁突入、下流遮断器を重ねるときは、一次値・二次値・入力倍数を混ぜません。資料の版、周波数、電圧、CT比、PF形式を元資料台帳へ残し、負荷・始動は通過させ、最小事故電流では主保護を動作させ、上位保護と耐量へ余裕を持たせます。

保護協調曲線の見方では、選択・後備・感度・耐量の4条件で判定します。曲線上で分離していても、PFの全遮断帯、OCR許容差、VCB全遮断時間、CT飽和が抜けていれば結論は確定しません。計画曲線と試験実測を同じ事故点・同じ電流基準で比較します。

図面・現物・試験|方式判定を4状態で閉じる

最終記録は「資料収集中」「図面・計算照合済み」「現物・単体試験照合済み」「連動・復旧確認済み」に分けます。未確認の地絡経路や予備PFを、主回路の外観確認だけで合格にしません。変更承認者、未確認事項、次回停止時に閉じる条件を残します。

事故後は、原因調査中、事故区間分離済み、設備健全性確認済み、保護復帰済み、送電許可済みを別状態にします。これにより、警報リセットやVCB投入を復旧完了と取り違えません。全体構成は高圧受電設備の仕組み、方式変更による受電経路への影響は高圧・特別高圧の受電方式で確認できます。

公式資料・一次情報

内容確認日:2026年8月30日。JIS・JEC・高圧受電設備規程の最新版、供給区域の一般送配電事業者条件、採用メーカーの選定表・取扱説明書、設備固有の保安規程を優先してください。

目的から選ぶ関連記事

目的 関連記事 確認すること
構成・記号 受電設備の仕組み
単線図記号
PF/LBS/VCBの位置
機器能力 高圧開閉器
VCB遮断容量
開閉・遮断責務
保護 保護協調曲線
OCR整定計算
感度・時間・耐量
PF・LBS PFの選び方
LBSの選び方
組合せと事故後交換
VCB回路 引外し回路
VCB点検
指令から開極まで
地絡・突入 地絡保護
励磁突入
短絡以外の境界
容量・更新 変圧器容量
更新時期
編集方針
増設と変更管理
資格太郎

この記事を書いた人:資格太郎電気工事士の独学合格を目指して学習中。規格の公開解説、試験センター公式問題、経済産業省、JEMA、専門団体、メーカーのPF・LBS資料を照合し、300kVAだけで形式を断定しないよう編集しています。運営者情報と編集方針

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